2013年825日号

2012年度 常用自家発導入は24万kW
 日本内燃力発電設備協会(森信昭会長)は、2012年度の常用自家発電設備の導入状況の調査結果をまとめた。2012年度1年間に、国内に新たに導入された常用の自家発電設備(コージェネレーション設備)の導入状況を、設備を納入したメーカーにアンケート調査した結果を取りまとめた。
 2012年度は、夏期や冬期を中心に電力供給不安が継続する中で、自家発電設備の導入による電源確保需要が本格化し、導入台数、容量共に大幅に拡大した。
 導入台数は975台で、前年度に比べ1.6倍。導入容量は2.8倍の23万9950.9kWと前年度比で大幅に伸びた。震災後の系統電力の供給不安によって、節電省エネの取り組みと共に、工場などの産業用を中心に、自家発電設備による電源確保にも積極的に取り組まれていることや、国の分散型電源による電力供給力の拡大支援策も自家用の常用発電設備拡大の背景にあると思われる。
 原動機別に見ると、ディーゼルは83台・53施設・5万7694.0kWが導入され、前年度に比べ台数では2.9倍、件数では3.3倍、容量では2.6倍と大幅に増えた。燃料費の高騰と、CO2などの排ガス問題から一時期は国内市場を失っていたディーゼル発電も2年連続で導入量を大幅に回復している。導入の過半は工場などの産業用だが、火力の代替として技術的な信頼と、特に地方で都市ガス燃料の供給が受けられない場合は、ディーゼル発電によるほかないという現状もある。ディーゼルの役割はまだまだ根強いものがあるといえそうだ。
 ガスタービンも19台・12施設・6万3690kWの導入量があり、前年度に比べて、台数は3.8倍、施設数では3倍、容量では8.4倍と大幅に増えた。導入の絶対量が少ないので伸び率は大きくなっているが、導入施設も工場の他にポンプ場や病院などに広がりを見せている。
 ガスエンジンは、873台・830施設・11万8566.9kWが導入された。前年度に比べて台数では1.5倍、容量では2.1倍とこちらも大幅な伸びを示している。


再可エネ認定設備 2千万kWを突破 5月末には2237万kW
 資源エネルギー庁は、再生可能エネルギーの設備認定状況について、発表を再開した。設備認定状況は2月末時点の発表後、暫く中断していたが、3月末、4月末、5月末までの3カ月分のデータが一気に発表された。
 最新の5月末の発表データーでは、稼働開始済みのものが、335万9千kW。そのうち住宅用と非住宅用を合わせた太陽光発電が321万5千kWで、95.7%を占めている。
 一方、5月末時点での設備認定状況は、2237・2万kWとなり、2千万kWを大幅に上回った。認定設備が全て稼働すれば国内の電力供給設備(2011年度末2億4481万kW=エネルギー白書2013)の10%に近づくことになる。
 認定設備の内訳は、住宅用太陽光が154.2万kW。非住宅用太陽光が1937.0万kW。風力発電が79.6万kW。バイオマス発電が58.1万kW。中小水力が7.9万kW。地熱が0.4万kW。太陽光発電は、住宅用と非住宅用を合わせると2千万kWを超えており、相変わらずの突出ぶりが際立っている。


メガソーラーなど未着工理由解明へ エネ庁が実態調査
 資源エネルギー庁は、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度の太陽光発電設備について設備認定量と実際に運転開始に至っている稼働量との乖離が大きすぎることについて、実態調査に乗り出す。
 固定価格買い取り制度は昨年7月から開始されたが、制度開始前まではほとんど導入実績がなかったメガソーラーなどの大規模太陽光発電設備が集中的に拡大して注目されている。家庭用と区別され全量買い取りの対象となる10kW以上の太陽光発電設備の認定量は、固定価格買い取り制度の導入前には90万kWであったが、最新データの今年5月末には約170万kWと2倍近くに拡大している。ところが、運転開始に至っていないものを含む設備認定量は、1937万kWに達しており、このうちの大部分のものが未着工と考えられるところから、着工の遅れなどの理由や状況について実態調査を行うことにした。
 メガソーラーなどの大規模太陽光発電の開発がブーム化する中で、未着工案件の中には、書類審査だけでよい設備認定を取得して買い取り価格を確保した上で転売したり、資材の調達コストが下がるのを待って着工するなどの事例が見られるとの指摘もあり、こうした着工遅れの実態を中心に調査していく。


東京都、新電力から電力を調達 10月からは9万5千kW
 東京都は、電力市場の活性化に向け複数契約(部分供給)を推進するなど、新電力(PPS)からの電力購入を進めているが、新たに、271施設の電力の購入先を10月1日から新電力4社に切り替えると発表した。
 271施設の契約電力の合計は5万4967kW。供給を受ける新電力は、ダイヤモンドパワー、丸紅、エネット、F−Powerの4社。271施設を22グループに分けて入札、それぞれのグループで供給先を選択した。都はこれまでも、東京電力以外の電力供給を30施設・3万9606kW受けており、10月からは、304施設・9万5643kWが新電力から電力供給を受けることになる。新電力と契約することで、東京電力と契約した場合より年間1億9千万円のコスト削減になる。


その他の主な記事
・電力3社の料金値上げを認可
・水素ボンベにカーボン複合容器も認める
・自然エネ市民ファンドが協議会
・日本製紙が電力小売り事業に参入
・再エネ導入が自治体でブーム
・太陽誘電が研究所にメガソーラー
・熊本で中国メーカーがメガソーラー事業
・サンヨーホームズ 太陽光発電をパッケージ商品に
・SBエナジー 栃木のメガソーラーが竣工
・パナソニック YSCPでデマンドレスポンスを実証
・三菱商事 欧州の再可エネ事業の統括会社を設立
・富士電機 太陽光発電の監視ユニットを発売
・NEDO 微細藻類の燃料化 実証国を検討へ
・ゼロエネ住宅の補助先決まる 1184事業者の1400戸
・エネルギー使用合理化補助金の交付先
・NEDO 太陽光発電の他用途化へ 実証プロを募集
・再可エネ熱利用 高度システム実証 先行して2件を採択
・環境省、Jクレジット制度説明会
・経産省がEVシンポ
・エネルギーと世界経済の潮流   etc.

<インタビュー>
・電力システム改革で電気料金の低廉化を実現
(経済産業省 資源エネルギー庁 電力・ガス事業部長 高橋泰三氏)
 先の通常国会では、電気事業改正案は廃案になったが、あらためて秋の臨時国会で再提出され、成立するだろう。自民党資源・エネルギー戦略調査会会長の山本拓氏はあるセミナーで「一字一句変えないで再提出」と語っている。一方、資源エネルギー庁でも、電力システム改革を後退させるつもりはなさそうだ。こうした点について、高橋電力・ガス事業部長はあらためてどのように取り組むのか、就任の抱負とともにお話を聞いた。





シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流(37)
 =経済的ではない原発の再稼働=
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一)

・日本の再生可能エネルギー事情 その4
 =好調だからこそ不安になる=
 日本再生可能エネルギー総合研究所代表 北村和也

・気候変動2 0−2(その2)
 =中国とロシアをどう見るか=
 本橋恵一





コラム
・発電論評<時代が再び求めるオンサイト発電サービス>
・青空<TPP参加交渉が大詰め>
・ちょっと一休<カンボジアの子供達の絵を見る>
・一筆啓上<東電には当事者能力が無い>


時代が再び求めるオンサイト発電サービス【発電論評】

 2012年度の常用自家発電設備の統計を内発協がまとめた。導入量は前年度の約3倍の24万kWだった。増え方の数値の大きさよりも、それ以前の市場が如何に縮小していたのかということに目がいってしまう。
 かつての常用自家発の市場は、オンサイト発電サービスに牽引されて、ピークだった2005年度までの4〜5年間は100万kW近くの設備が毎年度導入されていた。当時の市場は、電力自由化が進まない中で、系統側への逆潮流が許されず、余剰電力を出さない範囲で如何に効率よく発電設備を運転するのかという技術の競争でもあった。
 余剰電力を出さず、発電設備の運転効率を上げる技術として開発されたのが、今でも常識のDSS運転。電力ピーク時の立ち上がりに合わせて毎朝起動しピークの終わる夕刻から夜にかけては停止する。夜間は運転を停止して、系統電力でベース電力を賄う。昼間に使用する電力のデマンドカーブになるべく合わせた運転をするために、発電設備は複数台設置して電力の使用状況に合わせて台数制御する。ベース電力として系統電力を使用するのは、安価な料金の深夜電力が使えることと、系統電力との契約を残すことで、万一の発電機故障などの場合に系統電力をバックアップ電源として使えるという保険の意味もある。
 系統電力は、特高契約と高圧契約、低圧契約など、契約の種類によって費用や料金が極端に変わってしまうため、例えば契約電力が2千kW以上の特高契約にならないために、一部を自家発によって電力を賄うことで、電力契約を高圧の範囲に抑えるという目的で導入されるケースも少なからずある。
 複数台の台数制御を行うのは、定格運転を続けることが最も効率良く発電できるためだ。100kWの発電設備を30kW程度の負荷しかない場合はどうしても運転効率が悪くなる。つまり燃費が悪くなり発電コストの増加を招いてしまうことになる。余剰電力の売電ができないという規制を逆手にとってピーク電力の削減と電力コストの引き下げをビジネスモデルにした常用自家発を活用するオンサイト発電サービスであったが、燃料費の高騰とという時代の逆風を受ける形で市場は縮小し、事業者の撤退も相次いだ。
 時代が一回りした感があり、再び自家発電がブーム化しつつある。系統電力への信頼感が失われつつあるのと相反して、自家発による電源確保が普通に必要な時代を迎えている。電力市場改革によって、余剰電力が売れる時代になる。売電量と自家消費を組み合わせながら如何に効率のよいシステムを組み上げていくのか。ユーザーと一体となって発電サービスを行う、新たなエネルギーサービスの提案が求められている。