2014年225日号

800万kW超が認定取消の可能性 認定済み太陽光未着工問題で
 経済産業省は、再生可能エネルギー固定価格買取制度で、設備認定を受けたものの建設に至らない案件が大量にある問題で、原因調の実施結果をまとめた。調査は、制度初年度にあたる2012年度中に認定を受け、運転開始に至っていない400kW以上の太陽光発電設備を対象に実施したもので、@土地の取得、賃貸等により場所が決定しているかA設備の発注等により設備の仕様が決定しているか等について確認した。
 調査の対象としたのは、4699件・1332万kWで、そのうち運転開始済みのものは22%にあたる1049件、設備容量では110万kW(8%)にとどまっていた。設置を断念した設備も419件(9%)・90万kW(7%)あった。
 それ以外の運転開始に至っていない案件は、3231件・1132万kWとなっており、件数では69%、設備容量では85%にあたる認定済み設備が着工に至っていないことことが分かった。経産省では、未着工の案件のうち、建設場所や設備が決まっていないものについては、個別に事情を聞いた上で、問題があるものについては認定取り消しの措置を取る。
 未着工案件の内訳は、建設場所や設備が決定済みで建設のメドが立っているものは1588件(34%)・394万kW(30%)しかなく、場所あるいは設備のどちらかが決まっていないものが784件(17%)・258万kW(19%)、場所も設備も決まっていないものが758件(16%)・465万kW(35%)あった。
 調査時点で、建設のメドが立っていなかった、2062件・828万kWについては認定が取り消される可能性があることになる。これは、件数では約44%、設備容量では半分以上の約62%にあたっている。調査件数の約半分が1千kW以上のメガソーラーであったが、メガソーラーとそうでないものとの未着工件数の割合には大きな差はなかった。


回避可能原価見直しへWG 全電源方式に批判で
 経済産業省は、2月18日に、固定価格買い取り制度の回避可能原価のあり方などについて検討する買取制度運用ワーキンググループの第1回の会合を開いた。
 同日は、回避可能原価のあり方の他、大量の未着工案件が取り残され、1千万kW以上の認定取り消しが現実化している太陽光発電に対する設備認定のあり方などについて検討が行われた。
 回避可能原価については、事務局の経産省側は、4月からの新年度の付加金の算定に反映させることを前提に、年度内に結論を得る方向で検討を進めることが提案されている。
 回避可能原価の見直し案として示されているのは、全電源平均を用いる現行案のほか@火力・水力などの負荷追従性のある電源の平均単価A発電コストが最も高く調整電源として最初に停止される石油火力の発電単価B卸電力市場で取り引きされる取引価格を用いるという4つの案のほか、現在は回避可能原価から除かれている固定費も加えて算定することも検討課題の一つとして示された。これについての議論ではは、火力と水力の平均単価ではなく、火力発電の平均単価も検討案に加えるべきだとの意見が一部の委員から述べられた。


川崎重工業、ガスタービンで水素を混焼 低CO2、低NOXを実現
 川崎重工業は、ガスタービンで水素燃料を60%まで混焼出来る燃焼技術を開発した。自社開発の最大機種であるL30Aガスタービン(3万kW級)に採用し、2015年度の市場投入を目標に、未利用の副生水素ガスが発生する石油精製工場や石油化学工場など向けに営業活動を展開していく。
 開発した燃焼技術は、同社の低NOX燃焼技術であるDLE(ドライ・ロー・エミッション)燃焼技術を進化させたもので、水素ガスがバーナー付近で燃えてしまう逆火減少を抑制するため、3つのバーナーのうちリスクが少ない追い炊きバーナーを水素ガス焚き用とすることで、天然ガス燃料に最大60%の水素ガスを燃料として混焼出来るようにした。
 混焼する水素ガスの量は0%〜60%(体積あたり)まで任意に変化させることができるため、副生ガスの発生状況に応じてフレキシブルに対応できる。副生水素ガスが発生する工場などに導入すれば、燃料である天然ガスの使用量が削減できるほか、さらにCO2発生量も抑制することができる。また、NOX発生量は、天然ガス燃料を100%使用する場合と比べても同等以下に抑制できるため、低NOXで省CO2化が同時に実現できる。ガスタービン燃料としての水素の利用拡大に道を開く技術として注目される。


関西電力、エネサービス子会社2社を合併
 関西電力は、エネルギーサービスや再生可能エネルギーなどの総合エネルギーサービス関連事業を行う子会社の関電エネルギーソリューションと関電エネルギー開発の2社を4月1日付けで合併する。エネルギーサービス関連の事業一元化を図ることで、サービスメニューの充実を図り、事業体制を整備する。
 関電エネルギーソリューションはオンサイト型のエネルギーサービスを中心にした事業展開を進めており、電気、ガス、熱、冷水等のユーティリティサービスやESCOサービス、エネルギーマネジメントサービス、電気設備の保安管理、ガス・燃料油販売などの事業を幅広く展開している。関電エネルギー開発は、熱供給事業や小水力、風力発電事業などを展開している。両社を合併して、再生可能エネルギー関連事業やオンサイト型の総合エネルギーサービス事業と一体化することで、今後とも、市場の拡大が見込まれるオンサイト型のエネルギーサービス事業分野での事業強化を目指す。合併は4月1日付けで、関電エネルギーソリューションが関電エネルギーを吸収合併する形をとる。


その他の主な記事
・調達価格算定委、太陽光の建設コストなど検証
・木質バイオマスでシンポを開催
・カーボンオフセット大賞決まる
・環境省、離島の蓄電池実証も受け付け
・離島の再可エネ補助事業の執行団体を募集
・エコリース補助 3月10日まで受け付け
・LIXILが家庭の節電調査
・再可エネ設備認定 今年度分申請は2月28日までに
・環境省 節電CO2削減行動シンポ
・産総研 メタンハイドレートで講演会
・コージェネセンターが京都で施設見学会
・昭和シェル 再可エネ導入で農村を変えるシンポ
・パナソニック HEMS対応分電盤を発売
・三菱電機 大規模メガソーラーの建設工事を受注
・JNC 熊本にメガソーラー
・木下工務店 メガソーラー事業に参入
・エナリス 住宅用太陽光発電に進出
・レノバ 4カ所目のメガソーラー
・関西電力 子会社2社を合併
・富士電機 太陽電池製造事業を譲渡
・京セラ 蓄電池システムを発売
・安川電機 大型風力向け発電機とコンバーター   etc.

<インタビュー>
・コストパフォーマンスに優れた、産業用太陽光発電キット
(Looop 代表取締役社長 中村創一郎氏)
固定価格買取制度が開始されてから、急拡大している産業用太陽光発電事業。こうした中にあって、ユニークな製品を提供しているベンチャー企業がLooop(ループ)だ。産業用の太陽光発電システムを小規模なものからメガソーラーまでキット化し、簡単に組み立て施工できる製品として提供する一方で、自ら太陽光発電所の開発も手掛けるなど太陽光発電市場で急成長している。メガソーラーの開発が用地の高騰と買取価格の低下で転換期を迎える中、次の戦略について、中村氏に話をうかがった。




シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流(42)
 =新興国の経済危機とアジアのエネ需給=
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一)

・日本の再生可能エネルギー事情 その10
 =再生可能エネの「一工夫」=
 日本再生可能エネルギー総合研究所代表 北村和也




コラム
・発電論評<回避可能原価の正確な算定を>
・青空<きな臭さに敏感でありたい>
・ちょっと一休<大砂嵐関に感激>
・一筆啓上<原子力の安全審査>


回避可能原価の正確な算定を【発電論評】

 回避可能原価の見直しが始まった。見直しのための検討会の議論を傍聴したが、賦課金の算定について無理解と思えるような意見もあったことに驚いた。
 回避可能原価が引き下げられると、電力会社にとっては、電力の調達価格が引き上げられることになり、電気料金の引き上げ要因になる恐れがある。そうなると、最終的にコストを負担する需要家にとっては、賦課金で負担するのか電気料金で負担するのかという違いで、負担額が変わらないのであれば、回避可能原価を見直すことにそれほど意味はないのではないかという意見があった。また、電力会社にとっては回避可能原価が引き上げられると、安価な電力が調達できるというコストメリットが薄れ、再生可能エネルギー電力の調達拡大の意欲をそぐことになるのではないかと危惧する意見もあった。
 驚いたが、そもそも賦課金と電気料金があたかも相関関係にあるという考えには無理がある。賦課金の基となる回避可能原価を性格に判定することは、電力会社の負担を増すことには繋がらず、過剰利益を除くだけだという意見に与したい。どちらも回避可能原価をできるだけ現実に近いものに算定するという見直しの動機付けが理解できていないのだと考えたい。
 いずれにしても、回避可能原価は性格に算定される必要がある。原価の算定が困難だとされる理由の一つに、再生可能エネルギーによって運転を調整する電源の特定が難しいというものがある。電力会社が販売する電力は自社電源だけでなく、必要に応じて外部から調達するものもあるので、特定することの困難さは確かに理解できる面もある。しかしながら、過去の運転実績データによりシミュレーションするなどの方法をとれば、それほど狂いのない原価算定が行えるのではないか。また、事後調整も加えれば、精度の高い算定方法が可能となるのではないかと思われる。可能な限り正確な原価算定手法が見いだされることを期待したい。
 というのは、回避可能原価の考え方は、電力事業者にとっては買取制度に限らず、外部からの電源調達を行う場合の尺度となるものであるからだ。再生可能エネルギーの回避可能原価は、国によって算定されているが、その他の電源、例えばコージェネや自家発の余剰電力も、回避可能原価が買い取り価格の尺度とされる場合が多い。さらに電力システム改革によって小売りと送配電、発電と3事業分野に分かれて事業ライセンス制が導入され、電力取り引きが活発化することになると思われる電力市場では、回避可能原価は電力価格の一つの指標ともなるという意味でも重要である。可能な限り正確な算定手法の整備が望まれる。