2015年35日号

太陽光買い取り価格7月から27円に
 経済産業省は、2月24日に開いた調達価格等算定委員会で平成27年度の再生可能エネルギーの買取価格案を取りまとめた。
 太陽光発電については、昨年度に引き続いて買取価格を大幅に引き下げ、10kW以上の非住宅用は27円に、10kW未満の住宅用は35円に引き下げることを決めた。
 非住宅用の太陽光は3年連続の引き下げで、昨年度の32円から5円引き下げた。下げ幅は5円で、これまで最大となった。太陽光発電の導入量は、毎年度800万kWベースで導入が進み、さらに未着工件数である認定件数も7千万kWに達し、今後とも当分の間は高水準の導入ペースが続くと見られることから、27年度の買取価格の算定に当たっては、当初3年間の事業報酬の優遇措置の廃止や、太陽光発電所の設備利用率の向上(13%→14%)などを理由にして27円への引き下げを決めた。引き下げは。2段階で行い、4月からは29円にまず引き下げた後、当初3年間の優遇期間が経過する7月から27円に引き下げる。算定の基礎となる、経産省の調査結果でも太陽光パネル以外の工事費やパワコンなどの構成機器のコストは値下がりしておらず、太陽光パネルそのものも、円安で輸入パネルもむしろ値上がり気味という中で、更に大幅な買取価格の削減を行った。太陽光発電は、導入促進から抑制へと政策変更されたといえそうだ。
 住宅用太陽光発電については、14年度の37円から35円に引き下げる。住宅用太陽光については、東京、中部、関西の3つ電力会社以外の7つの電力会社管内では、新たに系統連系する設備については、出力抑制の受入が連系の条件となるため、そのために必要な制御機器のコストも買い取り価格に含めて算定された。当分の間出力抑制の必要がない東京、中部、関西の3電力会社管内では必要がないため、買取価格はさらに2円引き下げ33円とされた。
 太陽光発電以外の再生可能エネルギーについては、27年度も据え置かれる。このうち、地域の未利用の森林資源などの活用を促す観点から2千kW未満のものを「小規模委木質バイオマス発電」として、新たな買い取り枠を設けることにした。買取価格は40円とした。


11月末の再エネ導入量は1493万kW 1カ月で82万kW増
 資源エネルギー庁は、11月末の固定価格買い取り制度に基づく再生可能エネルギー発電設備の導入量を発表した。
 導入量は、先月末より82万kW増えて1493万kWになった。非住宅太陽光が増加量の86.6%にあたる71万kW増えて、導入量は1176万kWになった。11月の買い取り電力量は前月より1億1794万kWh少ない23億1215万kWhだった。
 非住宅太陽光以外の導入量は住宅用太陽光が8万kW増えて280万kWになった。また、風量発電が2万kW増、バイオマス発電が1万kW増となっただけで、他の再エネ発電は新たな増加量がなかった。
 また、12月末の設備認定量も発表されているが、太陽光発電を中心に前月末に比べて79万kW増加して認定量は7428万kWになった。非住宅用太陽光が56万kW増えて6745万kWになった。住宅用太陽光は9万kW増えて343万kWに、風力発電は7万kW増えて150万kWに、バイオマス発電が5万kW増えて153万kWになった。非住宅太陽光は認定取り消し物件もあり、増加量は少な目。


横浜市、自己託送制度を活用した電力の地産地消を開始
 横浜市は、横浜グリーンバレー構想」の一環として、「自己託送制度」を活用して、清掃工場のゴミ焼却余熱で発電した電力の一部を自己託送して庁舎などで利用する「電力の地産地消」の取り組みを開始する。
 「横浜グリーンバレー構想」のモデル地区である金沢区にて、資源循環局金沢工場のごみ焼却余熱で発電した電力の一部を金沢区総合庁舎と横浜シーサイドラインに供給して使用する電力の一部に充当する。
 金沢区総合庁舎には6月から9月の夏季の昼間30kWを自己託送。横浜シーサイドラインには1月から3月の冬季の凍結対策時間年間約60時間を対象に400kWの電力を自己託送する。電源の金沢工場には3万5千kWの発電設備があり、年間約1億4千万kWhを発電し、そのうち約9100万kWhを売電している。金沢工場の発電設備が定期点検などにより発電を休止している場合は、他の工場から送電して自己託送電力を確保することにしている。
 「電力システム改革」のひとつとして、昨年4月1日から制度化された「自己託送制度」を活用する。


丸紅、東洋紡の事業所でバイオマス発電事業
 丸紅は、福井県敦賀市の東洋紡鶴賀事業所でバイオマス発電事業を計画している。東洋紡から約2万2千平方mの土地を賃借して3万7千kW規模の木質バイオマス発電所を建設し、国内外の未利用の木質チップを燃料とする発電事業を行う。
 発電所の建設と運営は丸紅の100%子会社である丸紅火力が現地に事業会社を設立して行う。今年11月には着工し、2017年夏頃の運転開始を目指している。発電した電力は、丸紅が行う電力小売り事業の電源として活用する。
 発電所の建設に当たっては、東洋紡の工場排水を再利用しフィルターを通して排水することで、節水・水質保全に取り組むなどの環境保全策を講じる。また、近隣への防音対策も強化する。工場内の遊休地の活用方法を検討していた東洋紡と、発電所建設に必要なインフラが整った土地を探していた丸紅の意向が合致し、事業所敷地内での発電所建設が実現した。


その他の主な記事
・自然エネ財団が太陽光を調査
・スマエネウィーク 自由化やFCEXPOに高い関心
・オムロン ハイブリッド蓄電システムを発売
・ユーグレナ 米2社からバイオ燃料精製でライセンス
・横浜ゴム 高圧水素ガス用ホースを開発
・東芝 ケニア最大の地熱発電所が竣工
・NTTF 島根に新たな太陽光発電所
・GSユアサ 2カ所目のメガソーラーが運開
・日本アジア 佐賀の太陽光発電所が運開
・ユーラスエナジー 釜石風力を増設
・丸紅 鶴賀でバイオマス発電事業
・LOOOPも再エネ電力買い取りに参入
・旭化成 米社のバッテリーセパレーター事業を買収
・タケエイ 花巻にバイオマス燃料の製造会社
・イーレックス 大分でバイオマス発電事業
・BASFが日本にリチウム電池の正極材製造工場
・JSR エネルギー密度が2倍のリチウムイオン電池
・日本電子専門学校 SBパワーから自然エネ電力を購入
・大阪ガス 宇部市の石炭火力に出資
・東京都 トップレベル事業所に5件を追加認定
・東京都 中小事業所のCO2排出量を取りまとめ
・NEDO 水電解水素の研究開発を開始 委託先5テーマを採択   etc.

<インタビュー>
・自由化と創業100周年に向けて進むサイサン
(株式会社サイサン代表取締役社長 川本武彦氏)
 
株式会社サイサンは今年、創業70周年を迎える。さらにその先、100周年に向けた、2045年ビジョンを策定し、これからの30年の事業展開を確実なものにしようともしている。一方、目の前に控えているのは、電力小売り全面自由化をはじめとする、エネルギーシステム改革だ。こうした自由化に向けて、どのように対応していくのか。短期的、中長期的なそれぞれの構想について、川本社長にお話しを伺った。




シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革(60)「自治体新電力」自治体のエネルギー政策の動向=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授

・エネルギー市場のサステナブルな世界(その8)
 =変化する中東のパワーバランス=
 日本サスティナブル・エナジー株式会社 大野嘉久






コラム
・発電論評<買取制度に頼らない再エネの普及策を>
・プリズム<政治決着の法的分離問題>
・青空<老人の元気さに脱帽>
・ちょっと一休<トヨタ自動車の広報部の三上さんの卒業を祝う会>




買取制度に頼らない再エネの普及策を【発電論評】

 平成27年度の再エネの買取価格案が決まった。他の再エネの調達価格が据え置かれる中で、太陽光発電だけが引き下げられた。
 太陽光発電の調達価格の引き下げは3年連続で、非住宅用太陽光発電については7月から前年度の32円から27円へと大幅に引き下げられることになった。今回の引き下げは、輸入パネルの値上がりや、工事費の高止まりなど建設コストはむしろ上がり気味という中で、パネル性能の向上などによる設備利用率の向上や事業報酬の引き下げなどを理由に強行されたことになるが、その背景には7千万kWに上る認定済み設備がある太陽光発電については、開発促進から抑制へと政策の転換が行われたのだといえそうだ。
 一方で、太陽光発電については、系統連系の保留問題に端を発する出力抑制問題が深刻化している。出力抑制は、連系は出来ても電力を買い取ってもらえない時間が無制限に許容されるというものであり、買取価格は引き下げられ、さらに発電しても買い取ってもらえない電力量が多くなるというのでは、実質的な連系拒否だと言えなくもない。
 このように見てくると、固定価格買取制度による太陽光発電の受け入れは、今後は多くは期待できなくなるわけで、連系出来ない多くの残された太陽光発を固定価格買取制度の枠外で活用する方法を考える必要が出てくる。固定価格買取制度施行後、わずか3年足らずで7千万kWに達する建設計画が実現した日本の国土や風土にあった発電方式であるといえる太陽光発電を電力系統に頼らない方法でいかに活用できるのかという具体的な方策である。
 それについては、地産地消型の分散型エネルギーシステムを構築するということがまず、考えられる。例えば、バイオマス資源を活用するコージェネや風力、太陽光を組み合わせた地産地消型のエネルギーシステムである。
 系統に頼らない地産地消型のエネルギーシステムには、コージェネなどの分散型電源が不可欠であり、こうした用途で使用するガスエンジンやディーゼル、ガスタービンなどについても、低カロリーのバイオガスやバイオディーゼル燃料などを効率よく燃焼できる技術開発の必要もある。内燃機関やガスタービンなどの商用レベルにある技術に対しては技術開発に対する支援措置は現状では特に行われていないが、系統に頼らない分散型のエネルギーシステムの構築は、系統へのネガワット効果が期待できるものでもあり、その意味からも技術開発や普及策などの具体的な支援策が待たれているといえる。固定価格買取制度の限界が見えてきた今、系統負担の少ない分散型のエネルギーシステムをどのように普及させていくのか、真剣に考えてみたい。