2014年125日号

全面自由化後も買い取り義務は小売り事業者に
 経済産業省は、1月20日に、電力システム改革の制度設計WGを開催した。
 同日の委員会では、広域機関の設立に向けて動き出している準備組織の活動内容についての報告や、ガイドラインについての説明が行われた。
 また、全面自由化後の電力の安定供給について、ネットワークにつながり、電気事業用として運用される発電設備については、実際に発電された電力だけでなく、広域運用機関の指示に基づいて運転されることを前提に、設備を保有するだけで、一定の維持コストを支払う仕組みを検討することにした。
 実際の運転時間とは関係なく設備の維持コストを電力を買い取る側が負担することで、発電事業者の事業運営を円滑にする。電気料金も基本料金と実際に使用した電力料に応じて増減する重量料金の2種類の料金体系となっているが、それに近いものになる。
 また、再生可能エネルギーの買取義務者は、全面自由化後には電力の小売りを行う電気事業者から送配電事業者に移行する方向で調整されていたが、これについては全面自由化後もこれまでどおりに小売り事業者とすることが提案され、了承された。全面自由化後も買い取り義務者を小売り事業者に戻すことについては、提案した経産省によると、FIT法が買い取り義務者を小売り事業者として指定していることなど、現行のままとした方が制度を大幅に変更する必要がないことなどを理由にあげている。
 これについては、システム改革により現在の買い取り主体である一般電気事業者がなくなることから、買い取り拒否をできる要件などを調整して、再生可能エネルギーの買い取り義務が全面自由化後も担保できる体制を整える必要があり、こうした点を今後の検討課題として制度設計を行うこととされた。


IHI、長野県の七味温泉ホテルから小型バイナリー発電装置を受注
 IHIは、温泉発電として使用される小型パッケージタイプのバイナリー発電装置「ヒートリカバリー」(20kW)を長野県の七味温泉ホテルから受注した。温泉発電用としては初めての受注となる。受注した設備は70度C〜95度Cの温水を利用する20kWバイナリー発電装置で、同ホテルでは、90度C前後の温泉水で発電するほか、浴用だけでなく、温泉熱をハウス栽培などへ二次利用することも検討している。
 ヒートリカバリーは、従来、バイナリー発電に適さないとされ捨てられていた、少量の温水を熱源としてエネルギー利用することを目的にIHIが開発した最大送電端発電出力20kWの小型・軽量タイプもので、少ない熱エネルギーで高出力を得ることが可能な非常に高効率で画期的な発電装置。これまで熱エネルギーの回収が難しかった工場などで分散して排出されている100度未満の温水を集約することなく利用することができる。自家用電源として利用するだけでなく、系統接続して固定価格買い取り制度による売電事業用としての用途も開かれたことで、今後の設備販売の拡大が期待できるようになった。今回の受注に先立って、同型機の初号機を福島ミドリ安全が林野庁から受託した木質バイオマスを燃料とする地域熱電供給プロジェクト用として受注、2号機を焼却炉メーカーのキンセイ産業が発電可能な次世代型焼却炉の開発を目指すv実証試験用として受注している。
 IHIでは、今年度末までに、20台以上の受注を目標に営業活動を展開するとともに、今後、更なるラインナップの拡充を図ることにしている。


ヤンマーと日立、関西地区でガス吸収冷温水機の販売拡大で協力
 ヤンマーエネルギーシステムと日立アプライアンスは、関西地区でコージェネレーションシステムと組み合わせる小型廃熱投入ガス吸収冷温水器の販売提携する。停電対応や節電を目的に、ガスエンジン発電機の導入やガスによる省電力空調を計画する小規模ビルや事業所が増えていることに対応して、夏季にもコージェネの廃熱を利用できるシステムとして、コージェネのさらなる用途の拡大を目指す。
 ヤンマーエネルギーシステムは、小型ガスエンジンと排熱温水ボイラーなどを組み合わせた5kWから35kWまでのパッケージ型のコージェネレーションシステムを「マイクロコージェネレーションシステム」として販売しているが、回収した排熱は暖房や給湯に利用するため、夏期には温熱の需要が低下することから日立アプライアンスが製造販売する小型排熱投入ガス九週齢温水機「ジェネリンクMini」と組み合わせて販売することで、小型コージェネの用途拡大を目指すことにした。


大阪ガス、スマートエナジーと再可エネ活用事業で協業
 大阪ガスは、グループ会社のエナジーバンクジャパンがスマートエナジーと地域での再生可能エネルギー事業の拡大で提携すると発表した。地元企業など地域が主体となる再生可能エネルギー事業は、事業を計画し推進する資金や人材不足などの理由で取り組みが遅れているのが現状で、両社は、こうした地域が主体となる再生可能エネルギー事業の掘り起こしを目指して協力して事業を進める。
 エナジーバンクジャパンは、大阪ガスのグループ会社として、ユーザーが初期投資を行わず、再生可能エネルギーを利用した発電設備を設置できるワンストップ型のソリューションサービスを提供しており、太陽光発電事業についても自治体などと共同で、発電設備の技術評価・エンジニアリング・保守メンテナンスまでをパッケージ化した発電事業スキームを構築し発電事業を実施している。スマートエナジーはCO2削減活動の支援・コンサルティング事業を中心に、CO2削減認証事業などを展開しており、国内のCO2削減ファンドとして2007年には日本政策投資銀行と大阪ガスの3社で「エナジーバンクマネジメント」を設立するなど、大阪ガスとの事業提携でも実績がある。平成24年・25年には内閣府からの委託事業として、地域に密着して関係者と連携・協力しながらCO2削減活動を推進するカーボンカウンセラーを育成する「一般社団法人 カーボンマネジメント・アカデミー」を設立し、既に、全国に約2千人の人材を送り出している。また、太陽光発電についても高知で市民共同が他のメガソーラー事業に取り組むなど、地域密着型の太陽光発電事業に積極的に取り組んでいる。今回の提携では、エナジーバンクジャパンの発電事業スキームを利用して、スマートエナジーが地元企業や自治体などととつながりのあるカーボンカウンセラーを通じて事業化に至っていない太陽光発電などの地方の再生可能エネルギー事業を掘り起こして地域と共同する発電事業として具体化させる。事業化にあたっては、発電会社(SPC)を設立し、地元のカーボンカウンセラーを主体として、発電事業の保守・運営を行うことで地域雇用の創出にも貢献する取り組みを目指す。


その他の主な記事
・パナソニックが家庭用太陽光のアグリゲーション事業
・四電工、新たに2カ所でメガソーラー
・電気化学工業 新たに水力発電所で売電事業
・エネットと楽天 ポイントサービスでウオームシェア
・野村不動産 大規模マンションでの省エネ実証の結果報告
・日本アジア 証券化スキームのメガソーラー
・シーテック 島田市のメガソーラーが完成
・村田製作所もメガソーラー事業
・NTTF 17カ所目の太陽光発電所
・三菱重工業 石炭火力のCCS商用化に目途
・大和ハウス 奈良で新たにメガソーラー
・ソフトバンク米子ソーラーパークが完成
・シャープ 茨城利根町のメガソーラーが完成
・三菱重工と日立 中国で分散型ガスエンジン事業を拡大
・レジリエンス住宅エネセミナー
・省エネ大賞 決まる
・国内排出量取引制度最終年度の実績を発表
・カーボンオフセット 認証基準を改正
・パラオと10カ国目の2国間文書
・日本がIRENAの議長国に
・長崎県電力デマンド監視装置の効果をアンケート調査
・東京都 屋根貸し太陽光 金融機関を紹介
・和歌山県 表層型メタハイの独自調査を実施
・川重冷熱 インドネシアで太陽熱空調を実証 環境省の委託事業
・省エネシンポ10地区で
・カーボンマーケットEXPO 3月4日に
・ENEX014 1月29日から   etc.

<訪問記>
・分散型エネルギー最前線
(レモンガス エネルギー自立型災害対策マンション「ALFY橋本」)
東日本大震災以降、災害に強いエネルギーとしてLPガスが注目されている。だが、具体的な案件となると、LPガスによる非常用発電設備が一部で普及しはじめた程度というのが実情だ。こうした中にあって、レモンガスは、神奈川県相模原市に、LPガスを活用した日本初のエネルギー自立型災害対策マンションを建設した。今回は、エネルギーシステムの設計を担当した、有川敏隆氏に、施設を案内していただいた。




シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流(41)
 =アベノミクスの1年間とエネルギー政策=
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一)

・日本の再生可能エネルギー事情 その9
 =再生エネに前向きに取り組む年=
 日本再生可能エネルギー総合研究所代表 北村和也

・国内太陽光発電システム市場 第3回
 =住宅用PVシステム市場=
 デジタルリサーチ 遠藤雅樹




コラム
・発電論評<電力自由化とアグリゲーション>
・青空<東京都知事選が公示された>
・ちょっと一休<住宅広報連絡会の20周年の記念式典>
・一筆啓上<原発輸出は縮小する>


電力自由化とアグリゲーション【発電論評】

 規模の小さいものを数多く集めてまとまった量にするアグリゲーションが最近のトレンドのようだ。一つ一つは小規模でも、数を集めればメガになる。
 この手法を使って、住宅用の太陽光発電の余剰電力を買い集めて、まとまった電力として販売するという事業をパナソニックが始めると発表した。5年後には50万戸の住宅の余剰電力を、そのころは全面自由化されている電力市場で販売することを考えている。住宅用の余剰電力は固定価格買い取り制度によって購入する。買い取り料金を上乗せし高く買い取ることで、電力会社ではなくこちらに売って貰う。固定価格で買っても実際に負担するのは回避可能原価と上乗せ分だけでよいので、10円前後で仕入れた電力を市場価格で販売できることになる。
 住宅用太陽光発電では、約半分が余剰電力といわれるので、50万戸の住宅で100万kW規模の太陽光発電所を所有できることになる。自ら投資することなく大規模な太陽光発電所の電力を手に入れることができるという見方も示された。現在新築される住宅の多くに太陽光発電が標準装備されるようになっているので、住宅の建設や販売時点で余剰電力の購入契約も済ましてしまうことができれば、営業的な負担も少ない。パナソニックは、ハウスメーカーや住宅工務店などと提携することで、余剰電力の買い取り契約も済ましてしまおうと考えている。買い取り制度では、余剰電力の買い取り期間は10年間しかないのだが、今のスキームでは、買い取り期間の終わった11年目以降をどうするのかということまでは見通せていない。その時には任意の買い取り市場ができていることが期待できるということなのだろうか。
 小規模のものをアグリゲートしてそれなりの規模のものにするということは、ネガワットなどの節電の世界でも始まっているが、コージェネや燃料電池などの分散型電源でも同様の手法が展開できる。太陽光発電との違いは固定価格買い取り制度があるのかどうかだけである。例えば、これまでのコージェネ設置者の多くは、余剰電力が販売できなかったため余剰電力を発生させないという前提で設備形成を行っている。自由化によって販売できるようになると、中小規模のコージェネや燃料電池の電力をアグリゲートすれば、規模や時間帯などの多様な要求に簡単に対応できる極めて使い勝手のよい電源とすることができる。前述のアグリゲート太陽光発電の出力調整用として組み合わせると低炭素で負荷追従性極めて高い電力供給が行えることになる。
 コージェネや燃料電池などの分散型システムを利用する新たな事業形態を自由な発想で競って作り出す時代が訪れているといえるのではないか。