2015年225日号

CO2ゼロメニューも可能に 電力排出係数検討会
 経済産業省は、温対法に基づく事業者別排出係数の算出方法等に係る検討会(座長・山地憲治地球環境産業技術研究機構理事)をほぼ1年ぶりに再開し、電力自由化によって多様化することが予想される電気料金メニュー別のCO2排出係数の取り扱いなどについて検討を始めた。
 検討する主な内容は、固定価格買取制度によるCO2排出量の調整方法の見直し、卸電力取引所を介した電気を販売する場合の排出係数、メニュー別排出係数の制度設計。 固定価格買取制度によるCO2排出係数の調整については、系統電力を利用する全国の需要家が等しく買い取りコストを分担するためにコストと共にCO2価値も含めて電力会社が直接買い取って販売している電力量に加減して調整されている。この場合、全事業者の調整CO2量を積算してもゼロにはならないなどの誤差が生じており、この改善策としてCO2排出量の算定にこれまで使用していた事業者ごとのの実排出係数から全電力事業者の排出量から算定する全国平均係数に変更してCO2排出量を算定する方法に変更される。これまでの調整方法では、販売する電力の全量が固定価格買取制度電力の事業者であればCO2排出量はゼロと算定されていたものが、見直し後は系統を利用する全電力販売事業者の平均値を用いて算定されることになる。
 これについては、「固定価格買取制度では全国の需要家に対して原則一律の賦課金単価が設定されていることを踏まえても、FIT電気調達にかかるkWhあたりのCO2排出削減効果(排出係数)は一律である」との考え方で変更した方が制度の趣旨にも合致すると説明されている。
 また、FITで調達した電力を卸転売する場合のCO2価値の取り扱いについては、これまでは卸購入した事業者には調整後の排出量(排出係数)は移転する仕組みが無く最終需要家がFIT電力の調整後の排出係数が活用できなかっため、これを卸取引でも移行できるようにあらためる。
 電気料金メニューに応じたCO2排出係数の取り扱いについては、CO2排出係数ゼロのグリーン電力メニューの提供も可能にするため、事業者が販売する複数の電力メニュー間で排出量の配分が任意に出来るようにする。例えば、FIT電力などを利用してCO2ゼロの電気料金メニューを提供する場合、その分のCO2排出量を他の電力メニューに上乗せして販売し、結果的にその事業者の販売電力量の合計排出量がおなじであればよいことにする。この場合、各電力メニューでマイナスの排出係数のメニューを作ることは認められない。


太陽光発電協会、第3四半期の出荷量は前年同期比19%増
 太陽光発電協会は、2014年度第3四半期(9月−12月)の太陽電池の出荷量を取りまとめた。モジュールの総出荷量は、246万1千kWで、前年度同期に比べて19%の増加となった。国内向け出荷量の内訳は、住宅用が21%、非住宅用が79%で、前年同期に比べて住宅用は22%減、非住宅用は22%の増加となっている。
 モジュールの生産は、国内生産が35%、海外生産が65%で大きな変動はなかった。日本メーカーが出荷したモジュールの内、海外生産分が48.8%を占めるようになっており、日本メーカーによる出荷モジュールでも国内生産分と出荷量が拮抗している。日本企業のモジュール総出荷量は166万3千kWで、前年同期に比べ6%の増加。海外メーカーの伸び率を下回っている。
 2014年度は、出荷量は上昇傾向を示しており、これで6四半期連続で総出荷量が2GWを超えた。


風力発電協会、2014年12月末の導入実績 1位は中国、日本は19位
 日本風力発電協会は、GWEC(世界風力エネルギー会議)がまとめた2014年12月末時点の世界の風力発電導入量を発表した。
 世界の導入量の合計は3億6955万kWとなり、2014年1年間に新たに建設されたのは5148万kW(単年の純増量は、5906万kW)となった。前年に比べて16%の伸び率で、10年前に比べると約6.3倍の規模に達している。
 導入量世界第1位の中国では2014年1年間で2335万kWの風力発電設備を増加させ、世界の新規導入量の約45%を占めている。中国の累計の導入量は約1億1476万kWとなり、1億kWを超え、世界全体の31%を占めている。日本の累積導入量はは278.9万kWで、ルーマニアに抜かれて、昨年の18位から19位にさらに順位を下げた。


環境省、国立公園への大規模太陽光発電の設置で「基本的考え方」
 環境省は、2月19日に、国立公園などに大規模な太陽光発電を設置するに当たって、環境や景観に配慮すべき事項などを取りまとめた「国立・国定公園内における大規模太陽光発電施設設置のあり方に関する基本的考え方」を公表した。全4回の検討委員会における議論を踏まえて取りまとめまた。景観や生物多様性の保全のために自然草地等や樹林地については立地から除外することなどの配慮事項が示されている。
 環境省によると、約1年前の平成26年2月末時点で、国立公園の第2種・第3種地域に16件、普通地域に10件の太陽光発電の導入実績があり、このうち10件がいわゆるメガソーラー施設だった。また、国定公園や都道府県の自然公園でも82件の導入実績があり、このうち23件がメガソーラーだった。今後も、既に事前相談件数が150件以上に上るなど、さらに増加する見通しであり、共通的な審査基準の策定などが避けられない見通しとなっている。環境省では今後、「基本的考え方」に基づいてガイドラインを策定するなどして自然公園内に大規模太陽光発電施設を建設する場合の審査基準の明確化を図っていくことにしている。
◇「基本的考え方」で示された「景観及び生物多様性の保全のための対応」◇
・重要自然地域としての認識を踏まえた対応を検討する必要がある。
・植生の復元が困難な場所や野生生物の生息地・生育地として重要な地域、景観上重要な地域については、立地から除外すべきである。
・自然草地等については、生物多様性保全上重要であり、立地から除外すべきである。
・樹林地については、立地から除外すべきである。
・施設の設置に伴う土地の形状変更については、抑制的な対応をすべきである。
・普通地域においても、大面積の施設については対応を検討すべきである。
・用途終了後の撤去等について適切な取扱がなされるよう措置することが必要である。
・現在の土地利用に加えて、改変跡地など過去の土地利用も考慮した上で、個別に設置の是非を検討すべきである。
・設置面積が大規模であることから、俯瞰(見下ろす景観)される場所や斜面に設置する場合に景観への影響がより大きくなるという特性に配慮し、主要な展望地等からの展望への影響及び眺望対象への支障を評価して、審査を行うべきである。
・道路からのセットバックを検討すべきである。
・施設の色彩や形態が景観と調和するよう指導をすべきである。
・架台の高さやパネルの角度が抑えられた方が近景から見た場合の支障が小さい一方で、動植物の生息・生育環境を分断する可能性が高くなることに配慮して当該地域への影響を判断すべきである。
・審査にあたっては、送・配電設備や道路等関連する施設の設置による影響についても一体的に考慮すべきである。
・動物の生息、植生への影響を評価し、適切な環境配慮が実施される計画であることを確認すべきである。
・他法令に基づく調整池等の防災規程等について関係機関と情報交換することにより確認する対応を検討すべきである。


その他の主な記事
・電源ごとの発電コストを再検証 コスト検証WG
・長期エネ需給見通し 30年の一1次エネ消費は減少
・系統WG 再エネ出力抑制の具体策など検討
・生協が 新電力設立シンポ
・小規模木質バイオマスは別枠で買い取り 調達価格等委員会
・東京都 平成25年度の排出実績 23%削減
・JX日鉱日石 松山と高松のメガソーラーが完成
・NTTF 熊本の太陽光が運開
・ソーラーフロンティア 国産木製がだいを採用したメガソーラーに着工
・大林組 技術研究所にスマートエネシステムを構築
・オムロン 塩害地域でも使用できる太陽光パワコンを開発
・富士経済 HEMSとMEMSの市場調査
・パナソニック HEMSと電動窓シャッターが連携
・新日鉄住金 製鉄所で木質バイオマスを混焼
・住友電工 太陽光と連携する蓄電池システム
・指宿で地熱発電所が運開
・タービン振動システムで米社と協業
・オリックスと九電工 天理市に2万3千kWのメガソーラー
・東北電力 大型蓄電池の実証を開始
・西部ガスも160万円のエネファームを販売
・エコリース リース事業者も募集
・エコリース 執行団体を募集
・水素サプライチェーンの実証事業を募集
・洗足学園を見学 コージェネ施設見学会
・電力自由化などでSSKセミナー
・地球温暖化対策などでJPIセミナー   etc.

<インタビュー>
・太陽光のメンテナンスは売電とセットで無料に
(株式会社ネクストエンジニアリング 代表取締役 武藤勝人氏)
太陽光発電設備のメンテナンスは、比較的新しい課題だ。かつてはメンテナンスフリーと言われてきたが、実際には定期的な検査や清掃などが必要だ。とりわけ、産業用の太陽光発電事業の場合、事業計画の中にメンテナンスコストがどこまで見積もられていたのか、疑問があると言われている。こうした状況にあって、新電力への売電契約を条件に、メンテナンスを無料で行う会社が登場した。新しいビジネスモデルについて、お話を聞いた。



シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流(54)
 = 米国シェールガス革命の今後 =
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一)

・日本の再生可能エネルギー事情 (22)
 = 第2ステップに入った日本の再生エネ =
 日本再生可能エネルギー総合研究所代表 北村和也




コラム
・発電論評<再エネ電力のCO2排出係数>
・青空<株高を持続するには>
・ちょっと一休<平和を願う中国の女子学生>
・一筆啓上<多様性が足りない>


再エネ電力のCO2排出係数【発電論評】

 電力小売り全面自由化で、需要家選択肢の拡大が期待されている。需要家選択肢とは、需要家が供給を受ける電力会社や電力メニューが自由に選択できるようになるということだが、自由化になっても、需要家に魅力ある電力メニューを提示する電力小売り事業者が現れなければ、選択のしようがないということになってしまう。
 そうした選択肢の拡大の一環として、経済産業省は、CO2排出ゼロの電力メニューの提供が可能になる電力メニュー作りに乗り出した。
 現在検討されている料金メニューでのCO2排出係数の取り扱いの考え方は、電力を販売する小売り事業者が電源を特定したメニューと電源を特定しないメニューをそれぞれ作り、メニューごとの排出係数の提示を可能とする。メニューごとの排出係数は、事業者ごとにまとめられ、これまでのように国が公表する。
 グリーン電力メニューを提供しようとする場合、想定される電源は再生可能エネルギーということになるが、再生可能エネルギーによる電力は固定価格買取制度によってほとんど全ての電源が買い取られているため、これを利用してグリーン電力メニュー化するのは困難であるというのが現状だ。
 というのも、固定価格買取制度にり調達された再生可能エネルギー電力は、賦課金制度によって系統電力利用者が等しく分担して利用する仕組みとしてなっているため、CO2価値も同様に分配されていると整理されている。このため、制度を利用して買い集めた再生可能エネルギー電力だけを販売する事業者でも、CO2排出量ゼロの電力メニューとしては販売が認められないことになる。今般の固定価格買取制度によるCO2排出係数算出方法の見直しによって、この点がさらに厳格化され、買取制度によって調達された電力には系統電力の全国平均係数が適用されると整理し直された。
 そして、買取電源を利用してグリーン電力メニューの創出の道をふさいだことの「代償」措置として編み出された方法が、メニュー間でのCO2排出量の調整の仕組み。同一事業者が、複数の料金メニューを策定し、メニュー間でCO2排出量をやりとりして調整できるようにするというもの。同一事業者の総排出量の範囲内で他メニューに排出量を移し換えることで、CO2排出量ゼロのグリーン電力メニューを提供できるようにするという考え方。
 何だか無理をして作り出されたメニューという印象で、果たして多くの事業者や需要家に評価されるのかどうか。結局は、太陽光や風力の電気だが、CO2排出係数はゼロではない、という形でメニュー化されることで落ち着くのではないか。