2015年125日号

東京ガス、風力発電の電力を購入 電力小売り事業者登録を完了
 東京ガスは、新電力事業への参入登録を行って、風力発電の電力を購入する契約をくろしお風力発電と締結したと発表した。
 くろしお風力が千葉県銚子市に所有する銚子高田町風力発電所(2006年運転開始、1990kW×1基)と椎柴風力発電所(2009年運転開始、1990kW×5基)の合計約1万2千kWで発電した電力を、固定価格買取制度を活用して購入する。東京ガスは、固定価格買取制度を活用するため、このほど、特定規模電気事業者(PPS)として事業者登録を行った。
 東京ガスは、「チャレンジ2020ビジョン」で再生可能エネルギーの取り組みの推進を掲げており、風力発電を中心とした再生可能エネルギー電力の購入を検討していた。PPS登録を行ったことで、再生可能エネルギーの電力を固定価格買い取り制度を活用して回避可能原価の負担で購入できるようになる。
 くろしお風力は、日立パワーソリューションズなど複数社が共同出資する風力発電事業会社で、国内に合計約8万kWの風力発電所を保有している。東京ガスは、日立パワーソリューションズなど複数社と共同で庄内風力発電に出資するなど、これまでに風力発電事業で協力関係にある。


風力発電の累積導入量は279万kW
 日本風力発電協会は、2014年末の国内の風力発電導入量は278.8万kW/1971基と発表した。発電所数は418カ所。2014年1年間に新たに導入されたのは2発電所で、11.9万kW/47基だった。また、3月末までの2014年度の導入量の見通しは、10カ所の発電所がさらに運転を開始する見通しで、累積導入量は292.2万kW/2031基となる見通し。2014年度1年間の新規導入量は、14発電所で21.5万kW/97基となる見通しで、年度末に向けて風力発電所の開設ラッシュが続く見込みとなっている。
 風力発電の導入量は、過去3年間、環境アセスの拡大による立地制約や建設期間の長期化、系統連系制約問題などから年間の新規導入量が10万kWを下回るという停滞が続いていたが、固定価格買取制度の導入後約3年を経て、ようやく導入拡大に向けて弾みがついてきたといえそう。
 風力発電協会によると、アセス手続き中の風力発電所案件は北海道・東北を主体に623万kWにもあり、こうした案件が計画通りに開発できれば今後とも大幅な拡大が期待できるものの、アセスの手続きが完了するには3〜5年が掛かることから、これらの案件が運開開始するまでには今後さらに2〜7年かかることや、これらの案件全てを受け入れるには現在、電力各社が公表している系統容量では不足すると見られていることから、現状のままでは、全ての案件が運転開始できない見通しであるとして、系統連系可能容量の拡大に向けてインフラ整備の必要性を指摘している。


経産省、10月末の再エネ導入量 1441万kWに
 経済産業省は、昨年10月末現在の固定価格買取制度に基づく再生可能エネルギー電源の導入状況を取りまとめた。前月末に比べて再エネの導入量は約90万kW増加して1441万kWになった。このうち非住宅用の太陽光発電は76万kW増えて1106万kWとなった。住宅用太陽光発電272万kWとあわせると全体の97.7%を占めている。
 また、10月の買い取り電力量は24億3008万kWで9月より2億9336万kW多く、4月以降では5月に続いて2番目に多かった。4月からの累計の買い取り電力量は164億7947万kWとなり、5973億円となった。


ガスシステム改革、2017年から完全自由化 導管分離は時期示さず
 経済産業省は、ガスシステム改革小委員会で1年以上にわたって検討を進めて生きた報告書案を取りまとめた。電力システム改革に引き続いてガス事業についても自由化を進める内容。電力の1年遅れで2017年から実施する。経産省が提案した東京、名古屋、大阪での導管事業の法的分離については、なお議論を求めて方向性だけを示す内容となり、具体的な導入時期については示されなかった。
 ガス事業制度については、電力と同様に小売りの全面自由化を前提に議論が進められ、電力の1年遅れで2017年から小売りの全面自由化を実施することや事業をガス小売りと導管事業に分割し、さらに導管事業を小口の需要家までガスを届ける低圧導管を含む導管事業を「一般ガス導管事業」、中圧及び高圧の導管だけを維持・運用する事業を「特定ガス導管事業」として整理し、それぞれの事業規制を行うことで報告書がまとめられた。簡易ガス事業についても自由化され、都市ガスと同様に供給区域の制限が撤廃される。保安規制についてはこれまで通りガス事業法によって規制される。また、熱供給事業についても電力、ガスの改革にあわせて自由化されることになり、ガス事業より1年早く電力の自由化と同時に2016年からの自由化が目指されることとされた。
 自由化により、ガス事業は小売り事業と導管事業に分割されるが、小売り事業については、需要家保護の観点から大臣による登録制とし、小売り供給するガスの確保体制やなどの小売り事業者としての的確性が審査される。また、料金については経過措置として当分の間現行の総括原価方式に基づく認可料金が維持されるのも電力と同様。
 導管事業については、一般ガス導管事業と特定ガス導管事業にA分類されるが、一般ガス事業についてはこれまで同様に実質的な地域独占事業形態が維持される。一方、中圧導管以上の特定ガス事業については、原則として自由化され、託送供給や二重導管規制などの最低限の規制が課される。事業は届け出制とされ、事業者が自主判断で導管敷設できる。
 自由化後は新規参入事業者にとっては託送供給の公平性が担保されることが重要となるが、これについては、料金などの約款は国の認可制として公平な運用が行われるかどうか監視される。また現在は認められていない自己託送についても電力と同様に制度化され、利用できるようになる。
 導管事業の中立性については、都市ガス大手3社の供給区域である、東京、名古屋、大阪の3地区で電力と同様に導管の事業分離(法的分離)について議論されたが、今回は結論を見送った。それについては、供給区域の都市ガス3社から託送供給など導管利用の改善策が示されたこともあり、報告書では3社が示した改善策を「直ちに着手すべき対策」として即時の実施を求めている。対策の内容には@小口の託送供給についても同時同量が容易になり通信設備のコスト負担が軽減できり新たな同時同量方式A自社の小売り部門と新規参入者の受付窓口を一本化する受付センターの開設(2015年4月)B需要家情報開示センターの開設(同)C託送検討ルールの改善及び公表内容の充実D託送収支の透明性の向上E託送供給制度改善のための検討会の設置F行政が打ち合わせに参加する中立性確保のための仕組みG託送供給料金原価からの気化コストの除外、が挙げられている。
 報告書の改革案に従って経産省では今月末に開かれる次期通常国会に電気事業法と共にガス事業法の改正案を提出して2017年からの小売り自由化が目指される。


再エネ調達価格委が再開 大規模太陽光はさらに引き下げの方向
 再生可能エネルギーの買い取り価格を決める調達価格等算定委員会(委員長・植田和弘京都大学大学院教授)が再開され、来年度の買い取り価格についての検討を開始した。
 同日の委員会では、事務局の経産省から太陽光発電や風力発電などの最近の導入コストなどのデータが提供され、太陽光発電以外の再生可能エネルギーについては、導入量の顕著な拡大が見られないことなどの状況を勘案して買い取り価格が据え置かれる見通しとなった。太陽光発電については、昨年来の系統連系の接続保留問題の原因となるなど、大量の導入見通しがあることから、3年連続の引き下げとなることが予想されている。同日の委員会では、パネルの調達価格などの導入費用は円安の影響などもあって、むしろコストアップしているものの、設備の利用率の向上など発電量が上昇していることなどで引き下げる方向で検討される。委員会での議論は引き下げ幅の議論に集約されることになりそう。また、買取制度は法施行後3年間は、再エネ導入を加速化することを目的に事業報酬を上乗せして買い取り価格が決められていたが、制度導入後3年間という優遇期間が6月に終了することから、太陽光発電については法規程どおりに上乗せした報酬を減額する方針が示された。太陽光以外の再エネについては、上乗せ分を適正報酬率に組み入れる形で現状の水準を維持して買い取り価格を据え置きとする方向。
 委員会は例年どおり、5回程度の会合を開いて3月には来年度の買い取り価格を決める。


その他の主な記事
・10月末の再エネ導入量 1400万kW
・環境省の27年度エネ特予算
・27年度のエネ特会計予算
・農業用水路の小水力発電で規制緩和
・風力発電協会が 再エネ連系運用見直しで新たな要望
・再エネ連系 運用ルール見直し
・制度設計WG
・東京ガス エネファーム販売が4万台に
・中部電力、高圧一括受電でDMSを検証
・リコー 閉鎖工場に環境事業開発センター
・中部電力 3カ所目のメガソーラーが運開
・東北電力 原町太陽光が運開
・いちごグループ 東広島にメガソーラー
・トヨタ FCVを増産
・愛知県に2カ所の水素STが完成
・IBMがマーケティング支援サービス 電力小売り事業者向け
・東ガスが新電力登録 風力発電の電力を調達
・富士経済 新電力登録400社を突破
・大阪ガス テレビでエネファームが操作できるアプリを提供
・東京電力など クラウドサービスで業務提携
・NTTF 広島三原市にもメガソーラー
・シャープ 福島でメガソーラーを建設
・SBエナジー 宇部市にもメガソーラー
・自然電力 2件目の自社保有メガソーラー
・県有地利用の4カ所目のメガソーラー 島根県
・横浜市でバイオガス利用を実証 バイオガスから水素製造
・高知県 宿毛バイオマス発電所が運開
・環境省 CCSで国際シンポ
・都市環境エネルギー協会が連続講座
・省エネ大賞決まる
・自然エネ財団がシンポ
・JPIセミナー エネファームの現状や水素関連など
・SSKセミナー バイナリー発電などで   etc.

<インタビュー>
・拡大する分散型エネルギーシステムの役割
(ヤンマーエネルギーシステム株式会社代表取締役社長 玉田稔氏)
東日本大震災以降、分散型エネルギーシステムのニーズは確実に高まっている。こうした社会の動きに対応してきた企業の一つが、ヤンマーエネルギーシステムだ。事業範囲は非常用発電機やガスコージェネレーションから太陽光発電にまで及ぶ。同社を引っ張ってきた玉田社長は、今年1月末に退任・異動する。これを契機に、これまでの事業展開と今後の可能性について、お話しいただいた。



シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流(53)
 = 今年の日本は成長軌道の波に乗れるのか =
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一)

・日本の再生可能エネルギー事情 (21)
 = エネルギーの潮流は決まった =
 日本再生可能エネルギー総合研究所代表 北村和也




コラム
・発電論評<太陽光出力抑制と水電解水素の製造>
・青空<建設業界の関心事>
・ちょっと一休<朝会で牛山社長の話を聞く>
・一筆啓上<もっと現場と交流を>


太陽光出力抑制と水電解水素の製造【発電論評】

 トヨタ自動車が燃料電池自動車の増産を決めた。昨年12月に販売開始したばかりだが、当初計画の4倍近くの注文があり、生産計画を当初の年間700台から2017年には3千台まで拡大するという。究極のエコカーといわれる燃料電池自動車にとっては上々の滑り出しと言えそうだ。
 燃料電池自動車の販売開始にあわせて水素ステーションの整備も急がれている。当面全国に100カ所程度のステーション整備が課題とされるが、水素ステーションと燃料電池自動車の関係は鶏と卵の関係でもある。
 水素ステーションの整備は、燃料電池自動車の燃料補給だけでなく、水素をエネルギーとして利用するあらたな拠点という意味もある。燃料として利用できる水素が身近になることで、燃料としての水素の利用が拡大することが期待される。燃料電池自動車が水素社会の幕開けになるという図式だ。
 水素ステーションに燃料電池を併設すれば、直接水素を燃料とする燃料電池によって電気が作れる。EV用の充電場所としての役割も担える。また、コンビニなどの近隣へ、直接水素を燃料とする燃料電池で発電した電気の供給拠点としての可能性も広がる。水素ステーションは水素利用社会の中核として様々な役割を担うことになるのかもしれない。
 水素のエネルギー利用が進んでいくと、水素の製造についても新たな取り組みが広がることが期待できる。製鉄所などの副生水素がエネルギーとして流通するというのをはじめ、余剰電力を活用する水電解水素も既に研究されている。
 最近では、太陽光発電の系統連系の抑制制約が問題化しているが、再エネ電源が拡大すればするほどこの出力抑制問題は深刻化することが予想される。買い取り手がなく、発電しても捨てるしかない大量の余剰電力の発生が懸念されることになるが、この解決方法の一つとして余剰電力による水電解水素の製造が考えられる。原料は水と、太陽光や風力による余剰電力。創られた水素は、低コストでCO2ゼロの究極のエコ燃料だ。現在の余剰電力対策としては、蓄電池による電力貯蔵が主流だが、これに水素製造が加わることで、余剰電力を新たなエネルギー資源として活用する道が開けることにもなる。水電解水素の製造はエネルギー効率悪くて経済性に問題があるといわれるが、引き取り手がなくただ捨てるしかない余剰電力を活用できるとなれば、経済的にも十分な可能性があるといえるのではないか。
 エネルギーを貯めて使う。必要なときに必要なだけ作る。高効率の代名詞である分散型エネルギーの活用も、そうした水素利用社会に備えてシステムとしての機能を充実させておく必要がある。