2015.02.15


2015年215日号

回避可能原価を見直し インバランス料金や再エネ「成型費」も算入
 経済産業省は、固定価格買い取り制度に基づく回避可能原価について見直しを行う。固定価格買い取り制度の運用の見直しについて検討している新エネルギー小委員会で、買取制度運用WGを再開して回避可能原価の見直しについて検討を行うことにした。
 回避可能原価については、固定価格買い取り制度に基づいて電力会社が再エネ電力を買い取る場合に、自社の発電所での発電コストに相当する価格を負担する仕組みとされているもので、この発電コストにあたるものが回避可能原価とされ、原則として個々の電力会社毎に算定されている。しかしながら、電力市場が自由化され、事業分割されると、発電事業と送配電事業、小売り事業に分割され、事業者間取り引きが行われることになるため、回避可能原価の算定で現在は費用算定されていないインバランス料金や不安定電源である再エネ電力の「成型費」についてもコスト算定し回避可能原価に上乗せされる方向で検討される。


エネルギーミックスの検討開始 新エネ小委
 経済産業省は、2月3日の新エネルギー小委員会で再生可能エネルギーの導入見通しについての検討を開始した。2030年時点での再エネの導入量について電源ごとに検討し、長期エネ需給見通し小委員会に報告する。新エネ小委は長期エネルギー需給見通し小委員会でエネルギーミックスの検討が開始されたことを受けて、再生可能エネルギーの現状と今後の導入見通しなどについて検討し、長期エネ小委での検討作業に反映させるとの位置づけで、各再エネ電源ごとに導入見通しをまとめる。
 同日の小委では、太陽光発電と風力発電について検討した。
 太陽光発電については、現在の固定価格買い取り制度によって認定量が約7千万kWに達しているものの、最近1年間では認定量の伸びがほとんど見られないこと、運転開始済みの設備は約1800万kWに達していること。今後の導入量は、国内の建設工事能力にの限界量の年間800万kW程度が導入量の上限となると分析し、2030年の導入量は系統連系制約問題などを考慮すると、上限量の半分程度の約7千万kW程度となるとの見通しが示された。
 風力発電については、固定価格買い取り制度の導入以降、大規模発電施設に対する環境アセスの義務づけなどもあって導入量が激減、現在の導入量は270万kW程度に留まっている。今後の導入見通しとしては、年間約50万kW程度の導入ペースが期待できることなどから、連系抑制が解除できない場合は2030年度には600万kW程度に留まるものと予想している。洋上風力発電については2020年までに約16万kW、2030年度には約100万〜110万kWの導入量が期待できる。


160万円のエネファームを発売 東京ガスとパナソニックが低価格機を開発
 東京ガスと東邦ガスは160万円台の低価格を実現した新型エネファームを4月から発売する。
 東京ガスが発売するのはパナソニックと共同開発した、低価格の家庭用燃料電池「エネファーム」で、新製品は部品点数の削減などにより、希望小売価格で現行品よりも30万円低価格の160万円を実現した。現行品では別付けのオプション品として提供していた、停電時発電継続機能を燃料電池ユニットに内蔵した機種を新たに追加したほか、様々な設置スペースに柔軟に対応するため、貯湯ユニットはバックアップ熱源機との一体型と別置型の2種類とし、設置スペースに応じて組最適な組み合わせが選択できるようにした。
 開発した新製品は、4月以降、パナソニックは東京ガス以外の都市ガス会社にも供給して各都市ガス会社が順次販売を開始することとされ、東邦ガスが4月1日から一体型のエネファームを希望小売価格166万円で販売開始することにしている。


川崎市とJFEエンジ、エネルギー循環型ごみ収集システム実証試験を検討
 川崎市とJFEエンジニアリングは、ごみ焼却処理施設で発電した電力を蓄電池に貯めて電気自動車の充電用電力として活用する「エネルギー循環型ゴミ収集システム実証試験」の実施に向けて検討を開始する。ゴミ収集車に「電池充電・備蓄・交換システム」を搭載した電気自動車を採用して、廃棄物発電の電力をゴミ収集車のエネルギー源として活用する日本初の「ごみ収集システムの実証試験」を行う。実証試験に使用するEVゴミ収集車は、日産自動車の電気トラックを活用したベース車両とゴミ収集車などの特装車を開発する極東開発工業に委託して収集車の架装部を開発、JFEエンジニアリングはプロジェクトの総括と蓄電池の充電・ビ地区・交換システムの開発などを担当する。2015年度中に実証試験の開始を目指している。
 EVゴミ収集車に搭載する蓄電池はユニット交換できる交換式として、交換した蓄電池を充電して備蓄しておき、いつでも交換できるようにしておく。また、備蓄している蓄電池は非常災害時には自治体の災害対策拠点などの非常用電源としても活用できるようにする。


その他の主な記事
・JFEエンジ、スマートアグリにバイオマスボイラーも追加
・IHI 微細藻類からバイオ燃料 大量生産へ鹿児島に実験設備
・産総研 アンモニアでGTを駆動
・コージェネシンポ開く
・兵庫県企業庁のメガソラプロ 2発電所が運開
・NTTF 和歌山に41カ所目のメガソーラー
・自然電力 秋田に3件目のメガソーラー
・自然電力 広島のメガソーラーの建設工事を完了
・日本アジア 島田市で屋根借り太陽光が竣工
・オリックスと九電工が熊本にメガソーラー
・高知県のメガソーラーが運開
・日本製紙 徳島にメガソーラーが完成
・JNC 倉敷工場のメガソーラーが運開
・丸紅 福島のメガソーラーが運開
・ユーラス 風力と太陽光が完成
・ユーラス 鹿児島霧島市のウインドファーム増設工事が完了
・東芝グループ 岐阜の小水力発電に参画
・三菱重工 英国で大型風車用パワートレインの実証試験
・村上市の洋上風力決まる 22万kWの日立造船など
・クボタ 米国排ガス規制対応のガスエンジン
・水素ST拡大へ 移動式ST会社を設立
・水素ST整備に自動車3社も協力
・JX 埼玉と愛知にも水素ステーション
・関空内に水素ステーション
・パナソニックが住宅用創蓄システム
・日立アプライ 住宅用太陽光のパワコンを開発
・工場の低炭素機器導入補助 執行団体を募集
・離島の低炭素発電補助の執行団体を募集
・防災拠点への再エネ導入補助 執行団体を募集
・環境省 自立分散型補助 執行団体を募集
・水素利用拡大でGT発電技術など開発
・風力出力制御の高度化の委託先を募集
・NEDO 海洋生物付着防止の検討業務を募集
・風力発電のモデル地域を募集
・スマートエナジー 太陽光セミナー
・農水省が再エネ事業家を募集
・関東経産局 省エネ支援説明会
・大阪ガス 分散電源とエネマネで講座   etc.

<インタビュー>
・日本はCO2削減にもっと野心的に
(IPCC第一作業部会共同議長 トーマス・ストッカー氏 IPCC第二作業部会共同議長 クリス・フィールド氏)
 一昨年から昨年にかけて、とりまとめられ公表された、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第5次報告書(AR5)は、気候変動が人間の活動が原因だとする見方を強めたほか、将来の地球の平均気温の上昇を2度未満に抑制する方法は、厳しいが選択肢があることも示した。この報告書を背景に、現在、気候変動枠組み条約の交渉が進められている。今回、環境省の招きで二人の共同議長が来日し、講演を行った。合わせて、メディアを対象としたインタビューも行われた。二人の日本へのメッセージなどを紹介する。




燃料電池新聞の主な記事
・FC EXPO 2015 第11回 国際水素・燃料電池展 開幕
・山梨大学 燃料電池ナノ材料研究センター 渡辺政廣教授に聞く
・青森県八戸市の金属粉末研究会、SOFC向け微粉末金属セパレータを開発
・海外ニュース
 -カナダのハイドロ社が水電解水素ステーションを受注
 -バックアップ電源で稼働時間1万4千時間を達成/仏アクサーヌ
 -加バラード社が中国の代理店との契約を破棄/ライセンス供与で
 -英国ITMパワー社が水電解装置の製造設備を大幅増強
 -米プラグパワーが携帯通信網にバックアップ電源を納入
 -55台の燃料電池を設置予定/英iパワー社
 -アルカリ型燃料電池(AFC)のトライアルに成功/英AFCエナジー
 -パワーセル社とミトコンドリア社が開発/セルラー向けFC
 -インドで携帯電話向け電源事業を拡大/英インテリ社
 -固体高分子膜タイプの水電解装置を商用化/米プロトン社
 -バイオ燃料PEFCの開発を完了/米GEI社
 -燃料電池ハイブリッドフェリーを開発/台湾YC社
 -3秒で充電可能なモバイル燃料電池を開発/独エゼレロン社
 -高効率大容量のPEM水電解装置を開発/英ITMパワー
 -PAFCのフル生産を開始/米ドゥサン社
 -燃料電池ハイブリッドバスを開発/ソラリス社
・燃料電池フラッシュニュース
 -水素燃料価格を1100円/kgに決定/東京ガス
 -水素エネルギー導入で産学官協議会を設立/徳島県
 -LPG仕様オンサイト水素製造装置を発売/大阪ガス
 -業務用SOFC燃料電池に参入/京セラ
 -移動式水素ステーションの商業生産を開始/大陽日酸
 -水素社会の実現推進に12億円を計上/東京都       etc.



シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門 97
 =インフラファンド市場の創設=
 (大串卓矢・スマートエナジー代表取締役社長)


・世界を読む 73
 =原油価格のリスクを考える−ボラティリティではなく、いくらならいいのかという話−=
 (本橋恵一)




コラム
・発電論評<電力自由化で変わる自家発電設備>
・青空<東京の不動産活況に思う>
・ちょっと一休<西郷隆盛の敬天愛人フォーラムに参加>
・ちょっと一言<ゼロエミッション住宅時代の電力会社>


電力自由化で変わる自家発電設備【発電論評】

 電力の小売り自由化がほぼ1年後に迫ってきた。電力自由化によって何が変わるのかについては様々な見方があるが、まず、電気の販売スタイルが変わることが予想されている。電気単独ではなく、他のガスや情報通信などと組み合わせて販売されるようになると見る向きが多い。果たしてそうなるのかどうか。
 いずれにしても、販売される電気のメニューには変化がありそうだ、現在の産業用、業務用、家庭用などの区分、季節時間帯別などの料金メニューのほかに、グリーン電力などCO2の排出係数が選べるメニューなども考えられている。
 例えば再生可能エネルギーなどの低炭素電源を束ねて売るCO2ゼロのグリーン電力メニューなどは容易に考えられる。原子力発電もCO2ゼロの低炭素電源なので、原子力の電力だけを選択できるメニューがあれば喜ばれるかもしれない。「原子力の発電コストは安価」と整理されているので、安価な電力を求める人たちにとっては朗報となる。需要があれば作るというのは市場原理なので、原子力発電のリプレースや再稼働もやりやすくなるのではないか。
 自由化による市場変化として、発電や小売りが自由に出来るようになると、自家発電の世界にも変化が及ぶことが期待できそうだ。これまで自家発電は、系統への逆潮流が原則的には認められていなかったが、送配電部門が電力会社から切り離されることによって、系統接続が制約無く出来るようになる。これまで、自家発側は、逆潮出来ないため、余剰電力が発生しない規模で発電設備の容量が決められていたものが、余剰電力を系統側に送電できる道が開けることによって、規模の大きい発電設備をおいて余剰電力を市場で売却することや自己託送で遠隔地の送電することも可能になる。
 また、家庭用燃料電池などの小規模電源も、これまでは自家消費を原則とするあまり、小容量の発電規模に納められていたものを余剰電力が売却できれば運転効率のよい大容量なものに置き換えることができる。また、これまでの機器売りからエネルギーサービスを適用して、複数の住居を束ねて電気と熱を供給し、不足する電力は系統電力で補給するという事業スタイルも考えられるようになる。
 かつてのオンサイト発電サービスは、逆潮出来ない故にサービス内容には制約があったが、今後は、効率よく運転して余剰電力は売却するという事業モデルも考えられるようになる。さらに余剰電力を蓄電池で貯蔵したり水素に変えて貯蔵するということも将来的には考えられる。これまで系統電力とは切り離された世界にあった自家発電設備も、自由化市場ではひと味違った活用方法を考えてみる必要がありそうだ。