2013年75日号

コージェネや再可エネを検討 エネ基本計画見直しで
 新たなエネルギー基本計画の策定に向けた検討を行っている総合資源エネルギー調査会の総合部会(部会長・三村明夫新日鉄住金相談役)は、6月27日に開いた第4回の会合で、再生可能エネルギーやコージェネや燃料電池などの新エネルギー・省エネ施策について議論した。
 部会では、固定価格買い取り制度によって急拡大している太陽光発電などの再生可能エネルギーの動向やコージェネや燃料電池を需要サイドの省エネ手段に取り込んだ省エネや節電対策、また、需要サイドのデマンドレスポンスやスマートコミュニティなどについて最新の市場動向や政策どを紹介して議論した。
 総合部会は、今般の審議改組機スキーの見直しで改変され、次回からは、基本政策分科会として議論が引き継がれる。


2000kW浮体式洋上風力が福島へ
 2000kWの浮体式風力発電設備の風車と浮体の部分が組み立てられ、福島県沖まで曳航されるが、これに先立って6月25日、報道陣に公開された。
 浮体を建造したのは三井造船。経産省が進める2011年度浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業の一環で製造されたもので、風車は日立製作所製。実証事業は11社がコンソーシアムを組んで取り組んでいる。
 三井造船の岡田正文常務取締役は、浮体式風力の研究は5年前から行っていたが、実機にあたっては多くの企業の協力が不可欠だったという。また、この事業に参加した丸紅国内電力プロジェクト部の福田知史部長は、海上風力は稼働率40%が期待できるが、この事業はその第一歩だと語る。
 「ふくしま未来」と命名された浮体式洋上風車は、福島県小名浜沖まで曳航され、設置工事後、10月から発電を開始する。引き続き7千kW級の風車の開発に取り組んでいく。


各自治体の発電事業 売電契約を調査 9割が電力会社と随契
 経済産業省は、「エネルギー分野における規制・制度改革に係る方針」に基づき、地方公共団体の売電契約の状況を調査した。売電契約の実績のある約9割の地方公共団体は随意契約を締結しており、一部又は全ての契約を一般競争入札としている地方公共団体は7県だけだった。約1/4の地方公共団体は、一般競争入札が原則であることを認識していなかった。売電契約を行っていない地方公共団体も含め、延べ886の地方公共団体から回答があり、回答があった団体のうち、売電契約の実績がある145の地方公共団体の回答をまとめた。
 地方公共団体が経営する発電事業の多くは、これまで一般電気事業者との間で長期の随意契約が締結されており、このため、新電力などが電源調達したくても困難であり、規制・制度改革のテーマにも取り上げられている。このため、経産省では実態把握のための調査を行ったもので、今後は電力の売却は一般競争入札とするよう促していくと共に、卸電力規制の改革を進め、市場を通じた取り引きの活性化を促していく。


東北大、二酸化炭素とメタノールから樹脂原料の製造技術
 東北大学大学の研究グループは、新日鐵住金との共同研究で、CO2とメタノールから、プラスチックの原料やリチウムイオン電池の電解液として使用できる炭酸ジメチルに高効率に変換する触媒反応系の開発に成功した。将来的に工業化できれば、有害な物質を使用することなく、CO2を原料とする化学品の製造が可能になると期待される。
 開発した手法では、CO2とメタノール、ニトリル脱水材を反応させることで炭酸ジメチルが94%の高効率で製造できる。脱水材は反応後に分離回収して容易に再生できるため繰り返し脱水材として循環利用できる。製造した炭酸ジメチルはプラスチックの原料やリチウムイオン電池の電解液として利用されており、CCSなどにより分離回収したCO2を化学工業用の原料として利用する用途に結び付けられる。


その他の主な記事
・エネ産業ビジネスで報告書
・経産省 審議会組織を見直し
・楽天がエネルギーサービスに参入
・NEDO 北九州市沖でも洋上風力
・九州電力と四国電力 アグリゲーターと契約
・WWFジャパン 風力認証
・環境省 小規模自治体の低炭素設備導入を支援
・環境省ASSET事業参加企業を募集
・矢野経済 大容量キャパシタ市場も調査
・デンソー ディーゼル用顧問レールシステムを開発
・パナソニック 住宅用太陽光の出力保証を延長
・三菱電機 高出力タイプのパワコンを発売
・千代田化工建設 川崎市と水素インフラ整備で提携
・KDDI 自社遊休地でメガソーラー事業
・LIXIL 工場の太陽光に着工
・三菱ふそう 環境性能を高めた産業用ディーゼル
・ホンダとGMが燃料電池で提携
・矢野経済 分散型電源アウトソーシング市場に注目
・ソーラーフロンティア サントリー工場でメガソーラー事業
・ソーラーフロンティア 第2工場を再稼働
・地熱発電の補助先決まる
・PV施工技術者 第2回試験
・有機薄膜太陽電池材料の基盤技術開発の委託先
・NEDO 太陽熱利用技術の調査業務 委託先を募集
・NEDO 国際水素会議を福岡で開催
・LPG基地の自家発整備を支援
・日本と中国の気候変動 北海道でセミナー
・都市環境エネ協 成果発表会を開催
・NEDO 次世代自動車国際標準化検討業務を募集
・井熊 均氏 新連載「2020年のエネルギー市場」   etc.

<インタビュー>
・固定価格買い取り市場への三友を目指す ABB
(ABB 電力システム事業部再生可能エネルギー部部長 新岡 卓 氏
 同社電力事業部シニアアカウントマネージャー 長田雅史 氏)
 ABBはスイスに本社を置く、欧州を代表する電機メーカーだ。だが、日本市場には、電力系統の仕組みの違いなどがあり、なかなか参入できていなかった。しかしこうした状況は、昨年の固定価格買い取り制度(FIT)の施行以降、変化している。欧米で開発が先行していたメガソーラー市場では、ABBのインバーターなどの優位性が、日本市場でも認められつつあるという。さらに、電力システムの改革がすすめば、欧米で実績ある他の技術も提供できる。また、グローバル市場では出遅れ感の否めない、日本メーカーの優れた製品や技術を世界に紹介する手助けも考えているという。





シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革(43)公営電気事業への住民投票=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授

・ <新連載>2020年のエネルギー市場 
 =改革の本質は、自由で公平な市場競争=
 井熊 均/日本総合研究所 執行役員 創発戦略センター所長





コラム
・発電論評<CO2の資源化とコージェネの役割>
・プリズム<電気事業法改正案が廃案に>
・青空<参院選が始まった>
・ちょっと一休<恩師大垣先生のお通夜>


CO2の資源化とコージェネの役割【発電論評】

 コージェネレーションは熱電併給装置であるが、最近では、トリジェネレーションなるの耳慣れない言葉も聞くようになった。トリジェネとは、熱と電気に加えてCO2も供給するという意味だ。つまり排ガスから分離回収したCO2も資源として活用するという考えだ。CO2は、例えば植物工場などで栽培促進の「肥料」として利用したり樹脂の原料としての技術開発も始まっている。地球温暖化問題ではすっかり悪者扱いのCO2であるが、そう遠くない将来には、立派な資源として活用できる道が開かれつつある。地球温暖化問題が、大気中に放出されるCO2を抑制するだけで解決できるのなら、問題解決の切り札ともなり得るといってもいいだろう。
 回収したCO2を資源として活用するには地域密着型の分散型システムとする方がメリットがありそうだ。隣に植物工場があれば、輸送の無駄なくCO2や熱をそのまま利用でき、トリジェネの特徴が生かせる。発電した電気は、自家消費や植物工場など周辺地域でできるだけ消費したうえで、余剰電力は系統に送電して広域利用する。トリジェネによってCO2を取り除いた電力は環境価値も付加されることになる。さらに、燃料にバイオマスを利用した場合は、もともとのCO2ゼロのうえに回収するCO2が付加されるため、環境価値はダブルゼロになってしまう。この場合の環境価値の取り扱いは議論されたことはないが、CO2の資源利用が視野に入りつつある現状を考えれば、そろそろ今後の課題として議論され始めてもよさそうだ。
 こうした、エネルギーの環境価値を他に移転するには、規制基準の改正が必要になる。CO2ゼロの電力は系統を利用することで遠方の需要家にも届けられるからだ。その実現に向けた第一歩となる電力システム改革を内容とする電気事業法が先の国会で廃案になった。広域利用のためには、電力系統が解放される必要がある。解放されるというのは道路のように誰でもが自由に利用できるようになることなのだが、現状は、系統を保有する電力会社がまず自らの送電を優先させ、新電力や自家発などの外部ユーザーは、隙間をぬって利用させてもらうという格好になっている。もちろん利用料(託送料)を支払って利用させて貰うのだが、電力会社は自社線なので料金を負担することはない。これでは、支払いを求められる託送料金が果たして適正公平なものなのかどうか検証することもできないことになっている。
 こうした課題を解決する手段として、送電事業を分離して分社化するという発送電分離が電事法改正案にようやく盛り込まれたという経緯がある。後戻りすることなく、改革を着実に進めたい。