2014.09.15


2014年915日号

再生可能エネルギー、FIT導入1千万kWを突破
 経済産業省は、固定価格買取制度に基づく5月末時点の再生可能エネルギー設備の導入状況と認定状況を発表した。導入量は、前月末に比べて66万kW増えて1043万kWと1千万kWを突破した。制度開始前の既設設備で固定価格買取制度に移行したものが880万kWあり、これを加えると国内の再生可能エネルギー発電設備導入量は1923万kWになり、2千万kWに急速に近づいてきている。
 設備の認定量は前月末に比べて46万kWの増加にとどまり、7148万kWとなった。前年度末の1月から3月にかけて大量の駈け込み認定が行われた反動で新規認定量は低めに推移している。
 導入済み設備の内792万kWは非住宅用太陽光発電が占めている。非住宅用太陽光は、5月の1カ月間で56万kW増加した。住宅用太陽光も9万kWが新たに導入され、5月の増加分のほとんど全てが相変わらず太陽光発電によって占められている。
 今年4月の導入分から発表されるようになった買取電力量は5月分が26億9080.2万kWで、4月に比べて3億9399.5万kW増えた。
 5月の買い取り金額は974億2千万円で、4月に比べると70億5千万円多かった。平成25年度1年間の買い取り額は5791億4千万円で、4月と5月の2カ月間で前年度の30%に達している。


経産省、熱供給事業もシステム改革
 経済産業省は、熱供給事業についてもシステム改革を行うことを明らかにした。5日に行われたガスシステム改革小委員会に、ガスシステム改革と併行して熱供給事業の改革についても検討課題とすることを提案した。
 今年4月に閣議決定された第4次のエネルギー基本計画の中で、「電力・ガスシステム改革と併せて、熱供給事業に関するシステム改革を進め」、「熱電一体供給も含めたエネルギー供給を効率的に実施できるようにする」ため、熱供給事業についても見直しを検討することが求められていた。
 料金規制の撤廃などを行い、先行して改革が進む電力やガス事業と歩調をあわせ、料金の引き下げや多様な料金メニューの設定など自由化に向けた市場環境を整備していく。
 熱供給事業は、事業法では冷水や温水などを1カ所でまとめて製造し、熱導管を通じて周辺の複数の建物に供給する事業だが、エネルギー効率の高い個別の空調機器などが普及する中で、一定地域を対象とする熱供給事業は普及が頭打ちになっている。現在、東京や大阪などの都心部を中心に全国で141地点の熱供給事業が認可されており、電力やガス事業社の関連会社など78社が事業を行っている。


FIT見直しへ 議論開始
 経済産業省は、9月10日に開催した第3回新エネルギー小委員会で、FITの見直しについての議論を開始した。エネルギー基本計画で目指すとされた「電源構成比の21%を更に上回る水準」の具体的な目標の設定に向けた議論を行う。また、当初3年間は最大限の導入拡大を目指すとされているFIT開始後3年目を迎えていることから、今後のFIT制度のあり方について検討する。 
 見直しに当たっては、想定を上回る規模で拡大している太陽光発電の導入見通しや、系統接続の課題、電源種類のバランスと必要な費用(賦課金、系統対策費、調整電源費用)などを考慮して、各電源ごとの導入見通しや目標などについて検討していく。
 同日の委員会では、議論のスタートに合わせて、再生可能エネルギーの導入量の試算を提示。再生可能エネルギーを20%とする電源構成比で試算すると、太陽光発電は2030年には5300万kW、風力は1千万kW、地熱が165万kW、水力が5560万kWなり、これを現在の導入量に当てはめれば、太陽光発電は認定量全てが稼働すると仮定すると既に目標量を大きく上回っているという見通しを示した。


大東建託、集合住宅向けに一括受電で太陽高電力を販売
 大東建託は、グループが管理する集合住宅に一括受電サービスを提供し、太陽光発電による電力を供給する新会社を設立した。当面は現在の自由化範囲である高圧受電の集合住宅を対象にするが、2016年度からの全面自由化後は低圧受電の賃貸住宅も事業の対象範囲に含める。供給する電力は、グループが管理している集合住宅の屋根を借りて設置している太陽光発電の電力と卸電力市場などから調達した電力を合わせて供給する。
 大東建託グループが管理する賃貸住宅は現在約82万戸あり、2017年3月末には100万戸を超える見通し。入居者に低炭素で割安な電力を供給することで住宅の付加価値が高められる。グループが一括受電サービスを提供している賃貸住宅は、7月末現在で205棟2089戸あり、屋根を借りて発電している太陽光発電事業は3712棟で、4万6300kWの発電能力がある。


その他の主な記事
・セイコーソリューション 太陽光発電の見える化サービスを開始
・東京ガス 高効率の酸素製造技術を開発 実用化目指す
・日立化成 鉛蓄電池の高性能化を実現
・太陽工業、軽量太陽電池モジュールを発売
・JBサービス 太陽光発電のクラウド型監視サービスを提供
・サンヨーホームズ オール電化マンションで一括受電サービス
・オリックスと九電工の枕崎空港メガソーラーが完成
・日立ハイテク スイス社と国内太陽光で共同事業 
・豊田通商 名古屋市に水素ステーション
・KDDI 大規模HEMS実証をトライアル
・関西電力 首都圏で電力販売 マンション一括受電事業者に売電
・チューリッヒ保険 メガソーラーの工事保険を販売
・九都県市 太陽熱テーマにセミナー
・大建工業 太陽光発電所向けに防草シートを販売
・省エネ法 ベンチマーク電気供給業は9社が未達
・岩手県 太陽光発電所の電力を入札 売却額は2.8円高
・兵庫県 小集落をエネルギー自立むらに認定
・LPガスプの自由化対応は足場固め 
・アクセンチュア、電力自由化への期待を消費者調査
・大阪ガスエネファーム販売3万台を達成
・環境省 地熱、地中熱を補助
・NEDOと産総研、サンシャイン計画を振り返るシンポ
・今年もグリーンクリスマス 
・都市環境エネルギーシンポジウムを開催
・NEPC 独立型再可エネ補助
・国交省、住宅建築物省CO2 2次募集
・東工大AESがシンポ
・北九州市で再可エネセミナー   etc.

<分散型エネルギー最前線>
・進化を続ける新宿地冷センター 〜新宿地域冷暖房センターを訪ねる〜
 新宿地域冷暖房センターは、1971年に首都圏初の地域冷暖房センターとして開設された。現在は、新宿パークタワーに加え、都庁第二庁舎にも電力を供給している。また熱供給に関しては、21棟のビル、延床面積220万m2におよぶ。さらに、昨年4月から西新宿一丁目地区にも熱融通を行っている。現在もなお、新宿地域冷暖房センターは進化しつつある。新しい発電設備を導入する工事の準備が進む現場を訪問した。



燃料電池新聞の主な記事
・カリフォルニア大の燃料電池車普及可能性調査
・平成27年度の水素燃料電池関連予算の概要
・海外ニュース
 -米Yahooのデータセンター、米Bloom Energyの1MW級SOFC燃料電池を設置
 -米Plug Power、米Wal-Martから7カ所目の配送センター向けに燃料電池フォークリフトを納入
 -米Exelon、Bloom Energyが新設する21MWのSOFC発電所にエクイティファイナンスを供与
 -英Intelligent Energy、日本の自動車メーカーとの間でFCVなどの燃料電池開発契約を締結
 -カナダHydrogenics、カナダのIESOのPower-to-Gasプロジェクトに2MW水電解装置を納入
 -英技術戦略委員会、燃料電池で走る路面電車開発に300万ポンド助成
 -米Lilliputian Systems、マイクロ燃料電池の事業継続を断念
 -ブラジル国立技術研究所、埋立地のランドフィルガスを水素に転換する触媒を開発
 -デンマークHaldor Topsoe、子会社のSOFC開発のTopsoe Fuel Cellを清算
 -英Proton Power、電気自動車のレンジエクステンダー用として燃料電池「HyRange25」を開発
 -DOE、Argonne国立研究所のハイブリッド燃料電池開発に200万ドル助成
 -カナダ Ballardと南アAnglo American Platinum、農村用燃料電池発電システムのフィールド実証開始
 -英Intelligent Energy、5万台のマイクロ燃料電池充電器の製造を計画
 -独Heliocentris、中国の銀行ネットワークに5〜18kW級燃料電池バックアップシステムを納入
 -独電動バイクメーカーElectrolyte、世界初の水素自転車「Vorradler S3 FC」を展示
 -米GE、燃料電池工場をオープン
・燃料電池フラッシュニュース
 -日本精線、有機ハイドライドから水素を取り出す水素発生装置の実用化を目指す
 -川崎重工業、FCV5万台分の燃料が貯蔵できる液化水素貯蔵タンクの開発に着手
 -福岡県、FCVを導入するタクシー事業者に県独自の補助金を支給する制度を創設
 -日産自動車と三菱自動車、2016年度に電気自動車を共同生産
 -パナソニック、テスラのEV用電池工場への投資で基本合意
 -オリオン機械、水素ステーションのプレクール設備向け小型プレート式熱交換を開発
 -東芝燃料電池システムなど、純水素型燃料電池コージェネの実証試験を水素ステーションで実施
 -東京ガスとパナソニック、「エネファーム」向け「停電時発電機能」オプション品を開発
 -防衛省、米軍と共同で燃料電池で動く無人潜水艦を開発
 -阪急不動産、2016年分譲開始のマンション「ジオ西神中央」全戸に家庭用SOFCを採用
 -表面処理加工業のニステック、超耐熱メッキを開発
 -九州大学、NEXT−PCの250kW級SOFCなどを設置、実用化を目指した実証試験を開始
・燃料電池インフォメーション
■福岡県、北九州市、経済産業省など「再生可能エネルギー先端技術展2014」:10月8日(水)〜10日(金)西日本総合展示場(北九州市小倉北区) ○概要=燃料電池、水素、蓄電池などの先端技術の展示と専門セミナー。3日間にわたり多彩なセミナーが実施される。◇10月8日(水)「燃料電池セミナー」=経済産業省、燃料電池自動車メーカー、水素ステーション関連の講演を予定。200名(無料)◇10月9日(木)「FCV最新技術動向セミナー」=「自動車部品の展望〜FCVの量産化とその影響」(日本自動車部品工業会 松島正秀氏)/「ホンダにおける燃料電池電気自動車の開発と今後の展開」(本田技術研究所 守谷隆史氏)200名◇10月10日(金)「燃料電池・水素エネルギー専門技術セミナー」=「エネファームの本格普及と水素社会実現への取り組み」(東芝燃料電池システム 小川正博氏)/「CO2フリー水素サプライチェーン構想の実現に向けて」(川崎重工業 老松和俊氏)/「住宅進化と燃料電池」(九州大学名誉教授 渡邊俊行氏)/「水素インフラ整備に向けた取り組みと今後の展開」(未定)200名(無料)◇10月10日(金)「北九州水素タウン見学ツアー」=北九州水素ステーション/北九州エネルギー館(水素燃料電池実証住宅、100kW級燃料電池見学含む)先着各30名(無料)○問い合わせ=西日本産業貿易コンベンション協会 運営事務局(TEL093―511―6800)       etc.





シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(92)
 =デング熱の流行を防ぐためにも=
 大串卓矢/スマートエナジー代表取締役社長


・世界を読む 69
 =EUのエネルギー効率30%向上の戦略=
 (本紙:本橋恵一)




コラム
・発電論評<買い取り制度の見直しに当たって>
・青空<だから言わないことじゃない>
・ちょっと一休<山口さんの国定忠治一代記>
・ちょっと一言<ようやく廃炉を考える原子力村>


買い取り制度の見直しに当たって【発電論評】

 固定価格買取制度の見直しが本格的に始まった。固定価格買取制度は、2012年7月から導入され、現在3年目に入っている。当初3年間は最大限の導入を目指すとされ、その方針は、今年4月に閣議決定された第4次エネルギー基本計画でも引き継がれているが、当初3年間という目安が残り1年程度となるなかで長期的な視点に立っての見直しが期待される。
 固定価格買取制度により、約2年間で再生可能エネルギーを取り巻く環境は激変している。制度開始以前は、RPS法があり、電力会社には販売電力量の一定の割合を再生可能エネルギー電力とすることが義務づけられていた。その義務量は政府によって決められていたが、義務量が低めに抑えられ、さらに最低限の達成義務のはずが実質的には目標量として運用されてしまった結果、RPS法は新エネ抑制法ではないかという批判を受け続けることになった。
 代わって導入されたのが、固定価格買い取り制度である。固定価格買い取り制度は、東日本大震災による電源不足や脱原発の世論の後押しも受けて、再生可能エネルギーの最大限の導入を目指す支援制度として導入された。新制度による買い取り価格は、発電所の建設コストや導入後の運営費、事業法集などの総括原価を確保する水準で設計されたこともあり、劇的な効果を生み出し、2年間で新たに導入された再生可能エネルギー発電設備は1千万kWを超え、制度開始以前の設備の導入量を上回るという成果をあげることになった。しかしながら、導入されたほとんど全ての設備が太陽光発電で、他の風力や地熱、バイオマス発電などは当初の期待どおりには導入に弾みがついていないという偏った結果も生み出すことになった。こうした点が制度見直しによってどのように認識され、改善策が打ち出されるのかが注目されるてんだ。
 固定価格買い取り制度以前に導入され、制度開始後に買い取り制度に移行した設備が880万kWあることも発表されている。そのうち半分以上が住宅用の太陽光発電で、次いでボリュームが大きかったのは風力発電の253万kWやバイオマスの113万kWなどがあった。しかし、新制度での風力発電は2年間で11万kWの導入量、バイオマスは9万kWでしかない。見直しではこうした点をどのように改善していくのかが問われる。
 需要家が希望する電源を自由に選択できるようにするためには、様々な種類の再生可能エネルギー電源を大量に創出していく必要がある。効率的な設備運用や、出力の安定策など発電側の努力を買い取り価格に反映させるようなきめ細かな制度設計を考えてみるのも一つの有効な手段になるのではないか。