2013.08.15


2013年815日号

電力排出係数、削減目標は未達成
 電力業界が京都議定書目標達成計画で取り組んだ、供給する電力の排出原単位(排出係数)を1990年度比で20%削減するという目標は、5年間の平均では目標を大きく下回り、大幅な未達となった。電気事業連合会が、電力各社の実績を取りまとめて公表した。
 目標値は0.34kgCO2/kWhだったが、購入した京都クレジットなどでオフセットした調整後の排出係数でも5年間の平均でも0.406kg/kWhにとどまり、90年度比では2.6%しか低減できなかった。京都クレジットを反映しない実排出係数では、逆に90年度の実績値(0.417)を大幅に上回る0.469となり、下回ることもできなかった。
 電力の排出係数は、電力需要家にとっては、使用する電力量が自社施設でのCO2排出量のかなりの部分を占めるケースが多く、他業界のCO2削減の取り組みにも大きな影響を与えることになった。
 電力各社は、「電力事業における環境行動計画」を策定し、自主的な取り組みとして「2008〜2112年度」におけるCO2排出原単位を、1990年度実績から平均で20%程度低減する」という目標を掲げ、原子力発電や火力発電のガス化などの取り組みを通じてCO2排出抑制に取り組みを進め、それでも不足する分については、京都メカニズムによるCDMやJIクレジットを購入するなど、目標達成に向けて取り組んだ。


中部電力、ダイヤモンドパワーを買収 首都圏で電力販売
 中部電力は、三菱商事の100%子会社であるダイヤモンドパワーの株式の80%を取得して子会社化し、首都圏で電力の販売事業に参入する。
 ダイヤモンドパワーは、三菱商事が電力の部分自由化の開始を契機に、特定規模電気事業者(PPS=新電力)として、2000年3月に設立。現在は、東京電力管内と中部電力管内で電力販売を行っている。子会社化後は、中部電力系列の電力販売会社として東京電力管内を中心に50HZ地区で事業基盤を構築し拡大していく。
 中部電力は、ダイヤモンドパワーの買収と併せて三菱商事と共同で、ダイヤモンドパワーの電源調達力の強化を図るため発電所も新設してダイヤモンドパワーの卸売り電力とする。発電所は日本製紙の富士工場鈴川の敷地内に10万kWの石炭火力発電所を新設することにして、3社で発電会社を設立する。発電会社は三菱商事が70%、日本製紙が20%、中部電力が10%を出資する。資本金は約26億円。運転開始は2016年5月頃を予定している。


大阪ガス、家庭用コージェネ10万台を達成
 大阪ガスは、家庭用のコージェネシステムの販売台数が10万台を突破したと発表した。平成15年に販売を開始したガスエンジンコージェネ「エコウィル」と平成21年に販売を開始した家庭用燃料電池システム「エネファーム」の販売台数を合わせたもので、8月6日に販売台数10万台に達した。10万台を達成したのは、大阪ガスが始めて。
 大阪ガスは、エネファームについては、PEFCタイプに加えてSOFCタイプもあり、現在3機種を販売。また、エコウィルについては2機種を販売している。


昭和シェル石油、旧京浜製油所跡地にバイオマス燃料の火力発電所
 昭和シェル石油は、旧京浜製油所扇町工場跡地に木質バイオマスを燃料とする火力発電所を建設し、固定価格買い取り制度による売電事業を行う。4万9千kWの規模で、燃料には、木質バイオマスチップやパームヤシ殻を使用し、年間約3千万kWhを発電する計画。昭和シェル石油では、近年、子会社のソーラーフロンティアを中核として太陽光発電のシステム販売から発電事業へ参入するなど、電力事業への取り組みを拡大している。今後は、東京ガスと共同で設立している扇島パワーステーションについても3号機を増設する計画もあり、太陽光発電事業についても拡大し、電力事業を、石油事業と太陽電池事業に続く第3の柱として育成していく。

その他の主な記事
・電力システム改革 WGが初会合
・LPGで国土強靱化シンポ
・パナソニック HEMSの売り上げが3万台に
・東北の再可エネ利用などを局長表彰
・中央官庁 環境配慮契約は2件だけ
・ラオスと7カ国目の2国間クレジット
・環境省、温泉エネ活用 2次募集
・地熱開発理解促進補助 25件を採択
・太陽光発電シンポジウム 11月21日
・9月に市民地域共同発電フォーラム
・都市再開発の低炭素化モデル
・風力と地熱の環境アセス情報をデータベースに
・温暖化防止大臣表彰 環境省が募集開始
・JX日鉱日石 新たに3カ所でメガソーラー 
・メガソーラーのセキュリティシステムを発売
・東芝 川崎で複数ビルのエネルギーを群管理 統合BEMSを実証
・双日 国内4カ所でメガソーラー事業 合計10万kW超
・ホンダがメガソーラーと自動車テストコース 環境配慮型で整備
・丸紅 アイルランドの再生可能エネルギー会社に出資参加
・シャープ コンパクトな太陽光パネルを発売
・NTTF 長崎の太陽光発電所が運開
・NEDO風力と海洋エネで2次募集   etc.

<インタビュー>
・資源の多角化と国内石油産業の体質強化
(経済産業省 資源エネルギー庁 資源・燃料部長 住田孝之氏)
 現在我が国は、原子力発電所の停止により、火力発電所の燃料として天然ガスなど化石燃料の輸入が拡大し、貿易赤字となっている。そのため、とりわけ天然ガスの調達価格を引き下げることが大きな課題となっている。一方で、国内の石油産業は、特にガソリンの売り上げ減少が続くなど、縮小傾向にある。この二つの課題に対し、海外勤務から新たに資源・燃料部長に就任した住田部長は、どのように対応するのだろうか。今後の、燃料政策についてお話を伺った。



燃料電池新聞の主な記事
・燃料電池(SOFC)でオンサイト型電力サービスをするソフトバンク
・東芝とパナソニックのエネファーム
・海外ニュース
 -スウェーデンmyFC、モバイル燃料電池の販売開始
 -独CEPとスカンジナビアSHHP、水素ステーションネットワーク拡充で協業
 -独DB Schenker、Linde Material Handlingなど、燃料電池パレットトラックの実証開始
 -フランス、仏水素モビリティ(Mobilite Hydrogene France)を設立
 -米CHBC、新しい水素エネルギー貯蔵プログラムを発表
 -米Global Fresh Foods、燃料電池を応用した保存技術で日本へのサーモンコンテナ船輸送を開始
 -英ACAL Energyの液体触媒(FlowCath)、自動車メーカーの耐久試験で1万時間を達成
 -米Plug Power、フォークリフト用燃料電池に新機種「GenDrive 1900」を追加
 -米Nuvera Fuel Cells、米Ace Hardwareの配送センターに水素ステーションを設置
 -独Thugaグループ、Power-to-Gas実証プラントの建設に着手
 -独SFC Energy、バッテリーメーカーのMastervoltと提携
 -欧州委員会、2020年までのFCHJUのプロジェクトに14億ユーロを助成
 -台湾APFCT、2015年の燃料電池スクータ商品化に向け、3千台の実証走行を計画
 -米Bloom Energy、Delaware州の新工場でBloom Boxeの生産を開始
 -現代自動車、英国のLNHEプロジェクトに5台のFCV「ix35」を納車
 -豪Ceramic Fuels Cells、英国で「free BlueGEN’」イニシアティブを発表
 -独Equinix、N2telligenceの燃料電池システムをデータセンターの発電・防火システムとして試験導入
 -英ITM Power、水素コストの最新情報を発表
 -英Ceres Power、韓国のボイラーメーカーKD Navienとパートナーシップ締結
 -カナダBallard、中国のパートナーAzureとバックアップ電源220台の供給契約締結
・燃料電池フラッシュニュース
 -川崎市と千代田化工建設、水素供給で包括協定を締結
 -燃料電池車購入時の補助金や優遇税制を検討する研究会を政官民で設立
 -経済産業省、「平成25年度 燃料電池自動車用水素供給設備設置補助事業」の助成先を発表
 -ニッセイ、燃料電池事業化を推進。信号機用非常電源装置の実証研究開始
 -大和ハウス工業、つくば市にPV、FC、LiB、HEMSを設置した分譲住宅175戸を建設
 -パナソニックシステムネットワークス、屋外インフラ用創蓄連携装置を開発
 -東レ、燃料電池用材料の開発加速、ガス拡散層量産設備など導入
 -エフアイエス、2015年発売の燃料電池車に水素センサーの採用が決定
 -中山アモルファス、燃料電池セパレータのサンプル出荷を開始
 -日産自動車、DHLジャパンと電気商用車の実証走行試験を開始
 -日産・ルノー、電気自動車の累計販売台数が10万台に到達
 -三菱ガス化学、DMFCポータブル電源を開発
・燃料電池インフォメーション
■電気化学会 燃料電池研究会30周年記念第120回セミナー:9月19日(木) 日石横浜ホール(横浜市中区桜木町)○プログラム/燃料電池用新材料の研究開発 - HiPer-FCプロジェクト(山梨大クリーンエネ研:内田裕之氏)/東京ガスにおける燃料電池事業の取り組み(東京ガス燃料電池事業推進部:白崎義則氏)/エネファームtypeSの開発と今後の展開について(大阪ガスリビング事業部:檜垣勝己氏)/水素ステーションの先行整備に向けてのHySUTの役割(水素供給・利用技術研究組合:北中正宣氏)/ホンダにおける燃料電池電気自動車の開発と導入に向けて(本田技研四輪R&Dセンター:守谷隆史氏)/水素社会にむけた取組について(経産省資源エネルギー庁:原伸幸氏)
■水素エネルギー協会 2013特別講演会:9月19日(木) 東京農工大学 小金井キャンパス(東京都小金井市中町)○プログラム/HySUTにおける FCV・水素インフラ実証事業の取り組みについて(HySUT 池田哲史氏)/総合実証水素ステーション(JX日鉱日石エネルギー 水素事業化グループ 立石大作氏)/とよたエコフルタウン水素ステーションの実証について(東邦ガス 伊藤久敏氏他)/圧縮水素トレーラの開発(川崎重工業 水素プロジェクト部 老松和俊氏)/水素ステーションの充填シミュレーションと設備仕様(神鋼エンジニアリング&メンテナンス 栗城雄治氏)/水素ステーションの低コスト化に向けて(大陽日酸  水素プロジェクト部長 今村等氏)       etc.


シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(81)
 =太陽光発電所の流通市場が出現=
 大串卓矢/スマートエナジー代表取締役社長

・<新連載>新展開を見せるスマート革命 その2
 =オバマ第2期政権のエネルギー環境政策 その2=
 スマート研究会
  →PDFで読めますこちらから





コラム
・発電論評<多角的な燃料電池の利用を考える>
・青空<2030年には生きているかな?>
・ちょっと一休<岩(ガン)さんの葬儀>
・ちょっと一言<スマートメーターは無料になるか>


多角的な燃料電池の利用を考える【発電論評】

 最近の日本の燃料電池は、自動車とエネファームだけに話題が集中しているように見える。産業用や業務用のシステムが新たに導入されたという例は余り聞かない。つい先日、ソフトバンクが米国製のSOFCを使ったオンサイトの発電サービスを合弁で始めるというニュースがあったが、燃料費の高い日本では、果たして事業として成立するのかどうか。
 エネファームは、新築住宅の創エネアイテムの一つとして定着しつつあるように見える。燃料電池自動車は、2015年に本格的に市場投入するというメーカー側の発表もあり、電気自動車と共に、次世代自動車として期待が集まるが、価格面で有利な情勢にある電気自動車が普及では一歩先んじている。燃料の水素を供給する充填所の整備など、自動車以外にも技術的、制度的課題がまだまだ多く残されている。
 ところが、海外に目を向けると、日本の事情とは異なって、多様で意外な用途での燃料電池の利用が活発化しているようだ。手前味噌だが、海外の動向は、本紙の燃料電池新聞に詳しいレポートがある。
 最近のニュースから海外の動向を拾ってみると、自動車や燃料電池バスなどのほか、フォークリフトやパレットトラックなどの特殊用な作業用車両などとして盛んに市場開拓が行われている。また、ゴルフのカートなどにも燃料電池が採用されていることや、充電が不要の燃料電池自転車が開発され、2016年から販売されるというニュースもある。家庭用も、欧州では発電よりも暖房などの熱を供給するマイクロボイラーの代替品として検討がはじまっているという。また、応用製品として、水電解装置も商品化されている。
 目新しいところでは、燃料電池の排ガスで生鮮食品を保存するというニュースもあった。燃料電池は、水素と酸素で電気と水を作るが、その水素は、一般的には天然ガスなどを改質して作る。その際にCO2も発生するので、そのCO2をコンテナの中にじ込めて、高CO2で低酸素状態に保つことで食品の長期保存ができるのだという。ニュースによれば、チリから日本向けに、サーモンの切り身を出荷時と同等の新鮮さを保ったまま、コンテナ船で33日間かけて輸送する。生鮮食品や加工食品などは冷凍保存が主流だが、燃料電池の排ガスを「保存剤」として活用することで、冷凍に必要なエネルギーも節約できるこ
とになる。普及すれば画期的な保存技術ということになろう。
 所変わればではないが、日本では発電用としてしか考えられていないように見える燃料電池も、多様な利用方法があるのに驚く。日本でも、もう少し柔軟な発想で、水素や燃料電池の活用方法について考えてみてもいいのではないか。