2014.02.15


2014年215日号

回避可能原価見直しへWG 来年度の賦課金算定に反映
 経済産業省は、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度の回避可能原価の見直しを行うため、作業部会を設置して検討を行うことにした。年度内に結果を取りまとめ、来年度の賦課金額の算定に反映させる。
 固定価格買い取り制度は、普及に弾みの付かない再生可能エネルギーの導入拡大を図る切り札として2012年度から導入された。再生可能エネルギーの電力を国が決める買い取り価格によって全て買い取ることを電力会社に義務づける制度で、買い取りに要したコストは電気料金に上乗せする「賦課金」として回収され、再生可能エネルギー電力を買い取る各電力会社に配分されている。回避可能原価は、電力会社の発電コストから発電所の維持管理などの固定費を除いた燃料費などに相当するもので、買い取った再生可能エネルギー電力分だけ発電所の運転を行わなくてもよいことから、再生可能エネルギー電力の買い取りコストから回避可能原価を差し引いた額が「賦課金」として需要家が負担している。
 買い取り価格については、調達価格算定委員会で毎年発電コストの最新データなどを調査して次年度の買い取り価格を決めているが、「賦課金」については、電力会社の電源構成に基づく形の全電源平均によって算定されたものが採用されている。しかしながら、これに対して、必ずしも電力会社の発電コストを正確に反映していないのではないかという批判あり、初めて見直しが行われることになった。


電力メニューに対応できる排出係数を 経産省が26年度中に対応
 経済産業省は、電力排出係数の見直しに着手する。電力システム改革の進展によってグリーン電力を求める需要家の要望が増加し、電力メニューが多様化していくことが予想されるため、電力メニューに応じた排出係数の算定・提供が行えるようにする。
 電力排出係数は、系統電力を利用する全ての需要家が、自らのCO2排出量を算定するなどの場合に必要となるもので、現在は、前年度の発電量に基づいて新電力(PPS)を含む系統を利用する全ての電力会社ごとの係数が発表されている。排出係数には実際の発電実績に基づく「実排出係数」とCDMクレジットなどの京都メカニズムに基づくクレジットや国内クレジットなどによって実排出係数を部分的にオフセットした「調整後排出係数」の2つの係数が発表されており、CO2削減に取り組む企業や団体などでは排出係数の低い調整後の排出係数が利用されてきた。
 今回の見直しは、昨年5月に閣議決定された規制改革実施計画で「グリーン料金メニュー等への対応に係るCO2排出係数の見直し」として、来年度中に結論を出すことが求められたことに対応するもので、電力システム改革の進展と併せて、電力市場での競争が活発化し、需要家が再生可能エネルギーなどの低炭素電源による電力を選択して利用したいという要望が高まっていることが背景にある。
 電気料金の契約メニューを多様化させ、需要家が電源を選べるメニューが提供されるためには、排出係数の提供も電源毎に行う必要があるため、来年度の課題として排出係数の算定方法を見直すことにした。
 グリーン電力を求める大口の需要家が増えれば、残された電源はCO2排出量の高い電源となり、小規模な需要家はグリーン電力が利用できなくなるのではないかなどの懸念も示されており、検討課題の一つとされている。


三菱自動車工業、ニチコンと農業用充電ステーションを実証運用
 三菱自動車工業とニチコンは、太陽光発電の電力を蓄電池に貯めて電気自動車の充電ステーションで利用する「農業用充電ステーション」の実証運用を宮城県岩沼市で開始した。
 農水省と復興庁の「食料生産地域再生のための先端技術展開事業」の採択プロジェクトで、周辺の農家に電気自動車を貸与して、使用実態や電力の利用法などを検証する。 太陽光発電の電力を未電化地域などで利用することで、系統電力に依存しない形で再生可能エネルギーによる農業の可能性を検証するとともに、ガソリン自動車から電気自動車へ利用を切り替えることで燃料費を削減し、農業生産コストの削減に寄与することも狙っている。
 さらに農業地域での再生可能エネルギーの利用拡大を目指し、太陽光発電だけではなく風力発電や小水力発電などを用いた充電ステーションも設置して、それぞれをネットワーク化することで地域の中で地産地消型の再生可能エネルギーを効率よく利用できる「スマートアグリネットワーク」の構築に向けた実証事業として実施することにしている。


住友商事、電気自動車の使用済み蓄電池の再利用システム
 住友商事は、電気自動車で使用済みの蓄電池を再利用する世界で初めての大型蓄電池システムを開発、大阪市此花区夢洲の『大阪ひかりの森発電所』の出力変動抑制用として運用する実証事業を開始した。
 将来、電気自動車の普及に伴って大量に回収されることになる使用済み蓄電池のリユース事業として、回収した使用済み蓄電池を定置用の電源として安全に運用する技術を確立する。環境省の平成25年度の「再生可能エネルギー導入のための蓄電池制御等実証モデル事業」に採択されている。
 住友商事は、電気自動車用蓄電池の再利用を事業化することを目的に日産自動車と共同で事業会社を立ち上げており、同社が回収し検査・整備を行ったものをリユース事業に提供する。実証事業の蓄電池システムは、蓄電池容量600kW/400kWhで、日産リーフ16台分の使用済み蓄電池を使用する。


その他の主な記事
・国交省、燃料電池自動車の告示を改正
・農水省、バイオエナノールの製造実証事業を見直し
・コージェネシンポ開く コージェネ大賞表彰も
・ハイブリッドサービス 認定済みメガソーラー用地を購入
・三井松島産業 メガソーラーを増設
・四電工 松山でもメガソーラー
・SBエナジー 高砂市のメガソーラーが運開
・東芝 発電システムのグローバル拠点を開設
・ユーラスエナジー 鹿児島のウインドファームを増設
・ボッシュとリチウムイオン電池で合弁会社
・パナソニック マイクロ波で制御する超小型電力変換システム
・三浦工業とガス3社がボイラを開発
・住友商事と東京ガス 米国のLNG引き取りで合弁会社
・筑波大など 悠希薄膜太陽電池の高効率で安価な製造法
・英国の電力自由化最新動向
・三菱電機が成果発表会
・EUの環境エネルギー技術商談会
・京都でスマートシティEXPO
・つくばで新エネシンポ
・エネ庁、ガスコージェネと自家発の補助事業事務局を募集
・Jクレジット制度 13件を認証
・26日からスマートエネルギーウイーク
・国交省が下水熱でシンポ
・自然エネ財団が国際シンポ   etc.

<インタビュー>
・エネルギーソリューション
(新日鉄住金エンジアリング 執行役員 エネルギーソリューション事業部長 島貫靖士氏)
 新日鉄住金エンジニアリングのエネルギー事業は、新電力からコージェネレーション、再生可能エネルギーまで多岐にわたる。とりわけ、東日本大震災以降、電力システム改革を控えた現在は、新たな事業展開に進む時期なのではないだろうか。こうした状況にあって、あらためて島貫氏に、同社のエネルギー事業の現在と未来を語ってもらった。



燃料電池新聞の主な記事
・FCEXPO2014 26日から3日間
・トヨタが今夏から燃料電池車を量産
・大阪ガスが低価格のエネファームを販売
・静岡ガスがエネファームの電気の相互融通システム
・海外ニュース
 -WARMプロジェクト、欧州3地域で90台の小型FCVによる走行実証を開始
 -トヨタ、CES2014で2台の新型FCV試作車を展示
 -米FuelCell Energy、コネチカット州で建設中の14.9MW燃料電池発電所が予定通りに完成
 -米FTA、ローエミッション・ノーエミッションバス導入に2490万ドル(約26億円)を助成
 -米FedEx,、レンジエクステンダータイプの電気配送車の走行実証を開始
 -英Intelligent Energy、米Brookstoneを通してモバイル燃料電池「Upp」の販売を開始
 -ロンドンのタクシー、2018年からCO2排出量ゼロの車両に限定
 -米ブルームエナジー、マサチューセッツ州議会議員に対して燃料電池に対するインセンティブを要請
 -米プラグパワー、マテリアルハンドリング分野で「GenKey」ソリューションを提供
 -現代自動車のFCVリース販売に当たり8万8千人以上のカリフォルニア住民が関心を示す
 -独Proton Power Systemsの燃料電池システム、ドイツ政府の認証を獲得
 -ローランドベルガー、FCVの本格的な市場導入は現段階では困難とする調査レポートを発表
 -英Air Products、現代自動車とFCVのリース契約を締結
 -カナダBallard Power Systems、ポーランドのバスメーカーに燃料電池モジュールを供給
 -リヒテンシュタインNanoFLOWCELL AG、短時間で充電可能なNanoFlowCell技術を開発
 -米US Hybrid、米UTCと燃料電池技術の商品化に関するライセンス契約を締結
 -米Sprint、DOEの助成を得て屋上設置タイプのバックアップ電源を設置
 -カナダHydrogenics、マイクログリッド構築に水電解装置と燃料電池システムを納入
・燃料電池フラッシュニュース
 -経済産業省、「エネファーム」のエネルギー効率測定法をJIS化
 -ローム、京大など、固体水素燃料電池実用化へ「京都燃料電池アライアンス」を組織
 -トヨタ自動車九州、燃料電池バスの走行実証を開始
 -日立造船、経済産業省プロジェクトで低コスト水素製造システムを開発
 -第一工業製薬、エネファーム向け封止材などを増産のため、新工場を新設
 -埼玉県白岡市の高橋製作所、木質バイオマスから水素を取り出し発電するバイオマスプラントを開発
 -神戸製鋼所、東京ガスから水素ステーション用圧縮機と熱交換器を受注       etc.
・燃料電池インフォメーション
■日本エネルギー学会 第1回水素エネルギー講演会「水素エネルギーの現在と未来」:3月10日(月) 全国家電会館5階講堂(東京都文京区) ○プログラム/1「日本のエネルギー政策と水素利用技術開発の現在と未来」(東海大学 内田裕久氏)/2「水素貯蔵材料の開発とエネルギーキャリアとしてのアンモニア利用」(広島大学 小島由継氏)/3「バイオマスからの水素製造技術とその展望」(産業技術総合研究所 坂西欣也氏)/4「太陽集熱による水素製造技術の開発」(新潟大学 児玉竜也氏)/5「水素エネルギーと学融合」(広島大学 松村幸彦氏)/6「石炭からの水素製造とCO2 削減」(石炭エネルギーセンター 原田道昭氏)/7パネルディスカッション       etc.


シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(86)
 =二国間クレジット制度の課題=
 大串卓矢/スマートエナジー代表取締役社長


・世界を読む 62
 =アジアスーパーグリッドの可能性=
 (本紙:本橋恵一)




コラム
・発電論評<回避可能原価が見直しされる>
・青空<ソチ冬季五輪で日本に初メダル>
・ちょっと一休<木村先輩の死去を悼む>
・ちょっと一言<新都知事炭場で脱原発は?>


回避可能原価が見直しされる【発電論評】

 回避可能原価が見直されることになった。発電所の運用状況などを見直し、実際の発電コストに近づけることで、固定価格買取制度によるコスト負担を引き下げようというものだ。実際よりも回避可能原価が低く見積もられていることで、電気料金に上乗せされている「賦課金」が水増しされているという批判があり検討会が設けられることになった。来年度の賦課金に反映させるため年度内に結論が出される。
 固定価格買い取り制度では、電力会社は買い取った再生可能エネルギー電力の分だけ他の発電所の運転を減らすことができるため費用も減る。それを回避可能原価として、買い取りコストから差し引き、残りを賦課金として電気料金に上乗せしている。発電しなくても発電所の維持管理コストは必要ということで、回避可能原価には維持管理費用などの固定費は含まれず、ほぼ燃料費に相当するといわれている。
 回避可能原価とは、見方を変えれば、電力会社が調達する電気仕入れ価格といえるものだ。買い取り費用は、賦課金によって需要家が負担するので、電力会社は回避可能原価で仕入れた再生可能エネルギー電力を、通常の販売価格で需要家に販売していることになる。回避可能原価が実際よりも低く見積もられているのであれば、その分が電力会社の過剰な利益として吸収されていることになる。回避可能原価の算定に関しては、以前から疑問視する声もあったが、日々時々に変化する電力需要に対して計画的に発電所の運用を行うのは難しいなどの理由により、電力会社の電源構成をベースにした全電源平均によるという仕組みが維持されている。しかしながら、原子力発電の大量停止状況が続き、火力発電の発電量が著しく増加する中で、実際の発電コストとの乖離が問題視されるようになた。
 回避可能原価が上がる効果は、賦課金額が引き下げられるだけでなく別の効果も期待できる。それは、現在は「全電源平均」でしか販売されない電気が、電源の種別毎にメニュー化され、販売される可能性が広がるということだ。発電する電気の質や量が問われるようになることで、発電所それぞれの事業性も問われることになる。
 電力自由化が進み需要家が電力会社を選択できるようになると、電力メニューが多様化し、需要家の要望に基づいて再生可能エネルギー電力を販売する事業者が現れることも期待できる。また、安価な電力を求める需要家には発電コストの低い電源を組み合わせて販売するということも期待できる。そうした観点から、回避可能原価の見直しは今後の電力システム改革の成果を占うという意味でも重要になる。どのような形で結論づけられるのか、注目したい。