2014年 新年特別号
2013年12月25日 2014年1月5日 合併号


大阪ガス、東芝燃料電池などと共同開発のエネファームを発売
 大阪ガスは、東芝燃料電池システムやノーリツなどと共同開発したPEFCタイプの家庭用燃料電池エネファームを新たに開発し、来年4月1日から販売を開始する。
 東芝燃料電池が発電ユニットを、長府製作所とノーリツが排熱利用給湯暖房ユニットを製造し、大阪ガスが販売する。給湯暖房ユニットはこれまでの長府製作所に加え、ノーリツ製のユニットもラインアップに加えた。
 新エネファームは、低コスト材料を開発し構造を簡素化するなどして、現行品よりも66万円低価格の194万4千円と200万円を切る販売価格を実現した。さらに、発電効率を0.5%向上させ39%に、廃熱回収を含む総合効率も1%向上させ95%へと、さらに向上させている。
 また、無線LANモジュールを内蔵したモデルもラインアップに加え、スマートフォンでエネファームの操作やエネルギーの見える化もできるようにした。


2012年度電力排出係数 さらに悪化
 経済産業省と環境省は、2012年度の事業者別の電力排出係数を取りまとめて発表した。
 電気事業者の供給する電力のCO2の排出量の算定に必要となる排出係数は、毎年度公表されているが、公表されている排出係数は実際の発電に伴って排出されるCO2量から算出される「実排出係数」とCDMなどによるCO2クレジットでオフセットされた「調整後の排出係数」の2種類がある。2012年度までは、京都議定書の第1約束期間であり、このため、日本の削減義務であった90年度比マイナス6%を達成するために、調整後の排出係数が示され利用されている。
 電力事業者ごとの実排出係数は、それぞれの事業者が用いる発電種類によって大きく異なることになるが、特に9電力会社では、震災後の原子力発電所の大量停止によって、石炭などの火力発電比率が激増していることもあり毎年悪化し、前年度と比べてもさらに悪化している。震災前の2010年度と比べて、最も悪化している四国電力では2倍以上、また震災による被害を受けた東北電力、東京電力では約40%悪化、原子力発電比率の高い関西電力も65.3%と大幅に悪化している。原子力発電比率の低い中国電力は1.4%の悪化に止まっている。
 沖縄電力を加えた電力10社で、実排出係数のもっとも少ないのは、関西電力の0.514kgCO2/kwh、次いで中部電力の0.516となっているが、デフォルト値を下回ったのは東京電力を加えた3社だけで、残りの7社は、デフォルト値を上回っている。


その他の主な記事
・電力保安小委 太陽光発電所の規制緩和など報告
・26年度のエネルギー予算
・26年度の環境エネルギー予算
・メタハイ開発に127億円
・九州の太陽光発電が200万kW超
・地球温暖化対策成果発表会
・2012年度の排出係数を公表
・省エネ法改正で基本方針も改正
・京セラ 滋賀県で大規模メガソーラー事業
・シーエナジー いなべ市に2カ所目のメガソーラー
・有機太陽電池の理論変換効率は21%
・SBエナジー 矢板のメガソーラーが完成
・グンゼ 宇都宮営業所でメガソーラー事業
・三菱UFJなど 真壁氏のメガソーラーが完成
・富士電機 熊本工場のメガソーラーが完成
・北電エコエナジー 小水力発電をリニューアル
・三菱重工 中国で発電用ディーゼルを量産
・ソーラーフロンティア 宮城に新工場  etc.


<新年を展望する・年頭所感>
資源エネルギー庁長官/コージェネレーション・エネルギー高度利用センター理事長/省エネルギーセンター/都市環境エネルギー協会/日本風力発電協会/日本電設工業協会/日本ガス協会/エネルギーアドバンス/東邦ガス/ヤンマーエネルギーシステム/ハタノシステム



シリーズ連載
・日本の再生可能エネルギー事情 その8
 =再生エネ、波乱の年が始まる=
 (日本再生可能エネルギー総合研究所代表 北村和也)





コラム
・ちょっと一休<護衛艦「ひゅうが」を見学する>
・青空<2014年を占う>


新年の分散型、新エネルギー市場を展望する

 2013年は、再生可能エネルギーと原子力に焦点が当たった年だった。
 再生可能エネルギーについては、固定価格買い取り制度によって太陽光発電を中心に大量導入への道が開かれようとしている。また、電力システム改革もいよいよ実行段階に入り、電気事業法の改正が行われた。今年も、電力事業の全面自由化の実現に向けて第2段の法改正が行われる予定だ。全面自由化によって電力事業は発電と送電、小売り販売と部門毎のライセンス事業となり、それぞれに事業参入できる制度に生まれ変わる。
 こうした、大変革の時期を迎えている電力産業であるが、足下では、需給の逼迫と、燃料費の高騰による料金の値上げ、さらに、長期的にはピークを過ぎた電力需要など困難な課題が横たわっている。こうした中で迎えた2014年は、果たしてコージェネや自家発、再生可能エネルギーといった分散型市場にとってどのような変化が予想されるのか占ってみた。

▽電力システム改革
 2014年早々に開かれる通常国会に電力システム改革第2弾の電気事業法の改正案が提出される。主な内容は、電力の送配電部門を除く発電部門と小売り部門で全面自由化が行われ、それに伴って、電力事業が「発電事業」と「第1種送配電事業」、「第2種送配電事業」、「第3種送配電事業」「小売り電気事業」の5つの事業部門に分類され、事業者は、事業部門毎にライセンスを取得することになる。
 電力事業の全面自由化によって、現在の10電力会社も事業部門毎にライセンスを取得することになる。
 第1種送配電事業者とは、現在の電力会社の送配電部門をイメージしているもので、経産大臣の許可事業となる。第1種送配電事業者は、需要家保護の観点から@最終保証サービスの提供義務A離島ユニバーサルサービスの提供義務も課される。
 第2種送配電事業者は、第1種送配電事業者に対する振り替え供給を行う事業者との位置づけで、現在のJパワーなどの送電部門をイメージしている。第2種も大臣の許可事業となる。
 第3種送配電事業者は、特定の地域で自営線を活用して電気の供給を行う事業者で、現在の特定電気事業者やコミュニティグリッド事業者の送配電部門などが該当する。
 第2段の改革が実現することで、様々な料金メニューや電源メニューなどが自由に提供され、需要家も自由に電力会社を選択できるようになる。また、ライセンスを取得するだけで自由に事業参入できるため、例えば、ガスと電気を両方供給したり、電話と電気、放送と電気を併せて提供したり、それらのものを複合的に組み合わせて提供する企業の出現も可能になる。スーパーやインターネットで電気を買う時代もそう遠くないのかもしれない。

▽再生可能エネルギー
 再生可能エネルギーは、固定価格買い取り制度が導入されて3年目を迎えることになる。現行法では、制度導入後の大量導入を目指した3年間の最終年度となる。
 これまで、メガソーラーの出現などによって、特に事業用の太陽光発電は期待を大きく上回って大量導入されているが、他の電源については、必ずしも期待通りということにはなっていない。
 風力発電については、RPS法の時代にはあった補助制度が廃止され、導入量が激減していたが、固定価格買い取り制度に期待が集まっていたが、制度の導入と時期を合わせて環境アセス制度が適用されることになったことや、改善されない系統接続問題などが総合的に影響して、期待通りの結果とはなっていない。しかし、新制度の開始によって、RPS制度からの大量移行も実現し、風力発電そのものの事業環境は格段に整ってきており、アセス期間を含めた準備を終えたものが少しずつ増えてきているといった状況。また、将来的には風力発電の中心になるとして期待されている洋上風力発電も、実証段階から開発段階へと移りつつあり、新年度には、洋上風力発電の買い取り価格も陸上とは別枠で示される方向で準備が進められている。
 また、系統制約が特に問題となっている北海道と東北地域では、国の主導によって新たな送電会社が設立されるなど系統接続量の拡大を目指した取り組みが開始されており、数年後には、系統接続問題も多少緩和されて陸上風力についてももう一段の拡大が期待できる環境が整いつつある。
 ただ、陸上風力も洋上風力も、コスト削減の方向が規模の大きさを追求する方向に進んでおり、ブーム初期の市民風車などの取り組みの拡大は今後も期待できそうもない。
 また、風力発電は昨年、風車の落下事故や落雷事故などが相次いだことで、事故の拡大が懸念されるようにもなっている。こうした懸念を払拭するための保安体制の充実なども業界への課題として顕在化してきている。
 バイオマス発電については、固定価格買い取り制度によって、取り組みが活発化し始めてはいるが、まだ目立った動きにはなっていない。燃料の集約がコスト的に難しいといった課題の解決が相変わらず進んでいないためだ。下水汚泥や、廃棄物発電などが中心という状況には変わりはないが、食品残渣や、農業残渣などを活用する地域での取り組みもそれなりに続いているという状況。
 地熱発電は、固定価格買い取り制度によって、開発計画が動き出している。候補地点の可能性調査などに対しても国の補助制度などの後押しもあり、新たな地点開発に動きが見られるようになってきている。温泉発電にも期待したいところだが、温泉地域での開発には地元の権利者との調整が不可欠で、乗り越えなければならない壁が高い。温泉発電のモデルとなるプロジェクトの実施など、買い取り制度のとは別の支援措置による普及策の提案が期待されるところだ。
 中小水力も同じような状況で、まだ新たな開発などには目立った動きが見られない。水力発電には水利権の獲得が必要になるが、農業用や河川法などの既設の利権との調整が必要であり、水利権者の理解が進まないと、変化も期待しにくいという状況が続いている。
 太陽光発電は固定価格買い取り制度による設備認定量が2千万kWを超えているが、引き続き活発な開発が行われている。新年度は3年間の優遇期間の最終年度であり、当面は高水準の開発の継続が期待できる。新たな動きとして期待したいのは農業分野での取り組みで、農業と太陽光発電が両立できるソーラーシェアリングの先駆的な取り組みやモデル事業なども各地で開始されており、今後の広がりが注目される。

▽コージェネ・自家発
 自家発電設備については、防災用電源を中心にしてきた非常用発電の市場は、震災後のこの2年間で大きな変化が見られるようになってきた。ひとつには節電、停電対策として非常用発電設備の導入するケースが工場や事業場などで増えていることだ。こうした動きは、災害時にも事業が継続できるために必要な電力は自給できるようにするという文字通りの停電対策や、夏期や冬期の電力のピークカットや節電対策としての自家用発電設備が導入されるというケース。節電対策として系統電力への依存度を下げ、自家発電力を増やすというのは使用する電力量には変更がないという意味では節電にはならないのだが、ピーク時の系統電力の削減効果があるという意味で、政策的な観点から「節電」に分類されるようになっている。
 こうしたものも新たな市場として今後とも継続していくものと思われる。電力システム改革によって自由化が拡大し、自給型電源の整備市場もそれに伴って拡大すると考えられるからである。また、防災用電源の容量増や燃料タンクの増設といった動きも顕在化していることから、停電対策としての自家発導入も継続も期待できると考えられている。
 また一方で、ガスコージェネの導入も復活してきている。常用電源であるガスコージェネは、燃料費の上昇もあってほぼ市場を失っていたが、震災後にかつての市場を回復しつつある。
 このように、新たな市場として期待されるのは、電力自給力を高める電源セキュリティ対策だといえる。施設内の電力などのエネルギー消費の一部をコージェネで賄うことにより、災害時でも必要最低限のエネルギーを確保するという取り組み。こうした、自立型の電源確保の動きと、防災拠点などでの再生可能エネルギー活用型の電力自給力の確保の取り組みなどが進展することによって地産地消型の電力利用スタイルが広がっていくことが期待できる。

▽地球温暖化対策、省エネ・節電
 京都議定書第1約束期間を中心に高まっていた地球温暖化問題への取り組みの活発化は、約束期間が終了したことや2013年度以降の第2約束期間の枠組みに日本が参加しなかったこと、また、東日本大震災を契機とする原子力発電の大量停止による電力排出係数の悪化などにより、新たな削減対策が示されぬままに急速にその関心や対策を後退させている。2013年以降の新たな削減対策を日本は示すことができないでいたが、昨年11月のCOP19には、新たな削減目標として05年比3.8%減とする暫定目標が発表された。内外からの批判を受け、原子力発電の再稼動状況を見極めた上で、目標の修正を表明している。
 こうした中で、新たな削減対策として示されているのは、CDMクレジットに変わる日本独自の2国間クレジット制度と、国内のJ−クレジット制度だけという状況。第1約束期間ではそれなりに削減実績を上げた産業界の自主行動計画も今後は低炭素社会実行計画として引き継がれているが、多くの業界団体が電力排出係数の大幅な悪化という状況が続く中で新たな削減対策を講ぜられないでいる。国内での削減対策の進展は今後も困難な状況が続くと考えられる。