2014年45日号

回避可能原価 太陽光や風力は火力平均に
 経済産業省は、見直しを行っていた固定価格買い取り制度の回避可能原価について、これまで各電力会社が保有する電源構成に基づく「全電源平均の可変費(ほぼ燃料費に相当)」から、より運用実態に近い「火力平均可変費+固定費(供給力相当)」に改めることにした。新たな回避可能原価の適用は平成26年度以降に新たに設備認定を受ける電源から適用され、既に運転を開始しているものや設備認定を取得済みの電源についてはこれまでの回避可能原価が適用される。
 回避可能原価は、電力会社が買い取る再生可能エネルギー電力の仕入れ価格に相当するもので、電力料金に上乗せされる賦課金の算定時に発電事業者からの買い取り価格から控除され賦課金額が決定される仕組み。
 これまでは、回避可能原価が運転していない発電所なども含めた全電源平均のランニングコストに相当する「可変費」が用いられていたことで、実際の電源の運用とはかい離しているとして批判があった。今回の改定は、ピーク電力の発生時間帯にも安定した電力供給が見込める電源として太陽光発電や風力発電についてもその一定割合を「供給力」として認め、これまでの全電源平均可変費に供給力相当分の固定費(発電所の設備費や管理費など)をプラスするというもの。また、供給力に算定できない太陽光発電や風力発電、水力発電については、出力変動の調整電源として運用される火力平均の可変費が新たな回避可能原価としてあてられることになった。


特定供給の電源保有義務解除 太陽光や風力も電源に
 経済産業省は、コンビナートや再開発地区などの一定地域内で電力供給を行う「特定供給」の許可基準を緩和し、これまでは供給量の50%以上の自社電源を持つことが必要だったものを、確実に外部から電源調達ができる場合には、自ら電源を保有しなくても特定供給が行えるようにした。また、使用する電源には、再生可能エネルギー電源も供給力として認めることとし、その場合は蓄電池や燃料電池システムで出力の安定化が図れることを条件とした。昨年6月に閣議決定した「規制改革実施計画」で規制緩和が求められていた。

川崎重工業、防府市のごみ焼却場にバイオガス化複合施設
 川崎重工業は、防府市のゴミ焼却場に選別施設、バイオガス化施設、ごみ焼却施設、リサイクル施設を組み合わせた最新鋭のごみ処理複合施設を納入した。防府市がさらなる循環型社会の形成を目的に計画したもので、川崎重工業が、DBO方式で施設の建設と運営を一括して受注し、4月から20年間の運営事業を行っていく。
 可燃ごみから選別された厨芥類などのごみは、下水・し尿汚泥とともにバイオガス化施設で高温乾式メタン発酵処理されメタンガスを回収し、ごみ焼却施設で可燃ごみやメタン発酵残渣の焼却時に回収した蒸気の過熱用熱源として利用され、高効率な廃棄物発電を行う。発電効率23.5%(基準ごみ時)で最大3600kWの発電を行い、優れた環境・省エネルギー性能を実現する。発電した電力は、施設内で消費されるとともに、余剰電力を売電し、施設の維持管理費用の低減とCO2排出量削減に貢献する。
 また、リサイクル施設では、粗大ごみ、不燃ごみ、資源ごみ等から資源物の回収を行い、焼却施設で発生する焼却灰や飛灰は、セメント原料として再利用される。
 川崎重工業は、施設の運営を行う特別目的会社を設立し、今後20年間にわたり事業運営を行う。


東京ガス、神戸製鋼から電力を調達 120万kW級の天然ガス火力
 東京ガスは、神戸製鋼所が栃木県真岡市の真岡工場隣接地に建設する120万kWの天然ガス火力発電所から電力を購入することで合意した。発電所は、神戸製鋼所が売電事業用として建設を計画しているもので、60万kW級のGTコンバインド発電の1号機が2019年後半に、2号機が2020年前半に運転を開始する見込み。
 東京ガスは、2015年度に完成予定の「茨城ー栃木幹線」により、発電所に燃料の天然ガスを供給すると共に、運転開始から15年間にわたって発電電力の全量を購入する。東京ガスは電力事業の拡大を目指しており、2020年までに自社電源を含めて300万kW〜500万kW程度の電源を確保して電力の販売事業に本格参入する方針で、今回の120万kWは、その電源確保の一環となるもの。


その他の主な記事
・26年度の再可エネ賦課金は0.75円
・認定取得済み太陽光、未着工は6カ月で失効に
・NEPCの補助事業 独立型再可エネなど募集
・NEDO、太陽光多用途化実証事業を募集
・NEDO、太陽光発電の低コスト化技術開発を募集
・NEDOと昭和シェル 薄膜太陽電池の高効率化に成功
・三井物産 米国のベンチャーに出資 微生物によるバイオガス発酵
・運送用水素圧縮容器、45MPAまで緩和
・IPCC第2WGが報告書
・沖縄電力 蓄電池併設型の風力発電を実証
・九州電力 再可エネ事業を強化 子会社の事業を統合
・リチウムイオン電池の充電時間を3分の1に
・太陽光で水から水素を製造 光触媒を発見
・出光興産 小名浜にメガソーラーを建設
・JNC 倉敷にもメガソーラーを建設
・リアルコム 分譲ソーラー発電所を販売
・オリックスと中電工が太陽光で提携
・大成工業、太陽光発電所を売却 EPCを強化
・ユアテック 福島にメガソーラー
・四電工 阿南市にもメガソーラー
・日本アジア 神奈川にもメガソーラー
・ユーラス 湯梨高原の風力建設に着工
・住友電工 集光型太陽光発電システムを製品化
・パナソニック インドネシアに太陽光発電の独立電源
・三菱化学と大成建設 発電する壁を実証
・清水建設 メガソーラーが竣工
・近鉄 3カ所目のメガソーラーが完成 オンサイト発電サービスで
・積水ハウス 7カ所目のメガソーラーの建設に着手   etc.

<インタビュー>
・電力システム改革が新たなビジネスチャンスに
(サイサン代表取締役社長 川本武彦氏)
 
電力システム改革は、エネルギービジネス、公益事業そのものの改革だと言っていいだろう。こうした中では、LPガス事業者も無関係ではない。新たなビジネスチャンスとなる一方で、危機ともなりうる。とりわけ、2016年にも導入される電力小売り全面自由化、およびほぼ同時に導入されるであろうガス小売り全面自由化に向けて、サイサンはどのような戦略をとっていくのか。 川本社長の考えをじっくりと伺った。




シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革(51)「レジリエンス策」としての自立・分散型エネルギー=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授

・2020年のエネルギー市場 その9
 =エネルギーファイナンスの可能性=
 井熊 均/日本総合研究所 創発戦略センター所長






コラム
・発電論評<ガスシステム改革と分散型発電>
・プリズム<東京ガスの戦略>
・青空<建設業界、ベア実施の企業が相次ぐ>
・ちょっと一休<小坂理事長をささやかに支援>




ガスシステム改革と分散型発電【発電論評】

 ガス市場の全面自由化に向けてシステム改革の検討が始まった。電力と違って、ガスシステム改革の出口は見えにくい。ガス市場は、部分自由化されているといっても、需要家が自由に供給者を選別して購入できる環境からはほど遠いのが現状で、全面自由化されることで、需要家にとって、どのような環境整備につながるのかがはっきりと見えていないからである。しかしながら、燃料としてのガスの調達が容易になったり、安価に調達できるようになるのであれば、分散型エネルギーシステムの市場環境にも大きな影響を与えるという意味で注目する必要がある。
 このように考えてくると、ガスシステム改革は、ガス単独ではなく、電力システム改革の一環として意味を持つものであると考えられる。電力の場合は、自由化だけでは不十分で、系統の解放や、再生可能エネルギーの買取制度、また、通信技術を使ったDMSなどが組み合わされることでようやく自由化による成果が期待できるようになった。さらに、発電用燃料としてのガスの流通を自由化することで、電気とガスの分断をなくし、電気や熱を合わせた総合エネルギー産業に生まれ変わらせる一環としてみればわかりやすい。
 現在、発電事業が自由化されたといっても、新たな発電所を立ち上げるのは、誰もができるというわけではない。唯一の例外が、固定価格買取制度がある再生可能エネルギー発電事業だ。今や、太陽光発電所を建設運営することは、特に専門知識のない個人や法人でも参入できる。オンサイト発電サービスという形態も普及しており、発電所の建設から運営まで全てを代行サービスに委ねられる。
 電力システム改革は、発電事業への参入を容易化することに成功しつつあるが、再生可能エネルギー以外の事業については相変わらず新規参入の壁は高い。これを突き崩す一つの手段としてガスシステム改革が機能し、安価なガス燃料が利用できることになれば、発電事業への参入障壁がまた一つ取り除かれることが期待できる。
 ガス燃料が自由により安価に調達できる環境が生まれることで、例えばバイオマス発電の拡大が期待できる。バイオマス発電は、地産地消型のエネルギーネットワークを組み上げるためには不可欠なものであるが、そもそもバイオマスの流通環境がなく、まず燃料収集手段の構築から始めなければならないことが、最大の障壁となっている。ここに、安価なガス燃料が簡単に調達できる環境が整備されれば、ガス混焼のバイオマス発電という新たな展望も生まれる。
 一例に過ぎないが、そうした分散型エネルギーシステムの拡大の観点から、ガスシステム改革の議論の行くへを注視したい。