2014.10.15


2014年1015日号

東京電力でも連系制約が拡大
 九州電力など電力5社が相次いで再生可能エネルギーの系統連系の一時中断に踏み切り、全国的に混乱が広がっている中で、東京電力も自社管内の系統で部分的な連系制約が拡大しているとして、その現状について公表した。
 東京電力管内で現在既に、系統連系制約が発生している地区は栃木県、群馬県、茨城県、千葉県、山梨県といった広範囲に広がっており、今後も、静岡県の伊豆地方などにも含めてさらに拡大して行く見通しにある。栃木県での制約地区は、宇都宮市の全域、鹿沼市、日光市、真岡市、那須塩原市の全域など県南部を除く県内全域に拡大している。群馬県では、高崎市や前橋市を含む県北から県西部の広域に広がっており、今後さらに制約地区が拡大していく見込み。茨城県では、常陸大宮市全域と東茨城郡の一部、水戸市と那珂市の一部となっているが、今後は県北部から県南部にかけてかなり広い範囲で制約地区が拡大する見込みとなっている。千葉県では、館山市や南房総市、木更津市や袖ヶ浦市など県南部地方全域が制約地区となっており、今後も制約地区が拡大する見通しにある。山梨県の制約地区は県北部の北杜市や南アルプス市全域などに広がっており、今後も甲府市の一部や講習し、山梨市などへ制約地区が拡大していく見通し。静岡県では伊豆半島のほぼ全域が制約地区となっている。
 これらの制約地区では、系統増強対策として、増強費用を系統連系を申し込む発電事業者側の負担とする方法での解決策が示され、群馬県北部エリアでは、系統連系を申し込む発電事業者が系統増強工事の費用を分担する入札制度が開始されている。
 連系制約によって巨額な連系費用を求められることになるため、発電所の建設計画を見直さざるを得なくなる発電事業者などからは不満の声が高まってきている。電力各社で相次いでいる連系制約について九州電力や東北電力が開いた説明会でも、発電事業者からの強い不満が示されており、制度開始3年目で行き詰まりを見せた固定価格買取制度の見直しが、系統制約という面からも迫られる事態となっている。


東京電力と中部電力が火力発電事業で提携
 東京電力と中部電力は、燃料・火力発電分野で提携することで合意し、包括的な提携協議を行う基本合意書を締結した。年度内に提携内容の最終合意書を締結し、合弁会社を設立する。燃料の開発や調達から発電までサプライチェーン全体に及ぶ包括的な提携を行い、燃料の購買力を高めることで、グローバル市場での競争力を高める。
 東京電力の火力発電事業での包括提携の方針は今年1月に国の認定を受けた新・総合特別事業計画の柱の一つで、3月に提携先を募集し、中部電力のほか、関西電力、東京ガス、大阪ガス、JXホールディングスの5社と提携交渉を進めていた。
 発表された内容によると対象となる事業は、石炭、石油、天然ガスなどの燃料調達と燃料の輸送・貯蔵などの関連事業、火力発電所の新設・リプレース事業、海外発電事業など、燃料の上流・調達から発電までのサプライチェーン全体に及ぶもので、ガス事業の全面自由化も視野にガスの卸売り販売やLNG供給事業もその中に含まれている。
 提携が実現して合弁会社が設立されると、年間約3500万トン〜4千万トンという世界最大級のLNG調達規模を持つとともに、日本国内の事業用火力発電設備のほぼ半分にあたる6700万kWを1社で保有する巨大な発電事業会社が出現することになり、2016年度から実施される電力の全面自由化市場で大きな影響力を果たすことになる。新たに設立されることになる合弁会社がエネルギー事業モデルを構築していくのか注目される。


関西電力、マンション向け一括受電サービスで中央電力と提携 首都圏で電力販売も
 関西電力は、マンション向けの高圧一括受電サービス事業の拡大に向けて、業界最大手の中央電力に資本参加して業務提携した。中央電力の発行済み株式の約10%を取得し、中央電力が関西電力管内で自社の事業ノウハウ活用してマンション向けの一括受電サービスを展開するとともに、リフォームやインターネットサービス、マンションセキュリティなどの関電グループ企業のサービスも組み合わせた形で、より付加価値の高い一括受電サービスとして展開を図る。
 将来的には、小売り全面自由化後の電力市場で、首都圏を中心に中央電力が一括受電サービスを提供しているマンションを対象に関西電力が電力供給を行うことを考えている。


会計検査院、再生可能エネ事業の実施状況を調査
 会計検査院は、国や地方公共団体が実施している再生可能エネルギー事業や支援事業について実態調査を行った。
 地球温暖化問題やエネルギー資源確保、また地域活性化など複眼的な観点から再生可能エネルギーの支援策が、経産省や環境省、内閣府、文科省、農水省、国交省の6府省やNEDOなどの行政機関にも広がっており、それらの補助制度などの実施状況について経済性、効率性、有効性等の観点から検査を実施した。
 報告書では、補助設備の中には長期間使用されていないものが見られることから、修理を促すと共に、再稼働できない場合は廃止等の手続きをとるように求めることや、補助設備でありながらFITで売電事業を行っている例もあり、補助目的に対する適合確認を求めること、再エネ導入計画の未策定地域に対する助言や複数の府省の補助制度を一元化して情報提供する手段を検討することなどを求めている。


その他の主な記事
・経団連が再エネ買い取りで意見
・Jクレジットで追加認証
・JX日鉱日石エネルギー SOFCの自社開発品の製造を中止
・産総研、高効率の熱電変換材料
・東工大AESがシンポ
・北海道電力 アグリゲートプランを追加募集
・JX 水素基金の助成先を決定
・熊本県 県内58カ所目のメガソーラーと協定
・愛知県 充電インフラ整備でガイドライン
・エナリス 蓄電池でエネマネ
・jパワー、大間風力を着工
・北九州市にバイオマス燃料基地
・シャープ メガソーラーが運開
・JFEエンジ 自社工場跡地のメガソーラーが運開
・カナディアンソーラー 鹿児島でメガソーラー事業
・JX 大分でメガソーラーが運開
・SBエナジー 北海道にメガソーラー
・NTTF 東広島市にもメガ
・京セラ EMSを自動化
・デンソー HEMSで省エネサポート
・住友化学 太陽電池の出力低下を防ぐ封止シートを開発
・産総研 エネ技術進歩を開催
・滋賀県 びわ湖環境ビジネスメッセ
・経産省 IREANA報告書でシンポ
・関東経産局 Jクレジットと予算でセミナー
・都市環境エネ協会技術研修会を開催
・東ガス シバウラプロジェクトが始動   etc.

<インタビュー>
・自家用発電設備の新たな役割を広げる
(第一テクノ 代表取締役社長 向井善彦氏)
 2011年の東日本大震災では、非常用・常用自家発電設備が活躍した。ただし、きちんとメンテナンスを行っていた設備に関してのこと。震災以降、BCP(事業継続計画)の要請もあり、自家発電設備に対する設置・メンテナンスの需要は高まる一方だ。こうした需要を支えている企業の一つが、第一テクノである。代表取締役の向井氏に、震災以降の事業の状況や今後の展開について、話をおうかがいした。



燃料電池新聞の主な記事
・NEDO新エネルギープロジェクト報告会レポート
・海外ニュース
 -英Anglo American Platinum、独Hydrogenious Technologiesが開発したLOHCに1億ドル投資
 -独ユーリッヒ総合研究所、平板形SOFCの耐久試験で6万時間を達成
 -カナダBallard、フィリピンの携帯電話基地局にメタノール式バックアップ電源20台を設置
 -米GE、New York州立大学HVCCに50kW級SOFCを設置
 -英国家庭にマイクロ燃料電池が普及する可能性に関する調査レポート発表
 -フィンランドVTT、生物燃料電池を応用した使い捨て美容パックを開発
 -上海市、2015年から20台の燃料電池車の走行試験を開始
 -独SFC Energy、アウトドア用ポータブル電源「EFOY GO!」を2015年早々にも発売
 -仏Airbusと南ア国立航空宇宙センター、共同で飛行機用燃料電池APUを開発
 -VWグループ日本社長、FCVはガラパゴス市場となる可能性を指摘
 -豪NUSW大学、水素自転車を開発
 -二人のノルウェー人、FCVを24時間運転して2383kmを走破
 -豪Ceramic Fuel Cellsの燃料電池、設置台数500台、稼働時間500万時間に到達
 -独Sunfireと Vaillant、「ene.field」プロジェクトでマイクロCHPの初号機を設置
 -米Espar Products、燃料電池APUや燃料電池ヒーターを開発
 -蘭Nedstack、70kW級PEFCで4万時間の耐久性を確認
 -蘭Nedstack、米First Element Energy向けに300台の3kW級PEFCバックアップ電源を販売
 -シンガポールInnoverde、DMFC燃料電池を利用した二人乗りの三輪車を開発
 -英Lancaster大学、英Ceres Powerの燃料電池開発を支援
 -米Nuvera、Ace Hardwareの配送センターに水素ステーションを設置
 -仏Alstom Transport、2020年までにローカル鉄道で走る燃料電池列車を開発
 -米Plug Powerと米M&T Bank、GenKeyサービス顧客にファイナンスサービスを提供
・燃料電池フラッシュニュース
 -大阪ガス、FCV向けにLPガスから水素を製造する装置を開発
 -岩谷産業、東京タワー直下に水素ステーションを建設
 -東京都、2019年に都心と臨海部結ぶ都道「環状2号線」でバス高速輸送システムを整備を計画
 -トヨタ、FCVの高圧水素タンクを自主検査で製造できる「登録容器製造業者」の認可取得
 -千代田化工建設と秋田県、再エネ活用した水素社会実現に向け、連携協定を締結
 -愛知県、2015年度までに水素ステーションを20基整備
 -豊田通商、名古屋市熱田区で水素ステーションを建設
 -九州大学など、燃料電池に使用する白金触媒量を1/10に削減することに成功
 -トヨタの燃料電池車、年間700台のペースで生産開始。車名は「ミライ」
 -大阪ガス、エネファームの類型販売台数が3万台に到達
 -ブルームエナジージャパン、2015年から大阪府中央卸売市場で電力供給事業を開始
 -環境省、再生可能エネルギーで水素を作り、FCVの燃料などで利用するモデル事業を開始
 -ホンダ、パッケージ型水素ステーションをさいたま市東部環境センター内に設置
 -川崎重工業、NOX排出を抑制できる水素ガス混焼ガスタービン技術開発
 -産総研、ガスタービンでアンモニアを燃焼させる発電技術を開発
 -東芝燃料電池システム、エネファームの累計出荷台数が5万台に到達
 -東邦ガス、マンション向け「エネファーム」を1014年10月から販売開始
 -神戸製鋼所、2020年までに水素ステーション用圧縮機事業のシェア50%を目指す
 -九州大学、NEXT−PCの250kW級SOFCなどを設置、実用化を目指した実証試験を開始
・燃料電池インフォメーション
■高分子学会「2014年度燃料電池材料研究会講座:燃料電池材料の現状と展望」:10月31日(金) 産業技術総合研究所臨海副都心センター別館1T・バイオ融合棟11F(江東区青海) ○概要:@ナノファイバーから構成される電解質膜の可能性―NEDO次世代プロジェクトの途中経過(首都大東京大学 川上浩良氏)A量子ビーム複合利用によるプロトン/アニオン伝導性電解質膜の合成・解析(日本原子力研究開発機構:前川康成氏)B革新的フッ素系高分子電解質に関する研究開発(旭化成イーマテリアルズ:多胡貴広氏)CFCV本格普及期に向けたCORE-SELECTRの開発(日本ゴア:丸山将史氏)D垂直配向CNTを用いた燃料電池用新構造電極の開発(トヨタ自動車:村田成亮氏)Eシンクロトロン放射光及びその他の計測技術による燃料電池モデル電極反応のその場観察(物質材料研究機構:増田卓也氏)
■近畿化学協会「水素社会へのシナリオと材料ビジネス:化学メーカー参入の可能性を探る」:10月31日(金) 大阪科学技術センター8F小ホール(大阪市西区) ○概要=@水素エネルギー社会に向けた技術開発(産総研:古谷博秀氏)A水素ステーション整備の動向と課題(岩谷産業:繁森 敦氏)B有機ハイドライドを用いた水素の大量貯蔵輸送技術(SPERA水素)の開発(千代田化工:河合裕教氏)C高圧水素バリア材の開発(日本合成化学:渋谷光夫氏)D水素エネルギー・サプライチェーンの実現に向けた取組み―水素利用技術・水素ガスタービンの開発など(川崎重工:洲河誠一氏)       etc.





シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(93)
 =ニューヨーク気候変動サミットの開催=
 大串卓矢/スマートエナジー代表取締役社長


・世界を読む 70
 =英国の再エネ投資と技術開発=
 (本紙:本橋恵一)




コラム
・発電論評<再エネ連系中断の混乱広がる>
・青空<言葉遣いには細心の注意を>
・ちょっと一休<障碍者のための筑波技術大学を見学>
・ちょっと一言<地域自立分散型エネルギーを>


再エネ連系中断の混乱広がる【発電論評】

 電力5社が再生可能エネルギー電源の系統連系への受け入れを全面的に一時中断するという措置をとったことで、混乱が広がっている。制度を運用する経産省は連系回復措置を探るため、WGを設置して年内にも対応策を取りまとめることにしている。これによって、少なくとも連系中断の回復は年明け以降まで待たなければならないことになる。こうした連系制約は東京電力管内でも、全面的な中断には踏み切ってはいないものの部分的な連系制約地域が徐々に拡大してきており、連系制約の広がりによる混乱はさらに広がりを見せつつある。
 混乱しているのは、今回の措置が余りにも突然だったことも拍車をかけている。再生可能エネルギーの拡大という趣旨に賛同し太陽光発電所などの開発に取り組んでいる発電事業者の怒りや不満も理解できるが、安定供給に支障が出かねないという系統運用者の判断も尊重されなければならない。どちらにとってもプラスではないということに事態の深刻さが浮き彫りになる。
 回復策についても、多くの意見がそれぞれの立場から述べられているが、それほど目新しい提案は見当たらない。中でも有力なものと考えられているのは、系統の需給状況に応じて部分的に認められている太陽光発電側の買い取り電力量の制限(出力抑制)の拡大や、非住宅用の太陽光発電の規模などに応じて新規の設備認定を中断すること、入札制度を導入し、より安価な買い取り価格を提示した発電事業者から順に連系を認める、などが提案されている。買い取り価格を大幅に切り下げるという意見もある。
 また、太陽光以外の再生可能エネルギーは、固定価格買取制度の導入以来目立った導入実績が見られていない中で、さらに、連系中断によって事業の見通しが立たない事態となっていることから、特に、安定した出力で、かつ出力調整も可能な地熱発電や、小水力発電、バイオマス発電については、別枠で連系可能容量を確保すべきだとする意見もみられる。
 必要なことは、再生可能エネルギー電源を引き続き、さらに拡大させていくという視点だ。系統制約がやがて訪れるということは想定されていたことであり、それが想定よりも早く、しかも突然顕在化してしまったということである。そもそも、制度導入時には、太陽光発電の見通しは2030年に2千万kWから3千万kW程度と見込まれていたはず。それがふたを開ければ、その2、3倍に当たる7千万kWの導入計画が出現したわけで、本来は、予想を大幅に超える大きな成果を上げたと胸を張るべきものである。
 ゆめゆめ、系統は守れたが、再エネ拡大という基本理念は頓挫したという結論には至らないことを望みたい。