2013年1025日号

東京ガス、集合住宅向けエネファーム、発売へ
 東京ガスとパナソニックは、マンション向けの家庭用燃料電池「エネファーム」を共同で開発、来年4月1日から発売を開始する。
 エネファームはこれまで、戸建て住宅には設置可能だったが、設置スペースが限られる集合住宅への設置は難しかった。今回開発された製品は、燃料電池ユニット、貯湯ユニット、バックアップ熱源機を集合住宅のパイプシャフト内に設置できる仕様として、マンション内の廊下側に設置できるようにした。また、耐震性を向上させることで、高層階での設置も可能としている。
 東京ガスでは、来年度の販売目標は500台としているが、すでに都内で開発中の分譲マンション2物件、東急不動産が品川区に建設する総戸数356戸のマンションと総合地所が品川区内に建設する総戸数100戸に採用されることが決まっており、この2件で、ほぼ年間の販売目標が達成できることになる。エネファーム採用マンションは東急不動産が来年7月に、綜合地所の物件は2015年2月に竣工する予定。
 東京ガスとパナソニックが開発した集合住宅向けのエネファームは出力200Wから700Wの範囲で稼働する、発電効率39%(LHV)のPEFCで、廃熱回収も含めた総合効率は95.0%と、1次エネルギーをほとんど無駄なく使い尽くすことができる。
 エネファームの採用により、火力発電所からの電気と都市ガス給湯器からの給湯を行なう場合と比べて、定格発電時にはCO2排出量を約49%、一次エネルギー消費量を約37%削減できる効果があり、ユーザーサイドでCO2削減に取り組むことが難しかった集合住宅での、省エネ、省CO2対策の有効な手段として普及が期待される。また、独立型の発電設備を備えることで、停電時の電力自給力の確保にもつなげられる。東京ガスの試算では、モデルケースでの年間光熱費は約3〜4万円節約、年間CO2排出量を約1t削減できるという。


託送料金は認可制に 電力システム改革
 電力システム改革の詳細制度設計について検討している総合資源エネルギー調査会の制度設計WGが第3回の会合を開き、小売りの全面自由化に関する制度設計などについて議論した。全面自由化関連として示されたのは、@需要家情報の活用A経過措置期間の料金規制B託送料金規制の見直しC全面自由化後の送配電部門の中立性の確保の4点。
 託送料金規制の見直しについては、現在は電力会社が送電部門を会計分離して算出したコストをベースに算出した料金メニューを届け出ているものを、自由化後は国の認可制として、家庭用も含めた全部門について査定する仕組みを導入する。
 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の移行についても話し合われた。固定価格買い取り制度は、現状では、供給エリアを持つ電力会社に買い取り義務が課されるものになっているが、システム改革後は、電力会社が発電、送電、販売(小売り)の部門毎に分割されることになるため、自由化後も既存の電力事業者に買い取り義務を背負わせることには無理があるとして、完全自由化後の買い取り義務は、送配電事業者に背負わせることが提案された。


住友林業と住友共電、北海道でバイオマス発電事業
 住友林業と住友化学の子会社の住友共同電力は、未利用の林地残材や間伐材等を利用したバイオマス発電会社と、発電所に供給する燃料チップ製造会社の2社を共同で設立し、北海道紋別市でバイオマス発電事業を開始すると発表した。
 紋別市の所有する紋別港埠頭内の工業用地に、発電規模5万kWのバイオマス発電施設を建設し、固定価格買い取り制度による発電事業を行う。来年9月に着工して、2016年12月の運転開始を予定している。総投資額は約150億円の見込み。
 燃料は、発電所に隣接して設置する燃料チップ製造会社から供給するほか、地域の他のチップ工場から購入する木質チップやヤシ殻などの輸入PKS、また、補助燃料として一部石炭を利用する計画。
 地域の林産業関係者や自治体からの協力を得て、オホーツク周辺地域から集荷される林地残材や間伐材を主体にした燃料利用を進め、地域の林業と発電事業が連携する地域振興の仕組みの構築を図っていく。
 住友林業と住友共電は、国内初の都市型バイオマス発電所である川崎バイオマス発電所(神奈川県川崎市)を2008年4月から、建築廃材等を燃料として利用する発電事業を行っている。


電気事業法改正案を閣議決定 国会に再提出
 政府は、前国会で廃案となった電気事業法改正案を改めて閣議決定し、国会に再提出した。前国会での衆議院での修正が反映された内容となっており、改革の目的や料金規制の撤廃時期、事業悪化の改善措置など不足の表記が一部修正されている。改正案は、今国会での可決成立が確実視されている。

その他の主な記事
・基本政策分科会 原子力を集中討議
・北海道の自家発補助 2次募集を開始
・PWC システム改革支援室を設置
・NEPC スマエネ導入で17件を採択
・NEDO、国際実証提案などの相談窓口を設置
・東京ガス 環境おうえん基金の募集を開始
・東芝 川崎市とスマコミで提携
・東芝 石巻で地域エネ管理システム
・JX日鉱日石 下松で2カ所目のメガソーラー
・自然電力が熊本にメガソーラー
・Jパワー 京都府の下水汚泥からバイオマス燃料
・日立 住宅用太陽光発電パワコンの新製品
・JOGMEC 地熱の地下ちゅりゅうしょう評価技術を開発
・川崎重工 ガスエンジンを米国向けに輸出
・大和ハウス 和歌山で2万kWのメガソーラー
・お日様ファンドも募集
・NEPC 再生可能熱利用調査を募集
・公共施設屋根借り型太陽光を市民共同型で
・日本学術会議 エネルギーの光と影シンポ
・都市環境エネルギー協会 技術研修会   etc.

<インタビュー>
・マイクロ水力は国土に適した自然エネルギー
(デンヨー 販売促進部 非常用発電機課 参事 粟田豊氏)
急峻な山地が多い我が国の国土は、水力発電に適した地形だといえる。とはいえ、大型のダム式水力発電の開発はやりつくした感があり、自然環境破壊の問題もある。一方、中小水力、マイクロ水力発電の開発はまだまだ未開の適地が数多く有り、可能性がある。しかし、水力発電は小型になるほど採算が合わなくなる。そうした中にあってデンヨーは、5kWのマイクロ水力発電機を今までに無い発想で開発し、市場開拓を目指している。エンジン発電機で培われた技術を応用した製品だという。




シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流(39)
 =伸びる石炭火力と再生可能エネルギーの共存=
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一)

・日本の再生可能エネルギー事情 その6
 =再生エネ電力は本当に不安定なのか=
 日本再生可能エネルギー総合研究所代表 北村和也

・気候変動2 0−2(その4)
 =南北問題としてのCOP=
 本紙:本橋恵一




コラム
・発電論評<分散型電源の普及を目指す>
・青空<台風の当たり年?>
・ちょっと一休<日経OBの辻さんの本>
・一筆啓上<原発入札の不透明さ>


分散型電源の普及を目指す【発電論評】

 電力システム改革では、分散型電源に対する役割の拡大が期待されている。
 分散型電源の明確な定義はないが、大規模な火力発電や原子力発電、水力発電ではないもので、需要地により近いところで、機動的な発電所の運転が行えるものと解することができる。ディーゼルエンジンやガスタービン、ガスエンジンなどのエンジン式の中小容量の発電設備、燃料電池、また、太陽光発電や風力発電、バイオマス発電などの中小容量の再生可能エネルギー発電などがこれに当たる。
 エンジン式の分散型電源や燃料電池は、燃料には主に化石燃料である石油や天然ガスなどを使用するが、バイオマス系の燃料、次世代燃料として期待される水素も使える。
 分散型電源を普及するメリットとしては様々なことが考えられる。
 一つには、需要地に電源を置くことで、需要に応じた機動的な発電が行えること。また、小規模な電源が多数設置されることで、大規模な停電事故も回避しやすくなる。一つ一つの電源が小規模であるため、電源事故があっても、影響する範囲が極めて限定的で、事故の影響を最小限にとどめることができる。スマート化の技術と結びつくことで、グリッド内の防災用施設などの負荷を選択して電力を届けることもできる。
 高効率の電力供給が行えるという意味でも、分散型電源を一定割合確保しておくという意義は大きい。燃料を使う分散型電源は、需要側に電源を置くことで、廃熱の利用が可能になる。これによって、熱利用のために使われていた1次エネルギーが相当程度削減できる。
 再生可能エネルギー、特に、出力の不安定な風力や太陽光発電の調整用電源としても、燃料を使う分散型電源は、負荷変動に対する追従性が高いという特質があり、容易に設置できるという意味からも最適な電源だといえる。
 こうして見てくると、分散型電源は単独で置くのではなく、相互に融通し合うネットワークを構成することが、高効率で無駄のない、しかも供給安定性の高いという分散型電源の特質を活かすことになるのだと分かる。例えば、地域の、行政施設や公共施設、病院、避難施設など非常災害時にも機能が維持されることが不可欠な施設には、コージェネなどの分散型電源を確保し、ネットワークをスマート化することによって、非常時にも地域のネットワーク内での独立した電源として、施設内の必要最低限の負荷設備に電力供給を継続することができる。
 これらを実現するための課題は、技術的な問題ではなく、主に制度的な問題といえる。分散型電源の長所を活かしながら普及させるには、何が必要なのか、電力システム改革の課題の一つとして取り組みが行われることを期待したい。