2013年95日号

自家発を省エネで評価 省エネ法工場判断基準に指針
 経済産業省は、8月27日に、総合資源エネルギー調査会の工場棟判断基準WGを開催し、改正された省エネ法に基づいて、新たな判断基準の策定について検討を開始した。
 改正省エネ法では、従来からの省エネに加えて電力のピークカットに貢献する節電についても、省エネとして評価することになっており、自家発やコージェネなどの創エネシステムを導入するピーク電力の軽減策などについて、改正省エネ法が求める「電気需要平準化」に関して事業者が取り組むべき措置を指針(告示)として定める。
 指針は、系統電力の抑制が必要な時間帯を「電気需要平準化時間帯」として規定し、@電気需要平準化時間帯における電気の使用から燃料または熱の使用への転換A平準化時間帯以外への電力消費機器の使用時間の変更Bその他事業者が取り組むべき措置−の3点について示すこととする。
 @の燃料または熱の使用への転換については、コージェネやモノジェネによる自家発の活用とエアコンなどへの熱源の変更などを対策として評価するAのピークシフトについては、工場などの操業時間の変更や、蓄電及び蓄熱システムを活用することを評価するBのその他の対策としては、ピーク時間帯での省エネ対策の徹底や、電気使用量の計測管理の徹底などを評価項目として掲げるとともに、BEMSアグリゲーターによるサービスの活用についても評価する。
 節電対策として導入される自家発やコージェネについては@GT、GE、ディーゼルエンジン、燃料電池などのコージェネや、廃熱回収しない発電専用の自家発であっても高効率に運用できる適正な規模のものを導入する場合は対策として評価する。また、モノジェネの場合は、国内の火力発電の平均的な発電効率を著しく下回らないものであることを評価基準とする。
 こうした節電対策などを、新たな省エネ基準として運用するために判断基準を見直し、エネルギー消費原単位についても「電気需要平準化に資する措置を評価する観点」から見直す。具体的には、ピーク時間帯の消費電力量を1.3倍程度割り増し評価できる係数を導入して、コージェネなどの省エネ・節電設備の導入効果を積極的に評価できるようにする。


経産省の概算要求 再可エネを供給力で活用
 経済産業省は、8月30日、2014年度概算要求を発表した。一般会計からの繰り入れを含むエネルギー特別会計の要求額は、前年度当初予算比31.4%増の1兆294億円で、エネルギーの「生産(調達)」の観点から再生可能エネルギーの最大限の導入を目指して62.2%増の1981億円を要求するなど、省エネ・再可エネの投資促進に重点配分する。
 エネルギー関係では、生産(調達)、流通、消費の3つの側面から予算要求される。生産段階では、再生可能エネルギーの最大限の導入を目指して、@ボトルネックとなる電力系統の基盤強化として462.4億円A環境アセスの迅速化や地熱発電の導入促進など、再可エネ導入の基盤整備として355.8億円B技術開発や実証等の推進として、大型洋上風力の実証や風力、太陽光、地熱発電等の高度化・効率化などに854.3億円などを要求。その他、原子力の安全基盤の構築(244億円)や高効率火力発電の開発(271億円)、安定かつ低廉な資源・エネルギーの確保(1308億円)などが重点。CCSの実用化に124億円、メタンハイドレートなどの国内資源の開発に282億円など、低炭素化や国内資源開発などにも目配りされている。
 消費段階では、省エネ投資の加速化を目指し、産業用電力のピーク対策として814億円を要求。系統電力のピーク依存度の低減のために自家発やコージェネの導入支援などが行われる。また、家庭やオフィス、運輸部門のピーク対策として、建築物の省エネや蓄電、EMS、次世代自動車支援などに744億円を要求。燃料電池の利用拡大として397億円で、エネファーム補助や水素ステーションの整備等が行われる。また、EMS事業の確立を目指す予算として329億円も要求されている。


環境省、農水省、総務省 来年度予算で分散型電源拡大へ
 環境省は2014年度の概算要求で、エネルギー特会では、前年度当初予算比で78%増となる1395億円を要求する。
 低炭素社会の実現に向けて、14年度は、自立分散型低炭素エネルギーシステムの技術実証や浮体式洋上風力・海洋エネルギーなどの実証や導入拡大に重点的に取り組むこととし、再生可能エネルギーの拡大や「減エネ」の推進を掲げ、新たに「自立・分散型低炭素エネルギー社会構築推進事業として7億5千万円を計上。経産省と連携して実施する風力発電の環境アセス基礎情報整備モデル事業として17億円。地熱・地中熱利用の推進に20億円。潮流発電技術実用化推進に6億円。洋上風力発電実証事業に13億7千万円。農水省と連携して行う木質バイオマス活用モデルづくりに18億円。地域循環型バイオガスシステム構築モデル事業に15億円。また、離島での低炭素モデルの確立に12億円などを計上している。グリーンニューディール基金には245億円を予算措置する。
 環境省では、省エネをさらに進化させる取り組みを「減エネ」と位置づけ、減エネにつながる高効率設備の導入拡大を目指す。CO2の大幅削減事業支援に前年度の2倍を超える30億円。省エネ型自然冷媒機器等普及支援に62億5千万円などを計上。13年度から新制度に切り替わったJクレジットについても前年度と同額の14億円を計上、低炭素社会の構築に向けた国民運動事業としても同額の17億円を計上している。
 その他の省庁では、農林水産省の概算要求でも、活力ある農山漁村の構築を目指す重点施策として、再生可能エネルギーの導入に30億円が計上され、太陽光発電などによる売電収入を地域の発展に活用する取り組みや、農業水利施設を活用する小水力発電を奨励。バイオマスのエネルギー化についても施設整備や実証プラントの整備などを通じて産業化に向けた支援策も実施される。また、バイオディーゼル燃料に対する軽油取引税の特例についての税制改正要望も行われている。
 活力ある地域づくりの取り組みとして、総務省でも分散型エネルギーインフラ整備として5億円を要求。電力の自由化の実現を踏まえて、地域循環経済を創出することを目的に「自立的で持続可能な分散型エネルギーインフラ」の整備が官民共同で目指される。14年度はモデル地域の選定など、マスタープランの策定や推進組織の構築などが予定されている。


ユーラスエナジー、六ヶ所村に太陽光発電所 建設を開始
 ユーラスエナジーグループは、青森県六ヶ所村で国内最大規模となる総出力11万5千kWのメガソーラーの建設工事に着手する。むつ小川原開発地区内の2つの地区に、東京ドーム約50個分に相当する253fの土地に、約51万枚の太陽光パネルを設置するもので、2015年11月の運転開始を目指して建設工事を進める。設置する太陽光パネルは、三菱電機とサンパワー社製の単結晶シリコンタイプのものを採用している。
 国内最大手の風力発電事業者であるユーラスグループは、固定価格買い取り制度の開始依頼、太陽光発電事業にも参入し、現在、北海道と大阪府の合計3カ所でメガソーラーの建設を進めており、今回の六ヶ所でのメガソーラーが完成すると、4カ所合計17万7千kWの太陽光発電所を保有することになり、太陽光発電でも国内トップクラスの発電事業者となる。


その他の主な記事
・基本政策分科会、エネルギーの国際情勢など議論
・環境省 ESCO導入基準を見直し 環境配慮契約法で
・イッツコミ ONEエネと蓄電池で提携
・JCOMが一括受電サービスで新プラン
・家庭用蓄電池レンタルで業務提携
・丸紅と日揮 サウジで熱電併給事業
・シャープ 広島のメガソーラー
・日精樹脂 工場屋根に太陽光設置 売電事業
・北九州市でエネシード吉志が着工
・東北電力 小水力発電所を計画
・ベランダでも太陽光発電 40Wのパネルを発売
・三菱電機 スマートハウス関連市場に参入
・ワタミもメガソーラーに参入
・SBエナジーがデマンド実証
・大林組 神戸市にメガソーラー
・三井不動産 八戸にもメガソーラー 4カ所目
・新エネ財団 10月に小水力研修会
・カーボンオフセット補助 募集開始
・自家発型再可エネ導入補助 対象施設を決定
・NEDO バイオエタノール製造技術開発も募集
・NEDO風力高度化と洋上風力開発を追加募集
・NEDO 太陽光の産業構造など調査
・再エネによる地域活性化モデル 提案募集
・温泉発電活性化へ ガイドラインを見直し
・経産省 スマートマンション評価制度を開始
・東京都のファンド メガソーラーに融資
・NEDO 2次電池ロードマップを改訂
・NEDO ウズベキスタンでGTコージェネを実証
・SSKセミナー
・JPIセミナー   etc.

<インタビュー>
・HEMS同情の最近の活動を聞く
(東京電力 経営改革本部 グループ事業部 部長 馬場博幸氏)
 東京電力と家電メーカーなど10社で設立した、HEMSアライアンスは、2年を経て、どのような成果を得たのか。新たにスタートさせたHEMS道場では、アプリケーションの開発も行われており、手ごたえも感じているという。事務局を担当する東京電力の馬場氏に、2年間の状況、そして今後の展開の見通しについて、話を伺った。





シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革(45)地域エネルギー事業の新展開 その1=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授

・2020年のエネルギー市場 その3
 =再生可能エネルギー市場の行方=
 松井秀章/日本総合研究所 創発戦略センター グローバル・インフラ・グループ





コラム
・発電論評<再生可能エネルギーの更なる拡大策>
・プリズム<電気に続くガスシステム改革>
・青空<放射能汚染水の漏れ>
・ちょっと一休<九段中の大竹君を偲ぶ会>


再生可能エネルギーの更なる拡大策【発電論評】

 再生可能エネルギーの設備認定量が2千万kWを超え、話題を集めている。昨年7月の固定価格買い取り制度の開始以来、1年も経たぬ間に、これほど大量の設備投資計画が明らかになるとは、制度開始以前には誰も予想できなかったのではないか。認定設備の9割以上はメガソーラーなどの太陽光発電によって占められており、あまりの突出ぶりに、早くも抑制策を求める声が聞かれるようになっている。
 賦課金額の高額化を先回りして心配する声も聞かれるようになっているが、2千万kWの太陽光発電が仮に一斉に運転開始にこぎつけたとしても、年間の総需要電力量の2%程度に過ぎないわけで、賦課金額の拡大による電力料金の上昇が心配されるレベルではない。賦課金については、電力会社の仕入れ価格に当たる回避可能原価の適正化や、発電時にCO2を排出しない環境価値を顕在化させ、グリーン電力として流通させる仕組みを作ることなど、まだまだ先に取り組むべき問題も残されている。電気料金メニューの多様化も求められるようになってきていることを考えると、電源ごとに料金を設定する料金メニューが考えられてもいいのではないか。さらに、開発が遅れている風力発電や地熱発電、バイオマス発電など、その他の再生可能エネルギーの新たな拡大策も急ぐ必要があろう。
 風力発電や地熱発電の問題は、立地制約にあることが明らかになっており、環境アセスの迅速化や、自然公園での立地制約の緩和策などが取り組まれているが、まだ、具体的な導入量の拡大には結びついていない。また、水利権の錯綜する小水力発電の開発についても、ようやく具体的な規制緩和の動きが見られるようになっている段階。まだまだ問題が残されているにしても、具体的な開発計画に結びつくことを期待したい。
 一方で、固定価格買い取り制度の限界も見えてきている。特に風力や太陽光のような出力が不安定な電源を系統に取り込んで出力調整を系統側に求めるという限界が露呈してきている。系統に接続することで、そもそもが小規模分散型で地産地消型の電源として考えられてきた再生可能エネルギーの特色が活かされなくなってしまっているという側面で考えると、地域での自家消費電源として活用した上で、余剰電力を系統に流すという使い方などを工夫する余地が残されている。
 せっかく増え始めた再生可能エネルギー電源を国全体でいかに上手に使っていくのかを考える必要がある。今後、検討すべき課題は、再生可能エネルギーの導入を抑制することではなく、系統の負担を軽減しながら使いこなす、ソフト技術の開発こそが求められているといえる。