2014年725日号

防災用自家発は高止まり 内発協が2013年度導入実績
 日本内燃力発電設備協会は、2013年度に国内に設置された防災用自家発電設備の設置状況をまとめ発表した。
 設置台数の合計は前年度に比べ0.6%減の8313台、設置容量では0.4%減の118万3791.6kWとなり、いずれも前年度の実績をわずかながら下回った。防災用の自家発電設備は、東日本大震災による計画停電や節電要請など、電力の安定供給に対する懸念が高まる中で、電力自給力の確保や事業継続性の観点から市場が急拡大しているが、設置実績はまだまだ極めて高い水準を維持しているが、一つのピークを越えたと言えるようだ。
 都道府県別に見ると設置台数が増えているのは22府県で減少しているのは25都道県。減少した地区は東日本で目立っており、西日本では増加した府県が多い。施設別に見ると、病院や福祉施設などでは減少、また工場や作業上なども20%を超える大幅な減少となっているのに対して、学校や共同住宅、テナントビルなどの設置件数は増加している。
 メーカー別に見ると台数、容量共に飛び抜けて多いのはヤンマーエネルギーシステムで3066台・27万4254.8kWを設置した。台数では前年度に比べ0.3%減とわずかに下回ったが、容量では3.7%増と前年度を上回っている。親会社のヤンマーでも別に124台・8万5627kWの実績があり合わせると3190台・35万9881.8kWとヤンマーグループでは台数では38.4%、容量でも30.4%のシェアがある。
 原動機別に見ると、ディーゼルが台数では97.0%、容量では69.2%を占めている。ガスタービンは、コンパクト制や非常時にも冷却水が不要であるなどの特徴があり通信施設やデータセンターなどを中心に非常用電源としての用途が確立されている。ガスタービンは、251台・36万4822.5kWが設置されているが、そのうち、109台・16万5022.5kWは川崎重工が設置している。
 また、防災用発電設備を防災用の用途以外でも使用できるようにする兼用機も協会では、別の認定制度を設けて設置統計を発表している。2013年度の兼用機の設置実績は、ディーゼルが11台・9万570kW、ガスエンジンが9台・5833kW、ガスタービンが1台・1400kW。合計21台・1万6803kWの実績があった。前年度に比べると、台数では25.0%減、容量でも26.4%減と大幅に減少している。
 兼用機の設置実績があるのはディーゼルが三菱電機、三菱重工業、ヤンマー、ダイハツディーゼル、東芝の5社。ガスエンジンが三菱重工、JFEエンジニアリング、ヤンマーエネルギーシステムの3社。ガスタービンは川崎重工業1社だった。兼用機の設置先は百貨店・店舗、病院、学校、工場・作業場、その他事業場だった。


ガスコージェネ導入量は減少 ガス協会が2013年度の導入実績
 日本ガス協会は、2013年度末のガスコージェネレーションシステムの導入状況をとりまとめた。都市ガスを燃料とするガスエンジンやガスタービン、燃料電池などのコージェネレーションシステムの導入実績を全国の都市ガス事業者209社を対象に調査した。
 それによると、2013年度末の累積導入量は前年度末に比べて9.3万kW増加し491.2万kWとなった。累積の設置件数は19万1104件で、1年間で3万4546件増加した。家庭用を除く業務用と産業用の累積件数は6921件で前年度末に比べて265件の増加となった。家庭用の件数は18万4183件で、3万4281件増加した。
 業務用の累積の設置容量は115万1千kWで、前年度に比べた増加量は0.7万kW。産業用は358.8万kWで、1年間の増加量は5.8万kWとなった。単年度の増加量は12年度の業務用4.4万kW、産業用21.6万kWに比べると大幅に減少している。


岩谷産業、日本初の商用水素ステーションを開設
 岩谷産業は、尼崎市の中央研究所の敷地内に日本では初めてとなる商用の水素ステーションを建設し、7月14日に開所式を行った。
 尼崎水素ステーションは、製造設備を持たず、燃料用の水素はタンクローリーで外部から運び込むオフサイト方式の水素ステーションで、1時間当たり340N立方mの供給能力があり、燃料電池自動車や燃料電池バスなどに70MPaの圧力で1時間当たり6台まで満充電できる。充電時間は3分以内で、ガソリンの給油時間程度で水素の充填が行える。
 水素は、同社の液化水素の製造拠点のある堺市からローリー輸送する。水素の貯蔵充填設備は協力関係にあるドイツリンデ社の充填パッケージが採用されており、今後、岩谷が整備する水素ステーションでは基本的にリンデ社製の充填パッケージが採用される。
 岩谷産業は、産業用水素のトップサプライヤーであり、国家プロジェクトである水素ステーションの整備にも積極的に取り組む方針で、2015年度までに東京、名古屋、大阪、福岡の4大都市圏を中心に、20カ所の商用水素ステーションを自社設置することを表明している。その第1号として尼崎水素ステーションが完成した。


海洋再生エネ実証フィールドに6地域を指定
 総合海洋政策本部が日本近海で再生可能エネルギーの開発を促進する実証事業として計画する「海洋再生可能エネルギー実証フィールド」として、沖縄・久米島の温度差発電や、佐賀・加部島の潮流+洋上風力、新潟・粟島の波力発電など6地域が選定された。「海洋再生可能エネルギー利用促進に関する今後の取組方針」に基づき、実験海域を募集し、応募のあった7県11海域から、6海域が選定された。
 海洋エネルギーの開発を促進するため、一昨年5月に総合海洋政策本部が決め多「海洋再生可能エネルギー利用の取り組み方針」に、国が実証試験を行う海域を指定して提供する実証フィールド事業を行うことを決め、各都道府県を対象に募集していた。実証フィールドでは海底ケーブルや変電設備等を公的支援で整備して、試験環境を整備して、事業者が実海域を使って行う海洋再生エネルギーシステムの開発を支援する。
 選定された6海域は次の通り。
◇淡島浦村沖(新潟県) 海流(潮流)、波力、浮体式洋上風力
◇唐津市加部島沖(佐賀県) 潮流、浮体式洋上風力
◇五島市久賀島沖(長崎県) 潮流
◇五島市椛島沖(長崎県) 浮体式洋上風力
◇西海市江島・平島沖(長崎県) 潮流
◇久米島沖(沖縄県) 海洋温度差
◆今回は選定が見送られた5海域
◇釜石市沖(岩手県) 波力、浮体式洋上風力
◇串本町潮岬沖(和歌山県) 海流
◇長島町長島海峡(鹿児島県) 潮流
◇十島村口之島・中之島周辺(鹿児島県) 海流
◇石垣島(沖縄県) 波力


その他の主な記事
・JX 水素事業の専門会社を設立 移動式ステーションも
・大阪市 下水処理場で消化ガス発電
・三井ホーム 住宅の年間冷暖房費がゼロ
・京大吉田地区ESCO 事業者を募集
・大阪府 ESCO
・ガスシステム改革小委 LNG基地の共同利用などを議論
・海洋再生エネ実証フィールド決まる
・NEDO 水素セミナー
・コージェネ特別講演会
・サミットエナジー 半田市でバイオマス発電
・三菱重工 米国の超大型CO2回収プラントを受注
・オリックス 物流倉庫の屋根でメガソーラー事業
・日本アジア 行田市のメガソーラーに着手
・三井造船と伊藤忠ら 大分のメガソーラーに着手
・ワタミ 北海道のメガソーラー事業に参画
・NTTF 南島原市にもメガソーラー
・JX いわき市のメガソーラーが完成
・オリックス 函館と青森で地熱発電の事業化調査
・30日からPVジャパンと再生可能エネ世界展
・農水省、全国で農村再可エネ法説明会を順次開催
・産総研 メタンハイドレートで講演会   etc.

<インタビュー>
・最も信頼されるエネルギー小売企業に
(日本瓦斯株式会社 代表取締役社長 和田眞治氏)
日本瓦斯(ニチガス)は、今年3月に都市ガス子会社4社を完全子会社化した。北米では電力・ガス小売市場の厳しい競争が展開されているテキサス州などで事業を拡大させている。目前に迫る電力とガスの自由化を控え、自由化を乗り越え「お客様から最も信頼されるエネルギー小売企業」を目指すニチガスの和田社長に話をおうかがいした。




シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流(47)
 =21世紀は再び戦争の世紀となるのか=
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一)

・日本の再生可能エネルギー事情 その15
 =太陽光にまつわる3つの実体験 =
 日本再生可能エネルギー総合研究所代表 北村和也




コラム
・発電論評<コージェネの新たな市場拡大に向けて>
・青空<晩ご飯を食べていた3歳の孫が突然・・・>
・ちょっと一休<「岡目八目」を書いていた>
・一筆啓上<世界一になれない?>


コージェネの新たな市場拡大に向けて【発電論評】

 防災用自家発電設備の導入が高い水準で推移している。防災用自家発電設備の認定を行っている内発協の発表によると2013年度の実績も前年度に引き続き8千件を大幅に超える設置台数がある。設備容量でも118万kW超と極めて高い水準が維持されている。しかしながら、東日本大震災以来、爆発的に伸びていた設置実績は、ここへ来て頭打ちの傾向を見せ始めているのも事実。震災復興からの需要や強靱化対策などの公共需要の動向を見ても、需要がピークを迎えていると見られている。
 一方で、ガスコージェネレーションなどの常用の自家発市場は、早くも需要のシュリンクが始まっているようだ。ガスコージェネの導入量は、2012年度には、数年ぶりに高い需要の伸びがあったが、13年度の家庭用を除く導入量はわずか6万kW余りと大幅に減少し、リーマンショック後数年間の水準にもどってしまうのではないかとの観測もある。電力自給力の確保という新たな市場も、系統電力の復活と共に、一時のブームが去りつつあるとの危惧が現実化してきている。
 コージェネや自家発は、新たな市場が一時的に生まれても、それを維持できず、好調と停滞と繰り返してきている。問題の根本には、高止まりする燃料費という古くて新しい問題が横たわっており、コージェネや自家発の導入動機は、いつの時代も電気料金との比較であり、電気料金の削減ができないと導入されないという問題が解決できないでいる。電力自由化を目前に控えて、こうした電力の安定確保という目的はますます電力ユーザーの中では高まることはあっても減ることはない。しかしながら、それがコスト増になるのであれば、導入には結びつかないということだ。
 一方で、電力自由化を目前に控えて、電力小売り事業への参入が相次いでいる。こうした新規参入者にとって最大の問題は販売する電源の調達である。現在、国内で新たに建設される電源は火力電源と再生可能エネルギー電源が中心だが、再生可能エネルギー電源には出力の安定化、火力には、高効率化の課題がある。そのどちらもコージェネや自家発にとっては最も特徴を発揮しやすい分野であり、電力自給力の確保と再生可能エネルギーの安定化、火力電源の高効率化の解を同時に出せるのはコージェネや自家発しかないということもできる。自家発の場合は単機運転では効率は劣っても、複数台で付加追従型の運転を行うことで省エネ型の発電運転が可能だ。さらに、燃料にバイオマスや水素なども利用すれば新たな市場も見えてくる。
 防災用の需要が高止まりしている今、将来の市場拡大につながる、業界としての提案力が問われている。