2013.11.15


2013年1115日号

エネルギー産業は「総合」化へ
 新たなエネルギー基本計画について検討している、総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会が11月12日に第9回の会合を開き、電力、都市ガス、LPガス、石油、太陽光発電の5つのエネルギー供給事業者の団体から、それぞれの事業の展望などについて事業の現状や展望、行政に対する要望などをヒアリングした。各業界の枠を超えた共通の目指すべき方向として、現在のそれぞれの一次エネルギーを販売するエネルギー産業から、新たなエネルギーやサービスを付加して総合エネルギー産業化を目指すという方針が示された。
 ガス業界では、コージェネレーションを中心とした分散型エネルギーシステムの拡大を目指し、電力とガス、その他の関連事業を加えた総合エネルギー事業を目指すことをあらためて示し、国に対しては、2030年にはコージェネを15%の割合に引き上げるという数値目標の復活を求めた。ガス業界の15%目標の復活を求める提案に対しては、複数の委員から賛成の意見が述べられた。
 LPG業界は、LPGは分散型のガス体エネルギーとして、エネルギーシステムの分散型化や非常災害時にも機動的に対応できる分散型供給システムであるという特質を生かして、ガス事業との棲み分けによる事業展開を提案。新たな基本計画の中でも、エネルギー供給の一翼を担うエネルギー源としての位置づけの明確化を求め、あらためて、都市ガス事業との棲み分けによるガス体エネルギー全体の拡大によって、コージェネなどの分散型エネルギーの拡大の一翼を担っていくという姿勢を明らかにした。
 石油業界は、CO2問題や脱石油の製作展開などによって石油からガスへのエネルギー転換が進展している中で、石油業界としても再生可能エネルギーも含めた総合エネルギー産業への転換を目指す姿勢を明らかにし、「需要家が求めるエネルギーを需要家に届ける」ことを目的に、石油に限らず多様な1次エネルギーを2次エネルギーに転換してエネルギーサービスを行う業態へ転換していくことを提案。そのためには、電力システム改革に続いて、ガスシステム改革も実現して、業界の垣根を越えた総合エネルギー事業として事業展開できる環境整備の必要性を訴えた。


瓦斯事業もシステム改革 検討小委が始動
 経済産業省は、電力の制度改革に続いてガス事業についても 新たな事業制度への転換を求めるシステム改革に向けた検討を開始した。11月12日に第1回のガスシステム改革小委員会を開催し、電力のシステム改革を一つのモデルとして、小売りの自由化範囲の拡大を中心テーマとする制度改革にむけての議論をスタートさせた。
 電力システム改革を後追いする形で実施されるガス事業制度の改革ではあるが、電力とはそもそも事業環境が大きく異なっている。地域独占の弊害の解除を主な目的として展開された電力システム改革とは大きく異なる視点に立っての議論となることが予想される。
 同日の委員会では、制度改革の目的や論点について議論を交わし、小売り自由化範囲の拡大や、託送サービスなどの供給インフラへの悪性工場や導管整備、簡易ガス事業のあり方を主な論点として検討を進めることを了承した。
 制度改革の目的としては4項目を掲げ、ガス事業全体ではなく、事業規模などの条件によって自由化範囲などをそれぞれ議論することにした。グループ分けとしては、@東京ガス、大阪ガス、東邦ガスA北海道瓦斯、静岡ガス、西部スなど主要な地方ガス6社B導管により卸供給を受ける119事業者(うち公営22事業者)Cタンクローリー・鉄道により調達する81事業者(公営5事業者)D簡易ガス1452事業者の5グループを基本にわけ、それぞれの特徴に応じて改革の議論を進める。


電気事業法改正案が可決成立
 電気事業法改正案が11月13日の参議院本会議で可決され、成立した。
 今回改正されたのは、3段階に分けて行われる電力システム改革の第い1段階とされるもので、電力ネットワークの全国大での運用を監視して需給調整を行う「広域的運営推進機関」を2015年をめどにせつりつすることや、需給ひっ迫への備えを強化するために、自己託送、電気の使用制限命令の見直したことなどが主な改正点。
 第2段階の法改正では、2016年をめどに、家庭用までも含めた電力販売を全面自由化し、需要家が電力会社を選択できるようにする。第3段階の改革は、2018〜20年をめどに、電力会社から送電部門を法的に分離して「発送電分離」を実施し、送電部門の中立性を高め、送電網を新規参入事業者などが公平に利用できるようにする。
 第2段階と第3段階についてもそれぞれ法改正が必要となるが、改正された電気事業法の附則には法改正の時期がプログラム規定として盛り込まれている。


福島沖の浮体式洋上風力実証機が運転開始
 福島沖で国の実証プロジェクトとして取り組まれている浮体式の洋上風力発電設備の初号機が設置工事を完了し、運転を開始した。実証事業は丸紅や三菱商事、三菱重工業、三井造船、東京大学などが参加する「福島洋上風力コンソーシアム」が受託して実施するもので、このほど2千kWのダウンウインド型浮体式洋上風力発電設備と66kVの浮体式洋上サブステーション(変電設備)の建設工事を終え11月11日に運転が開始された。さらに、来年度には第2期工事として世界最大級の7千kWの油圧ドライブ式浮体式の洋上風力発電設備2基が運転を開始する予定で、完成すれば3基で1万6千kWの浮体式では世界最大規模の洋上風力発電所となる。

その他の主な記事
・メタハイ開発など海洋至言開発を見直し
・JXとLIXILが住宅用創エネで業務提携
・関西電力 太陽光発電所が運開
・ユーラス 淡路島のメガソーラーが着工
・大阪でひかりの森プロジェクトが始動
・NTTF 牛久にもメガソーラー
・日本アジア 富士市で屋根借り型太陽光発電
・鹿児島で国内最大規模のメガソーラーが運開
・シャープ太陽光と蓄電池など複数機器を1台で制御
・丸紅 沖縄のメガソーラーを受注
・出光興産 メガソーラ事業を拡大
・東芝 米国でスマメ70万台を受注
・ソフトバンク 福岡で燃料電池の開所式
・自然ネルギー財団が分散型でシンポ
・東京電力 スマメ設置完了を3年間前倒し
・火力入札 上限価格公表を選択制に
・洋上風力の調達価格を設定
・産総研がエネ技術シンポ
・NEPC 小水力の普及のための調査業務を募集
・東工大 スマートキャンパスシンポ
・独立型再可エネ導入補助2次募集決まる
・省エネ技術の海外調査 募集
・メタハイフォーラムを開催
・カーボンオフセットセミナーを開催
・名古屋で温暖化セミナー   etc.

<インタビュー>
・震災に強い「通信+エネルギー」を
(SBエナジー 取締役副社長 藤井宏明氏)
 東日本大震災の被災地で、真っ先に電源を必要としたのは、テレビやラジオなどの放送を受信する機器と、携帯電話だったという。通信事業にとっても、電気というエネルギーは 不可欠なものだ。この震災をきっかけに、ソフトバンクの孫正義社長は自然エネルギー協議会や自然エネルギー財団といった提言活動を行う組織を立ち上げる一方、事業会社としてSBエナジーを設立し、電力システム改革につながる社会貢献とビジネスに着手した。今回はエネルギービジネスを担う、SBエナジーに話を伺った。



燃料電池新聞の主な記事
・パナソニックと東京ガスが集合住宅用エネファームを開発
・アツミテックの排ガス発電
・消化ガスを燃料とする水素ステーション
・FCOが高密度のSOFCスタックを開発
・海外ニュース
 -GM、米軍とも燃料電池技術開発で協業
 -英ITM Power、独Th?ga Group向けに「Power-to-Gas」プラントを納入設置
 -独H2 Mobilityイニシアティブ、2023年までに400カ所の水素ステーション建設で合意
 -仏McPhy 、世界初の固体水素貯蔵ユニットを組み合わせた産業用水素供給装置を開発
 -米CenturyLink、California州にあるデータセンターに米Bloom EnergyのSOFC発電装置を設置
 -米E3 Clean Technologies、南アHySAにアンモニアを燃料とする水素製造装置を販売
 -米FuelCell Energy、サブメガワット級SOFCシステムの開発などふたつのプロジェクトを継続
 -豪Ceramic Fuel Cells、英独でマイクロCHPの導入設置が始まる
 -カナダBallard 、屋外設置に適した通信基地局用の標準化されたバックアップ電源を開発
 -英Logan Energy、ロンドン都心部の再開発プロジェクトで300kW級MCFCを設置
 -米CommScope、ケーブルTV産業のR&Dを担うCableLabsに燃料電池バックアップ電源を設置
 -独FFCCT 、幅480mmのロール長のGDLの量産開始
 -独Linde Material Handling、BMW工場で燃料電池フォークリフトの実証試験を実施
 -韓国POSCO Energy、100MWの生産能力を有するMCFC燃料電池生産工場の建設に着手
 -ベルギーVan HoolとカナダBallard、バスワールドEXPOで環境賞を受賞
 -米GMのFCV「Chevrolet Equinox」、10万マイルの実証走行を達成
 -米カリフォルニア、ニューヨーク州など、BEV、PHV、FCVの販売を後押し
・燃料電池フラッシュニュース
 -大阪大学など、300℃で作動するSOFCの試作を開始
 -日野自動車、プラグインハイブリッドバスを開発
 -エネルギー総合工学研究所、2050年までの次世代車普及を予測。BEV、FCVは普及せず
 -シナネン、石川県でスマートハウスの実証実験を開始
 -デロイトトーマツ、FCVの販売台数予測、2015年は4万台、2025年は176万台
 -日経BPクリーンテック研究所、全世界の水素インフラ市場規模は2050年に約160兆円と予測
 -積水ハウス、大型蓄電池を設置したプレハブ住宅をシリーズ化
 -大阪ガス、「エネファーム」の累計販売台数が2万台に到達
 -富士経済、創エネ住宅の需要予測を発表、2025年度には累計1176万戸でオール電化住宅を上回る       etc.
・燃料電池インフォメーション
■経済産業省資源エネルギー庁「燃料電池セミナーin東京」:11月25日(金) 東京ビッグサイト会議棟6F(「東京モーターショー2013」内) ○プログラム/「日産自動車における燃料電池自動車の研究開発」(日産自動車 総合研究所 飯山明裕氏)/「ホンダの燃料電池電気自動車開発の現状と今後に向けて」(本田技術研究所 四輪R&Dセンター  守谷隆史氏)/「トヨタ自動車における燃料電池自動車の開発」(トヨタ自動車 FC技術部 木崎幹士氏)/「水素供給インフラの普及に向けたHySUTの活動について」(HySUT 北中正宣氏)/「水素ステーションの低コスト化への取り組みについて」(大陽日酸 水素プロジェクト部 今村等氏)
■日本膜学会「プログラムニューメンブレンテクノロジーシンポジウム2013」:11月26日(火) 三田NNホール(東京港区) ○プログラム=ガス分離膜技術セッション/「高シリカCHA膜(MSM-1)のガス透過特性」(三菱化学科学技術研究センター 武脇 隆彦氏)/「ハイブリッドシミュレーション」(千代田化工建設  エンジニアリングソリューション 味村 健氏)/「水素透過型メンブレンリアクターと耐熱性水素分離膜の高性能化」(岐阜大学 上宮 成之氏) =CO2分離膜セッション/特別講演 無機ガス分離膜 開発の歴史・現状・今後の展望」(工学院大学 工学部 中尾 真一氏)/「CO2分離膜」(地球環境産業技術研究機構 化学研究グループ  甲斐 照彦氏)/「多分岐ポリマー系ハイブリッド膜の開発」(神奈川大学 工学研究所  山田 保治氏)       etc.


シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(84)
 =日本の削減目標は3.8%減に=
 大串卓矢/スマートエナジー代表取締役社長

・<連載再開>世界を読む 59
 =気候変動対策から取り残される日本=
 (本紙:本橋恵一)





コラム
・発電論評<電事法改正と自己託送制度>
・青空<半沢直樹の世界が身近にも>
・ちょっと一休<東電の原発事故で目からうろこ>
・ちょっと一言<東電の発送電分離と福島第一対策>


電事法改正と自己託送制度【発電論評】

 11月13日の参議院本会議で電気事業法改正案が可決成立し、電力システム改革の第一段階の改革がスタートすることになった。全国規模のネットワーク運用機関が創設され、ゆくゆくは日本全国の送電ネットワークを管轄することになる。広域運用機関は、自前のネットワークは持たないが、その監視の下で各電力会社の送電部門が管内の円滑なネットワークの運用を行うことになる。第三段階の発送電分離まで改革が進めば、電力会社の送電部門は別会社として切り離され、専門の送電事業会社として自社の持つネットワークを運用することになる。各送電会社の枠を超えた需給調整や電力が不足する場合の予備電源の確保などは電力会社ではなく広域運用機関が責任を持つことになる。
 今回改正された事業法には、自己託送の拡大措置も含まれている。自己託送は自社の工場の自家発電電力を遠隔地の事務所ビルなどで使用する場合に電力ネットワークを利用して送電できる制度だが、これまでは、系統を運用する電力会社が受入を拒否しても、それをとがめる手段がなかった。法改正によって、送電拒否などの不適切な運用があった場合には国が改善命令を出すことができるようにした。
 こうした、自己託送の制度化は、電力ネットワークの利用範囲を拡大するという意味でも重要だ。利用(託送)料金を払えば、高速道路のように誰もが自由に送電できるようになることに繋がることになるからだ。今回の法改正には含まれていないが、小売りが自由化されている範囲では、複数の電力会社から部分的に需給契約を結ぶこともできるようになっている。自己託送と組み合わせれば、工場の余剰電力を送電して、不足する電力を電力会社から購入するということもできる。自家発の場合は、これまでは、余剰電力があっても売却先がなく、捨てるしかなかったのだが、託送料金を払っても安価な電力として利用できるのなら、自家発活用の手段が一つ増えたのだと考えることもできる。
 今般の電力システム改革は、戦後最大と言われるだけの大改革であるだけに、こうした自己託送制度についても、それの持つ意味や、それによってどのようなことができるようになるのかなど、まだまだ、改革の全容が正しく理解されているとは言い難いというのが現状である。エネルギーを供給する側の事業に携わる人たちは、比較的に理解が進んでいるといえようが、電気を利用する側にとっては、どのような変化が期待できるのかという理解を求める取り組みは遅れている。制度を変え、法律を変えただけで終わることなく、サービスを受け取る利用者の視点に立った、わかりやすい説明が行われる必要がある。