2014年115日号

再エネ電力の販売を制限 FIT電源の再エネ価値認めず
 経済産業省は、電力システム改革小委員会の制度設計WGの第9回の会合で、固定価格買取制度によって調達された再生可能エネルギー電源を低炭素やグリーン電力として販売することを認めない方針を明らかにした。
 固定価格買取制度により売電された再生可能エネルギー電力は、系統電力を利用する全ての需要家が売電コストを負担する仕組みが整えられていることから、新電力などがプレミアム価格で湖調達した場合でも、「再生可能エネルギーにより発電された電気」として販売することは認めない方針。また、CO2価値についても同様の考え方を適用することになる。
 経産省では、固定価格買取制度により賦課金による調達コストの補填を受けている場合のふさわしくない事例として「グリーン電力を供給します」といったものや、「再生可能エネルギー電気の地産地消を推進します」、「クリーンな電気を供給します」、「再生可能エネルギー比率の高い電気を供給します」といった事例を挙げている。賦課金によるコスト補填を受けない場合は規制の対象外となるが、調達価格が高額となるため実質的には固定価格買取制度によって買い取られた電力は、再生可能エネルギー由来の電力として販売する道が閉ざされることになる。
 経産省では、今後、再生可能エネルギーであることを付加価値として説明・販売を行う場合についてガイドラインを策定し、規制していくことにしている。


再エネ連系回復へ4案 出力抑制期間の拡大など
 電力5社が相次いで再生可能エネルギー電源の系統連系の申し込みを一時中断している問題で、総合資源エネルギー調査会の系統WG(座長・荻本和彦東京大学特任教授)が10月30日に2回目の会合を開いた。
 同日の会合では、連系回復策として@再エネに求める出力抑制ルールを見直し時間単位で出力抑制できるようにするA再エネに求める出力抑制の日数や対象範囲を拡大するB蓄電池の設置や運用システムを開発するC地域間連系線の活用の拡大や増設の4案を示して、それぞれについてどの程度の連系量の拡大が見込めるのかを電力各社が試算して、次回会合にほうこくすることを求めた。対象となるのは連系中断措置をとっている電力5社に、将来的な懸念を新たに表明した北陸電力と中国電力2社を加えた7社。
 現行ルールでは30日まで無償で再エネ側に求めることができることになっている出力抑制(発電した電力を系統に送電しない)を時間単位とすることで、実質的に出力抑制が拡大できる。また、出力抑制できるのは500kW以上の太陽光や風力とされているものを、すべての太陽光・風力に拡大し、連携できる電源数を拡大する。また、蓄電池を併設する場合は費用負担のあり方が問題となる。地域間連系線の活用については、現在の連系線の運用は再エネ電力の相互融通を考慮したものとなっていないためどの程度の拡大が見込めるのか見通すのが難しいなどの問題がある。次回の会合は電力各社の試算を待って12月に行われる予定。


ガスシステム改革、導管事業の中立性など 都市ガス3社が改善策
 経済産業省は、10月30日に開いた総合資源エネルギー調査会・基本政策分科会のガスシステム改革小委員会(委員長・山内弘隆一橋大学大学院教授)の会合で、全面自由化後の導管整備のあり方や導管部門の中立性確保についての考え方について議論した。
 ガス導管の整備については、自由化後はガス導管事業者が行うことになるが、導管事業者が投資しやすくするために建設後の一定期間について高めの事業報酬を設定できるようにすることや託送料金を他の導管と同等の水準に設定できるよう託送料金の設定を柔軟にできるような措置を講ずることが提案された。また、導管の相互接続を促進するための措置として、鉄道事業法などを参考に、努力義務を課すことや費用負担のあり方についても国が事業者間の連携を促す制度を創設することなどを検討することにした。
 導管部門の中立性の確保については、現在の託送制度が一定の成果を上げていると評価した上で、自由化後は@会計分離A機能分離B法的分離C所有権分離の4案を示し、中立性の確保と透明性・公平性の確保、導管事業を行うことでのメリットの享受の制限の3つの観点から評価し、議論した。同日の会合では、ガス大手3社が連名で導管部門のさらなる中立性を高めることを目的に、託送ルールの改善や中立性・透明性・利便性向上に向けた自主的取り組みの強化などを内容とする改善案を示し、理解を求めた。また、新規参入者の立場から電力会社から、複数の事業者をまたいで託送供給する場合に事業者ごとにそれぞれ託送料金が必要となることなどについて改善を求める意見が述べられた。中立性の確保については引き続き検討される。


三井物産など、苫小牧市でバイオマス発電 売電先は北海道ガス
 三井物産は、イワクラ(北海道苫小牧市)、住友林業、北海道ガスとの共同出資して、北海道苫小牧市で木質バイオマス発電事業を実施する。苫小牧市晴海町に5800kWの発電設備を建設し、固定価格買取制度による発電事業を行う。2015年5月に着工し、2016年12月に稼働開始する計画。燃料となる木質チップは、道内の未利用木材を100%利用することにしており、新たに年間約6万トンの木材需要を発生させ北海道の林業振興や森林整備に貢献できる社会的な意義を有する事業とする。三井物産は日本国内に保有する約4万4千haの社有林のうちの約8割に当たる約3万5千haが北海道内にあり、事業開始に伴って保有する社有林からも未利用木材を供給することにしている。
 発電した電力は、北海道ガスが全量を買い取り、地域で販売する。北海道ガスでは再生可能エネルギーの活用を通じた地産地消のエネルギーモデルを構築し、ガスに加えて電力も販売する事業モデルを構築し、地域に根差すエネルギー事業者としての発展を目指す。


その他の主な記事
・電力システム改革、発送電分離も検討開始
・CO2削減次期目標の議論を開始 合同専門家会合
・関西電力 堺市で下水道再生水を複合利用
・九州電力 連系個別協議の条件をあらためて公表
・関東知事会が再エネ連系中断で要望書
・NEDO 太陽光発電開発戦略を策定
・NEPC 小水力事業性評価決まる
・東大でエネ戦略シンポ
・世田谷区が水素燃料電池シンポ
・横浜でエネマネシティ展開く
・エクソル 太陽光発電の工期とコストを削減
・NTTF 34カ所目のメガソーラーが運開
・富士経済 創エネ住宅とオール電化住宅を調査
・富士経済 太陽電池の世界市場を調査
・関西電力 堺市で下水道再生水を複合利用
・野村不動産 分譲マンションでスマエネサービス
・自然電力 西伊豆の採石場跡地にメガソーラー
・SBエナジー 日光市にもメガソーラー
・木造構造のメガソーラーが完成 架台に国産木材を採用
・日本ベネックス 国内最大の屋根借り太陽光が完成
・SBS 太陽光発電事業を拡大
・エナリス 住宅用余剰電力も買い取り
・北海道ガス 電力小売り事業に参入を表明
・北海道瓦斯と伊藤忠エネクス 電力ビジネスで提携
・楽天 電力事業で新メニューを開発へ
・丸紅と楽天 電力小売り事業で合弁
・BASFと戸田工業 リ電池の正極材会社を合弁で設立
・テクニカル電子 発電機負荷試験サービスに参入
・田中貴金属 色素増感型太陽電池向け色素 発電効率が10%増
・8千kWの風車 24時間で19万2千kWhを発電
・内燃機関シンポジウム
・京都で太陽光発電世界会議
・地球温暖化で国際シンポ
・次世代エネルギーパーク 4件を追加認定
・NEPC、スマコミ構想2次決まる
・SSKセミナー 中部電力のスマ目事業など
・JPIセミナー スマメやDR事業など   etc.

<インタビュー>
・2015年COP21・温暖化防止の次期枠組みのゆくえ
(環境省 地球環境審議官 関荘一郎氏)
 
京都議定書後の地球温暖化防止に向けた国際的枠組みは、来年末にフランスで開催されるCOP21(気候変動枠組条約第21回締約国会議)で合意されることとなっている。また、来年3月末までに、各国は削減目標を提案することとなっている。この合意に向けて、日本はどのように対応していくのか。また、削減目標を裏付ける国内対策はどうなるのか。地球環境審議官の関氏に、日本政府の方針についてお話を伺った。




シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革(57)日本は環境政策の「落伍者」か=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授

・エネルギー市場のサステナブルな世界(その5)
 =イスラム国の進出を妨げる分散型エネ=
 日本サスティナブル・エナジー株式会社 大野嘉久






コラム
・発電論評<再エネ電力販売の規制について考える>
・プリズム<水素五輪の明と暗>
・青空<景気の気は気持ちの気>
・ちょっと一休<美術の秋に二つの美術展を見る>




再エネ電力販売の規制について考える【発電論評】

 現在進行中の電力システム改革で、再生可能エネルギー電力の販売方法に規制が加えられる方向となった。
 再生可能エネルギー電力は、固定価格買い取り制度の導入によって、導入量が拡大しているが、一方では補助金が廃止されるなど、全ての再生可能エネルギーが固定価格買い取り制度の対象となっているといえるような状況だ。前制度のRPS法の時期に導入された再生可能エネルギー電源も、制度の廃止に伴って大部分が固定価格買い取り制度に移行している。制度導入まであった導入補助などは、一部を除いてほとんどが廃止された。固定価格買い取り制度との二重補助を回避するという理由だった。
 現在の固定価格買い取り制度は、再生可能エネルギーで発電した電力の全量を系統に受け入れ、買い取るというものだ。その買い取り費用は電力料金に上乗せされ、系統電力を利用する全需要家が負担し合うという仕組みである。買い取られた電力は、電気の価値だけでなく、環境負荷価値であるCO2ゼロ価値も買い取り対象に含まれると整理されており、電力排出係数という形で需要家に等しく配分されると説明されている。これを根拠に、規制当局は、固定価格買い取り制度によって買い取った再生可能エネルギー電力を、新電力事業者などが需要家に対してCO2ゼロや環境に優しい再生可能エネルギー電力であることを謳って販売することを認めないとして、ガイドラインを策定して規制していく方針を明らかにした。
 これは、再生可能エネルギーの電力を使いたいという需要家の要望に道を閉ざしてしまうことになるのではないか。前述のように、現在国内で導入される再生可能エネルギー電源のほとんどは固定価格買取制度によっている。それが再生可能エネルギー起源の電力として販売できないことになれば、販売できる電力がなくなり、自家消費電力分のグリーン電力証書などに限られてしまうことになる。
 太陽光発電や風力発電で発電された電力を使いたい。少々高くても使いたい、と考えるのは一般消費者だけでなく、業務用や産業用でも再生可能エネルギーにより商品力を向上させたいと考える事業者が存在している。
 今般の電力システム改革では、消費者が電力会社や電気を選べるようにするというのも改革の一つの大きな目的だったはず。例えば、電力事業者に「売り渡す」回避可能原価にCO2価値分を上乗せする(賦課金による交付金を割り引く)などによって、小売り事業者がプレミアム価格で販売できるような方策は導入できないものか。再生可能エネルギー電力を利用したいという電力ユーザーと販売したい事業者の意欲に報いるシステム改革であることを望みたい。