2014.04.15


2014年415日号

エネルギー基本計画決まる 再可エネ導入を最大加速化
 政府は4月11日、新たなエネルギー基本計画を閣議決定した。2月25日に政府原案を示してから与党協議などを経てほぼ1カ月半を経ての決定となった。新計画は、2010年6月に策定した第3次計画に続く第4次計画となるもので、東日本大震災後としては初めての計画となる。
 基本計画では、震災による原子力事故の教訓を受け、原子力発電を重要なベースロード電源と位置づけながら安全性の確認を大前提として運用することとされ、再生可能エネルギーの最大限の導入拡大や、分散型エネルギー社会に向けた取り組みを目指す内容となっている。
 エネルギー需給の現状を原子力発電の大量停止により化石燃料への依存度が第1次オイルショック次より高まっていることを問題視し、こうした現状を一刻も早く脱出するために、目指すべきエネルギー政策として「徹底した省エネルギー社会の実現」「再生可能エネルギーの導入加速化」「石炭火力や天然ガス火力の発電効率の向上」「特電池・燃料電池技術等による分散型エネルギーシステムの普及拡大」「メタンハイドレート等非在来型資源の開発」「放射性廃棄物の減容化・有害度低減」などをあげ、具体的な開発成果を導き出せることを政策課題とした。
 1次エネルギーの位置づけとしては最初に再生可能エネルギーをあげ、「温室効果ガスを排出せず、国内で生産でき」「エネルギー安全保障にも寄与できる有望かつ多様で、重要な低炭素の国産エネルギー源」と位置づけ、2013年から3年程度、導入を最大限加速し、その後も積極的に推進するとした。また、再生可能エネルギーを推進する仕組みとして「再生可能エネルギー等関係閣僚会議」を創設し、政府の司令塔機能を強化し、規制緩和や系統強化などの必要な対策を関係省庁間の連携を強めながら促進していくとした。第1回の関係閣僚会議は基本計画を決定した11日の閣議後に開催された。
 固定価格買取制度については、制度導入後1年半で制度開始前に比べて設備導入量が34%増加し着実に成果が上がっていると評価、2013年からの3年間を集中的に導入拡大を図る期間として拡大を図るものの、制度による負担金の増額を抑制するため、3年経過後には制度を見直し、地域活性化を視野に入れた制度への移行を目指す方向を示している。


コージェネ財団、2030年の導入量3000万kW超
 コージェネレーション・エネルギー高度利用センター(コージェネ財団)は、日本国内のコージェネの導入ポテンシャルは系統側への逆潮流が無い場合は約2800万kW程度であるが、逆潮流が認められる場合には約8100万kWと3倍近くになり、2030年には約3140万kWの導入量の実現が可能との研究レポートを発表した。実現できれば日本の総発電電力量の15%となる約1540億kWhの達成が実現できる。
 コージェネによる発電電力量が15%となることで、石油や石炭、天然ガスなどの火力発電を代替となり原油換算で年間1210万kLの省エネ効果や5200万dのCO2削減効果が期待できる。また、高効率のコージェネが効率の悪い大規模火力発電を代替することで年間4200億円の燃料費の削減効果も期待できる。
 レポートは、コージェネ導入により期待できる効果(便益)を@電力供給に貢献する分散型電源としての「電源価値」A経済活動や都市・生活機能の継続を可能とする「BCP価値」B電気と熱を効果的に活用する「省エネ・省CO2効果」C再生可能エネルギーの大量導入に対する寄与、の4項目に整理してコージェネの導入ポテンシャルや導入量の推計を行った。
 コージェネ導入拡大に向けての課題としては、システムの更なる効率向上に向けた技術開発や専門的な知識や技術力を有する人材育成のほか、電力システム改革などを通じたコージェネの電源価値の正当な評価を可能とするラベリング制度の創設などをあげ、燃料価格の低廉化や分散型電源促進に向けた法的根拠の整備などの環境整備などを求めている。
 コージェネレーションの普及拡大に向けて1年半にわたり議論を行った研究会の成果を報告書として取りまとめた。


月島機械、宮崎市の下水処理場でオンサイト発電事業
 月島機械は、宮崎市と下水処理場の消化ガスを活用する発電事業に関する契約を締結した。民間の資金とノウハウを活用した民設民営方式による下水処理場での消化ガス発電事業として月島機械が発電設備を設置して発電し、固定価格買取制度により20年間の発電事業を行う。
 月島機械が発電事業を行うのは、宮崎市の宮崎処理場で、下水処理過程で発生する消化ガスを燃料としてガスエンジン発電を行う。発電設備は25kW×11台のガスエンジン発電設備で、年間約210万kWhの発電量が見込まれる。エンジンの排熱は回収され、下水汚泥の発酵過程の加温に使用される。
 発電事業はオンサイト発電事業として月島機械が設備投資及び発電所の建設運営を行い、固定価格買取制度による発電事業による売電収入で宮崎市側に燃料費と土地使用料、固定資産税を支払う。また廃熱回収した温水供給も行う。宮崎市の費用負担はなく、土地使用料と消化ガス料金が得られる。


ZEエナジー、小規模木質バイオマスガス化発電装置のデモ機が完成
 木質バイオマスのガス化発電を手掛けZEエナジーは、富山県小矢部市の自社事業場に特許技術を搭載した木質バイオマスガス化発電装置のデモ機の設置工事が完了し実証試験を開始した。木質バイオマス発電の事業化に向けた新たな技術開発を行う林野庁補助事業「木質バイオマス産業化促進事業」に採択され実施するもので、5月中旬にはデモ機の公開も予定している。
 ZEエナジーは、製材工場の残材や住宅解体材、森林由来の間伐材など地域の未利用資源を利用して発電を行う木質バイオマス発電装置を開発しており、民間企業や地方自治体などへの導入を目指している。木質バイオマス発電は、日本の森林資源をエネルギー資源として活用するものとして活発に取り組まれてきているが、燃料となるバイオマスを収集することが課題となり、普及に弾みがついていない。富山に完成したバイオマスガス化発電装置は180kW級の規模の小さい発電装置であり、必要なバイオマスも限られた範囲で収集することが出来ることから、小規模でも採算性のある木質バイオマス発電の事業化が可能なシステムとしてデモ機を積極的に公開して、バイオマスガス化発電への理解を深めてもらう。


その他の主な記事
・環境産業規模は86兆円
・エネルギー基本計画紹介(再生可能エネルギーの導入加速化と2次エネルギー)
・西部ガスも集合住宅向けのエネファームを販売
・日立建機 バイオ燃料だけで建機を稼働
・JFEエンジ 発電事業に参入
・NTTF 松江にもメガソーラー
・東芝 定置要蓄電システムを発売
・パナソニック HIT太陽電池で世界最高の変換効率を達成
・東日本ハウス 太陽光発電事業に参入
・キューデンエコソル 福岡と宮崎にメガソーラー
・第一実業 飯田市で2カ所目のメガソーラー
・郵船商事 北海道で再可エネ事業
・NTTスマイル 認定失効案件を募集して太陽光発電事業
・フジコー 岩手のバイオマス発電に補助金
・神戸製鋼 舶用バイナリ発電システムを開発へ
・日立造船 洋上風力の技術提携を再延長
・大和ハウス ZEBビルを富山で実証
・大林組 技術研究所でZEB化が完了
・シンテックホズミ 太陽光をPHVに充電
・丸紅 宮城県の被災地でメガソーラー
・いちごグループ 群馬に4万3千kWのメガソーラー
・ユーラス 福島でもメガソーラー事業
・シーテック 笠取の事故機を再建
・国交省 住宅ゼロエネルギー化を募集
・NEPC 次世代社会システム実証も募集
・再可エネ熱利用高度複合システム実証事業を募集
・革新的省エネ技術 5月7日まで募集
・大阪府など電力を選べる協議会が発足
・NEPC 次世代エネルギー技術実証も募集   etc.

<分散型エネルギー最前線>
・ゼロエネルギービルとなった静岡ガス本社ビルを訪ねる
 静岡県といえば、東南海地震などの大規模災害が想定される地域に入る。1年前、静岡市では、災害対策と環境対策を取り入れた、エネルギー企業のビルが完成した。それが静岡ガス本社ビルである。完成から間もなく1年が経過する。ビルのエネルギー施設、および1年間の運用状況について、案内してもらった。



燃料電池新聞の主な記事
・欧米の主要燃料電池メーカーの2013年決算と2014年の展望
・海外ニュース
 -米Sandia国立研究所など、ホノルル港で船舶用燃料電池APUの実証試験を計画
 -米FuelCell Energy、エネルギー省から多機能燃料電池の実証事業で助成を受ける
 -豪Ceramic Fuel Cells、Avilosから100台のBlueGENユニットを受注
 -加バラード社、南アAnglo American Platinumの支援を受け、オフグリッド家庭用発電システム開発
 -米Navigant Research、2022年の定置用燃料電池市場は400億ドルと予測
 -英Ceres Powerと米Cummins Power Generation、燃料電池発電システム開発で提携
 -米Proton OnSite、ドイツの水素ステーション向けにPEM形水電解装置を納入
 -英BBC、スコットランドの野生動物の長時間撮影に独SFCEnergyのDMFC燃料電池を採用
 -独シーメンス社、水素製造に使用するセラミック電解セルの長期安定性を実証
 -米WGEシステムズ、カリフォルニア州で燃料電池による電力供給事業を開始
 -欧州のトラック用APU開発プロジェクト
 -ドイツ、警察のデジタル無線通信網のバックアップ電源として燃料電池を採用
・燃料電池フラッシュニュース
 -川崎重工業、低NOX水素ガス燃焼技術を搭載した30MWガスタービンを開発
 -米テスラ、米国内にEV50万台分のリチウムイオン電池を供給できる工場建設。パナソニックも投資を検討
 -東洋インキ、改質装置向けのカーボンナノチューブ触媒を開発
 -日立造船、アタカ大機など、CO2のメタン化技術を開発
 -パテント・リザルト、水素貯蔵・圧縮関連技術の特許分析結果を発表
 -古河電池、マグネシウム空気電池を開発
 -岡山県、水島地区コンビナートで副生する水素をFCVの水素供給拠点にする研究会立ち上げ
 -日本原子力研究開発機構、高温ガス炉と原子力水素の製造技術の研究開発に関する評価結果を公開
 -高石工業 水素ステーション機器向けゴム材料開発
 -東芝燃料電池システム、家庭用燃料電池で欧州市場に参入
 -積水化学工業、オール電化住宅の光熱費を調査。年間12万5千円の利益捻出が可能
 -三井不動産レジデンシャル、新築分譲戸建て住宅全戸でエネファームを採用
 -大阪ガス、2014年4月から「エネファームタイプS」の低価格機を投入
 -東京工業大学、SOFCの電解質の結晶制御で、400℃以下で作動するSOFCを開発
 -西部ガスの2014年度のエネファームの販売台数、1300台を見込む
 -都市ガス大手3社の2014年度「エネファーム」の販売計画
 -産総研、燃料電池車の高圧水素タンクから水素を漏れにくくするベントナイト膜を開発       etc.
・燃料電池インフォメーション
■FCDIC「第21回燃料電池シンポジウム」:5月29(木)〜30日(金)9時〜18時30分 タワーホール船堀(江戸川区総合区民ホール) ○概要=燃料電池、水素・再生可能エネルギー、要素技術の開発動向などに関するセミナー。49の講演と、「燃電池開発にかかわる国家施策/中小企業への期待」(経済産業省)、「トヨタの燃料電池自動車開発と初期市場創出について」(トヨタ自動車)、「電気料金高騰時代における消費者の選択とは」(ブルームエナジージャパン)など4つの特別講演がある。【5月29日】@東芝燃料電池システムにおけるエネファームの最新開発動向(東芝燃料電池システム)Aマンション向け家庭用燃料電池システムの開発について(パナソニック)B普及拡大に向けた新型エネファームの開発(東京ガス)C家庭用燃料電池エネファームタイプSの新型機開発(大阪ガス)DTOTOにおける家庭用SOFCモジュールの開発状況(TOTO)E活性炭の固体高分子型燃料電池触媒担体への適用(新日鉄住金)など【5月30日】@有機ハイドライドを用いた水素の大量輸送技術(千代田化工建設)A高効率SOFC複合発電システムの開発(三菱日立パワーシステムズ)B航空宇宙用燃料電池の新しい展開(JAXA)C深海用液体燃料電池システムの研究開発(JAMSTEC)D信号機用燃料電池電源の開発(日本製鋼所)など       etc.


シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(88)
 =回避可能原価の決まる仕組み=
 大串卓矢/スマートエナジー代表取締役社長


・世界を読む 64
 =パズル化するドイツの再生可能エネルギー=
 (本紙:本橋恵一)




コラム
・発電論評<ベストミックスの議論に期待する>
・青空<首都圏の高速道路整備で渋滞緩和進む?>
・ちょっと一休<名井君の長男の結婚式>
・ちょっと一言<エネルギー基本計画と原子力開発リスク>


ベストミックスの議論に期待する【発電論評】

 エネルギー基本計画がようやく決まり、発表された。東日本大震災後に激変しているエネルギーの需給環境を反映したとしているが、現状の危機的なエネルギー環境の分析に重点が置かれ、将来のエネルギーの需給構造を明確に示すことはできなかった。原子力発電の再稼働の見通しが立てにくい中で、その他のエネルギーについても、量的な位置づけを明確に示すことができなかったということか。
 発表によると、各エネルギー源毎の導入目標や割合などを決めるエネルギーミックスの議論はこれから始めるのだという。「議論には数年はかからない」ということなので、年度内には新たなエネルギーごとの導入目標などが示されることになる。再生可能エネルギーについては、2020年に総発電量の13.5%、2030年に総発電量の約20%を上回る水準の導入を目指すとされているため、これを前提とした議論が進められることになる。コージェネについてもこれまでの導入見通しである15%という目標が復活されることを望みたい。
 いうまでもないことだが、各エネルギーにはそれぞれ特徴があり、おのずと担うべき役割も異なってくる。それぞれの特徴を捉えて、20年後の絵姿の中で、どのような役割を担わせるのか。それこそがまさに政策の役割と思うのだが、何をどう伸ばし、何をどう抑制するのかが今回の基本計画からは極めて読み取りにくい。今後、速やかに開始されるエネルギーミックスの議論の中では、具体的な数値を示し、それを実現するために必要な政策による具体的な成果の道筋までも示してもらいたい。
 例えば、水素利用社会の実現を目指すには、燃料電池自動車とエネファームだけというのでは明らかに力不足だが、その他の水素利用機器の実用化のメドはまだ立っていない。再生可能エネルギーや分散型エネルギーシステムにしても、加速度的に導入を拡大していくという基本的な方向は示されてはいるものの、どのような形で活用していくのか具体的な手段や方法などは示されてはいない。
 そもそも日本のエネルギー需給構造の最大の問題は、エネルギーコストが高いということなのだが、将来的にエネルギーコストを低減させる筋道が示されているわけでもない。また、前計画にはあった温暖化対策としてのエネルギー政策という観点が希薄になっていることも懸念される。さらに、再生可能エネルギーには、純国産のエネルギー資源を開発し活用するという使命もあるはず。
 ベストミックスの議論では、低炭素と効率化、国産エネルギーの拡大という視点をベースに、それぞれの役割が明確に示されることを望みたい。