2014年1125日号

川崎重工、純国産独自技術の水素液化システムを開発し水素液化試験を開始
 川崎重工業は、水素液化システムを開発し、実証試験を開始する。開発したシステムは、工場などの副生水素ガスなど冷却して液体水素に転換することで、貯蔵や輸送を容易化する。燃料電池用などとして市場が形成されつつある水素の流通や貯蔵に大いに貢献できる技術として注目される。
 実証試験は、同社の播磨工場の水素実証センターに建設した実証プラントで実施する。1日約5トンの水素を液化する能力があり、水素液化機と液化した水素を貯蔵する液化水素貯蔵タンクなどで構成されている。圧縮した水素ガスを、冷凍サイクルで冷やされた水素と液化機内で熱交換しながら冷却して液化水素を製造する。川崎重工が独自技術で開発したもので、極低温物質のハンドリング技術や高速回転機械の開発で培ったタービン技術が活用されている。
 実証試験では、製品化に向けてシステムの性能や信頼性、保守性などを確認するとともに技術改良を行うとともに、より大型で高効率な液化システムの開発に取り組み、水素の流通や貯蔵市場の形成に積極的に取り組んでいく。
 年内にも燃料電池自動車の販売開始が予定されるなど、水素利用の飛躍的な拡大が予想されているが、水素を市場に大量に流通させるための効率的な輸送・貯蔵システムの確立・整備が課題とされている。水素は液化すると体積が約800分の1になり、蒸発させるだけで高純度の水素ガスが得られることから、液体の形で水素が流通・貯蔵できれば多くのメリットが期待できる。
 川崎重工では、水素の大量導入を支える水素の製造、輸送・貯蔵および利用までの一貫したサプライチェーン構築に向けて、インフラ技術や製品化に取り組んでおり、水素液化システムのほか、液化水素運搬船や液化水素貯蔵タンク、さらには水素燃料に対応したガスタービン技術の開発や製品化も行っている。


再エネ認定9月は初のマイナス 認定取り消しを反映
 資源エネルギー庁は、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度に基づく設備認定について、8月末と9月末の認定状況をまとめて発表した。
 8月末の合計認定設備量は7220万7768kWとなり、前月末に比べて16万1746kWの増加となった。また、9月末時点の合計認定量は7198万4537kWとなり、8月末時点と比べて38万4977kWのマイナスとなった。経産省では、昨年度から、認定を取得しながら長期間建設工事に取りかからない太陽光発電設備について、調査の上認定を取り消す措置を講じており、今回の認定量の伸びの少なさやマイナスについてはこの取り消し措置が反映されているとしている。 8月の認定量の増加分は、太陽光発電が、8万3261kW、このうち10kW以上の非住宅用の増加分は、1万9357kWとわずかにとどまっており、鹿児島県、和歌山県、静岡県、福島県、北海道など9道県では前月末に比べて認定量がマイナスとなっている。
 9月の認定量の増加分は、太陽光発電が43万8880kWのマイナスとなり、非住宅用に限ると51万2792万kWのマイナスとなっている。マイナスとなった地区は22道県に拡大しており、認定取り消しが拡大している様子がうかがえる。
 9月は、バイオマス発電が3万390kW、地熱発電が316kW、水力発電が4794kW、風力発電が1万8402kWとなっている。 
 9月末の認定量は、太陽光発電が6898万3596kW、風力発電が139万9012kW、中小水力が32万5201kW、14万5159kW、バイオマス発電が134万7100kWとなっている。


トヨタ、新型燃料電池自動車「MIRAI」を12月15日から発売
 トヨタ自動車は、新型燃料電池自動車「MIRAI(ミライ)」を、12月15日から発売する。価格は税込み7236千円(税込み)で、2015年末までに約400台を販売するのが目標。燃料電池自動車には国が補助制度を設け、500万円程度で購入できるようにする。また、東京都も上乗せ補助を行う予定で、国と都の補助を利用すると400万円程度で購入できるようになる。
 自社開発のFCスタックと高圧水素タンクなどで構成する燃料電池システムとハイブリッド技術を融合したフューエルセルシステム(TFCS)を採用し、内燃機関よりエネルギー効率が高く、3分程度で充分な走行距離を得られる水素が充填でき、ガソリン車の燃料補給と遜色ない時間で水素燃料の重点が出来る。また、停電や災害時などの非常時には大容量の外部電源供給システムとして使用することも出来る。
 搭載している燃料電池システムはPEFC型の出力114kW(155PS)で、従来の2倍の出力密度を達成し小型軽量化が図られている。また駆動力となるモーターは113kW(154PS)を発揮する。駆動用バッテリーにはニッケル水素バッテリーが採用されている。


東京都、低NOX・低CO2小規模燃焼機器の認定基準を強化
 東京都は、大気汚染対策や地球温暖化防止対策として、東京都環境確保条例の規制対象外となるボイラーやガスヒートポンプなどの小規模燃焼機器について、低NOXで高効率、CO2排出量が少ない機器の認定制度を実施しているが、NOXとCO2排出量について認定基準を強化する。NOX排出濃度と効率の認定基準値を、トップランナー方式で引き上げ、基準も2段階にする。2015年4月1日から実施する。
 対象は、小型ボイラーと燃料使用量が5リットル未満のガスエンジンヒートポンプ、燃料使用量が5L/時未満で発電出力5kW以上のガスエンジンコージェネ。コージェネの基準値は変更されない


その他の主な記事
・経産省、液化水素の流通貯槽で技術基準を改正
・都が補正予算で燃料電池車補助 水素STも
・岩谷産業 燃料電池車用水素価格を決定
・ガスシステム改革、導管部門法的分離で議論
・九都県市首脳が再エネ拡大で申し入れ
・太陽光発電協会 2014年度第2四半期の出荷統計
・ホンダ 燃料電池車は2015年度内に発売
・太陽光発電の取り付け金具で新製品
・東芝、川崎で自立型エネシステムを実証へ
・日立、EVの走行距離が2倍になるリチウム電池
・川崎重工 固形燃料も使用できるボイラ発電装置を受注
・NEC 家庭用蓄電池システムを大型化して新発売
・三菱地所 テナント型物流施設の屋根で太陽光発電
・日本アジアグループ 札幌市が募集した太陽光発電に着工
・JX日鉱日石 年度内に11カ所の水素ST
・富士経済 再エネと分散型市場を調査
・埼玉県に国内最大のフロート式メガソーラー
・中国電力のエネソル、福山で大規模太陽光発電計画
・NTTF 太陽光発電事業をさらに拡大
・LIXIL 京都にもメガソーラー
・多摩川HD 長崎のメガソーラーの開発に着手
・シャープ住宅用太陽光発電パネルで新製品
・三井化学 太陽光パネルの劣化診断技術を開発
・環境省、第5次報告書でシンポ
・環境省、自立分散型エネ構築補助2次募集結果
・NEDO 太陽光システムコスト削減技術開発を募集
・NEPC 次世代システム実証で3次募集
・カーボンオフセット大賞決まる   etc.

<インタビュー>
・スマートシティを次の段階へ飛躍させる
(スマートシティ企画株式会社 事業推進部部長 青山英明氏)
スマートシティプロジェクトは、現在、実証試験段階から、自治体における地域活性化のソリューションとして活躍の場を広げつつある。代表的なプロジェクトが、柏の葉スマートシティへの参画だ。さらに将来に向けたキーワードの一つとして取り組む「地域新電力」がある。地方がエネルギーで自立するスマートな都市づくりをする。そのための豊富な経験とノウハウを提供しようとしているのが、国内外27社により設立されスマートシティプロジェクトを運営してきた企業、スマートシティ企画である。



シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流(51)
 =本当のシェールガス革命はこれから=
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一)

・日本の再生可能エネルギー事情 その19
 =「九電ショック」でわかったこと2 =
 日本再生可能エネルギー総合研究所代表 北村和也




コラム
・発電論評<水素の時代の分散型システム>
・青空<14年11月 総選挙が確定>
・ちょっと一休<高木・元農林次官にいじわる質問>
・一筆啓上<BCP+再エネ>


水素の時代の分散型システム【発電論評】

 水素エネルギー関連のニュースを耳にする機会が急に増えた。トヨタ自動車が12月15日に量産型の燃料電池自動車を本格販売すると発表した。価格は720万円ほど。国や都の補助を受けると400万円から500万円程度で購入できるようになるという。ちょっと高額な電気自動車といった趣だ。
 つい数年前までは、燃料電池自動車がガソリン車の価格帯で購入できるようになるとは考えられなかった。戦略的な価格設定とはいえ、大量生産によりさらに価格が下がるという工業製品のたどる姿が視野に入ってきた。
 一方で、燃料供給インフラである、水素ステーションの整備も急ピッチで進められている。水素の販売価格も最大手の岩谷産業が自社の水素ステーションでの販売価格を100円/N立方mを目安に決めたと発表した。ガソリン車並の燃料費の負担になるという。
 水素の流通、貯蔵面でも川崎重工が液化システムを開発したと発表した。安価に液化できるようになれば、エネルギーを水素として貯蔵し、流通させるということもあながち非現実的ではなくなる。
 地球上に水素はほぼ無尽蔵にある。燃料電池は水素と酸素を化合させて水と電気を作るが、水を電気分解すれば水素と酸素が出来る。余剰電力の貯蔵方法として電解水素が注目されるようになっている。電解水素は効率が悪いとされているが、例えば、系統制約で売電できない再エネの余剰電力を水素に変えて流通させるという新たな市場も生まれる。また製鉄所などで副生物として出来る水素を回収して流通できれば、化石燃料から作る水素を大幅に減じることも可能になる。水素は人為的に製造できるという意味で電気と似ている。そして電気は水素になり、水素は電気になるという「循環型」のエネルギー資源として活用され始めるのかもしれない。
 こうした、水素と電気の時代のエネルギー供給システムとして燃料電池だけでなく水素を燃料とするガスタービンや内燃機関などのエンジン発電設備も新たな役割を担うことになる。水素の利用は、大規模な発電所で水素を燃料として発電し、熱や電気を送り出すという姿は想像しにくく、燃料電池やエンジン発電設備で、必要なときに必要なだけ熱や電気を作り出す分散型のエネルギーシステムが水素時代を牽引するエネルギーシステムとして機能していくのではないか。
 自動車も燃料電池と電気で走り、水素を核として地域分散型のエネルギーシステムが中核を担う。そんな、すぐそこにきている新たな分散型エネルギーシステムの時代を感じながら、水素社会にふさわしい分散型の発電システムの提案をメーカー各社には競い合ってもらいたい。