2015.03.15


2015年315日号

電気・ガス事業法等の一部を改正する法律案が閣議決定
 発送電分離などを内容とする第3弾の電力システム改革を主な内容とする電気事業法の一部を改正する法案が閣議決定された。法案は、ガス事業法や熱供給事業法の改正も含む束ね法案として一括して提案されている。
 電力、ガス、熱供給に関するエネルギー分野の一体改革を行うため、電気事業法、ガス事業法、熱供給事業法、経済産業省設置法等を改正し@法的分離による送配電事業及びガス導管事業の中立性の確保A小売電気料金・小売ガス料金の規制の撤廃に係る措置の整備Bガスの小売業への参入の全面自由化Cガス供給における需要家保護と保安の確保D熱供給事業者に対する規制の合理化及び需要家の保護E電力・ガス取引監視等委員会の設立を図る等の措置が講ぜられる。
 電力の発送電分離は、2020年4月に10電力会社から送配電部門を分社化する法的分離により実施される。ガス事業については、電力に引き続いて2017年4月に小売り事業を全面自由化し、電力の2年遅れで2022年4月に東京ガス、東邦ガス、大阪ガスの都市ガス事業3社の供給エリアで電力の発送電分離に相当する導管部門の法的分離が行われる。
 ガス事業の小売り自由化にあたっては、電力と同様に事業毎のライセンス制が導入され、LNG基地事業(ガス製造事業=届け出制)、ガス導管事業(一般ガス導管事業=許可制と特定ガス導管事業=届け出制)、ガス小売り事業(登録制)に3分割される。
 ガス事業の導管分離については、ガスシステム改革について検討したものの結論が出ず見送りとなっていたものが、法案作成の過程で一転して盛り込まれた。また、熱供給事業法も改正され、電力と同様に2016年度から自由化される。
 改正法案は、今国会に提出され、成立が目指される。
【電気・ガス事業法などの主な改正内容】
◇電気事業法関係
▽法的分離による送配電事業の中立性の確保
・兼業規制による法的分離の実施
・適正な競争関係を確保するための行為規制の措置
▽経過措置としての小売料金の規制の撤廃に係る措置(経過措置の解除に当た
っては競争の進展状況を確認)
▽その他の改正事項
・一般担保付社債の発行の特例の廃止(経過措置の整備)
・需要抑制の活用に係る電力量調整供給に関する規定の整備
・風力発電設備への定期的な検査の導入
・溶接に係る保安規制の合理化
◇ガス事業法関係
▽小売参入の全面自由化・家庭等へのガスの供給の自由化
・自由化に伴う事業類型の見直し
・LNG基地の第三者利用に係る規定の整備
▽ガス導管網の整備
・導管事業への地域独占と料金規制の措置
・事業者間の導管接続の協議に関する命令・裁定制度
▽需要家保護と保安の確保
・経過措置としての小売料金規制に係る措置(経過措置の解除に当たっては競
争の進展状況を確認)
・一般ガス導管事業者による最終保障サービスの提供
・ガス小売事業者に対する供給力確保義務、契約条件の説明義務等
・保安の確保
▽法的分離による導管事業の中立性確保
・兼業規制による法的分離の実施
・適正な競争関係を確保するための行為規制の措置
◇熱供給事業法関係
▽熱供給事業者に対する規制の合理化
・参入規制を登録制とする
・料金規制や供給義務などの規制の撤廃
▽需要家保護のための措置
・熱供給事業者に対する需要家保護のための規制(契約条件の説明等)
・他の熱源の選択が困難な地域における経過措置料金規制
◇電力・ガス取引監視等委員会の設立
・独立性、高度な専門性を有し、電力・ガス・熱の取引の適切な監視及び行為
規制の実施等を業務とする「電力・ガス取引監視等委員会」を設立


地域活性化へ分散型エネマスタープランを策定 第3回地域エネシステム整備研究会
 3月6日、総務省の「自治体主導の地域エネルギーシステム整備研究会」の第3回会合が開催され、策定中のマスタープランの収支予測、および経済産業省などの予算措置の状況、青森県弘前市のマスタープランの概要などが紹介された。
 現在、全国14自治体で、分散型エネルギーインフラによる地域経済活性化に向けたプロジェクトのマスタープランの作成が進んでいる。具体的には、コージェネレーションシステムやバイオマスボイラーなどの地域の実情に即したエネルギーを活用したスマートな電力・熱供給事業などを行い、エネルギーの効率化と地域活性化につなげていくもの。各自治体とも、想定する事業の内容や必要な熱導管の延長などは明らかにしている。今回示された事業の収支計画イメージでは、全般にインフラ事業の収支が苦しいものとなっており、これを改善するための、活用できる補助金や他事業との連携などが示された。
 また、紹介された弘前市のプランは、中心市街地の小学校跡地に熱供給事業のエネルギーセンターを設置し、3期に分けて総延長2万mを超える熱導管を整備、医療施設や商業施設、住宅などに熱供給するというもの。雪国型コンパクトシティを目指すという。
 プロジェクト所在地は次の通り。
 北海道石狩市、北海道下川町、青森県弘前市、岩手県八幡平市、群馬県中之条町、栃木県、山形県、鳥取県鳥取市、静岡県富士市、大阪府四条畷市、鳥取県米子市、兵庫県淡路市、長崎県対馬市、鹿児島県いちき串木野市。


回避可能原価は市場取引価格で算定へ
 経済産業省は、3月4日、買取制度運用WGを開催し、回避可能原価の見直しについての検討を開始した。WGはほぼ1年ぶりの再開。
 見直しを行うのは固定価格買取制度で買い取った再エネ電力を販売する場合の電力会社がコストとして負担することになる回避可能原価。
 回避可能原価は、基本的には、再エネ電力を買い取って販売することで、節約できる自社電源の発電コストに該当するもので、各電力会社の電源構成などによって電力会社毎に算定されている。
 回避可能原価を見直すことにしたのは、2016年度から実施される電力の小売り自由化の全面解禁に伴って、電力事業が発電事業と送配電事業、小売り事業に3分割されるため、小売り事業者が調達する電力が自社の発電所とは限定できなくなり発電コストの算定が困難になることを踏まえたもので、3日のWGでも、自社電源の発電コストを下に算定する回避可能原価から市場を通じて調達する電力コストに基づくものに移行する必要があるということで合意された。
 ただ、市場の取引価格をもとに算定することに対しては、現状の取引量が少量であり信頼性の高い価格が形成されない可能性が高いとの懸念も示されており、自由化までの1年間で、市場での取引価格を使って信頼性の高い回避可能原価を算定する具体的な方法の確立が課題となる。市場での電力取引量を拡大していくのかなど、市場価格による回避可能原価の算定との方向で、今後詳細な制度設計が行われることになる。


大阪府、国内最大の燃料電池を大阪府中央卸売市場に導入
 大阪府中央卸売市場は、市場内に電力供給を行うオンサイト型の電源設備としてブルームエナジー社の出力1200kWの燃料電池システムを導入した。
中央卸売市場の非常用自家発電設備の更新時期にあわせてオンサイト電源の常用自家発電設備としてMW級の燃料電池の導入したもので、1年を通して中央卸売市場の電力需要の50%を賄うことができる。また、災害時には非常用自家発電設備として運転できる機能をあわせもっている。燃料電池の導入に関する基本合意を昨年11月に締結し、市場内での燃料電池の設置を進めていた。
 燃料電池の設備容量は冷蔵設備等を稼動するために常時必要な約1千kWの電力需要が賄えることを考慮して1200kWに決められた。ブルームエナジーの燃料電池は都市ガスを燃料とし、発電効率が60%を超える高効率のSOFC(個体酸化物型燃料電池)で、米国では分散型のベース電源として大規模商業施設やデータセンター、工場、官公庁などで導入実績がある。国内で1MWクラスの燃料電池が商用として導入されるのは初めての事例となる。
 大阪府では、CO2削減効果や電力供給の安定性・信頼性などについての実証設備として運用を行い、全国の中央卸売市場等向けの先進的なモデルケースとして、導入効果を大阪から発信していくことにしている。


その他の主な記事
・回避可能原価は市場取引価格で算定
・系統運用WG、太陽高出力抑制見通しを試算
・太陽光発電協会も3電力の抑制量を試算
・三重県 小水力発電を中部電力に譲渡
・宮城県、亘理町の復興型太陽光で立地協定
・産総研 効率的な水素の製造方法を開発
・東芝など 純水素型燃料電池を実証試験
・三井物産 風力発電設備の構成部材製造会社に出資
・ミャンマーのガスタービン発電所の建設を受注
・JSR リチウムイオンキャパシタの新工場が完成
・GSユアサ 高出力の産業用理電池モジュールを発売
・パラカ 霞ヶ浦にメガソーラーを建設
・自然電力 西伊豆のめがそーらーが完工
・北電エコエナジーのメガソーラーが運開
・いちごグループ 厚岸の太陽光発電所が運開
・ユーラス 宮城と福島でメガソーラーが運開
・オリックスと九電工 大牟田でメガソーラーが運開
・ソーラーフロンティア 自社保有メガソーラーを売却
・広島ガスと中国電力がバイオマス混焼発電を計画
・出光興産 大分に地熱バイナリー発電所を新設
・丸紅 フランスで2カ所目の熱電併給事業
・シーテック田原メガソーラーが運開 8万kW
・富士電機 アイスランドの地熱発電所を受注
・日設連が省エネ顕彰 受賞3設備を発表
・福岡県 地域エネルギー制作権が報告書
・NEPC 次世代社会実証募集
・NEDO太陽光コスト低減技術開発募集
・5月27日から電設工業展
・エネマネに向かうライティングフェア
・自然エネ財団が国際シンポ
・LPガス国際セミナー   etc.

<訪問記>
・官民連係の都心型再開発―田町スマエネパーク−
 JR田町駅の東側、ここに港区と東京ガスなどの企業により、さまざまな建物がスマートエネルギーネットワークでつながった、官民連携のまちづくりが進んでいる。それが、田町スマエネパークだ。第一期となるI街区の開発は完了し、地域熱供給事業がスタートしている。さまざまな技術が取り入れられた事業だが、その特色の1つは、新たに開発した広域のエネルギーマネジメントシステムを導入したこと。東京ガスとエネルギーアドバンスは、このシステムを、SENEMS(Smart Energy Network Energy Management System)と呼ぶ。SENEMSをはじめとする多様な技術によって、90年比で45%のCO2削減を実現したこのまちを紹介する。




燃料電池新聞の主な記事
・FCEXPO2015レポート
・三菱日立パワーシステムズのSOFC
・アイシン精機の次世代エネファーム
・インタビュー
 -加ハイドロジェニックス社・ドイツ法人営業部長マーク・カマーラー氏
 -加バラードパワシステムズ社・最高技術責任者クリス・ガジー氏
・海外ニュース
 -ベルギーVanHool、水素燃料電池共同実施機構から燃料電池バス21台を受注
 -仏SymbioFCell、仏マンシュ県で40台のレンジエクステンダー車の走行実証を開始
 -スウェーデンPowerCell、20〜120kW級のPEFC定置用燃料電池を開発
 -カナダHydrogenics、CO2からメタノールを製造するプロジェクトに1MWのPEM水電解装置を納入
 -現代自動車、HyTECプロジェクトの一環としてオスロに8台のFCVを納車
 -インドネシアCascadiantとBPPT、バックアップ燃料電池の市場導入で提携拡大
 -カナダBallard、一部の燃料電池自動車に関する特許をフォルクスワーゲングループに8千万ドル以上で売却
 -デンマークOKとStrandmollen、H2Logicと共同で5か所の水素ステーションを建設
 -米連邦公共交通局、55台の環境対応バス導入に5500万ドルを補助
 -韓国Doosan Fuel Cellsの400kW級PAFC、ハットフィールドのマンションに設置
 -豪CeramicFuel Cells、SOFC発電装置「BlueGEN」の発電効率を改善
 -米Dominovas Energy、商業用ビルや家庭用SOFCシステムを開発
 -ベルギーVan Hool、新しい燃料電池バスの開発プロジェクト「3Emotion」発表
・燃料電池フラッシュニュース
 -プレス工業、有機ハイドライドの脱水素装置を開発
 -大阪府、水素ステーション整備を計画
 -三井造船、加地テックと資本・業務提携し圧縮機事業を強化
 -東京ガス、価格を160万円に引き下げた新型「エネファーム」を2015年4月から発売開始
 -三井不動産レジデンシャル、東京ガス供給地域の分譲済既築住宅で「エネファーム」普及を促進
 -JX日鉱日石エネルギー、東京都八王子市に都内で初となる商用水素ステーションを開設
 -積水化成品工業の複合樹脂発泡体「ピオセラン」、FCV「ミライ」の下肢部衝撃吸収材に採用
 -岩谷産業、2015年末までに関西国際空港に水素ステーションを建設
 -豊田自動織機、関西国際空港の貨物センターで燃料電池フォークリフトの実証試験を開始
 -豊田通商、岩谷産業、大陽日酸、2015年2月に移動式水素ステーションの運営会社を設立
 -RITEと千代田化工、膜分離方式によるメチルシクロヘキサからの脱水素プロセスを開発推進
 -戸田工業、燃料電池向けニッケル改質触媒の生産能力を拡大
 -三井住友ファイナンス&リース、移動式水素ステーションにリース契約を開始メタウォーターが松本市の両島浄化センターに納入した燃料電池消化ガス発電システムが稼働
 -エノモト、PEFCのガス拡散層一体型SUSセパレータを開発
 -鈴木商館、マテハン向け水素ステーション事業で米Air Productsと提携
・燃料電池インフォメーション
■天然ガス高度利用研究会 第20回フォーラム「エネルギー新産業における天然ガスの役割〜水素社会に向けて〜」 3月26日(木)12:00〜17:00 東京大学 山上会館 大会議室 ○概要:@.基調講演:新エネルギー戦略とスマートコミュニティー(東京工業大学 柏木孝夫氏A講演:メタンハイドレードの開発とエネルギー新産業(産総研 成田英夫氏B講演:「シェール革命から10年、そして国内でのチャレンジ〜女川タイトオイルプロジェクト現況とその先へ」(石油資源開発 横井悟氏)C講演:ニューエネルギー時代における水素の役割と業界動向(テクノバ 丸田昭輝氏)       etc.



シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門 98
 =電源比率と温暖化防止目標=
 (大串卓矢・スマートエナジー代表取締役社長)


・世界を読む 74
 =再エネ拡大で変わる電力ビジネス=
 (本橋恵一)




コラム
・発電論評<目指すべきはエネルギー需給社会>
・青空<政治家の良識を問う>
・ちょっと一休<「ものづくり産業労組」にびっくり>
・ちょっと一言<電力自由化EXPOで見えた、新電力の課題>


目指すべきはエネルギー自給社会【発電論評】

 燃料電池自動車が市販されて、にわかに水素社会が近づいてきた感がある。各地で水素ステーションの建設も始まっている。まだまだ数は少ないが、自動車の普及と共に少しずつ増えていくことになる。水素ステーションの建設の始まりと共に、燃料電池の世界でも変革が始まっている。東芝などが純水素型の燃料電池の実証試験を始めるという最近のニュースもあった。純水素型の燃料電池というのはなんだか新しい燃料電池という印象を与えるが、燃料に純水素を直接使うために、都市ガスなどを燃料にする場合は不可欠となる改質装置が取り外された燃料電池システムのことだ。特に目新しさはないが、燃料に水素以外のものが含まれないため、相当に高効率の発電効率が実現するという。装置の構造が簡素化された上に高効率ということになると、信頼性の高い低コストのコージェネシステムとして商品化されるのが存外早いのではないかと期待感が高まる。
 欧州では、風力発電の余剰電力を水素に変える取り組みが活発に行われるようになっているという。日本でも太陽光発電や風力発電の連系抑制問題が顕在化し、系統に引き取られない電力が大量に発生する事態となっている。こうした余剰電力を水素に変えて貯蔵・輸送して、燃料電池や水素エンジンの発電用の燃料として利用することも現実的な対応として考えられてきている。
 水素がエネルギーの貯蔵手段として普及すれば、俄然国産エネルギーの活用が考えやすくなる。例えばバイオマス。バイオマス燃料は、木質チップなどをボイラーで直接燃焼したり、ガス化して燃料とするのが一般的だが、更にこれを水素にすることで、エネルギーの共通通貨として幅広く流通して利用できるようになる。エネルギーに余剰が出ればとりあえず水素に変えれば捨てるしかなかったエネルギーが再利用できることになる。
 エネルギーとしての水素の貯蔵や利用の方法が拡がるにつれて、再生可能エネルギーや未利用エネルギーの活用の場がさらに広がることになる。水素燃料が身近にあれば、必要なときに必要なだけオンサイトの分散型のシステムで電気や熱の必要な形でエネルギー利用できる。
 遠隔地の再エネは、系統連系が難しければ地産地消した余剰電力は水素に変えて貯蔵して、必要に応じて売却したり使用したりする。
 このように見てくると、水素利用社会の実現には、地域資源を活用する再エネと共に、燃料電池やガスコージェネなどの分散型エネルギーシステムが不可欠なことが分かる。再エネと水素と分散型による地産地消型のエネルギーシステムの確立。その行き着く先に究極のエネルギー自給社会が見えてくる。