2014年25日号

風力導入量はさらに減少 2013年度は7.3万kWの見込み
 日本風力発電協会は、2013年12月末現在の国内風力発電導入量を取りまとめ発表した。累積導入量は266.1万kW(1992基/414発電所)で、2013年単年の新規導入量は4.7万kW(23基/11発電所)に留まり、2001年以来では過去最低の導入量となった。3月末までを見通した2013年度末の導入量でも累計で271.5万kWと予想しており、単年度の導入量は7.3万kWとなる見通し。こちらも過去最低で、2011年度依頼3年連続の10万kW割れとなる。
 各年度末の導入量の実績を電力管内別に見ると、最も導入量が多いのは東北で62万7千kW(シェア23.1%)、次いで九州の43万5千kW(16.0%)、東京37万5千kW(13.8%)、北海道31万6千kW(11.6%)と続く。都道府県別では、最も多いのが青森県で、以下北海道、鹿児島県、秋田県が続いている。
 日本国内で建設されている風力発電設備は輸入品がほとんどを占めているが、国内メーカーでは三菱重工業や日本製鋼所、日立製作所(富士重工業性を含む)なども導入されている。導入実績をメーカー別に見ると、最も多いのはヴェスタスで、61万5千kW(22.6%)、次いでGEウィンドエナジーの47万8千kW(17.6%)、三菱重工業35万2千kW(13.0%)、エネルコン32万9千kW(12.1%)、日本製鋼所21万9千kW(8.0)%と続いている。
 国内の風力発電市場は、固定価格買い取り制度の開始以降も新規導入量の現象が続いている。その要因としては、系統接続可能量の減少による接続制約や環境アセスの義務づけによる立地制約などの要因が挙げられており、また、固定価格買い取り制度の導入と引き替えに制度導入に先立って廃止された助成金制度の影響も尾を引いているといわれている。こうした制度的な緩和に向けては、環境アセスの迅速化や新たな送電事業会社の設立による接続可能量の拡大などが計画されているが、実際の事業に反映されるにはまだ時間がかかる見通しで、風力発電の再拡大については、早くても2015年以降になると見られている。


IHI、工場に大規模蓄電池 太陽光と組み合わせ
 IHIは、国内最大となる2800kWの蓄電容量を持つコンテナ型の大容量リチウムイオン蓄電システムを相馬事業所(福島県相馬市)に設置して、運用を開始した。昨年導入した約1千kWの太陽光発電システムと組み合わせて工場内の約60%の電力を賄うことができ、夜間に蓄電した電力を昼間に太陽光発電の運転状況やピーク時間帯に工場内に電力供給を行うことで、ーク電力を抑制しつつ電力供給を安定化させ、工場の安定操業を確保する。
 リチウムイオン蓄電池システムは、コンテナ内に必要な機器をラック&トレイ方式で収納しており、屋外に簡易に据え置くことができる。このため、内部の蓄電池容量や出力などは、必要に併せて設定できるのが特徴で、相馬事業所に導入されたのは蓄電池容量2800kW、最大出力1千kWのシステム。IHIは2009年に米国のマサチューセッツ工科大学発のベンチャー企業でリチウムイオン蓄電池の開発を行っていたA123Sシステムズ社と事業提携を結び、正極材にリンサン鉄を使用する安全性に優れたリチウムイオン蓄電池を販売している。相馬事業所のシステムは、3月中には完成し運用が開始される。


停電時もエネファームを運転 東京ガスがオプション装置
 東京ガスは、パナソニックと共同で、系統電力の停電時にも家庭用燃料電池「エネファーム」の運転を継続し、専用コンセントを通じて電力を住宅内に供給できる「停電時発電機能」装置を開発した。4月21日から東京ガスがエネファームのオプション製品として発売する。
 「停電時発電機能」は停電発生時に運転しているエネファームの発電電力を、通常の分電盤への送電から切り替えて専用コンセント側に供給することで、住宅内に最大700Wの送電を行うことができる。停電時の運転は最長で約4日間で、都市ガスや水道の供給が継続されていることが条件となる。通常のエネファームは停電時の独立運転が禁じられているため、分電盤を通さない別の屋内回路を設けることで、住宅内への電力供給を可能とする仕組み。運転中は通常のコージェネ運転を行うので、貯湯槽がお湯で一杯になると運転を停止してしまう。また、使用電力が上限の700Wを超えると発電を停止することになるので、最大電力を超えないように負荷調整を行う必要がある。貯湯槽が一杯になり発電を停止しない対策としては、浴槽に自動的に給湯できる「たし湯」機能を持たせている。
 都市ガスによる住宅での電力自給力の向上策として、エネファーム導入に付加価値を付ける。


広域運用機関の準備組合が発足 7月には設立申請
 電力システム改革によって新たに設立される広域運用機関の準備組合が1月30日に、一般電力事業者や新電力など48社が参加して発足した。運用機関の名称は「電力広域的運営推進機関」とすることも決めた。
 今後、2015年4月の業務開始を目指して定款や詳細な運用ルールなどを、毎月3回程度の実務者会議を開催して検討作業を行い、7月をメドに設立認可を申請する。
 広域機関は、10電力の送配電事業を統括し、全国規模の需給計画や供給網の整備などを行う。緊急時には電力会社に電力融通を命令する権限も持たせる。広域機関の事務所は、東京都江東区の東京電力が保有するビルに置かれ、発足後は系統に繋がる全ての電力事業者が加入を義務づけられる。


その他の主な記事
・資源燃料部会、次期エネルギーの安定確保策など検討へ
・ガスシステム改革、第3グループからヒアリング
・西部ガス 天然ガス火力の建設を検討
・宮古島で太陽光で走るEVを実証
・12月の販売電力量は減少
・大阪ガスと中部電力のガス導管が開通
・風力発電事業者向けの火災保険を発売
・エナジーバンクジャパン 神戸でダブル発電
・富士電機 スマートメーターの生産を拡大
・東京エレクトロン 太陽光発電製造から撤退
・ソーラーフロンティア 店舗の屋根で発電事業
・SBエナジー 静岡でもメガソーラー
・JFEエンジニアリング 福島のメガソーラーを受注
・高知県で木質バイオマス発電が着工
・ソーラーフロンティア 関空のメガソーラーが運開
・岐阜で農業両立型メガソーラー
・JNC 水力発電所を新設
・アジアスーパーグリッドでプレゼン
・バイオマス人材育成の事業報告会 新エネ財団
・再可エネ熱利用 フォーラムとセミナー
・JCCP国際シンポ
・2月のSSKセミナー
・2月のJPIセミナー
・ソーラーエネルギー利用シンポジウム   etc.

<分散型エネルギー最前線>
・つくばソーラーシェアリングプロジェクトを訪ねる
(西高野ソーラーシェアリングプロジェクト)
 
産業用の太陽光発電所の建設は、転機を迎えている。メガソーラーは適地が少なくなりつつある一方、買い取り価格は下がっていく方向だ。当面は、設備認定を受けたものの、未完成の案件が多いことから、その建設が続くことになる。しかし、その先はどうなるのか、今から考えておく必要がある。ポストメガソーラーの1つとして注目されているのが、ソーラーシェアリングだ。農地としても活用しながら、太陽光発電も行う。ソーラーカルチャー株式会社では、つくば市内で約50kWのソーラーシェアリング設備を設置し、実証試験行っている。このプロジェクトについて、同社代表取締役の松岡顕氏に話をうかがった。




シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革(49)2020年目標:90年比3.7%減=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授

・2020年のエネルギー市場 その7
 =ヨコの自由化で世界をリード =
 井熊 均/日本総合研究所 創発戦略センター所長

・国内太陽光発電システム市場を探る
 =第4回 将来展望 =
 デジタルリサーチ 遠藤雅樹






コラム
・発電論評<ダブル発電と買い取り制度>
・プリズム<東京にこそ原発立地>
・青空<メディアの報道姿勢>
・ちょっと一休<大石東大名誉教授の死去>




ダブル発電と買い取り制度【発電論評】

 小さいものを集めたり組み合わせたりして大きく、賢く使う。発電の世界で広がるのはアグリゲーションとハイブリッドだ。組み合わせることで、様々なことが可能になる。
 例えば、太陽光発電をダブル発電にすると、出力変動が激しすぎることが欠点だとされる太陽光発電が安定電源として生まれ変わる。組み合わせる電源は、燃料電池だったり、コージェネだったりする。わかりやすいのは蓄電池で、蓄電池を使えば100%太陽光発電の電気を安定して使えるようになる。
 コージェネや燃料電池だって負けてはいない。ダブル発電の補完用電源として、効率よく、かつまた機動的に発電してくれる。燃料電池は水素を燃料とするので低炭素電源としての資格は十分だ。現在は都市ガスを改質した水素を使うのが主流なので、CO2フリーというわけにはいかないが、排熱回収も含めた総合効率は90%を超えるようになっており、無駄なくエネルギーを使い尽くせることも魅力になる。ガスエンジンやガスタービンを使うコージェネも、こちらも総合効率は80%を超えるのは当たり前であり、低炭素で、高効率の発電手段として、太陽光発電と組み合わせるのにはふさわしい電源だといえる。
 ダブル発電というと、住宅の屋根の太陽光発電と、エネファームなどの家庭用コージェネを組み合わせるものを思い浮かべるのが普通だが、最近の太陽光発電の大規模化に反応して、売電用の規模の大きなものまでダブル発電とする事例が出てきている。組み合わせる電源は木質バイオマスやバイオガス発電などがあり、固定価格買い取り制度によって、太陽光発電は太陽光発電で、バイオマス発電はバイオマス発電としてそれぞれ売電できるので、事業性は担保される。
 下水処理場では、下水汚泥を発酵させるバイオガス発電を行うところは以前から多く見られたが、最近では、太陽光発電も設置してダブル発電が行われる例が見られるようになった。コージェネや燃料電池の燃料にバイオガスを使うと買い取り制度の対象になるが、そうでないとダブル発電を行うと太陽光発電の買い取り価格が引き下げられてしまうという奇妙なことになっている。これは、固定価格買い取り制度導入以前の余剰電力買い取り制度を、新制度でもそのまま引き継いだためなのだが、太陽光発電の発電電力量は簡単に計測できるのだから、ダブル発電のうちの太陽光発電分だけを買い取るということは容易なはずなのに、問題視されなくなっている。今年も買い取り価格の見直しが始まり、新たに洋上風力が別枠で買い取られる方向だ。ダブル発電の見直しも検討課題とすることはできないものか。