2014年925日号

電力システム改革、発電事業は1万kW 1千kW以上は特定自家発に
 経済産業省は、9月18日に電力システム改革小委員会の制度設計WGの第8回の会合を開き、小売り全面自由化に関連する制度の詳細設計などについて検討した。
 2016年度からの小売りの全面自由化によって、電力事業は発電事業と送配電事業、小売り事業に3分割される。発電事業と小売り事業は自由化されるが、公共性の高い送配電部門については地域独占の事業体制が維持されることになっており、事業分割された上で10電力による事業体制が新設される広域運営機関の下で維持・運営されることになっている。
 発電事業については、前回のWGでの議論を踏まえて主に自家消費を目的とする自家発電設備については発電事業の対象とはしないことを明確にするため、「事業者単位で合計1万kW以上」の発電設備を保有することを目安として、@発電設備容量が1千kW以上A発電設備容量の5割を超える託送契約電力(10万kWを超える発電設備は1割超の託送契約)があるB年間発電電力量のうち5割超の電力を系統に逆潮流(10万kWを超える発電設備は1割超の逆潮流)する発電設備を合計で1万kW以上保有する事業者、を発電事業者とすることで合意した。発電事業者の要件を満たす場合は、国への発電事業者としての届け出や、広域運用機関への加入、発電計画の提出などの義務が生じる。
 発電事業者の要件は満たさないものの、系統に接続して運転を行う1千kW以上の自家発電設備については、「特定自家発」として指定し、災害時や電力ピーク時などで系統電力に供給不安がある場合などには、国による供給勧告が行われ、勧告に従って運転し系統に電力を供給することがが求められる。10万kW未満の大規模な発電設備を保有していても、自家消費率が50%以上の場合は発電事業者に該当しないことになる。また、ほとんどの再生可能エネルギー電源の保有者も発電事業としての対象からは除外される。
 発電事業者として認定されると@経済産業大臣の供給命令に従う義務A発電設備の設置・運用に関する計画を作成し、経済産業大臣に届け出る「供給計画の提出義務」B一般送配電事業者(旧電力会社の送配電部門)との間で、電気の供給契約を結んでいる場合の供給義務C広域的運営推進機関への加入義務D会計整理義務E償却命令の対象F事業開始前届、事業の承継・休廃止などの国への諸届出G経済産業大臣による報告徴収・立入検査・業務改善命令の対象などが求められることになる。
 同日の委員会では、小売り全面自由化に伴う制度の詳細設計として、小売り事業者の登録要件や義務、自由化後も一定期間継続される経過措置としての規制料金の算定方法、託送料金の事業報酬の考え方、小売り事業者のインバランス制度の詳細設計についても議論された。


九州地区の再エネ接続を中断九州電力
 九州電力は、系統接続可能容量が管内一円で限界に近づいているため太陽光発電などの再生可能エネルギーの系統接続を一時中断すると発表した。これまでは離島の一部で接続申し込みの受付を一時中断していたが、管内の九州全域で受付が中断される。建設した再生可能エネルギー電力を全量買い取るとする固定価格買い取り制度の根幹が揺らぐことになり、制度の抜本的な見直しが迫られることになる。
 今回の接続中断に至った理由として、固定価格買い取り制度の開始によって、九州地区では太陽光発電の接続申し込みが増加し、運転開始済みの太陽光発電は九週間内に全国の20%が集中していることをあげている。特に2013年度末の今年3月には1カ月間でそれまでの1年分に相当する7万件の申し込みがあり、今年7月までに受け付け済みの太陽光発電と風力発電が全て稼働すると合計約1260万kWの設備量となっていること、電力需要量の少ない春と秋には電力消費量を太陽光と風力の発電量が上回ってしまい、電力の需給バランスが取れない事態に陥る恐れがあることなどをあげ、需給バランスが回復できる目途が立つまで中断措置を続ける。方針。回復措置としては、揚水発電や中国電力への域外送電などを考えており、それによって需給バランスが回復できるかどうかを見極めた上で、今後の新規の接続申し込みを再開するかどうかを判断する。
 蓄電池を併設するなどして安定的に送電できる設備、また、バイオマスや地熱、水力発電など出力調整が可能な電源については、今回の措置の対象外として別途個別協議に応ずるほか、家庭用についても引き続き節独を認める。今回の中断措置については、管内の支社単位で説明会を開催することにしている。


産総研、水素キャリアのアンモニアをガスタービンで燃焼
 産業技術総合研究所と東北大学の研究チームが共同で、灯油にアンモニアを30%混ぜた燃料でガスタービンを駆動、21kWの発電に成功した。総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム「エネルギーキャリア」の委託研究として取り組んだもので、水素キャリアとしてのアンモニア利用技術の進展を目指した研究。今後はアンモニアの割合を高め、最終的にはアンモニア100%の燃料で発電実証を行う予定にしている。
 アンモニアは一般の燃料よりも着火しにくく、また、燃焼速度も遅いことなどで、ガスタービンの燃料としては使用されていないが、産総研では、東北大学との共同研究として、発電用燃料としてアンモニアを使用することに取り組み、様々な燃料が使用できるガスタービン発電の実証研究に取り組んだ。実証に使用したのは50kWのマイクロガスタービンで、液体と気体の2系統の燃料が使用できる燃焼器を試作して、約30%のアンモニアを灯油に加えた燃料で約40%出力に当たる21kWの出力で、灯油100%の場合とほぼ同じ出力での発電に成功した。排出された窒素酸化物は、通常の脱硝装置で10ppm未満まで抑制でき環境基準にも十分適合できることを確認した。
 アンモニアは水素含有量が多く、水素を液体に変えて貯蔵や輸送する水素キャリアとして注目されている。常温常圧では気体の水素を水素を多く含んだ化学物質に変換することで貯蔵や輸送を簡便に行えるようにする。有機溶媒に水素を着脱する有機ハイドライトや窒素と水素から合成し直接燃焼するアンモニアなどがあるが、特にアンモニアは炭素を含まず燃焼しても水と窒素しか排出しないため、発電用燃料として用いる水素キャリアとして注目度が高まっているという。従来の石油系燃料に一部アンモニアを混合するだけでも大きなCO2排出削減効果がえられる。


コープネット事業連合など、廃食油を利用した燃料で自家発電装置の実証実験を開始
 コープネット事業連合は、ヤンマーエネルギーシステムと協力し、生鮮品の加工施設であるコープネットフーズ桶川生鮮センター(埼玉県桶川市)で、コープの店舗で回収した廃食油を利用したバイオディーゼル燃料を使用する自家発電装置の実証実験を開始する。発電した電力は、昼間の補助電源として利用し、系統電力のピークカットに貢献する。また、発電装置と合わせ熱交換器を設置し、貯湯槽への熱供給を行うことで、既設ボイラーで使用するLPG使用量の削減にもつなげる。系統電力の使用量の抑制と、LPG燃料の削減で、年間約50tのCO2が削減できる。バイオディーゼルを燃料とする自家発電装置は25kW。1日14時間稼働するDSS運転を行う。毎月の発電量は、約10万kWhで、約17万kWhの温水も供給する。

その他の主な記事
・経産省、再可エネ導入量を試算 太陽光は既に過剰?
・東京財団がエネルギー多元化で提言
・自然エネ財団がシンポ 独の自然エネの現状で
・東京都 再可エネ拡大で可能性調査
・長野県 自然エネ導入検討を義務化
・横浜市、港北総合庁舎のESCO決まる
・山形県 分散型で基本計画
・鳥取市が分散型エネ事業 候補者を選定
・京都市 天然ガス発電事業で調査を委託
・東芝燃料電池 エネファームを累計5万台出荷
・エコパワー 三重の風力を着工
・東邦ガス マンション向けエネファームを販売
・サイサンがガスワンサミット
・明成商会 太陽光発電事業に参入
・日立 エネソル本部を設置
・エナリス 湘南電力を設立
・新潟原動機 新型ディーゼルエンジン 発電用にも展開
・製本事業者のプランが太陽光パネルを製造
・OSCJ 工場遊休地手間がソーラー発電
・JFEエンジニア 大分のバイオマス発電を受注 5万kW
・電力ガスシステム改革にコンサルを提供
・神鋼環境、ユーグレナの大量培養体制整える
・三井造船 バイナリー発電装置を受注
・IHI 低温バイナリー発電で米社と提携
・安川電機 EV用パワコンで新製品
・東武鉄道 千葉のメガソーラーが完成 2カ所目
・日本アジア 福岡と茨城で太陽光発電所が運開
・ホンダ 水電解水素で水素ステーション
・三菱電機 電車のブレーキ回生電力を駅舎に供給 省エネ効果を確認
・ALSOK 飛行ロボットでメガソーラーを支援
・愛知県、水力発電でシンポ
・京都市で国際環境シンポ
・福岡県でコージェネ導入セミナー
・NEDOファーラム 全国4カ所で
・愛知県が水素エネシンポ
・和歌山県が海洋エネシンポ   etc.

<インタビュー>
・EMSで新たなエネサービスを展開するエプコ
(エプコ スマートエネルギーカンパニー 大規模HEMSプロジェクト推進グループ 部長 白岩紀人氏)
エネルギーの「見える化」にとどまらない、HEMS(住宅エネルギー管理システム)サービスなどを提供し、オリックスやNEC,あるいはパナソニックのパートナーとして新しいエネルギーサービス事業に参加している企業がエプコだ。さらに同社は福岡県みやま市とともに、大規模HEMS情報基盤整備事業にも着手した。今回はみやま市での事業を中心に、これからのエネルギーサービスの展望について、話をおうかがいした。



シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流(49)
 =円安と円高のどちらが好ましいのか=
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一)

・日本の再生可能エネルギー事情 その17
 =再生エネ普及を妨げる系統連系問題 =
 日本再生可能エネルギー総合研究所代表 北村和也




コラム
・発電論評<ガスの自由化議論に欠かせないもの>
・青空<リニア新幹線で変わるものは?>
・ちょっと一休<近藤さんの努力に脱帽>
・一筆啓上<「水素社会」の冷や水>


ガスの自由化議論に欠かせないもの【発電論評】

 電力システム改革に続いて、ガス事業についても改革議論が始まっている。ガス事業制度の改革は常に電力の制度改革の後をなぞるようにこれまでも進められてきた。今回の改革議論でも、これまでと同様に電力もやったのだからガスもという後追い改革が色濃い形で進められているように見える。
 これまでの議論を整理すると、ガス事業も電力と同様に事業分割され、小売りと導管事業に分割される。小売り部門は全面自由化され、電力と同様に誰でもが自由に参入できる。また、電力の送配電部門と同様に導管事業はこれまで通りガス導管の保有者が運用し、小売り事業者はガス導管を託送利用することになる。
 電力事業と併行して進められているガスシステム改革であるが、自由化する目的を考えると、これだけでは不十分だと思える。ガス事業の最大の課題で今回のシステム改革では除かれているものとして、ガス導管の整備の遅れがある。現在、ガス導管は、国土の5%程度にとどまっているとされている。都市ガスを利用したくてもできない地域が相当あるということだが、にもかかわらず、導管整備を置き去りにしたままでシステム改革議論が進んでいくことに違和感がある。今後の導管網の整備を誰が主体となって行うのかも議論がないままに、既存の事業範囲の中でシェアを奪い合っても、ガス事業の健全な発展には決してつながらないのではないか。
 電力の場合は、広域的運用機関が設立され、全国大での送電網の運用が目指されるという姿が描かれているが、ガスの場合は、そうした責任の主体の議論が何されないままに、ガス事業者から導管部門が切り離されることに事業の将来像をどう描いているのかという疑問も残る。
 電力との違いはエネルギーとしての組成の違いもある。電力は様々なものから人為的に作り出される2次エネルギーであるのに対して、ガスは天然資源として存在する1次エネルギーであるという点だ。特に日本の場合は原料のほとんど全てが輸入であり、自由化による市場競争は、電力ほど大きな期待はできないのではないか。だからといって自由化を否定するものではない。燃料としてのガスは、今後の燃料市場の中核を占めるものとして位置づけられているのであり、分散型電源の燃料として、低炭素化を進める観点からも、よりよい条件で供給されるのであれば歓迎すべきだ。
 電気と同様に国内の需要家がガスを自由に必要なときに必要なだけ利用できるようにするという視点が、自由化議論から忘れられてはならないことなのであり、導管網を全国に広げるという視点が自由化議論の最初にあるべきなのではないか。