2013年725日号

ソフトバンク、燃料電池で電力をオンサイト供給
 ソフトバンクグループは、日本国内で燃料電池を使ったエネルギーサービス事業を開始する。米国の燃料電池ベンチャー企業のブルームエナジーと合弁会社を設立し、ブルームエナジー社が米国内で展開しているSOFCを使ったオンサイト型の電力供給サービスを開始する。
 計画では、燃料電池システムは販売せず、ユーザーの敷地内にシステムを設置して発電した電力を販売する。今年10月には福岡のソフトバンクのビルに国内初めてとなるシステムを導入して年明け頃からの電力供給を行う。システムは200kW。SOFCの廃熱を利用した熱供給は今のところ行う予定はない。
 合弁会社は「ブルームエナジージャパン」で、ソフトバンクとブルームエナジーが50%ずつを共同出資して設立した。日本国内では、東日本大震災以来の電力供給不安の高まりの中で、再生可能エネルギーなど、クリーンで安定的、分散型の電力供給のニーズが高まっているものの、そうした需要家のニーズに応えるエネルギー供給が実現できていないとして、究極のクリーン発電技術として注目されている燃料電池システムを使った電力供給事業を目指すことにした。
 国内に導入するシステムは200kWのモジュールで、発電効率は最大60%、平均でも52%と高効率の発電が行える。また、モジュール単位で増設することにより、ユーザーの求める発電規模に柔軟に対応できるほか、複数台を運転制御することで、高効率で無駄のない発電ができる。燃料は都市ガスを中心に使う。オンサイト発電の場合は、系統電力とのコスト比較が導入するかどうかの決め手となるが、ソフトバンクでは料金は安さを武器にするのではなく、安定供給できる分散型電源であることやCO2削減効果などを導入の動機付けとして事業展開していく。


IHI、小型バイナリー発電装置を発売 100度C以下の低温排熱でも発電
 IHIは、系統連系機能を有する20kWのパッケージタイプの小型バイナリー発電装置を、8月8日に発売する。従来は熱エネルギーの回収が困難だった100度C未満の温水を熱源として利用できる小型のバイナリー発電装置で、少ない熱エネルギーで高出力を得ることが可能な画期的な発電装置。未利用の低温排熱のある様々な業種の工場や、温泉地、自治体などに向けに販売していく。価格は1千万円前後となる予定。IHIでは、今年度中に20台以上の受注を目標に販売するとともに、今後は、更なるラインナップの拡充を図って行く。
 作動媒体には、電気事業法の小型バイナリー発電の規制緩和に適合したフッ素系の不活性ガスを使用し、70度C〜95度Cの温水で発電可能で、冷却水の温度が一般的な工場の平均的な30度C程度でも、95度Cの温排水があれば最大出力で発電できる。
 まとまった温水量が得られる工場や温泉では、複数台を設置して並列運転することも可能であり、さらに高効率の発電が行えるほか、メンテナンス時には一台ずつ順番に停止させることで、稼働ロスを最小限に抑えることができる。


防災用自家発電設備 震災後の大幅な伸び続く 12年度は118万kW
 日本内燃力発電設備協会(森信昭会長)は、2012年度の防災用自家発電設備の設置状況をまとめた。同協会は、消防方などにより設置が義務づけられている防災用発電設備の認定機関であり、その認定品の導入状況を取りまとめたもの。
 設置台数は、前年度比9.6%増の8345台、設備容量は14.0%増の118万5037.5kWとなり、2年連続の大幅増となった。東日本大震災により非常用電源の重要性が再確認され、震災直後から、非常時の電源確保や電力の安定供給の自主対策として自家発電設備の導入が急拡大しており、前年度に引き続いての高い伸びとなった。ただ、前年度が30.1%増であったのに比べると伸び率は低下しているものの、当分高水準の市場規模が維持されるものと思われる。


シャープ、シースルー太陽電池を発売 ベランダや窓でも発電
 シャープは、ガラス建材として活用できるシースルー太陽電池モジュールを発売する。薄膜太陽電池セルに細かなスリットを施すことで、スリット部からの採光が行えるようにした。マンションベランダの手すりや窓、カーテンウォール、ひさしなど、ガラス建材が取り付けられている場所に設置すれば発電と採光が同時に行える「建材」として様々な用途で発電する手すりや窓として活用できる。
 シャープが発売するのは、開口部が10%と20%の5機種。発電出力は39Wから80W。今後更に、シースルータイプのモジュルールのラインアップの充実を図っていく。


その他の主な記事
・25%削減目標見直しへ 合同会合が再開
・NEDO 有機系太陽電池を実証
・九州電力もスマートメーターを入札で調達
・東芝 ニューメキシコのスマコミ開始を発表
・三井物産 太陽光発電ファンドの第2弾を発売
・SBエナジー 長崎のメガソーラーが運開
・シャープ 奈良と北海道でメガソーラー
・キューデンエコソル 北九州でメガソーラー
・ヤンマー、世界最高の排ガス認証を取得 小型産業用ディーゼルで
・パナソニック 太田市のメガソーラーにパネル供給
・日本アジアグループ 世田谷区と羽生市で太陽光発電協定
・積水ハウス 鹿児島でメガソーラー
・ソーラーフロンティア住宅用新モジュールを発売
・コージェネ大賞の募集を開始
・カーボンオフセット 実務研修
・環境省、持続可能な地域作りでシンポ
・仙台市 藻類バイオマスフォーラムを開催
・IGCCやFCVなどでJPIセミナー
・楽天のエネビジネスの展開などでSSKセミナー   etc.

<インタビュー>
・すべての住宅を「スマート」に 〜 MEMSアグリゲータとスマートマンション
(ファミリーネット・ジャパン 取締役常務執行役員 秋山 豊 氏)
 ファミリーネット・ジャパンは、生活インフラとしてのインターネットをマンションのインフラとして標準導入するために、2000年に設立された。インターネット・サービス・プロバイダ(ISP)事業を展開中だが、入居者の視点に立ったサービスを展開していく中で、マンション・ライフソリューション・サービス・プロバイダ(MLSP)へとその事業を進化させている。その中には、電力一括供給などエネルギーサービスも含まれるることになり、自然な流れとして、経産省の補助金事業であるMEMS(Mansion Energy Management System)アグリゲータとして事業展開することにもつながっている。アグリゲーターとしてどのような形で発展させていくのか、事業の方向性などについてお話を伺った。





シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流(36)
 =新たな環境対応車としての天然ガス自動車の未来 =
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一)

・ <新連載>日本の再生可能エネルギー事情 その3
 =ドイツに習う「再生エネで稼ぐ町」の作り方=
 日本再生可能エネルギー総合研究所代表 北村和也





コラム
・発電論評<再可エネ賦課金と回避可能原価>
・青空<参院選を終えて>
・ちょっと一休<富士山のふもとの忍野八海へ>
・一筆啓上<日本の核燃サイクル>


再可エネ賦課金と回避可能原価【発電論評】

 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度がスタートしてちょうど1年が経った。この1年間を単純に振り返ると、太陽光発電が予想を大きく上回る拡大ぶりで、「メガソーラーバブル」なる言葉も生まれた。初年度の42円の買い取り価格を求めて駆け込み申請が多すぎたためか、1月までは毎月更新されてきた資源エネルギー庁の認定状況データも、3月末の年度統計は未だに公表されていないという異常事態が続いており、その混乱ぶりがうかがえる。
 2月末までの太陽光発電の認定量は、約1200万kWだったので、3月末では1500万kWはほぼ確実。あるいは2千万kWの大台を超えているのかもしれない。バブル化した市場に冷静さを求める意味も込められたのか、太陽光発電の2年目の買い取り価格は10%引き下げられ37.8円になった。引き下げ効果が2年目の市場にどう反映されるのかも注目点だが、認定を取得したもののまだ運転開始に至っていない1千万kWを超える全ての案件が、いつまでに運転開始にこぎ着けられるのかということも注目されている。2千kWのメガソーラーだとすると、単純計算でも5千件。毎日10件が完成しても5百日かかる計算になる。
 太陽光発電の余りの突出ぶりに、再生可能エネルギー抑制論も早々と目にするようになっている。固定価格買い取り制度によるコストは、電気料金に上乗せして回収される「賦課金」だが、今年度は、これが1kWhあたり約0.4円。100kWhでは約40円の負担になる。今後、どこまで負担額が上がってしまうのかというのが批判する側の論旨である。
 賦課金の問題は別にもあるが、賦課金を低減させる提案の一つとして回避可能原価の見直しが上げられる。回避可能原価は、主に火力発電の燃料費相当分だと説明されているが、このコストが外部から検証できる仕組みとなっていない。このため、最近の化石燃料の調達コストが忠実に反映された適正なものとなっているのか、回避可能原価の透明性を確保して、適正な原価構造とすることで、賦課金の負担額を抑制できる可能性がある。
 また、制度を変えて、電力会社ではなく国などの機関が全量を買い上げて、電力の販売事業者に販売する電力量に見合って割り当てることにすれば、事業者がそれぞれ自由に設定する料金メニューによるコスト回収が期待できる。例えば、風力なら風力、太陽光なら太陽光といった電源ごとの料金メニューによって需要家の選択肢を増やしながらコスト回収するということも期待できる。もちろん、こうした試みには、電力事業者が公平な環境で市場競争できるという電力システム改革が前提となることはいうまでもない。