2014.11.15


2014年1115日号

再エネ連系制約解除へ制度見直し
 経済産業省は、11月5日に開いた新エネルギー小委員会で、全国的な連系制約問題が浮上している再生可能エネルギーの導入拡大について議論した。
 同日の委員会では、最大限の導入を実現するための論点として@各エネルギー源が持つ特性を踏まえた拡大策を検討A再生可能エネルギーの導入量も考慮した買い取り価格B固定価格買取制度の設備認定などの制度運用について議論した。
 再エネのさらなる拡大には連系制約の解除が不可欠となるが、その対応策として電源ごとの特性を踏まえて連系枠や優先順位を与えることなどが提案された。再エネ電源は、出力変動の大きい風力発電や太陽光発電と、一定の安定した出力が期待できる地熱発電や水力発電、また、機動性があり、出力制御が容易にできるバイオマス発電など特性の異なる多様な電源がある。
 現在の買取制度では、コストに応じた買い取り価格が電源種ごとに決められているだけで、連系の優先順位や買い取り量、優先買い取りなどは決められていない。今般発生している連系制約は、太陽光発電が短期間に大量に導入されようとしていることが原因であるため、連系量の一段の拡大のためには、電源種ごとに連系枠を設けることなどが論点として示された。例えば、地熱発電や水力発電についてはベースロード電源として位置づけられ、バイオマス発電については火力発電と同様に調整可能な電源として位置づけられているが、出力変動が少ない地熱発電や水力発電、バイオマス発電などを別枠で優先的に連系出来るようにすることなども考えられる。 また、買い取り価格については、調達価格等算定委員会で毎年見直しが行われ、新たな買い取り価格が決められているが、太陽光発電については年連続で引き下げの見直しが行われているが他の電源については導入量が低迷していることから、初年度の買い取り価格がそのまま据えおかれている。この買い取り価格についても、導入量を考慮して各電源がバランスするような価格設定が望ましいとの観点から検討することが提案されている。特に太陽光発電については事業報酬を引き下げる方向で検討される。
 固定価格買取制度の見直しとしては、太陽光発電の認定済み案件の積み残し問題が議論された。設備認定を受けたものの運転開始にいたらない太陽光発電計画が大量の対流案件となっていることが、連系制約だけでなく他の電源種も含めた新規案件の開発に支障を来す事態になっているとして、対応策が検討された。また、太陽光発電については、運転開始後に軽微な変更が認められている制度を悪用して設備の増設を繰り返すなどの悪質な事例も見られることもあるとして、こうした事例を排除できるよう、設備認定のあり方や買い取り価格の決定時期の見直しを行うことが提案されている。
 調達価格については、現行ルールでは設備認定の時点の価格が適用されることになっているが、これが認定を早めに受けて着工時期を遅らせる事態や、認定取得後の増設などの事態を招いているとして、買い取り価格の決定時期を設備認定取得後に電力会社と系統連系の接続契約が行われた時点や運転開始時点とする方向で見直すことが提案されている。委員会の議論では、運転開始時期とするのは、事業者にとっては価格の見通しがつきにくいことから事業計画が立てにくくなるなどの慎重意見が示されている。
 また、連系制約の問題では、新規の有望なたの事業者に連系枠を開ける必要もあるとして、接続契約から一定期間内に稼働できないものについては接続契約を解除できる方向で見直しが行われる。


自治体主導で地域エネ構築 地産地消支援へ研究会
 総務省は、エネルギーの地産地消によって自立的で持続可能な災害に強い地域作りに貢献できる分散型エネルギー死して無の構築を推進することを目的に今後の推進方策を検討する「自治体主導の地域エネルギーシステム整備研究会」(座長・柏木孝夫東京工業大学特命教授)を設置して、11月7日に第一回の会合を開いた。
 総務省が地方創成の有効な手段として推進している「分散型エネルギーインフラプロジェクト」では現在14の自治体が、地域のエネルギー資源を有効活用して取り組む事業体制などについてマスタープランの策定に取り組んでいるが、今後の推進方策等について検討し、助言を行うことなどを目的に研究会を設置した。同日の会合では、プロジェクト全体像の説明が行われ、意見交換した。今後、年度内に数回の会合を持ち報告書をまとめる。
自治体主導の地域エネルギーシステム整備研究会
【研究会の委員】
▽座長 柏木 孝夫 東京工業大学特命教授
▽委員 引頭 麻実 大和総研常務執行役員調査本部副本部長 金谷 年展 東京工業大学ソリューション研究機構特任教授 佐土原 聡 横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院教授 林 泰弘 早稲田大学大学院先進理工学研究科教授 三浦 秀一 東北芸術工科大学建築・環境デザイン学科教授 三神 万里子 ジャーナリスト、元信州大学経営大学院客員准教授 村上 公哉 芝浦工業大学建築工学科教授 村木 美貴 千葉大学大学院工学研究科建築・都市科学専攻教授


川崎重工、静岡ガス&パワー向けガスエンジン発電所建設工事を受注
 川崎重工は、静岡ガスが電力事業会社として設立した静岡ガス&パワーが建設する1万5千kWのガスエンジン発電所の建設工事を受注した。
 川崎重工が世界最高の発電効率49.5%を誇る7800kWのグリーンガスエンジン2基で構成される発電容量1万5千kW級の発電所で、2016年1月の運転開始を目指して建設工事が進められる。川崎重工は発電所の設計から、発電機器の供給・据付、土木建築までの建設工事一式をフルターンキー方式で請け負った。ガスエンジン発電所をガス会社の発電事業用として受注するのは初めて。
 高効率の大型ガスエンジンを採用した発電所は、複数台の発電設備を負荷変動に合わせて適切に運転制御することで発電所の運営を効率的に行える。川崎重工では、発電所の運営面でのフレキシビリティー向上やリスク低減を可能とするだけでなく、10分間でで最大負荷運転に到達できる高い起動性や負荷追従性、また、毎日起動発停を行うDSS運転のしやすさなどの同社のガスエンジンの特長が評価されるとともに、ガスエンジンやガスタービン発電所建設の豊富な実績が評価され受注に結びついたと考えている。 静岡ガス&パワーは、静岡ガスが総合エネルギー事業会社への事業転換を目指す取り組みの一環として今年7月に設立された電力事業会社で、地域内に立地する製紙工場などの自家発電の余剰電力や再生可能エネルギー等と今回のガスエンジン発電所などの自社電源を組み合わせて様々な需要に合わせた電力供給を行うことにしており、静岡ガスグループとしては、2016年の電力小売りの完全自由化を目途に、ガスや電力等を提供する総合エネルギー事業を展開することを目指している。


三井造船グループ、低温廃熱回収型の小型蒸気発電装置を発売
 三井造船は、子会社の三井造船マシナリーサービスが、小型蒸気タービン発電装置を発売すると発表した。米エナージェント社製の250度以下の未利用水蒸気を利用する小型蒸気発電装置「マイクロスチーム」を輸入して、国内でパッケージングして販売する。
 エナージェント社のマイクロスチームは、最大275kWの発電能力を持つ小型蒸気タービン発電装置で、従来は捨てられていたボイラなどの減圧スチームをエネルギー回収して発電できる。エナージェント社では、2004年から米国を中心に装置を販売しており、積算運転時間は14万8300時間、総発電量3140万kW/h、その間トラブルなしという実績がある。製紙・化学・石油精製・製鉄等の工場や大規模商業ビルなどを対象に販売すると共に、バイオマス発電用の小型蒸気タービンとしても販路を開拓していく。


積水化学、下水熱利用システムを発売
 積水化学工業の環境・ライフラインカンパニーは、未利用の下水熱を回収利用できるシステム「エスロヒート下水熱−管底設置型」を発売する。
 下水道管の底部に集熱管を敷設して下水熱を回収するシステムで、あらゆる管形状に対応できる。下水の温度は年間を通して安定しているため、冬場は温熱源に、夏場は冷熱源として活用できる。空気熱源ヒートポンプシステムと比較して電力コストが約30%削減できる。
積水化学工業では、老朽化した下水道管路の内側に硬質塩化ビニル材をらせん状に巻いて新たな管を構築する更生工事にあわせて下水熱回収システムの設置工事を同時に行う下水熱利用システム事業を昨年から開始しているが、回収システムだけを新たに設置する要望にも対応して、既設の下水道管の底部に排熱回収システムを設置する「管底設置型」システムを開発したもので、これにより、従来の下水処理場やポンプ場だけでなく、市街地に広く敷設されている下水道管路から熱エネルギーを回収し、活用するできる。


その他の主な記事
・IPCC第五次 統合報告書合同会合
・日米共同でアラスカでメタハイ産出試験
・都内でLNG産消会議
・農地の畦畔の太陽光のと利扱いで回答
・出光興産 3カ所目のメガソーラーが運開
・JX日鉱日石エネルギー 秋田メガソーラーが運開
・NTTF 鹿島太陽光が完成
・日本アジア 北海道のメガソーラーが完成
・光村印刷もメガソーラー
・いちごグループ 北海道にメガソーラーが完成
・プロロジス 物流施設で太陽光発電
・自然電力 太陽光発電の出力変動抑制の取り組み
・東ガスの田町スマエネが稼働
・三井造船 米社の小型蒸気タービン発電装置を発売
・山葵沢地熱発電所が環境アセス手続きを終了
・下水排熱の回収システムを発売
・JFE バイオマスプラントの独大手を買収
・日立アプライ 家庭用太陽電池モジュール新製品を発売
・ネクストエナジー シェアリング用モジュール
・ソーラーフロンティア 太陽電池東北工場が来春完成
・矢野経済 風力発電市場を調査
・神鋼環境 福井県大野市で木質バイオマス発電 
・環境省のファンド、宮崎の木質バイオマス発電に出資
・NEPC 小水力導入促進調査募集
・ダイキン工業 マイクロ水力を実証
・二国間プロ補助で1件を採択
・二国間クレジット インドネシアで第一号案件
・カーボンオフセットで各地区でマッチングイベント   etc.

<インタビュー>
・電源ニーズに応じたソリューションを提供
(ハタノシステム 専務取締役 波多野裕一氏)
 震災後、非常用自家発電設備の重要性は強く認識されるようになった。ユーザーの間では、非常用発電機は形だけ設置すればいいものではなく、場合によっては3日間稼働できる設備にしないと、災害時に対応できないといった考えが拡大している。こうした声に応える企業の一つが、ハタノシステムである。自家用発電設備の専門事業会社である波多野システムは、地球温暖化防止に加えて災害対策としての認識も高まってきた再生可能エネルギーについても事業を拡大しているという。



燃料電池新聞の主な記事
・「再生エネルギー先端技術展2014」レポート
・海外ニュース
 -カナダBallard、ジャマイカの屋上基地局向けに13台のバックアップ電源を納入
 -米Sandia国立研究所など、可搬型燃料電池照明機器の商業化を推進
 -韓国POSCO Energy、平沢市に36万kWのMCFC燃料電池発電所を建設
 -仏McPhy Energy、豪再生可能エネルギー開発のPetawattR Energyに水素貯蔵システムを納入
 -欧州連合の家庭用燃料電池の大規模実証試験による燃料電池の設置が加速
 -独DaimlerとLinde、ドイツ国内に水素ステーションを20カ所建設
 -英国政府、2015年までに15カ所の水素ステーション建設などに1100万ポンドを投資
 -カナダBallardと米Plug Power、フォークリフト用燃料電池スタックの供給契約を更新
 -独Mercedes-BenzのFCV「B-Class F-CELL」、走行距離が30万kmに到達
 -カナダHydrogenics、大型車両向け燃料電池システム「Celerity」を開発
 -仏Symbio FCell、50台の燃料電池レンジエクステンダーEVの走行試験を実施
 -スウェーデンmyFCと無線通信の3Sweden、モバイル燃料電池充電器のフィールド実証を実施
 -米Neah Power、Silent Falconと提携、無人飛行機にギ酸改質燃料電池を搭載
 -カナダBallard、ラトビアRigas Satiksme、チェコスコダ、「Hy-Trolley」プロジェクトに参加
 -スウェーデンPowerCell、電気自動車用燃料電池レンジエクステンダーを開発
 -米Bloom Energy、コネチカット州のショッピングモールに750kW級SOFC燃料電池を設置
 -カナダBallard 、ベルギーに燃料電池バスのメンテナンス工場を開設
 -現代自動車、英国に初めて6台の燃料電池車「ix35 Fuel Cell」を納車
 -独NRW州の家庭用燃料電池の設置件数が100台に到達
 -独Heliocentris、自立式バックアップ燃料電池を開発
 -南アBusiness Connexion、一般家庭で利用可能な燃料電池の商品化を計画
 -英Ceres Power、日本の発電機メーカーと家庭用燃料電池などを共同開発
・燃料電池フラッシュニュース
 -岩谷産業、2014年度内に福岡県に2カ所の水素ステーションを開設
 -東洋炭素、テーラーメードが可能な多孔質炭素材料を開発
 -家庭用燃料電池「エネファーム」の累計販売台数が10万台を突破
 -JX日鉱日石エネルギー、SOFCタイプの「エネファーム」生産から撤退
 -分子科学研究所、PEFCが作動中の電極触媒のその場観察に世界で初めて成功
 -住友商事、鹿児島でEV用蓄電池を再利用した離島向け大型蓄電設備の実証開始
 -三菱重工業と千代田化工建設、原油随伴ガスから水素などを製造する洋上浮体施設の基本設計を完了
 -帝人、FCV向けの非白金系カーボンアロイ触媒を開発
 -環境省、水素のサプライチェーンのモデル構築で2015年度30億円を概算要求
 -NEDO・清水建設・ニューヨーク州立大学、共同でゼロ・エネルギー・ビルの実証試験を実施       etc.





シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(94)
 =CO2排出ゼロプロジェクト=
 大串卓矢/スマートエナジー代表取締役社長


・世界を読む 特別編
 =「ドイツにおける気候保全とエネルギー転換」=
 〜トーステン・ビショップ博士に聞く〜




コラム
・発電論評<再エネ拡大へ連携制約のない支援策>
・青空<2014年総選挙>
・ちょっと一休<朝日新聞問題で盛り上がる>
・ちょっと一言<分社化への課題を残す電力事業者>


再エネ拡大へ連系制約のない支援策【発電論評】

 再生可能エネルギーの導入拡大の目標が変えられたわけではないのだが、系統連系制約問題の浮上以降、再性可能エネルギーのさらなる拡大につながる議論が進まない。
 日本で消費されるエネルギー資源の大半は化石エネルギーであり、今日、ますますその比率が高まってしまっている。
 高騰し、高止まりを続けていた原油の取引価格が下落し、この半年で20%以上の下落ぶりだ。それに対して、国内の石油や天然ガス価格はそれほど下がってはいない。最近の円安と相殺され、価格下落の恩恵はわずかなものにとどまってしまっているからだ。こうした傾向も、当分続くのだとすれば、一時期のシェールガスが輸入されると、国内のガス価格も値下がりが期待できるというのも、このままでは、それほどではないということになりかねない。
 一方では、再生可能エネルギーの導入拡大にも黄色の信号がともされ始めた。日本国内での再生可能エネルギーの支援策はほぼ固定価格買取制度に一本化されてしまっていると言えるのだが、太陽光発電が予想以上の勢いで、拡大した結果、連系制約や賦課金の負担感を問題視する一部意見も出されるようになり、太陽光発電の抑制策さえもが語られるようになった。現在進められている議論では、ドイツやスペインの前例を参考に、導入量に上限を設けることも視野に入っている。
 日本は、資源に乏しく、エネルギーの大半を輸入に頼っている。再生可能エネルギーは現在利用できる現実的で最大の国産エネルギーのはず。再生可能エネルギーの開発促進は低炭素や化石燃料の代替という目的のはかにも、国産の資源開発、産業育成といった目的もある。系統受入量に限界があるからといって再生可能エネルギーを抑制するというわけにはいかない。受入量に限界があるのであれば、系統に負担をかけない活用策を考える必要がある。
 再生可能エネルギーの活用には、地方自治体でも積極的に取り組むところが多い。地方には、バイオマス資源やソーラーシェアリングに適した豊富な農地、風況のよい丘陵、温泉などの地熱資源、河川や水路などの水力資源などが豊富にあり、再生可能エネルギーのまさに現場でもある。こうした自治体などが、地産地消で循環型のエネルギーネットワークを構築することで、系統への負担が抑制されるとともに、エネルギー需給の姿を大きく変えることもできる。
 こうした取り組みが各地で競い合われ、優秀な取り組みが顕彰されるようになる支援制度は考えられないものか。系統接続量がネックとなって、連系量の上限が再エネの最終的な導入目標ということにならないことを祈るばかりである。