2014年95日号

27年度エネ特概算要求 再エネ、省エネ、水素に重点
 平成27年度の政府予算の概算要求が各省庁から発表された。経済産業省のエネルギー特会では、前年度当初予算比で11.7%増となる9748億円が要求されている。
 エネルギー関係予算では、昨年制定されたエネルギー基本計画の実現に向けて、供給面では再生可能エネルギーの最大限の導入や石炭火力の高効率化、メタンハイドレートなどの国内資源開発などに3395億円、エネルギーサプライチェーンの強靱化など流通段階の対策として1939億円、省エネの徹底推進や燃料電池自動車や水素ステーション整備などの消費段階の対策に2565億円、エネルギ関係の研究開発として省エネ、再生可能エネ、CO2削減の3分野での革新的技術開発に1199億円の予算が投じられる。
【エネルギー特会の再生可能エネルギー予算の主な項目と予算額】
■再生可能エネルギーの最大導入(高コスト/出力不安定/立地制約の克服)1586億円
<主な事業例>
◇洋上風力発電等技術研究開発(着床式洋上風力発電システムの実証研究など) 79億3千万円
◇地熱資源開発調査事業 90億円
◇地熱開発理解促進関連事業支援補助金 28億円
◇高性能・高信頼性太陽光発電の発電コスト低減技術開発 51億円
◇電力系統出力変動対応技術研究開発事業 60億円
◇再生可能エネルギー余剰電力対策技術高度化事業費(蓄電池開発)27億円
◇風力発電のための送電網整備実証事業費補助金 105億円
◇環境アセスメント調査早期実施実証事業 20億円
◇次世代洋上直流送電システム開発事業 10億円
◇独立型再生可能エネルギー発電システム等対策費補助金 25億円
◇再生可能エネルギー熱利用加速化支援対策費補助金 80億円
◇バイオマスエネルギーの地域自立システム化実証事業 5億円
◇再生可能エネルギー固定価格買取制度施行事業費補助金(電力多消費産業賦課金補填) 456億円
◇地熱発電技術研究開発事業 29億円
◇太陽光発電多用途化実証事業(ビルの壁面や農地など) 18億円
◇海洋エネルギー技術研究開発事業(海流、潮力波力、海洋温度差など) 27億5千万円
◇バイオ燃料導入加速化支援対策費補助金 11億8千万円
◇セルロース系エタノール生産システム総合開発実証事業 15億5千万円
◇再生可能エネルギー熱利用技術開発事業 13億5千万円
◇新エネルギーベンチャー技術革新事業 15億5千万円
◇太陽光発電無線送受電高効率化の研究開発 2億5千万円
◇中小水力開発促進指導事業基礎調査委託費 1億3千万円
◇電力系統関連設備形成等調査委託費 1億5千万円


環境省のエネ特会18%増 再エネや自立分散型など
 環境省が所管するエネ特会計では、前年度当初予算比18%増の1318億9400万円が予算要求されている。
 再生可能エネルギーによる低炭素社会の実現を目指す予算項目としては、風力発電の環境アセス手続きの期間短縮を目指す経産省との連携事業(11億7千万円)や、長崎県五島沖で実施する浮体式の洋上風力発電の実証事業(17億7千万円)、農水省との連携事業として実施している木質バイオマス発電の実証事業(18億円)や地域循環型バイオガスシステム構築事業なども継続して実施される。
 また、自立分散型低炭素エネルギーシステムの拡大を目指して米国エネルギー省となどと協力して実施している実証事業(13億5千万円)も昨年度に引き続き実施する。大規模なコミュニティや公共施設などでの実事業を想定し、電力系統への影響や蓄電池の最適配置、直流電力の融通や熱融通、交流・直流のハイブリッド制御などのシステム技術の実証が28年度まで継続される。
【環境省のエネ特会計の再エネ関係の主な予算項目と予算額】
◇先導的「低炭素・循環・自然共生」地域創出事業(グリーンプラン・パートナーシップ事業) 78億円
◇防災拠点等公共施設への再生可能エネルギー等導入推進事業(グリーンニューディール事業) 118億円
◇地熱・地中熱等の利用による低炭素社会推進事業 28億5千万円
◇風力発電等に係る環境アセスメント基礎情報整備モデル事業(経済産業省連携事業) 11億7300万円
◇洋上風力発電実証事業 17億7100万円
◇木質バイオマスエネルギーを活用したモデル地域づくり推進事業(農林水産省連携事業) 18億円
◇地域循環型バイオガスシステム構築モデル事業(農林水産省連携事業) 9億円
◇廃棄物エネルギー導入・低炭素化促進事業 10億9200万円
◇潮流発電技術実用化推進事業(経済産業省連携事業) 10億円
◇(新)風力発電等に係る地域主導型の戦略的適地抽出手法の構築事業 1億5800万円
◇(新)風力発電設備に関する環境保全措置実証事業 3億5200万円
◇自立・分散型低炭素エネルギー社会構築推進事業 13億5千万円
◇離島の低炭素地域づくり推進事業 13億5200万円
◇CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業 70億円
◇(新)再エネ等を活用した水素社会推進事業(一部経済産業省連携事業) 30億円
◇CCSによるカーボンマイナス社会推進事業(一部経済産業省連携事業) 30億円
◇水道施設への小水力発電の導入ポテンシャル調査事業(厚生労働省連携事業) 2億8千万円


太陽電池モジュール 第1四半期国内出荷は14%増 海外製造がシェア拡大
 太陽光発電協会は、2014年度第1四半期(4−6月)の太陽電池(セル・モジュール)の出荷状況を発表した。パネルメーカーや販売会社など47社を対象にアンケート調査して、回答のあった39社の出荷データを取りまとめた。
 同期の国内向けのモジュール出荷量は188万2千kWで、前年度同期に比べて14%増となった モジュールの国内向け出荷量のうち日本企業のものは130万kWで総出荷量の69%を占めているが、外国企業のシェアが徐々に拡大している。
 用途別の出荷量は、住宅用が65万7144kW、非住宅用が138万8305kWで、非住宅用が73.8%を占める。
 非住宅用の内訳は、発電事業用が65万7144kW、発電事業用以外が73万1161kWで発電事業用とそうでないものとがほぼ半々の割合。発電事業用は前年同期比で45%増だが、発電事業用以外は71%増で、発電事業用以外のものの方が伸び率が大きい。発電事業用として集計されているものが500kW以上のものとして分類されているためだと思われる。


霧島酒造、サツマイモ発電事業を開始
 霧島酒造は、芋焼酎の製造過程で生じる芋くずや焼酎粕を原料としてバイオガス発電する「サツマイモ発電」による発電事業を開始する。サツマイモによる発電事業は国内では初めて、年間約400万kWhの発電量が見込まれ、本格焼酎メーカーとしては国内最大規模の発電量となる。発電した電力は、固定価格買い取り制度により全量を九州電力に売電する。
 霧島酒造では、2003年から焼酎粕の廃液処理に取り組み、2006年には焼酎粕をバイオマス資源として利用するリサイクル事業を開始。2012年にはリサイクルプラントを増設し、国内最大級の焼酎粕リサイクルプラントを稼働させている。現在、1日最大800トン発生する焼酎粕をメタン発酵によりガス化し、焼酎製造工程の蒸気ボイラーの熱源として活用しているが、発生するメタンガスの44%程度しか利用できていなかったが発電利用を追加することで、ほぼ100%が利用できる。年間約1億5千万円の売電収入が見込まれている。


その他の主な記事
・戸田建設 ZEB化に向け直流給電を研究開発
・野村不動産 高圧一括受電サービスに参入
・紙製容器の非常用マグネシウム電池 水を入れるだけで発電
・KDDI マンション向け電力小売り事業に参入
・東北大 高密度固体リチウム電池を開発
・京セラ ため池で太陽光発電を推進
・カゴメ 十和田工場跡地のメガソーラーが完成
・東芝、淡路島でバイナリー発電 風力と太陽熱とバイオマス
・NTTF 高知で新たなメガソーラー
・岩谷産業 東京タワー下に水素ST
・三菱マテリアル リ電池電解液を再資源化
・アストマックス 分譲型太陽光が完成
・シャープ 伊勢崎太陽光が運開
・太陽光発電シンポジウムを開催
・省エネ大賞地区大会 10月に東京と大阪で
・経産省 次世代エネパーク計画を募集
・NEPC、小水力モデル事業を採択
・水素利用社会などでJPIセミナー
・電力システム改革の最新動向などでSSKセミナー   etc.

<インタビュー>
・地球温暖化防止に向けた国際交渉と国内対策
(環境省 地球環境局長 梶原成元氏)
 
来年末にフランスのパリで開催される気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で、2020年以降の温室効果ガス削減の枠組みが合意される予定だ。日本も新たな目標を持つことになるが、当然ながら温室効果ガス削減の取り組みを加速していくことも必要となる。原発再稼働も見通せず、政府の削減目標は未定という現状において、環境省ではどのような施策を考えているのだろうか。




シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革(55)独エネルギー分野の「適応策」=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授

・エネルギー市場のサステナブルな世界(その3)
 =原子力価格保証制度は成功するか?=
 日本サスティナブル・エナジー株式会社 大野嘉久






コラム
・発電論評<ダブル発電の再評価への期待>
・プリズム<オピニオンリーダーの責務>
・青空<政局報道の心地よさ>
・ちょっと一休<シニアがジュニアの演奏家を支援>




ダブル発電の再評価への期待【発電論評】

 固定価格買い取り制度が導入されて3年目を迎え、制度の見直しが始まっている。太陽光発電の取り扱いが最大の課題となりそうだ。固定価格買い取り制度により、導入された太陽光発電は約1千万kWだが、建設が計画されている認定設備は7千万kWに迫っている。国内の太陽光発電所の建設は工事事業者の施行能力などを勘案すると年間に800万kW程度が上限だと見られており、現在の認定設備が全て運転を開始するには単純計算でも7〜8年程度かかってしまうことになる。
 一方では、太陽光発電に対する系統接続の制限も顕在化してきているが、大量の再生可能エネルギー電力の受け入れを担保するために、無制限に系統強化を行うことには限界がある。
 固定価格買い取り制度は、別の見方をすれば再生可能エネルギー電力を全て系統に受け入れる制度だともいえる。例えば家庭用の太陽光発電の場合、自家消費した上で余剰電力だけを売電できるという制度だが、10kW以上の設備になると、全量買い取りの対象となる。自家消費するよりも売る方が有利だということなのだが、自分で作った電気は外部に売って使う電気は改めて別に買うというところに何か居心地の悪さがある。
 見直しの観点に、こうした全量買い取りの優遇を見直すことも考えてみたい。もう一つの例を挙げれば、家庭用の太陽光発電で古くから見直しを求められている問題にダブル発電の取り扱いがある。ダブル発電は太陽光発電と家庭用の燃料電池やコージェネシステムなどを併設する場合、余剰電力がかさ上げされるという理由で、買い取り料金が大幅に割り引かれる。以前からの制度が、固定価格買い取り制度にもそのまま引き継がれているのだが、ダブル発電は、太陽光発電の最大の欠点とされる出力の不安定さを補ってくれるという利点がある。ダブル発電の余剰電力は、太陽光発電の発電量に合わせて燃料電池やコージェネの出力をコントロールすれば安定した電力を系統側に送り出すことができる。この点を評価して、ダブル発電の買い取り料金を優遇すれば、太陽光発電を安定電源として普及させることが期待できるのではないか。
 家庭用に限らず、太陽光や風力の出力安定化には現在は蓄電池の利用が主流だが、燃料電池やコージェネを利用することで、さらに安定した電源として運用する可能性が広がることになる。使用する電源もエネルギー効率の高いものに限定し、バイオマス燃料を使用するなどの条件を加味すれば、低炭素電源を普及させるという買い取り制度の趣旨をはみ出すことはないと思われる。
 制度の見直しに、ダブル発電の再評価を加えることが望まれる。