2013年925日号

電力システム改革、自己託送制度化など議論
 9月19日に開かれた、総合資源エネルギー調査会の電力システム改革検討WGで、小売り自由化後の規制撤廃条件などについて議論された。また、自家発電した電力を自社グループ内で託送利用ができるようにする自己託送の制度化についても検討された。
 自己託送のルール化については、現行の電気事業法には特に規定がないが、今回の電気事業法改正案には、電力会社側が自己託送を原則的には拒めなくする規定が盛り込まれている。
 WGでは、自己託送の制度化について、現状は「電力会社の供給区域内に限定されており、供給区域を超える自己託送は認められていない」「特別高圧に連携する需要家への供給しか認められていない」「供給者と供給先が同一の場合しか認められてていないなどの課題を抽出し、@供給エリアをまたぐ自己託送も可能とするA特高、高圧、低圧の契約電力に拘わらず、自家発電設備を保有している全ての需要家に認めるB供給者と供給先との間に一定の資本関係があるなどの「密接関係性」がある場合には認めるC託送料金は託送を浮け需要する場所の電圧に応じた料金とするD需要頻度の低い自己託送については利用時間が短い場合には割安となる料金制度を作るE送り出す電力量と需要電力量がバランスしない場合のインバランスについては、10%以内は認めるなどの負担の軽減を行う−などの改善方向が提案されている。
 また、利用頻度の低い自己託送については基本料金のない完全従量制として、1日3時間、月間61時間を基準としてそれより利用時間が短い場合は割安に、それより多い場合は割高となるような料金設定とすることも提案された。インバランス料金については現在の新電力などに適用されている10%程度、1000kWhを上限とする裾切り方式を適用して、それ以下の場合はインバランス料金を徴収しないことにする。
 実施時期については、来年4月からの実施を予定。このため、各電力会社には、電気事業法の改正を前提として来年1月6日までに託送供給約款の変更の届出を求める。


自然エネ財団、回避可能原価見直しを提言
 ソフトバンクが設立した自然エネルギー財団は、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度の回避可能原価について、見直しを提言する試算結果を発表した。
 再生可能エネルギーの回避可能原価は、買い取りを義務づけられている電力会社の調達コストに当たるもので、再生可能エネルギーの発電事業者に支払われる買い取り価格から回避可能原価を差し引いた額が賦課金として電力料金に上乗せして回収されている。
 自然エネ財団によると、現在の回避可能原価は、運転停止が続いている原子力発電も加えた全電力平均の発電コストが使われていて、実際に運転が回避される石油火力や天然ガス火力などの発電コストより著しく低いため、結果的に賦課金額が高額化していると分析。これを、今年度の賦課金額に換算すると、1千億円程度の減額が可能になるとして、回避可能原価の算定方法の見直しを求めている。


太陽光発電協会、第1四半期のモジュール国内出荷量は3.7倍
 太陽光発電協会は、2013年度第1四半期の太陽電池セル・モジュールの出荷統計で、国内向けの出荷量が前年度に比べ約3.7倍の勢いで増加していると発表した。
 モジュルールの総出荷量(国内生産による国内出荷と輸出、海外からの輸入量の合計)は、166万3833kWで、内訳は、国内出荷が165万3873kW。輸出が9960kWだった。
 日本企業による出荷量は、129万1581kWで、このうち国内生産は73万7336kW(シェア57.1%)海外生産品は55万4245kW(42.9%)。国内出荷量165万3873kWのうち、国内生産分は44.1%の72万8917kWだが、日本企業が海外生産品も含めて国内出荷した量は117万7846kWで、国内出荷量の71.2%を占めている。日本企業の国内出荷量の内38.2%は海外で生産したものを輸入したもの。 モジュールの用途別は、住宅用が34.6%、非住宅用が65.4%。このうち、発電事業用が急増しており、国内出荷量の27.1%を占めている。


三菱重工、SOFCとマイクロGTの複合システムで連続運転4千時間を達成
 三菱重工業は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)とマイクロガスタービン(MGT)を組み合わせた200kW級の複合発電システムで、世界初となる4000時間を超える連続運転を達成した。今年3月から東京ガスの千住テクノステーションで、ハイブリッドシステムの運転に取り組み、発電端出力206kW、発電端効率50.2%の安定した発電性能を実証できた。
 NEDOとの共同研究の継続として、長崎造船所で2008年度から開発を進めていたもので、これに先立って07年には、最大出力229kW、52.1%の発電効率で3000時間の連続運転を達成している。
 ハイブリッドシステムはMGTの製造販売を行っているトヨタタービンアンドシステムを関連会社に持つトヨタ自動車と08年から共同開発を行っている。
 三菱重工が開発しているSOFCは900度C程度の高温で作動するセラミックス製の燃料電池で、都市ガスを改質した水素とCOを空気中の酸素と反応させて発電。SOFCに投入し、発電した後の残燃料をMGTの燃料として使うことで高効率を実現する。さらに、MGTの高温排気を回収し、コージェネレーションシステムとすることもできる。


経産省、北海道の風力発電のための送電網整備実証事業 募集を開始
 経済産業省は、風力発電や太陽光発電などの系統接続制約が起きている北海道地区での電力系統を整備するため、北海道電力とは別の民間送電会社の設立を促して、新たな送電事業を支援することにしているが、このほど、北海道の西名寄地区、留萌地区、オホーツク地区など北海道北部地域を「特定風力集中整備地区」に指定し、送電網整備の実証事業を行う事業者の募集を始めた。
 経産省は、今年度予算で250億円を計上しており、これによって事業費の2分の1を補助金として負担する。事業会社には、北海道電力も参加し、ユーラスエナジーなどの風力発電事業者やメガソーラー事業者などの参加が見込まれている。


その他の主な記事
・電力システム改革 事業類型や経過措置の撤廃条件なども検討
・大阪ガス BEMS用など 無線ネットワークモジュールを開発
・オリックスが屋根借り太陽光発電を拡大
・富士興産もメガソーラーに参入
・クミアイ化学もメガソーラー事業
・レオパレス アパートの屋根活用でマッチング事業
・西部ガス エネファーム販売2千台を達成
・四電工 高知でメガソーラーを共同で
・福島県 福島空港でメガソーラー事業
・双日、熊本でメガソーラー事業 1万3千kW
・京都市、浄水場のメガソーラーが完成
・三菱重工業 SOFCとMGTハイブリッドシステム
・福島県 福島空港でメガソーラー事業
・関電グループ 首都圏で電力販売
・経産省、北海道の送電事業 実証会社設立で補助募集
・サイサンが グループサミット
・DMSやグリーン投資などでSSKセミナー
・エネ政策やEVテーマでJPIセミナー
・地熱学会が学術講演会
・福島で12月に再可エネ産業フェア
・都市環境シンポジウム、10月29日に大阪で
・10月1日からシーテックジャパン
・地域主導型再可エネに10件を採択
・次世代パーク、新たに8件を追加
・11月11日と12日 第35回風力エネ利用シンポ   etc.

<キーパーソン>
・公益事業改革対応に、LPG業界も前向きに取り組む
(エルピーガス振興センター理事長(ENEOSグローブ代表取締役社長) 松澤純氏)




シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流(38)
 =米国の浪費グセが世界経済を牽引=
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一)

・日本の再生可能エネルギー事情 その5
 =エネルギーの地産地消を目指す=
 日本再生可能エネルギー総合研究所代表 北村和也

・気候変動2 0−2(その3)
 =IPCC第5次評価報告書に注目=
 本紙:本橋恵一




コラム
・発電論評<電力制度改革の本質は競い合い>
・青空<ホントに景気回復しているの?>
・ちょっと一休<盛大だった中村芳平さんの出版記念会>
・一筆啓上<労働者が不足する>


電力制度改革の本質は競い合い【発電論評】

 電力システム改革は、古くなった日本の電力供給を合理的で競争力のある産業へと生まれ変わらせるための取り組みだ。改革の骨子は、発送電分離と販売の自由化である。
 発送電分離は、現在電力会社によって独占されている電力の送配電網を、公共インフラとして捉えて、誰でもが自由に使えるようにすること。イメージとしては、通行料金さえ支払えば誰でもが自由に利用できるようになるという意味で、高速道路のようなものといえるだろうか。
 発送電分離の本質はまさにそこにあるといえるのであり、送電網を誰が持つのかという所有の形態ではない。現在進められている改革案では、最終的には送電部門が分離され子会社化されることになるのだが、例え、現在の電力会社に所有の形態が残るとしても、他の電力事業者と同様の条件で託送料金を支払うという形にさえできれば、最低限の公正な競争条件は保たれることになる。肝心なのは、誰もが公平な条件で送配電網を利用できるようにすることである。
 販売の自由化は、電力を普通の商品のように、これまた誰でもが自由に調達して販売できるようにすること。これによって、市場競争が生まれ、新たに生まれる関連サービスなどが組み合わされて低廉で多様なサービス提供されることが期待されている。電源は発電事業者から購入することも、自らが発電所を持つこともできる。また卸電力市場で調達することもできる。
 発電事業は、原則的に自由化される。発電設備は、系統に繋がっても繋がなくても、自由に設置して使える。自家発は自家発のままに、系統につながって逆潮流すれば、発電事業者になる。家庭用の太陽光発電の逆潮流までは発電事業者としては考慮されていない。
 発電事業者は、自らが小売り事業者となって販売することもできるし、小売り事業者に卸売りすることもできる。また、余剰電力を取引所を通じて売電することもできる。
 小売り事業者は、契約先の需要家に確実に電気を供給するために、供給義務を負う。そのために、事業は登録制にする。発電事業者は届出だけで市場に参入できるようにする。
 こうした改革は、それによって需要家は何が獲得できるのかということを常に考えながら進められる必要がある。発電した電力は自家発電設備でもない限り、送配電網を通じて需要家に届けられる。同じ送電網を使う限り届けられる電力の品質は同じものになる。その同じ電力にどのような付加価値や物語を加えられるのかが問われることになる。何から作った電気なのか、誰がどこでどのようにして作った電気なのか、そうした差別化に繋がる取り組みが需要家の選択肢を増やすことに繋がる。