2014年125日号

太陽光FIT導入量は1700万kW
 経済産業省は、固定価格買取制度に基づく再生可能エネルギー発電設備の導入状況について8月末時点のデータまで公表している。
 それによると固定価格買取制度導入以来の新規設備の導入量は、1256万kWで、固定価格買取制度導入前の881万kWとあわせると2137万kWとなり、国内に導入済みの再生可能エネルギー発電設備は2千万kWを超えている。電源種別ごとの内訳では、太陽光発電の固定価格買取制度による新規導入分が1232万kWで、制度前の494万kWをあわせると1726万kWと2千万kWが近づいてきている。太陽光発電以外の電源は総じて低迷しており、固定価格買取制度による導入量は風力が11万kW、中小水力が3万kW、バイオマス発電が9万kWにとどまっている。
 今年度から公表されるようになった買取電力量と買い取り金額についてみると、4月から8月までの5カ月間の買い取り電力量は119億1266.8万kWhで、一カ月平均23億8253.4万kWhが発電され買電されている。8月単月では、平均より多い24億2350.8万kWhが買電された。
 制度開始以来の累計の買い取り電力量は356億2143.3万kWで、平成24年7月からほぼ2年間の発電電力量だと見ると、まだまだ再生可能エネルギー電力の発電量が少ない。


キューコーリース、包括的なエネルギーサービス事業を展開
 オリックスと九電工が共同出資するキューコーリースは、本格的なエネルギーサービス事業の展開に乗り出す。ユーザーの事業所に必要なエネルギー関連設備を、キューコーリースの保有資産として提供し、設計・施工し、さらに、運転から保守管理までを包括的に提供する包括的なエネルギーサービス事業として実施する。
 電気・ガス・蒸気などを供給するユーティリティ設備やLNG燃料などによる分散型発電システム、コージェネレーション設備などを使って最適な省エネ設備や手法をワンストップで提供することで、エネルギーコストの削減を支援する。従来行っていたサービスは、ユーザーが国などの補助金や設備リースなどを活用する形で省エネ設備を導入するのをサポートするものだったが、キューコーリースが設備と燃料を提供して熱や電力を供給するオンサイト型のエネルギーサービスとして展開していく。
 オリックスのESCOサービスなどのノウハウと九電工の電気設備技術を活用して九州エリアを中心に、工場や、医療施設、商業施設などに対してエネルギーサービスを提供していく。また、各設備メーカーやエンジニアリング会社とも連携して事業領域の拡大も目指していく。従来のメガソーラー発電所の開発や、太陽光発電システムのリース事業も継続して展開する。


SBパワー、家庭用太陽光発電電力を上乗せ価格で買い取り
 ソフトバンクグループで、新電力事業を展開するSBパワーは、東京電力エリア内で、家庭用の太陽光発電設備の買い取りサービスを開始した。既に電力会社に売電している50kW未満の低圧連系の太陽光発電を対象に電力会社が買い取る価格よりも1円/kWh高く電気を買い取る。全量買い取り電力は税抜き価格に1円をプラスして買い取る。買い取り対象期間は固定価格買取制度による買い取り期間。東京電力供給エリアの1万棟をメドに開始し、順次対象エリアを拡大していく。SBパワーは、買い取った電力を自然エネルギー由来の電力の流通量の拡大を促進させる。電力会社からSBパワーに売電先を切り替えても、家庭側の費用負担が生じないようにする。

再エネ連系費用負担は入札で 東電方式を全国に
 経済産業省は、12月2日に、新エネルギー小委員会を開いた。同日の委員会では、固定価格買い取り制度の見直しについて事務局である経産省から見直し案を提示して委員から意見を聞いた。
 懸案となっている再生可能エネルギーの連系制約の解決策としては、再エネ側の出力抑制を行うこととし、その際の保証のあり方や、電源別に系統に連携する優先順位について議論した。
 出力抑制については、連系量を拡大するために、無償の出力抑制をある程度実施することについては合意できており、無償での出力抑制期間を現行ルールの30日以内とするか、期間を拡大することを容認するかで意見が分かれている。
 また、連系の電源毎の優先順位については、再生可能エネルギーの電源の正確により、接続順位を決める方向で意見が集約される。例えば、バイオマス発電は、火力発電と同様に出力調整が可能であることや、安定供給できる要素を有していることから、火力発電波の優先順位とすることや、水力発電や地熱発電などの出力変動の少ない電源についてもベース電源波の扱いとすることで調整される。電源の優先接続ルールについては、電力システム改革の検討項目としても議論されるところから、システム改革の議論として検討されることになる。
 また、連系線の容量が少ない地域では、再エネ側に連系線増強のコスト負担が求められており、この負担を軽減するために、東京電力が導入している入札方法が標準ルールとして全国的に採用されることが提案された。新たに整備する連系線が高額となる場合には、園周辺で新たな再エネ電源やその他電源を新設する計画のある事業者を入札で募って、複数の発電事業者がコストを分担することで、それぞれの事業者のコスト負担を減額するというもの。この場合の連系線の所有は電力会社側になるが、そのことについて一部で疑問を示す意見もあった。


その他の主な記事
・省エネ小委も会合
・新潟原動機 中速ガスエンジンを韓国車に技術供与
・長野県が再エネ導入目標を達成
・四国電力 スマメの設置を開始
・東北電力 風力送電会社に出資参加
・長野で住宅の屋根貸しソーラー事業
・消防庁、屋外タンクの安全基準で検討会 耐震基準を見直し
・九州電力 新たに3島でも連系保留の恐れ
・三井物産 タイでコージェネ事業
・電気化学 小水力発電を建設
・八戸で3社共同のバイオマス発電事業
・JNC 3カ所目の太陽光発電所が完成 4カ所目も工事中
・日本ユニシス 新電力向けに電力料金の計算システムを販売
・三井不動産 大牟田太陽光発電所が運開
・中部電力 ダムの維持管理水流を利用する小水力発電所
・富士経済 スマコミ市場を調査
・東京R&D 北海道に太陽光発電所
・前田建設 メガソーラーのパネル設置を終了
・SBエナジー 富山の太陽光が運開
・JX 2015年度は4カ所で太陽光発電を開始
・ZEエナジー 富山のバイオガス発電でトリジェネも
・東京ガス エネアドなどグループ企業を再編 自由化に備え企業体質を強化
・ホンダがブラジルで風力発電
・岐阜県 県内初の未利用木材によるバイオマス発電が完成
・三井不動産 大牟田メガソーラー
・環境省 IPCC報告書で松山でシンポ
・新エネ財団 2月に風力講演会
・JPIセミナー、FIT見直しの方向性など
・SSKセミナー、大規模HEMS整備事業など
・環境大臣表彰に38件決まる
・NTTFが非常用GTを国際入札募集   etc.

<インタビュー>
・再生可能エネルギーと地域金融をつなげる
(サステナジー株式会社 取締役 三木浩 氏)
 地域エネルギー事業は、地域活性化の切り札として注目が集まっている。しかし、実際に事業を成功させるのは簡単ではない。質の高い事業を立案することが重要だが、地域活性化につなげるためには、地域の事業者をつなげていく必要がある。こうした中にあって、地域の金融機関と地域の事業者をつなげ、経済性を持った地域の事業の立ち上げを支援しているのが、サステナジーだ。これまで、東北地方で再エネ案件を軌道に乗せており、さらに全国展開を目指している。


<特集>
・第21回 都市環境エネルギーシンポジウム
(東日本大震災から学んだ都市エネルギーのあり方―2020年東京オリンピック、パラリンピックに向けて―)
 11月5日、東京ウィメンズプラザで「第21回都市環境エネルギーシンポジウム」が開催された。主催は一般財団法人都市環境エネルギー協会。 今年のシンポジウムのテーマは、「東日本大震災から学んだ都市エネルギーのあり方」だ。2011年の東日本大震災は、あらためて大地震がもたらす甚大な被害がどのようなものかを我々に見せつけた。そして、今後も日本列島においては、首都圏直下型地震や東海・東南海を震源とする大地震が発生する可能性が高い。そのため、地震をはじめとする災害に強いまちづくり、都市づくりが求められている。2020年には、東京オリンピック・パラリンピックが開催される。世界的なイベントの開催にあたっても、安全な都市であることが求められる。この日は、あらためて、強靭な都市づくりに向けた都市エネルギーのあり方が議論された。





シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革(58)「ESDユネスコ世界会議」の開催地から=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授

・エネルギー市場のサステナブルな世界(その6)
 =多国籍化が進む原子力事業=
 日本サスティナブル・エナジー株式会社 大野嘉久






コラム
・発電論評<地産地消型の小規模バイオマス発電>
・プリズム<ガス事業の法的分離で経産省の姿勢>
・青空<大物俳優の相次ぐ死と衆院選>
・ちょっと一休<大石東大名誉教授の偲ぶ会>




地産地消型の小規模バイオマス発電【発電論評】

 バイオマス発電の建設に関するニュースを聞くことが多くなってきた。その多くが間伐材などの地域の未利用資源を活用するものであることに期待が高まる理由がある。
 再生可能エネルギーの魅力の一つに国産の未利用のエネルギー資源が活用できるというものがある。最近では、あまりの急増ぶりに、早くも抑制ムードが醸し出されている太陽光発電にしても、現在の認定設備が全て稼働したと仮定すると日本の総需要電力の10%程度がまかなえる計算になる。その分、化石燃料の使用量が削減できるのだとすると、その意味からも、拡大に向けた取り組みがさらに進められる必要がある。
 一方で、ネットワークによる電力の配分システムにも限界が見えてきている。固定価格買い取り制度による、再生可能エネルギーのネットワークへの全量受け入れの限界が見えてきている今、ネットワークによらない再生可能エネルギーの活用方法が必要になってきている。
 その解決策のひとつの有効な手段となるのが、地域社会と一体となって地域資源の活用に取り組むバイオマス発電だといえる。小規模な分散型のバイオマス発電は、間伐材や建築廃材などの森林資源や、家畜排泄物、下水汚泥などを有効なエネルギー資源に転換する技術でもある。これまでは逆にその処理にコストをかける必要があった「廃棄物」をエネルギー資源に変えるという意味でも、地域が取り組むべき価値があるものだとあらためて気づかされる。こうした観点から、これに積極的に取り組むコンサルや専門事業者なども現れている。そして、その要望に応えるメーカーの取り組みも始まっている。
 バイオマス発電の課題の多くは燃料であるバイオマスの安定供給である。最近の取り組み事例をみると、燃料の少なさを逆手にとって小規模な電源を、地産地消が可能な範囲で作り、不足する分は購入するというものが見られる。できるだけ規模を大きくするという発想を捨てたところに地域活用型のバイオマス発電活性化のヒントがあるように思える。
 地域循環型の電力供給システムの中核にバイオマス発電や太陽光発電、風力発電などの地域資源を活用したエネルギーシステムを作り、不足する分を広域ネットワークから購入する。従来の地方は電力の生産地域だという発想から逃れ、まず地域で必要なエネルギーを作り、その上で、余剰電力を送電するという仕組みが出来れば、広域ネットワークと相互補完して、電力流通の円滑化にも貢献でき、自然環境に恵まれた地方は、エネルギー資源の宝庫として生まれ変われる。最後に、発電装置は既存の製品で対応できるというところも魅力の一つであることも付け加えたい。