2015年25日号

長期エネ需給見通し作成へ エネミックスの検討を開始
 2030年の電源構成のあり方などを検討する検討作業が開始された。
 経済産業省は総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会に長期エネルギー需給見通し小委員会(委員長・坂根正弘(株)小松製作所相談役)を設置して検討作業を開始した。1月30日に開かれた初回の会合は基本政策分科会との合同会合として開催され、2030年を目標断面とする1次エネルギーの需給見通しや電源構成のあり方、それを前提とするCO2排出量の算定、COP21に提出する新たな日本のCO2削減目標など、検討に当たっての基本的な方向について議論した。また、小委員会の下にWGを設けて、原子力や火力、再エネなど各電源ごとの発電コストについてもあらためて試算して、電源構成による発電コストについてもエネルギーミックスを考える上での要素に含める。
 昨年4月に閣議決定された第4次エネルギー基本計画で示された今後20年程度のエネルギー需給構造を視野に入れた方針に基づいて1次エネルギーや電源の構成割合の見通しなどを取りまとめる。議論の中心は電源構成になるものと考えられており、2030年を中心にした原子力発電や再エネ発電の割合をどう組み込むのかに注目が集まっている。
 初回の会合で、配布された資料では、新たな概念として原発や石炭火力などのベース電源比率を数値として考慮するのかどうか、化石燃料の依存度の低減、原子力発電の依存度の低減、再生可能エネルギーの拡大、エネルギー自給率の評価、電気料金の負担水準、CO2排出量削減の考え方、コージェネや熱利用などの2次エネルギー構造のあり方などが検討を進める上での課題として示された。また、2次エネルギーでは水素社会に向けた取り組みの進展もどう組み込まれるのかについても注目が集まる。早急にCO2削減目標をまとめる必要もあり、数カ月以内に検討結果がまとめられる見通し。


東京都、「低炭素電力」・「低炭素熱」の認定供給事業者を決定
 東京都は、2010年度から実施している大規模事業所に対する「温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度」で、低炭素事業者として認定された事業者から電気や熱の供給を受ける取り組みを推進するため、このほど認定事業者として電気4社、熱供給事業者26社(区域)を認定し発表した。
 東京都が進める削減義務と排出量取引制度では、一定量以上の温室効果ガスの排出量のある事業所に削減義務を持たせ、自社で削減できない排出量は排出量取引で満たすことを認めている。2015年度からは2019年度までの年間を第2計画期間として、低炭素の電気や熱を供給する供給事業者を認定して、低炭素な電気や熱の供給を事業者が選択できる仕組みを積極的に活用することにした。認定事業者から電気や熱の供給を受ける事業所は事業所の認定事業者の排出係数により算定した削減量を事業所の削減量として算定することができる。
 低炭素電気供給事業者は@CO2排出係数が0.4kg /kWh以下A再生可能エネルギー導入率10%以上又は低炭素電力(天然ガスコンバインドサイクル等)導入率60%以上)が認定基準で、認定基準に合格した次の4社が認定された。
▽株式会社うなかみの大地(排出係数0.368kg/kWh 再エネ導入量53.1%)
▽株式会社G-Power(同0.000 同100.0%)
▽昭和シェル石油株式会社(同0.368 同90.4%)
▽プレミアムグリーンパワー株式会社(同0.023 同59.0%)


風力発電所リプレースの環境影響評価手法の合理化で検討会が報告書
 環境省は、老朽化した風力発電設備を新しい設備に更新するリプレース事業に対する環境影響評価手法の合理化について検討した「風力発電所のリプレースにおける環境影響評価手法の合理化に関する検討報告書」を公表した。環境省では、今後は報告書の内容に沿って風力発電所のリプレース時の環境影響評価を行うよう、自治体や事業者などに周知を図っていく。
 リプレースする風力発電所は、設備の更新時に取り付け道路など既存のインフラが活用できるため、環境アセス項目の簡素化などを行う方向で検討した。「飛翔性動物」、「生態系」、「人と自然との触れ合い活動の場」、「騒音、超低周波音」、「風車の影」については、既存データの活用等により、現地調査や予測手法の簡略化を可能とし、既存の設備と規模や基数などの配置が変わらないものや既存の敷地内に配置する場合は「地形・地質」、「飛翔性以外の動物」、「植物」の項目をアセス項目から削除できることなど、環境アセスを簡略化できる。


再原子力の廃炉費用は託送料金で回収
 経済産業省は、1月23日に開催したに総合資源エネルギー調査会 廃炉に係る会計制度検証ワーキンググループで、運転開始後40年を経過して廃炉を検討する原子力発電所が現実化することに備えて、廃炉費用の算定や処理費用の負担のあり方などについて検討した報告書を取りまとめた。
 報告書では、原子力発電所を所有する電力会社に対して、必要な廃炉費用については規制部門の電気料金に上乗せして長期間にわたって回収することを認めると共に、自由化後には、眞電力事業者の参入状況などの事業環境変化を踏まえて、託送料金に上乗せして回収することにする。託送料金で廃炉費用を回収する場合には、原子力による発電電力を電力小売りを行う事業者が公平に利用出来るようにするため、電力取引市場を通じて調達できるようにする。


その他の主な記事
・小規模バイオマスの別枠化でプレゼン 調達価格委
・東京ガスグループ会社を再編 3社を吸収合併
・NTTスマイル 太陽光アグリ事業で代理店を募集
・JFEエンジニア スマート亜繰りを拡張 温泉熱も利用
・JOGMEC 地熱発電の債務保証を実施
・環境省、地中熱HPを調査
・IPCC講演会開く
・ENEX開く 最新の省エネ新エネ機器など紹介
・新エネ大賞表彰式を開催
・再エネ接続保留対策検討で補助募集
・再エネ面的促進補助で募集
・道の駅の整備促進へ 重点道の駅など指定
・東京都 燃料電池車の補助を開始
・NEPCがスマコミセミナー
・JCMプロジェクトで報告会
・東京都が環境学習講座
・スマートエナジーがセミナー   etc.

<インタビュー>
・誰でもが電気をつくれる社会に
(みんな電力株式会社 代表取締役 大石英司氏)
 
自分たちの電気は自分たちでつくる、こういった発想から、全国で「地域電力」を設立する動きが高まっている。しかし、ローカルな電気事業は地方だけで成り立つものだとは限らない。みんな電力は都市部の人も含めた、エネルギーに対する共感を通じて、新たな形の電気事業を進めている。




シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革(59)日本版「首長誓約」=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授

・エネルギー市場のサステナブルな世界(その7)
 =周辺諸国に支えられる「イスラム国」の電力=
 日本サスティナブル・エナジー株式会社 大野嘉久






コラム
・発電論評<自由化で増えるのは自立分散型電源か>
・プリズム<電力とガスの法的分離法案>
・青空<後藤健二さんが殺害される>
・ちょっと一休<不平等を訴えるピケティの講演を聞く>




自由化で増えるのは自立分散型電源か【発電論評】

 長期エネルギー需給見通しの検討が始まった。原子力発電や火力発電、再生可能エネルギーの構成割合、いわゆるエネルギーミックスを想定することが主な検討課題となる。
 今回の検討作業で、これまでと最も大きく異なるのは、電力やガスが自由化され、競争市場となることを変数要因として盛り込まなければならないということだろう。自由化市場で、どの電源が市場に選択されることになるのか。そこに政策がどのように関与していくのか。そうしたことが折り込まれる必要がある。自由化され、需要家が電源を選べる時代が本当に来るのだとすると、再エネの電力を欲しがる需要家が増えれば再エネ発電所が増える。需要家が欲しがるものを市場に提供するというのが物作りの基本であるからだ。とはいえ、自由化が再エネの最大限の拡大につながるのかどうかはふたを開けてみるまでは分からない。選択できるメニューができるか、手頃な料金が設定できるかなど克服されなければならない課題が多く残されている。 エネミックスの検討の中心はもっぱら系統電力の構成割合になるようであるが、それとは別に、系統電力に頼らない、自立型の分散型電源を活用する取り組みが増えている。
 そうした中で、コージェネ利用に新たな道が生まれそうな兆しも見えてきている。その一つにバイオマス発電がある。固定価格買取制度により地元のバイオマス資源を使う小規模なバイオマス発電を企画する事例が増えており、農水省などが積極的な支援を講じるようになっている。エネルギー政策というよりも地域振興の側面からの要素が強いのだが、木質資源をガス化するものや廃棄物や下水汚泥をガス化するものなど、これまで処理に困ってきたものをエネルギー資源に変えるという認識が広がり、燃料の確保が容易で市町村単位でも取り組める小規模施設に対する関心が特に高まっているのだという。
 さらに最近では、製造したバイオガスを水素に変えるという取り組みも始まっている。いずれも未来につながる発電技術ということが出来るものだが、水素をエネルギー利用するには、燃料電池やガスエンジンによるコージェネが現実的で確実な手段になる。どちらも分散型であり、台数を増減させることで必要な発電規模が作り出し、複数台を群制御することで、負荷追従性のよい高効率のシステムとして運用できる。
 エネルギー効率を考え、低炭素を考え、無駄のないシステム構成を考えると、行き着く先には地産地消型の分散型エネルギーシステムがある。エネミックスの議論では、無視されてしまいそうな、自立分散型電源であるが、自由化市場で最も成長できる可能性があるのかもしれない。