2014.12.15


2014年1215日号

東京都、再生可能エネルギー拡大検討会が報告書
 東京都は、都内での再生可能エネルギーの利用率を20%とすることを目指し、このための具体策と工程表を策定することを目的に検討会を設置して検討を進めていたが、このほど検討会がまとめた報告書を公表した。
 10年後の東京の消費電力の20%を再エネ電力で賄うことを目標に掲げ、太陽光発電を都内に2012年度比約4倍の100万kWの導入を目指すことや、需要側の対策として業務用のコージェネレーションシステムの導入量を現状の2倍となる60万kWとすることなどを目指す内容。
 報告書では、再生可能エネルギー電力の利用割合を拡大していくためには、都内だけでなく都外での太陽光発電や風力発電などを拡大する取り組みだけでなく、電力利用量を削減する省エネ・節電の推進や、太陽熱、地中熱などの再生可能エネルギー熱の利用、エネルギーマネジメントやコージェネレーションシステムの拡大などによる
 電力利用の合理化など需給両面からの取り組みを進めることで、10年後の2024年までに、東京の消費電力に占める再生可能エネルギーの利用割合を20%程度にまで高めるべきとの提言を行った。
 都内での拡大に限界があるため、都外での再エネ拡大を支援して、間接的に都で使用する電力の再エネ比率を高める対策として都が資金提供する官民連携の再エネファンドを活用する大規模太陽光発電や風力発電の拡大などの取り組みを行うなどを挙げ、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催時には、再生可能エネルギーの導入が進んでいる東京の姿を見せるとしている。


三菱日立パワー、SOFCとマイクロGTの複合発電システムを受注 九大から
 三菱日立パワーシステムズは、九州大学からSOFCとマイクロガスタービン(MGT)の複合発電システムを受注した。出力250kW級のシステムで、九大では産業用の燃料電池システム実証機として、2015年春に実証運転を開始する。
 LNGを燃料としてSOFCの未反応ガスをMGTの燃料として使用し、MGTの圧縮機で昇圧した空気をSOFCに供給して燃料改質に利用した後、SOFCの高温排気をMGTに送り、熱と圧力を残燃料とともに発電に利用する。加圧により電圧が大きく増大する加圧型SOFCの特性を活用して発電効率の向上につなげる、省エネで高率な発電システムとなっている。九州大学の実証機は、2013年から東京ガスの千住テクノステーションで運転している実証機に続く2台目となるもので、円筒セルスタックを細径・長尺化するとともに充填密度を高めることで、設置面積を40%超コンパクト化している。
 実証機は福岡市西区の九州大学の伊都キャンパスに設置され、SOFCの本格普及につなげる目的で設立された「次世代燃料電池産学連携研究センター(NEXT-FC)」のスマート燃料電池社会実証での実証研究や、SOFCの性能・耐久性・信頼性の向上のための基盤研究に活用される。
 複合システムのMGTは、トヨタ自動車との共同開発としてトヨタタービンアンドシステムのMGTが採用されている。
 三菱日立パワーシステムズは、SOFCの開発について、今年6月に日本特殊陶業とセルスタックの量産化に向けた業務提携を行っており、今回の受注を契機として、業務用・産業用ハイブリッドシステム市場の開拓を加速していくとしている。


大阪府、中央卸売市場にブルームエナジーの燃料電池を導入
 大阪府は、中央卸売市場の非常用発電設備(ディーゼル)の設備更新に当たり、燃料電池の導入を検討していたが、このほど米国ブルームエナジー社の燃料電池システムを導入して、オンサイト型のエネルギーサービスを受けることで合意した。ブルーム社が市場内に1200kWの燃料電池を設置して、市場がその電力を購入するエネルギーサービス。
 設置後3年間は、ブルーム社がCO2削減効果などを検証して府に報告することや市場全体の電気料金負担が燃料電池導入前と同等とすることなどの条件で合意している。
 大阪府では、国内で1メガワットクラスの燃料電池が商用として導入されるのは初めての事例であるとして、都市ガスを燃料とするCO2削減効果や電力供給の安定性・信頼性などについての実証を行い、全国の中央卸売市場等向けの先進的なモデルケースとして、その導入効果を大阪から発信していくとしている。


その他の主な記事
・ガス3社の導管分離はなお議論 ガスシステム改革
・関電エネルギーソリューション 淡路の太陽光で発電代行サービス
・経産省 再エネ人材育成に指標を策定
・東京都 再エネ拡大報告書の主な内容
・平成25年度排出量は1.6%増
・島根で池水面フロート式メガソーラーが運転開始
・平成25年度の電力排出係数を発表
・地熱発電シンポ 別府で開催
・環境省、CO2削減ポテンシャル診断セミナー
・イワタニとセブンイレブンがコンビニに水素ST
・コンビニコピー機のCO2をオフセット
・凸版印刷 カーボンオフセットをワンストップサービスで
・SBエナジーと三井物産が共同でメガソーラー
・タカラレーベン ゴルフ場跡地にメガソーラー
・日立キャピタルと日立 千葉に大型太陽光発電所が完成
・三井住友建設 佐賀の工場にメガソーラーが完成
・サイサン 岡山の太陽光発電を共同事業で
・シャープ塩谷町太陽光が運開
・東邦チタニウム ソーラーシリコン製造事業を精算
・NTTファシリ 新たに3カ所のメガサーラーが運開
・いちごグループ 北海道で2カ所のメガソーラーが運開
・ソフトバンク 空中浮体式の風力発電ベンチャーに出資
・ノーリツ 家庭用太陽光システムの製造販売を中止
・伊藤忠商事 大容量家庭用蓄電システムを発売
・東京都 2月に太陽光発電セミナーを開催
・RITE CCSテーマにワークショップ
・イワタニ 第9回水素フォーラム 東京と大阪で
・コージェネ大賞決まる
・2月5日にコージェネシンポ   etc.

<インタビュー>
・原発に頼らないエネルギー政策の実現に向けた生協の挑戦
(日本生活協同組合連合会 組織推進本部環境事業推進部 部長 二村睦子氏・
 株式会社地球クラブ 事業部 部長 高橋怜一氏)
 生活協同組合は、消費者の願いを実現するために、安全で安心な食品を求める運動などに力を入れてきた。電気についても例外ではなく、東京電力福島第一原発の事故後、日本生活協同組合連合会(日本生協連)は原子力に頼らないエネルギー政策の実現を目指してきた。こうした活動の延長として、今年6月には、新電力「地球クラブ」を設立。再生可能エネルギーの普及促進に向け、発電から消費まで携わる仕組みの構築を目指している。
 今回はあらためて、日本生協連の再生可能エネルギーの取り組みについて、お聞きした。



燃料電池新聞の主な記事
・英E4techの「2014年の燃料電池産業レビュー」
・フォルクスワーゲンの燃料電池自動車
・海外ニュース
 -米Dominovas EnergyとDelphi Automotive、数MW級のSOFC発電システムを共同開発
 -米FuelCell Energy、2016年までにトリントン工場のMCFC燃料電池生産能力を倍増
 -UCF(フロリダ中央大学)とNASA、水素漏れ検知テープを開発
 -米FuelCell Energy、Wyoming州の下水処理場でバイオガス発電を開始、マイクロソフトに電力供給
 -仏Symbio FCell、中国で5〜20kW級のレンジエクステンダー用燃料電池を紹介
 -米Plug Power、液体水素供給業者のプラックスエアー社と長期の水素供給契約を締結
 -英国ホンダ、英国初の商用ソーラー水素ステーションをスウィンドンに開設
 -ボッシュ、自動車向け燃料電池の生産、2025年までに採算に見合う事業になるという見解
 -米Morgan Stanley、ニューヨーク州の本部施設にブルームエナジーの250kW級SOFC設置
 -欧州SOFT-PACTプロジェクト、英独で25台の家庭用燃料電池CHPを設置
 -米Plug Power、定置用燃料電池の製品系列をReliOnブランドで展開
 -米スタンフォード大学、水の電気分解で使う非白金系高効率触媒を開発
 -FCH-JU、欧州地域で2020年までに燃料電池ハイブリッドバスを500〜1000台普及
 -豪Ceramic Fuel Cells、英国で100kWの燃料電池を無償設置するプログラムを開始
 -仏Air Liquide、米国トヨタ自販と共同で米北東部諸州に水素ステーションネットワークを構築
 -独Alstom Transport、燃料電池列車の実用化で4州と覚書を交わす
 -ホンダ、カリフォルニア州の水素ステーション拡充で米ファーストエレメント社に金融支援
・燃料電池フラッシュニュース
 -トヨタのFCV、新城ラリーに参加
 -「水素社会の実現に向けた東京戦略会議」、2020年にFCVを都内で6千台普及させる目標を提示
 -日産自動車、電気商用車「e-NV200」の国内出荷を開始。日本郵便、DHLジャパンなどが購入
 -岩谷産業、FCVの水素の販売価格を1100円/kg(100円/N立法m)に決定
 -JX日鉱日石エネルギー、2014年12月に同社初の商用水素ステーション開設
 -日産、EVで利用した蓄電池の再利用で、業務用蓄電システムを構築する実証試験を開始
 -川崎重工業、独自技術の水素液化システムを開発し水素液化試験へ
 -ホンダ、新型燃料電池自動車「Honda FCV CONCEPT」を世界初披露
 -デロイト トーマツ、FCVの販売台数を予測。2020年で5万台、2025年で20万台
 -トヨタ、燃料電池車「ミライ」を12月15日から販売
 -トヨタ紡織、トヨタFCVにチタン製セパレータとアルミ樹脂複合のスタックマニホールド採用
 -豊田自動織機、トヨタFCVにエアーコンプレッサー、水素循環ポンプなどが採用
 -東レの炭素繊維材料、トヨタのFCVに採用
・燃料電池インフォメーション
■九州大学 水素材料先端科学研究センター「水素先端世界フォーラム2015」:2015年2月3日(火) 九州大学伊都キャンパス椎木講堂(福岡市西区)○概要=水素材料先端科学研究センターの研究成果の公開シンポジウム。◇2月3日(火)/HYDROGENIUS施設見学 /水素先端世界フォーラム2015@燃料電池車開発と初期市場戦略(トヨタ自動車 河合大洋氏)AGMの燃料電池戦略(GM日本  G.ハンセン氏)B水素ステーション事業戦略(岩谷産業 広谷龍一氏他)Cスマートフューエル(日鉄住金パイプライン&エンジニアリング 岡本隆志氏他D水素社会の実現に向けた神戸製鋼所の取り組み(神戸製鋼所 三浦真一氏)E高圧水素下の製品テスト(水素エネルギー製品研究試験センター 渡邊正五氏)F水素社会に向けたHYDROGENIUSの貢献(九州大学 水素材料先端科学研究センター 杉村丈一氏)◇2月4日(水)/「HYDROGENIUS研究シンポジウム」/金属材料研究部門金属材料研究部門シンポジウム/高分子材料研究部門高分子材料研究部門シンポジウム/トライボロジー研究部門トライボロジー研究部門シンポジウム/物性研究部門物性研究部門シンポジウム       etc.





シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(95)
 =再生可能エネルギー人材のスキル標準=
 大串卓矢/スマートエナジー代表取締役社長


・世界を読む(71)
 =COP20リマ会議の意外な成果=
 本橋恵一




コラム
・発電論評<燃料電池と水素の時代に備える>
・青空<ゼネコンの社会的地位>
・ちょっと一休<偲ぶ会に200人を超す人>
・ちょっと一言<消費者サイドの自然エネ普及促進運動>


燃料電池と水素の時代に備える【発電論評】

 燃料電池自動車の販売が始まった。水素STの整備も始まっている。かつて夢の発電装置といわれた燃料電池は本格的な普及が期待できる段階を迎えた。
 自動車だけでなく、エネファームとして家庭用の普及が10万台を超えている。究極の分散型エネルギーシステムとして身近になりつつある燃料電池であるが、自力で普及するために残された課題は決して少なくない。
 少なくない中の課題の一つが燃料にある。エネファームの燃料は、主には都市ガスであり、LPガス仕様のものも販売されている。エネファームには都市ガスから水素を作る改質器が搭載されているが、燃料電池自動車にはない。自動車は水素を搭載して走る。搭載する水素は水素ステーションで充填する。車には改質器は搭載されない。燃料電池は水素を燃料とするが、水素の流通ルートは形成されていないので、都市ガスやLPガスが燃料として利用されている。
 自動車用の水素ステーションは、都市ガスなどからその場で水素を作るものと、製造工場で作った水素を運び込むタイプのものもある。水素ステーションには、自動車燃料の供給だけでなく、エネルギーとしての水素の流通体制の整備につながることが期待される。
 最近のニュースに川崎重工業が水素の液化システムを開発したというものがあった。また、水素ステーションをコンビニ店舗に併設して自動車に充填するほかに、定置用の燃料電池も設置してコンビニ店内に電力を供給する取り組みを開始するというニュースもあった。ここで使われる「エネファーム」には改質装置がない。水素ステーションから水素が直接供給できるからだ。改質器が不要な燃料電池システムは、さらなる高効率やコストダウンも期待できる。
 さらに、水素のエネルギー利用が進むと、都市ガスやLPガスからの改質水素の他に、工場の副生ガスとして水素や、発電所の余剰電力や再生可能エネルギーの余剰電力を電気分解して製造する余剰電力水素が市場に提供される可能性も開ける。水素は様々なエネルギーから作り出せる。その意味で、準国産エネルギーとしてエネルギー自給率の向上にも貢献できる。燃料電池のほか、エンジンやガスタービンなどの内燃機関による分散型のエネルギーシステムの燃料として利用できる。また、燃焼すると水になりCO2を排出しないことも特筆に値する。
 水素を発電や自動車用燃料として利用できる仕組みが出来ると、究極の低炭素社会の実現が夢ではなくなる。燃料電池自動車が、そうした新たな水素エネルギー社会への扉を開くアイテムになると考えると、エンジンを使う分散型のコージェネシステムなども水素社会の到来に、準備を始める必要がある。