2013.07.15


2013年715日号

電力システム改革 制度の詳細はWGで
 経済産業省は、電力システム改革の詳細設計について検討するWGを発足させる。2020年までに完了させることを目指している電力の小売り自由化や発送電分離などの方針に基づいて、制度の詳細やスケジュールなどを具体化するため、総合資源エネルギー調査会基本政策分科会電力システム改革小委員会の下に「制度設計ワーキンググループ」を設置して検討することにした。
 WGは15人の委員構成で、有識者の他に電力会社や新電力、発電事業社などの代表が議決権のない専門委員として加わる。また、テーマに応じて発電会社やシステム開発事業社記入関係者、関連行政機関などのメンバーもオブザーバーとして招き、議論に加わってもらう。
【制度設計WG委員】
◇電力技術 横山明彦東京大学教授(座長) 林泰弘早稲田大学教授◇電力制度 松村敏広東京大学教授◇電力経営 圓尾雅則SMBC日興証券マネージングディレクター◇消費者 辰巳菊子日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会常任顧問◇情報システム 山口英奈良先端科学技術大学院大学教授 稲垣隆一稲垣隆一法律事務所弁護士
◇専門委員(事業者)東北電力(中野春之執行役員電力システム部長) 中部電力(前田英範執行役員営業部長) 関西電力(野田正信執行役員電力流通事業本部副事業本部長) 中国電力(瀧本夏彦執行役員経営企画部門部長) 電源開発(寺島一希審議役・流通システム部長) エネット(遠藤久仁取締役営業本部長) F−Pawer(沖隆取締役)


ガス料金制度も見直しへ 小委員会を設置
 経済産業省は、ガス料金制度の見直しを行うため、総合資源エネルギー調査会の電力・ガス事業分科会の下に「ガス料金制度小委員会」(山内弘隆委員長)を設置して具体的な見直しについて議論を始めた。
 ガス料金については、ガス事業者からの値上げ申請は具体的には行われていないものの、電気料金の値上げ申請の中で指摘された料金に反映させるべき原価の査定や情報公開の拡大などの考え方を、同様のエネルギーに関する公共料金であるガス料金についても反映させる観点から、ガス事業の規制部門の料金制度についても見直しを行うことにした。
 小委員会は第1回の会合を7月12日に開き、最近の電気料金の値上げ申請に対する査定方針を可能なものは当てはめる方向で見直す。同日の会合で検討項目として示されたは@原価として認める費用と経営効率化の織り込み方A原価・原資の算定期間と自助努力の及ばない場合の原価変動による料金改定のあり方B事後評価・情報公開のあり方C値上げ認可時の消費者や外部専門家などの参画のあり方−など。
 東日本大震災に端を発する電力各社の値上げ申請では、人件費や燃料費、購入・販売電力、設備投資、事業報酬など多くの項目で申請で見積もられた額が査定され減額された。こうした電気料金の値上げ申請の中で見直された原価の内容について、ガス事業の特性も踏まえながら認可制度を見直していくことにしている。


熱電発電の効果を実証 製鉄所の廃熱で10kWを発電
 JFEスチールは、今年3月から東日本製鉄所(京浜地区)で廃熱を利用した熱電発電技術の実証試験を実施しているが、この中で計画通りの発電出力が得られ製鉄所内で有効利用できることが確認できたと発表した。
 実証試験は、製鉄所の連続鋳造設備に設置した熱電発電システムを用いて、スラブ(圧延用半製品鋼塊)のふく射熱によって約10kWの発電を行うもので、スラブの上方にパネル状の熱電発電システムを配置して、発電した電力はパワーコンディショナーを介して直流から交流に変換後、既存の配電線に接続して所内設備の電源として利用する。10kW級の熱電発電を実際のプラントに導入して実証試験するのは世界初となる。
 熱電発電技術は、異なる金属や半導体に温度差を設けると電圧が発生する「ゼーベック効果」を利用して熱から電気を生み出す発電技術。燃焼を伴う発電技術ではないため、発電時にCO2排出が全くないクリーンな発電として実用化に向けた研究開発が世界的に取り組まれている。24時間操業を行う製鉄所には安定的な排熱が常に存在するため、熱電発電は昼夜・天候によらず、年間を通して安定した電力を安価に得られる発電手段であり、様々な工場排熱に適用することができれば、省エネルギーやCO2排出の削減に大きな効果を発揮するものと期待される。
 実証試験は、KELK(武知弘明社長 本社・平塚市)、北海道大学エネルギー・マテリアル融合領域研究センター、と共同で、NEDOの省エネルギー革新技術開発事業として2012年1月から実施しているもので、KELK社が開発した世界最高クラスの出力密度1W/平方abを持つ熱電変換モジュールを使用している。


低カロリー木質バイオマスガスで発電を全国展開
 木質バイオマスによるガスエンジン発電の国内での展開を計画しているZEエナジー(本社・東京都 松下康平社長)は、年度内に国内21カ所で、チップ化した間伐材などの未利用木材を燃料とするバイオマス発電事業を開始する方向で準備を進めている。
 第1弾として、8月に、愛知県の木材チップ工場でバイオマス発電による自家発電装置を稼働させる。また福島県でも、1500kWと2500kWの2カ所のバイオガス発電所の建設を進めており、こちらは来年3月には運転を開始する計画。
 ZEエナジーが進める木質バイオマス発電は、チップ化した木材を炭化装置によってガス化し、発生したバイオガスをガスエンジンの燃料として発電するもので、バイオガスの熱量は低いため、通常のガスエンジンではなく低カロリーガスでも運転可能な中低速の輸入ガスエンジンを使用する。ガスエンジンは180kWと500kW、1千kWの3種類で、規模に応じて複数台を組み合わせる。8月に稼働が予定されている愛知県の工場では180kWのエンジンを2台で発電する。
 同社の前進は、木質バイオマスの炭化装置メーカーで、20年以上の実績がある。固定価格買い取り制度によって、日本国内でもバイオマス発電の事業性が確保できる見通しとなったことから、各地の森林組合とタイアップする形でバイオマス発電事業を展開するビジネスモデルを考案し、現在国内の21カ所で固定価格買い取り制度による発電事業が具体化し、順次国の設備認定を受ける方向で準備を進めている。発電規模は、平均1500kWで、全てが稼働すれば約3万kWの分散型のバイオマス発電所になる。
 ZEエナジーは、これまでの木質バイオマスの炭化装置の販売事業に加えて、将来的には、自社のバイオマス発電システムを活用して発電した電力や熱をユーザーに提供する発電事業やエネルギーサービス事業への展開を考えている。


その他の主な記事
・最後の国内クレジットを認証
・JFEなど 製鉄所の排熱で熱電発電
・環境省がワークショップ
・淡路島で住民参加型メガソーラー
・けいはんなエコシティ 電気の使い方実績を公表
・モルディブベトナムと2国間クレジット
・エネビジョンが木質バイオマスで事業会社
・淺沼組が奈良でメガソーラー JFEが建設工事を受注
・明電舎 メンテナンス事業を複数子会社に分割
・パナソニックが創蓄連携装置
・東芝 欧州でエネマネ事業
・東芝グループ 公共施設で見える化サービス
・東京日野市にスマートマンション 伊藤忠などが販売
・新潟原動機 韓国にガスエンジン
・デンソー HEMSの新モデル
・北電エコエナジーが固定価格で小水力
・オリックス 十勝サーキットメガソーラー
・パナソニック 創蓄エネ装置
・沖縄で海洋エネルギー実証へ 県が受託に向け計画書をまとめ
・NEDO 電力危機の省エネ化に関する検討
・コージェネセンター コージェネとスマコミでシンポ
・グリーンパワープロジェクトを開始
・CO2削減ポテンシャル診断 事業所を募集   etc.

<インタビュー>
・分散型電源にも積極的なGE
(GEパワー&ウォーター日本代表 大西英之氏)
 米国を代表する重電メーカーのゼネラル・エレクトリック(GE)は、エネルギービジネスの節目ごとに我が国を支えてきたといっていいだろう。とりわけ、火力・原子力などの発電設備では重要な存在となっていた。 現在もまた、我が国のエネルギーを取り巻く状況は、大きく変わろうとしている。あらためて、日本市場でGEがどのような貢献ができるのか、GEパワー&ウォーター日本代表の大西氏に話をうかがった。



燃料電池新聞の主な記事
・欧州のボイラー市場と燃料電池の可能性
・今後のFCV市場の動向
・海外ニュース
 -韓国現代自動車、量産タイプの燃料電池車15台をコペンハーゲン市に納車
 -米クアンタムフューエルシステムズ社、低コスト軽量高圧水素タンクを開発
 -デンマークH2ロジック社、48時間で設置可能な水素ステーションを開発
 -米ベリゾン社、カリフォルニア州のデータセンターなどにブルームエナジー社の燃料電池を設置
 -加バラード 、南アフリカや日本の無線通信会社にバックアップ電源を納入
 -米ナビガントリサーチ社、燃料電池自動車の販売台数は2030年まで年間200万台以上になると予測
 -加バラード、中国に燃料電池バスの技術供与 -仏サイクルヨーロッパ社など世界初の燃料電池自転車を発表
 -豪セラミックフューエルセルズ社、スイス社と燃料電池システム販売で提携
 -仏エアリキッド、仏イケア社の配送センターに水素ステーションを設置
 -独アウディ、2013年8月から燃料電池車の走行試験を開始
 -独Eオン、米ブルームエナジーに9150万ユーロを投資
 -英インテリジェントエナジー社、印マイクロキューエルテクノ社と共同で無線通信ネットワークを普及拡大
 -米エアプロダクツ社、新しい水素ディスペンサーを市場投入
 -加ハイドロジェニクス社、携帯基地局向けの新しいバックアップ電源用燃料電池を開発
 -HyLIFT社、燃料電池フォークリフト、牽引車で200台規模拡の実証試験開始
 -独SFC Energyの「EFOY Pro」、石油掘削現場の監視装置の電源に採用
 -米カリフォルニアエナジーコミッション、水素ステーション整備に1869万ドル(約18億円)助成
 -独Eオン、P2G施設で初めて天然ガスパイプラインに水素注入を開始
 -韓国サムスンエバーランド、米クリアエッジパワー社からPAFC燃料電池を購入
 -南アフリカ政府、カナダバラード社などが実施する家庭用燃料電池のフィールド実証を支援
・燃料電池フラッシュニュース
 -東芝燃料電池システム、エネファームの最適化制御に遺伝的アルゴリズムを応用
 -ロームとアクアフェアリー、災害時の緊急電源として100W級燃料電池の実証試験を開始
 -商用実証水素ステーション、愛知県で2カ所オープン
 -精和工業所、エネファームの改質器などの製造原価を2割削減
 -「エネファーム」普及促進を図るための業界団体「エネファームパートナーズ」発足
 -JX日鉱日石エネルギー、ENEOSセルテックを解散
 -日立製作所、ダイキンなど英国スマートコミュニティ実証事業へ参画
 -千代田化工建設、有機ケミカルハイドライド法「大規模水素貯蔵・輸送システム」実証で性能を確認
 -東京ガス、「エネファーム」累計販売台数2万台を達成
 -東京ガス、東京と埼玉で2013年から水素ステーションの建設に着手
 -次世代自動車振興センター、全国19カ所に水素ステーション
 -東京都、「スマートエネルギー都市の推進に向けた補助事業」を開始
 -新日鉄住金など、ナノスケールで構造制御された多孔質炭素機能材料を開発
・燃料電池インフォメーション
       etc.


シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(80)
 =エネルギー業界の人材養成機関=
 大串卓矢/スマートエナジー代表取締役社長

・<新連載>新展開を見せるスマート革命 その1 
 =オバマ第2期政権のエネルギー環境政策の特徴と内容=
 スマート研究会
  →PDFで読めますこちらから


・キーパーソン
 =COP19までに温暖化対策とあらたな削減目標を=
 環境省事務次官 谷津龍太郎氏




コラム
・発電論評<買い取り対象には自家消費電力も>
・青空<猛暑日の記録更新>
・ちょっと一休<高校の同級生と忍野八海へ>
・ちょっと一言<柏崎刈羽原発と泥沼化する東電経営>


買い取り対象には自家消費電力も【発電論評】

 経産省は、電力システム改革の基本的な枠組みに基づいて制度設計の詳細について検討するWGを立ち上げると発表した。最終段階の発送電分離は2018年から2020年と記されているので、WGでの検討も長丁場の議論が続けられることになる。
 今般の電力システム改革では、発電事業の自由化や、電力取引市場の活性化や取り引き規模の拡大も目指される。発電した電気を自由に販売できることも議論の対象になる。今般の電力システム改革と併行して再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が既にスタートしているが、固定価格買い取り制度は、電力会社に電力の引き取り義務を負わせるという自由化の対極にあるものであり、グリーン電力としての流通の道を閉ざすことに繋がりかねないと批判される面もある。
 しかし、どちらも系統を利用して電力を広域的に流通させることを前提にしているという点では共通している。その結果、系統制約により、売りたくても売れなかったり買いたくても買えなかったりするケースが出てしまうことになる。現に、風力発電は、全量買い取りが前提の固定価格買い取り制度下においても、相変わらず系統接続できない状態が継続中だ。規模が小さく系統接続問題は、起こりにくいといわれていた太陽光発電も、立地が集中した北海道ではすでに系統制約問題が起きている。
 つまり、固定価格買い取り制度だけでは、再生可能エネルギーの拡大を図るには、不十分であることがもう既に顕在化してしまっているわけで、別の何らかの新たな対策が求められているといえる。
 系統への負担を軽減するには、いくつかの方法があるが、電力の地産地消化(自家発化)の比率を高めて、余剰電力のみを系統側に送電する方法もある。現在の買い取り制度は、系統に送電した電力だけが買い取り対象なので、再生可能エネルギーで発電した電力は地元には貢献できない仕組みになっている。
 これを、自家消費するものも含めて全てを買い取り対象とすれば、送電線への負担なく再生可能エネルギーの拡大に役立てることができる。地域の工場内や周辺の太陽光発電の電力を自家消費されれば系統への逆潮もなく、さらに系統電力の抑制にも繋げられる。太陽光だけでなく、小型の風力発電や、発電用やボイラー用の燃料としてバイオマス資源の活用にも弾みがつき、まさに、地域産業の活性化にも結び付く可能性も広がる。発電設備を導入する側にとっても、導入費用が軽減できることになり、しかもグリーン電力で工場が稼働できるPR効果も期待できる。系統負担を軽減しながら再生可能エネルギーの拡大に弾みを付けるアイデアだと思うがどうだろう。