2014年825日号

常用自家発2013年度は減少 ピーク過ぎる
 日本内燃力発電設備協会は、2013年度に国内で設置された常用自家発電設備の設置状況の調査結果を発表した。
 2013年度の設置台数は、前年度に比べ15.8%減少した821台で、設備容量の合計でも7.4%減の22万2166.4kWとなり、台数、容量共に前年度を下回った。東日本大震災以降の電力不足の顕在化や停電対策として常用自家発電設備の市場は拡大に転じていたが、13年度には再び減少に転じた。自家用電源の新設、増設や改修需要などが一巡し、停電対策も進展したこと、節電、省エネ対策の進展などにより、ピーク電力も減少していることなどの様々な要因がから、常用自家発の導入機運も一時的なピークを越えたものと思われる。
 ディーゼル、ガスエンジン、ガスタービンを原動機とする自家発電設備の導入状況を、設備を供給するメーカーにアンケート調査した。発電事業用や非常用、防災専用の発電設備、家庭用発電設備は調査の対象に含まれていない。
 施設別に設置状況を見ると、工場向けの常用自家発は台数は減少したものの容量では増加、184台/15万6797.8kWが設置されている。病院やポンプ場テナントビルなどでも好調で、病院は台数、容量共に増加している。減少が目立つのは、店舗類や事務所ビルなどで、店舗類は台数で6.7%減、容量では30.4%減と大きく落ち込んでいる。
 メーカー別に見ると、ヤンマーエネルギーシステム(ヤンマー分含)が台数では最多の682台を設置、容量では工場向けのガスタービン2台を設置したIHIが4万4910kWで最多だった。容量2位はヤンマーの3万9509.4kW、三菱重工の2万4771.0kW、川崎重工業の2万860kWと続いている。


基本政策分科会が再会 技術開発ロードマップの進捗状況など報告
 経済産業省は、8月19日に、総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会(分科会長・坂根正弘コマツ相談役)を開催した。分科会はエネルギー基本計画の原案をとりまとめて以来の8カ月ぶりの開催で、三村前分科会長の後任として調査会会長と兼任する坂根新分科会長が就任後初参加する会合となった。坂根新会長は「エネルギー基本計画に沿って具体的で効果の高いエネルギー政策をまとめる。」と挨拶し、エネルギー基本計画を具現化してエネルギー源ごとの導入目標を定める「ベストミックス」の設定なに向けた抱負を述べた。
 同日の分科会は、基本計画の具現化に向けて先行して検討が進められている新エネルギー、原子力、省エネルギーの3つの小委員会と資源燃料分科会での検討状況について報告し、各委員がそれぞれの意見を述べた。また、今夏までに策定することとされている「エネルギー関係技術開発ロードマップ」の策定状況についても報告された。
 技術開発ロードマップについて取り上げられた開発技術は次の通り。
【生産・供給】◇火力発電(高効率石炭火力/高効率天然ガス発電)◇再生可能エネルギー(風力発電/太陽光発電/再生可能エネルギー熱利用/海洋エネルギー利用/地熱発電/バイオマス利活用)◇原子力発電◇メタンハイドレート◇資源技術開発◇次世代海洋資源開発技術(海底熱水鉱床)◇二酸化炭素回収・貯蔵・利用(CCUS)(二酸化炭素回収・貯留/人工光合成)
【消費・需要】◇運輸(次世代自動車/航空機/高度道路交通システム)◇デバイス(革新的デバイス)◇材料(革新的構造材料)◇エネルギー利用技術(エネルギーマネジメントシステム/省エネ住宅・ビル/高効率エネルギー産業利用/高効率ヒートポンプ/)◇生産プロセス(環境調和型製鉄プロセス/革新的製造プロセス)
【流通・需給統合】◇エネルギー変換・貯蔵・輸送(水素製造・輸送・貯蔵/水素利用(燃料電池・水素発電)/高性能電力貯蔵/蓄熱・断熱等技術/超電導送電)


矢野経済研究所、グリーン電力市場に関する調査結果を発表
 矢野経済研究所は、再生可能エネルギーを活用する国内のグリーン電力市場を調査。グリーン電力の市場規模は2013年度の1350億円から高成長を続け、2020年度には1兆2千億円へと拡大すると予測している。グリーン電力を販売する自由化市場をグリーン電力市場と定義して、新電力事業者がグリーン電力を供給する事業の売上高を対象とし、固定価格買取制度により一般電気事業者が買い取って、賦課金負担により販売する規制市場は調査の対象とはしていない。
 2013年度のグリーン電力市場規模は、電力小売が自由化されている高圧分野を中心として1350億円(事業者売上高ベース)で、家庭用まで含め全面自由化される2016年度には、新電力各社が環境価値の高いグリーン電力の供給比率を高める事業計画を立てていることから、グリーン電力に対する需要が急増すると予測。市場は、年平均成長率36.6%と高水準で拡大し、2020年度には1兆2千億円規模へと成長すると予測している。


その他の主な記事
・住友商事 インドネシアの地熱を継続受注
・ユーラスエナジー イタリアの既設風力に事業参加
・双日インシュアランス 太陽光発電保険を発売
・東京商工リサーチ 新電力への参入状況を調査
・三井不動産 霞ヶ関ビルなど改修 自家発増設でテナントにも72時間給電
・LOOOP、低価格のメガソーラーキットを発売
・矢野経済 グリーン電力市場を調査
・グリスム エネリスと提携 太陽光発電事業に参入
・凸版印刷 北九州のEMS実証を継続
・環境省、小水力実証を募集
・環境省 自立分散型を募集
・地熱開発補助2次決まる 3次募集を開始
・産総研、12月にメタハイシンポ
・自然エネ財団が9月17日に国際シンポシンポ   etc.

<インタビュー>
・太陽光発電―世界的な拡大と日本への提案
(国際太陽エネルギー学会(ISES)会長 デビッド・レネ博士)
我が国では、固定価格買取制度(FIT)によって急拡大中の太陽光発電だが、世界的にもコストの低下などでさらなる拡大が予想されている。こうした見通しと、日本市場への提言について、国際太陽エネルギー学会(ISES)会長のデビッド・レネ博士が、自然エネルギー財団メディア懇談会の席で語った。その内容は・・・。


<分散型エネルギー最前線>
・LPガスを活用する災害対応型マンションを訪ねる
(岩谷産業とデンヨーがシステム開発)
災害に対応した分散型エネルギーとして、LPガスに注目が集まっている。スターツCAMが手掛けた横浜市で竣工間近の「防災免震賃貸マンション」では、LPガス大手の岩谷産業と共同で開発したLPガスを燃料とする自家発電設備により、緊急災害時のエネルギーが確保される。6月20日には、横浜市で完成直前のマンション「レジデンス南軽井沢」が報道陣に公開された。




シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流(48)
 =人間の思考の枠組みと最適なエネルギー=
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一)

・日本の再生可能エネルギー事情 その16
 =ドイツの再生可能エネルギーに起きる衝撃 =
 日本再生可能エネルギー総合研究所代表 北村和也




コラム
・発電論評<高効率分散型電源の普及の具体化を>
・青空<またしても大規模土砂災害が発生>
・ちょっと一休<桐山さんの追悼ゴルフ会>
・一筆啓上<冷熱の無駄遣い>


高効率分散型電源の普及の具体化を【発電論評】

 コージェネも自家発も燃料費の壁を越えられないでいる。古くて新しいのが燃料費の壁だ。常用の自家発電やコージェネなどの分散型電源は、比較の対象となるのは電気料金である。燃料費の高騰によりランニングコストの低減が困難な状況が続き、自家発やコージェネは大きなハンディを背負っている。
 コージェネや自家発が導入されるのは、コスト以外のメリットが評価される場合に限られることが繰り返されている。最近では省CO2を主目的とした環境性能であったり、東日本大震災に伴って顕在化した電力の供給不安に対する電力自給力の向上、BCP対策で自家発やコージェネが一時的に拡大できていた。この夏相次いで発表された、自家発やコージェネに関する統計調査結果では、自家発やコージェネの導入意欲はピークを越えたと見られるデータが示されている。このままでは、また、自家発やコージェネは冬の時代を迎えることになってしまいそうだ。新たな市場開拓に向けた一工夫が求められているのではないか。
 自家発やコージェネの導入メリットは何か。それは、なによりも、高効率ということにある。また、他の電源との親和性や協調性がとても高いということもある。こうした自家発やコージェネの特徴を最大限に活かして、自由化後のわが国電力市場のなかでの普及させるには市場に任せるだけではなく、普及させるための社会的な評価を具体的な制度に変えていくことが必要だ。
 負担感を和らげるには、やはり制度的な支援が必要なのではないか。例えば、再生可能エネルギーに対する国内外の買い取り制度にならって、エネルギー効率の高い発電システムの優遇制度は考えられないだろうか。託送料金をエネルギー効率によって差を付けるということも有効かもしれない。また、省CO2効果も加味して、電源の低炭素性に伴って買い取り価格や市場での売電価格に上乗せするという仕組みも有効かもしれない。省CO2性の評価は再生可能エネルギーやコージェネなどの分散型電源だけでなく原子力発電の評価にもつながることにもなる。
 また、高効率性を評価する手段としては、化石燃料の削減効果というのもカウントできるかもしれない。エネルギー効率を上げることで一次エネルギーを削減できる効果を評価するわけだが、電力のピーク削減=ネガワット効果と同様の考え方であり、これを化石燃料削減効果として評価する仕組みを工夫すればよい。
 分散型電源は化石燃料を削減することや国産バイオマスをエネルギー資源に変えるという重要な役割を担っている。普及を加速化させる制度的支援を具体化させる取り組みが必要ではないか。