2014.06.15


2014年615日号

2016年から小売り全面自由化 電事法改正案が成立
 2016年からの電力小売り全面自由化を主な内容とする電気事業法の改正案が、6月11日に参議院本会議で可決成立した。
 自由化後は、電気事業への参入は自由化され、現在は地域の電力会社に限定されている家庭用も含めた電力販売が自由に行えるようになる。電気事業は発電事業と送配電事業、小売り事業に3分割され、事業種ごとのライセンス制となる。東京電力などの電力会社は発電、送配電、小売りの3つのライセンスを取得して、これまで通りの電力事業を行うが、地域独占の参入障壁がなくなるので、発電や小売りについては、地域のとらわれず自由に事業参入できる。自由化後も、需要家保護の観点から当分の間は、家庭用などの料金規制は存続させ、一般電気事業者に供給義務を課す。
 昨年に引き続く第2弾となるもので、2015年の電力ネットワークの広域系統運用機関の設立に続いて、2016年からの家庭用も含む電力の小売り全面自由化に向けて法改正が行われた。自由化によって、全ての需要家は電力会社を選択できることが制度的には担保されることになる。また、自由化によって、再生可能エネルギーの買い取り義務もこれまでの一般電気事業者から、小売り事業者全体に範囲が広げられる。買い取りを拒否する場合は、説明責任が求められる。


2013年度太陽電池出荷量は2.2倍 供給力は限界に
 太陽光発電協会は、2013年度の太陽光発電セル・モジュールの出荷統計を発表した。
 固定価格買取制度による市場の急拡大が鮮明になっている日本の太陽光発電市場向けの太陽電池の出荷量は、モジュール出荷量が前年度比224%となる854万6千kWと前年度を2倍以上上回る大幅な伸びとなった。太陽光発電協会が日本国内に対等電池セル・モジュールを出荷した47社にアンケート調査し、そのうち回答のあった44社の出荷量を集計した。協会では、44社のシェアはほぼ100%を占めているとしている。
 四半期別に見た輸出も含めた出荷量は第1四半期が165万4千kW、第2四半期が207万4千kW、第3四半期が204万kW、第4四半期が277万5千kWと年度末の第4四半期は第1四半期を100万kW以上上回る大幅な伸びを示している。協会では、固定価格買取制度によりメガソーラーなどの大型案件の伸びが顕著であり、固定価格買取制度の設備認定量も3月末には4千万kWを確実に超えていると見通されていることもあり、当分の間、高水準の出荷量が継続すると見ている。
 協会では、国内市場の急拡大に伴って、輸入品も急拡大しているとしており、昨年度から、国内向けの出荷量のうち、海外資本が50%未満のメーカーを日本企業として出荷状況を独自に集計している。それによると、44社のうち22社が日本企業で、日本企業の出荷量は全体の出荷量のうち71%にあたる604万3千kWとなっている。しかしながら、日本企業が国内で製造出荷したモジュールは41%にとどまるなど海外製品が急拡大している。


三菱重工業、分散電源事業推進室を新設 単体売りからパッケージ提案へ
 三菱重工業は、7月1日付で多様な中小型電源設備事業を統括する新組織「分散電源事業推進室」を設置し、エネルギー・環境ドメインと機械・設備システムドメインの2つのドメインに跨っている分散電源関連製品事業を取りまとめ、これまでの製品単体売りからビジネスモデルを転換し、各種の分散電源システムをサービスも含めパッケージとして提案・営業できるようにする。
 新組織は、全世界規模で拡大する分散電源市場を睨みながら、機動的に商域を開拓していくことを目指す。中長期的には事業規模3千億円超とすることを目標にする。対象となる事業は、エネルギー・環境ドメインの航空機エンジン転用型ガスタービン、ヘビーデューティ小型ガスタービン、ORC(有機サイクル熱回収装置)、ESS(蓄電システム)と、機械・設備システムドメインのディーゼルエンジンやガスエンジン、地域冷暖房システム(大型冷凍機)など。新組織は、複数事業を統括していくマネジメント能力が重要となることから、各製品部門の営業、技術などの代表者を選抜して発足させる。


IHI、小型バイナリー発電装置を会津の実証事業向けに納入
 IHIは、小型バイナリー発電装置の初号機を福島県の南会津町で実施される木質バイオマスを使った実証試験用設備として納入した。実証事業は、福島ミドリ安全が林野庁から受託して実施するもので、地域の木質バイオマス資源を利用して木質バイオマスボイラーと小型バイナリー発電装置を組み合わせた熱電供給プロジェクトとして実施される。
 木質バイオマスボイラーと小型バイナリー発電装置を組み合わせて熱電併給を行うのは国内では初めての取り組みとなるもので、実証事業では、「会津高原リゾート」の5施設に出力600kWと400kWの木質バイオマスボイラから供給する熱(温水)を利用して、最大送電端出力20kWのバイナリー発電装置で発電する。発電した電力は、同リゾート内のホテルや入浴施設で利用される。


その他の主な記事
・ガスシステム改革、簡易ガス事業は廃止の方向
・大阪版BEMS事業者に21社が登録
・富山県 再可エネビジョンを策定
・福井県 農業用水利用の小水力発電が完成
・国土強靱化でセミナー
・環境白書、グリーン投資や温暖化対策の現状など
・自然電力 南伊勢町でメガソーラー事業
・東京ガス 集合住宅のピーク電力を58%カット
・ファーストエスコ 大分にバイオマス発電所
・丸紅 12月に新潟にもメガソーラー
・オリックス 三重のゴルフ場跡地に5万kWの太陽光
・蓄電システムレンタルを中部と関西
・味の素が佐賀市とバイオガス活用で共同研究
・ソーラーフロンティア 新潟の農業用排水路の太陽光発電にパネル
・三井不動産 柏の葉の中核街区のオープンが7月8日
・日立 需要家向けエネマネサービスを展開
・清水建設 岩手に2カ所目のメガソーラーを計画
・スマートハウスを実証
・関東経産局 Jクレジットのとり組みを支援
・関東経産局 エネルギー基盤強化セミナー
・環境省 地域の太陽光発電の手引きを作成
・東京都 下水道事業のエネルギー基本計画
・九都県市が 水素社会で提言
・11月に京都でIRED
・エネ庁 省エネ事業補助の募集開始
・スマコミJAPAN2014 18日から
・地熱発電開発交付先
・地熱・地中熱利用低炭素推進事業決まる
・再可エネ熱利用実証決まる   etc.

<インタビュー>
・エネソルのコンテンツに電力小売りも加えて
 (株式会社関電エネルギーソリューション 東京支社長 高畑亨氏氏)
 今年4月から、関西電力のグループ会社である関電エネルギーソリューションが首都圏で電力供給を開始した。中部電力が買収したダイヤモンドパワーに次いで、他電力の首都圏進出となった。だが、関電エネルギーソリューション(Kenes)にとっては、電力小売り参入よりも、エネルギーソリューションのコンテンツとして、電力供給をサービスに加えた新たな総合エネルギー事業の構築という意味が強いという。ではソリューションビジネスそのものは、どのような展開を目指しているのだろうか。東京支社長の高畑淳氏にお話を伺った。



燃料電池新聞の主な記事
・第21回燃料電池シンポジウムレポート
・KPMG自動車関連企業幹部インタビュー
・海外ニュース
 -加バラード社ととバンホールNV、独都市バス運営会社RVKに最新燃料電池バスを2台納入
 -現代自動車がカリフォルニア州で月間499ドルでリース販売するFCVがロサンゼルスに到着
 -英国で欧州最大の水素バスプロジェクトが正式にスタート
 -英インテリジェントエナジー社が第4世代空冷式燃料電池システムを発表
 -米食品卸セントラルグロッサーズ、プラグパワー社とリフトトラック用燃料電池のリプレース契約を結ぶ
 -独フランクフルトのPower-to-Gasプラント、2014年4月から3年間の実用試験を開始
 -加バラード社、フィリピンマニラ市の基地局に12台のバックアップ電源を設置
 -仏ミッシェルグループ、仏シンビオFCに資本参加
 -米ファーストエレメント社、2760万ドルの助成金を得て19カ所の水素ステーションを建設
 -米トヨタ自動車販売、米ファーストエレメント社に水素ステーション建設資金を融資
 -米ビジョンインダストリーズが燃料電池清掃トラックを開発
 -独SFCエナジー社、北極圏で使用可能なDMFC「EFOY ProCabinet」を開発
 -仏GDFスエズ社、フランス初の家庭用マイクロコージェネを2台設置
 -GMのFCV「Chevrolet Equinox」の累計走行距離が300万マイルに到達
 -米DOE−EERE、SBIRプログラムにジナー社の電解質膜開発などを採択
 -独マインツ市でPower to Gasプラントの起工式
 -伊アクタ、台湾のM−シールドエナジー社から水電解水素製造モジュールを受注
 -米WGEシステムズ社が2600kW級のブルームエナジーサーバーによる売電事業を開始
 -米フューエルセルエナジー社と韓国ポスコエナジー社がグローバルな製品供給に向け関係強化
・燃料電池フラッシュニュース
 -レモンガス、小田原市にLPGを燃料とするスマートコミュニティーを建設
 -ホンダなど、さいたま市に住宅間でエネルギー融通できる実証を開始
 -住友精密、燃料電池などを伸ばす中期経営計画を発表
 -東京都、燃料電池車の普及や水素ステーション建設で独自の戦略を検討
 -英セレスパワーが京都リサーチパークに事務所開設
 -日立製作所と日立化成、柏の葉スマートシティに3800kWhのリチウムイオン蓄電池システムを納入
 -日産自動車、商用電気自動車をスペインで生産
 -東工大、燃料電池などに応用可能な多層CNTの高い触媒活性を発見
 -新関西国際空港、「水素グリッドプロジェクト」を発表
 -神奈川県、かながわスマートエネルギー計画を策定       etc.




シリーズ連載
世界を読む 66
 =民主党エネ政策の限界と可能性=
 (本紙:本橋恵一)




コラム
・発電論評<自由化後の新電源は再生可能エネルギー>
・青空<早世したしたライバル紙の記者を偲んで>
・ちょっと一休<オリーブ畑に感動する>
・ちょっと一言<電力・ガスシステム改革で戦うLPG>


自由化後の新電源は再生可能エネルギー【発電論評】

 電気事業法改正案が成立した。今回の改正により、2016年からの小売り全面自由化が正式に決まった。電力事業は3分割され、発電と送配電、小売りとそれぞれがライセンス事業になる。自由化によって安価な電気の提供や様々な形での商品化が期待されている。特に期待が大きいのは、再生可能エネルギー電力の販売だろうか。
 電気はこれまで50Hzか60Hzの周波数が異なるだけの電気として流通販売されてきた。電気は電力会社が作って売るもので、それ以外のものは例外に過ぎなかった。しかし、これからは、その例外が主役になることが期待されている。
 自由化の成否を決めるのは結局は、電源が確保できるかどうかにかかっている。これまでの部分自由化市場で、新電力(PPS)と称される新規参入事業者が、シェアを伸ばせなかったのは、競争力のある電源が調達できなかったことにつきる。全面自由化後もこの問題は決して解決されているわけではなく解決するメドも立っていない。電力取引市場が活発化して、安定した電源がどれほど確保できるのかが当面の自由化の成否のカギを握るといえる。
 もう一つの新たな電源の期待は、再生可能エネルギーにかかる。再生可能エネルギーは、固定価格買取制度によって急拡大を続けている。設備認定量では、認定量が6千万kWを超えたといわれる。このほとんど全部は太陽光発電なのだが、最近では、風力発電や、バイオマス、小水力発電などについても数値的には顕在化してはいないものの、先駆的なモデル事例が増えている。また、太陽光発電についても、新たな動きが広がりつつある。これまで、ほとんど利用されていなかった農業分野で農業用地ののり面や、大規模なソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)のニュースを聞く機会も増えてきた。特にソーラーシェアリングは農業と発電事業を両立する取り組みとして普及すれば、発電する農業として、その導入ポテンシャルは飛躍的に拡大することになり、その影響も比較できないくらいに大きいと考えられる。
 電力事業から見た再生可能エネルギーは、固定価格買取制度が介在することで、回避可能原価で購入できるため、競争力のある電源として魅力がある。電源調達に不安がある新電力にとっては、再生可能エネルギー電源は、是非とも確保したい電源だといえる。そして、そのまま再生可能エネルギー電力として販売できれば、自由化市場ではそれなりのシェアを確保することができるのではないか。
 再生可能エネルギー電力をどのように確保してどのような形で商品化できるのか。コージェネなどの分散型電源との共生型も電源確保の一つの解答になると思われる。