2013年625日号

東京都、ガスコージェネなど新たな補助事業開始
 東京都は、電力使用状況の見える化を図り、需給の効率的な制御によりピーク時の電力消費を抑える仕組みを推進するとともに、低炭素かつ災害に強い都市づくりに向けた分散型電源の普及を図るため、3つの補助事業を開始する。総額100億円の基金を造成し、複数年にまたがる補助事業として実施することで、エネルギーマネジメントシステムと分散型エネルギーの飛躍的な拡大を目指す。
 創設する補助制度は、「スマートエネルギー都市の推進に向けた補助事業」。家庭用の創エネシステムとして燃料電池やコージェネシステム、蓄電池システム、事業所向けとしてオフィスビル等へのガスコージェネの導入、また、中小テナントビルで節電や省エネ対策を推進するBEMS導入に対する補助事業。3つの補助事業は、国の補助事業との併用も可能で、ガスコージェネの場合は、導入費用の1/2を補助する。家庭用の場合は、エネファーム単独では、国の補助と併せて、200万円程度の初期費用が132万5千円で導入できる。また太陽光発電とのダブル発電の場合は約260万円で導入できる。
 中小事業所にもガスコージェネを飛躍的に拡大して、BEMSによるエネルギーマネジメントを受けることで、都内全体での広域的な運用の中で、より効率的で系統負担の少ない形で運用することが期待できる。系統電力のピーク時の節電効果や場合によっては余剰電力を発生させる都市内の低CO2の発電所効果も期待できるようになる。
 ガスコージェネの導入補助は、50kW以上のコージェネの導入が対象。単機容量が30kWを超える場合は、高効率で都市ガスなどの低炭素燃料を使用することが条件となる。単機容量が30kW未満のものも補助対象となるが、この場合は、東京都の低NOX・低CO2小規模燃焼機器認定制度の認定品が対象となる。
 その他の補助条件としては、@BEMSの導入A契約電力が500kW以上の施設の場合は、地震災害時等に帰宅困難者を受入可能な施設を整備するB契約電力が50kW以上500kW未満の中小規模施設の場合は、東京都環境公社が実施する省エネルギー診断を受けるCコージェネシステム設置後2年間は、発電効率や排熱利用率の運転実績の報告書を都に提出することなど。補助率は導入費用の1/2以内で、1施設あたりの上限額は3億円。国の補助事業との併用も可能で、この場合の補助率は国との合算で1/2以内となる。都では、BEMSの導入を条件とすることで、施設単独ではなくより系統電力の状況なども見ながらより効率的で省エネ・節電や系統電力需要のピークカットなどの効果を生み出すことを期待している。基金事業としたことで、複数年にまたがる事業に対しても補助できる。補助の申請受け付けは、2017年度までの5年間。補助金の交付は2019年度まで行う。
 BEMSに対する補助事業は、都内の中小規模の事業所であって、都の「地球温暖化対策報告書制度」の報告書を提出している中小企業者が導入するBEMSの導入費用を補助する。また、BEMSアグリゲータによるエネルギー管理支援サービスを受けることなども条件。BEMS導入に必要な設備費や工事費の1/4が補助される。上限は250万円。


規制改革会議が答申 非常時のコージェネの排ガス規制の除外も検討へ
 政府は、6月14日の閣議で「規制改革実施計画」を閣議決定した。規制改革会議が6月5日にとりまとめた答申に基づくもの。
 規制改革会議の答申では、エネルギー・環境分野に関する事項として、エネルギーの安定供給・エネルギーの地産地消の項目では、電力システム改革や風力発電の総括事業場、風力発電の農地利用、風力、地熱発電の環境アセスの迅速化、地熱発電の主任技術者選任の緩和などを取り上げているが、コージェネレーションシステムについても常用発電設備に対する排ガス規制の緩和などが新たな検討事項として取り上げられている。
 ガスタービンやガスエンジン、ディーゼルエンジンなどの常用発電設備には大防法や大都市自治体の条例などによってNOXなどの排ガス規制が行われており、設備の導入には脱硝装置などの排ガス処理装置が必要となるが、東日本大震災で経験したように、非常災害時の自立型電源として活用する場合、排ガス浄化装置などに必要な給水が確保できなければ運転できないという問題が指摘されている。答申では、こうした非常災害時に常用の発電設備を活用しやすくする観点から、防災用の発電設備と同様に排ガス規制を適用しない措置を求めており、来年度中に実施できる方向で関係する規制省庁に検討を求めている。
 また、コージェネについては、電力の需給逼迫対策として、緊急的に導入するコージェネシステムについて導入の迅速化を図る観点から工事計画届出の期間短縮措置を求めており、工事計画の届出にあたっては「電力需給逼迫時であって、過去において審査を通っている設備と同一仕様、同一材料の設備に取替える場合においては、審査期間の短縮が可能であること」を今年度中に明確化することを求めている。
 規制改革会議では、新たな規制緩和要望を広く受け入れることを目的に「規制改革ホットライン」を内閣府に設置するなど、次期の規制改革に向けた準備を開始している。また、不断の規制改革に向けた取り組みと改革事項の進捗状況のフォローアップも開始しており、今年7月から来年6月までを新たな期間としてさらなる規制改革要望に取り組んでいく。


環境省、再生可能エネルギー導入基金 配分自治体と配分額を決定
 環境省は、地方公共団体が行う防災拠点等への自立・分散型のエネルギーシステムの導入を目的に創設した「再生可能エネルギー等導入推進基金」(グリーンニューディール基金)の基金造成対象となる都道府県と指定都市の配分額(平成25年度予算分)を発表した。配分先は、北海道など16道府県と5政令指定都市。
 基金制度は、被災地域などの避難所や防災拠点のエネルギー自給率を高めると共に、より低炭素な自立型のエネルギーシステムを整備して、災害時等の非常時に必要なエネルギーを確保することを目的に、再生可能エネルギーや蓄電池、未利用エネルギーの導入等を支援するもの。配分を受けて基金を造成した各自治体が、基金を活用して災害に強い自立・分散型のエネルギーシステムの整備をを3年間を事業期間として実施する。
【基金の配分先と配分額】▽北海道11億円▽栃木県8億円▽群馬県18億円▽千葉県18億円▽山梨県8億円▽岐阜県13億円▽静岡県17億円▽京都府18億円▽大阪府19億円▽兵庫県8億円▽和歌山県5億円▽徳島県9億円▽香川県18億円▽高知県18億円▽福岡県19億円▽熊本県9億円▽横浜市6億円▽浜松市4億円▽京都市7億円▽大阪市5億円▽神戸市7億円(合計21自治体 245億円)。


農水省、バイオマス産業都市を指定 8都市
 農林水産省は、6月11日に開いたバイオマス活用推進会議が、8地域をバイオマス産業都市の第一次選定地域として決定したと発表した。バイオマス産業都市は、地域でバイオマス原料の生産から収集・運搬、製造・利用までの一貫システムを構築し、バイオマス産業創出の育成と地域循環型のエネルギーとしてバイオマスの拡大利用を目指す取り組み。選定された8都市は、北海道十勝地域(十勝管内19市町村)、北海道下川町、北海道別海町、宮城県東松島市、茨城県牛久市、新潟県新潟市、愛知県大府市、香川県三豊市。

その他の主な記事
・東京ガス 浦和と練馬にも水素ステーション
・産総研 枯渇油田でCO2貯留 メタンも発生
・四国電力と関西電力 新たに風力連系枠を設定
・環境省 環境配慮利子補給事業 金融機関を募集
・富士経済 新エネ市場を予測
・三菱重工と日立 火力事業を統合
・関西電力など 電力損失の少ないUPS
・東京ガス 小規模ソラモ 7月から販売
・全国の郵便局舎の屋上で太陽光発電事業
・シャープ 集光型太陽光で変換効率44.4%
・ソーラーフロンティア、薄膜太陽電池でシリコン並みの変換効率
・ユーラス 伊豆のウインドファームの建設に着手
・石狩湾で直流超電導のネットワークを実証
・JFEエンジと九電工が太陽光事業で提携
・環境省、2国間クレジット案件を募集
・環境省 国立公園内の再可エネ導入を補助
・NEPC 小水力発電の補助事業を募集
・環境省 再可エネ事業化検討協議会 委託業務を募集
・新エネ大賞の募集を開始
・環境省、中小水力技術実証案件を募集
・蓄電池の低コスト化 募集
・電設工業展 製品コンクール決まる
・7月のSSKセミナー
・7月のJPIセミナー
・ベスタスが都内でシンポ スマエネ拡大などで
・松野氏らにブループラネット賞
・環境省、無料の省エネ診断を受け付け
・CO2排出抑制対策補助金   etc.

<インタビュー>
・地域活性化まで考えた持続可能な自然エネルギー開発
(自然電力株式会社 代表取締役社長 磯野 謙 氏)
 昨年7月の固定価格買取制度(FIT)施行以降、全国各地でメガソーラー事業が急速に拡大した。そうした中にあって、異色の案件といえるものの一つが、熊本県合志市のプロジェクトだった。FITによる収益を農業などの地域活性化に投資し、持続可能な事業にしていくというものだ。開発の中心となった自然電力社は、若き経営者らによる設立2年目のベンチャー企業である。





シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流(35)
 =世界のLNGプロジェクトの今後 =
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一)

・ <新連載>日本の再生可能エネルギー事情 その2
 =再生可能エネルギーが作るビジネスチャンス=
 日本再生可能エネルギー総合研究所代表 北村和也





コラム
・発電論評<コージェネ拡大へ支援制度への期待>
・青空<国土強靱化計画>
・ちょっと一休<日比谷高校ラグビー部の定期総会>
・一筆啓上<日本にプロがいるのか?>


コージェネ拡大へ支援制度に期待する【発電論評】

 東京都が、ガスコージェネに対する補助制度を始めた。オフィスビルなどに設置される50kW以上のガスコージェネで、併せてBEMSを導入することが条件になっている。BEMSと組み合わせることで、より効率的で省エネ的な運用を行うとともに、系統電力のネガワット効果を発揮させることにも狙いがあるようだ。
 これまでの補助制度は、導入費用に対して補助するだけのものが大半だった。今回の都の制度も導入補助であることには変わりはないが、導入後の運用面にまで気を配ったという意味で進化しているといえなくもない。何よりも、排ガス規制などによりこれまではコージェネの導入を抑制してきたものを導入拡大へと姿勢を一変させたという意味で、画期的な補助制度だといえる。
 しかし、排ガス規制などの環境規制は行われており、現実的には石油燃料を使うディーゼルを設置するのは困難。今回も、あくまでも補助の対象はガスコージェネだけであり、低炭素で高効率のエネルギーシステム以外は歓迎しないという意思表示という意味で一貫している。
 BEMSと組み合わせることは、確かに一定の省エネ効果は期待できようが、省エネだけに効果をとどめるのは、コージェネのポテンシャルを十分に発揮させるとは言い難い。本来的には、コージェネで積極的に発電して、発電した電気を効率よく使う仕組みが考えるられる必要がある。BEMSの本質は系統電力の安定化を目的としたものであるとしたら、コージェネをもっと多様に使うという発想にはつながりにくいと思われるからである。
 中小規模のガスコージェネを多数のビルに導入して最新の運転制御によって、カタログ値に近いコージェネのポテンシャルを引き出すということは間違ってはいないが、さらにエネルギーサービス事業などのアグリゲート技術が付加できれば、複数のビルに導入されているコージェネと系統を利用して供給される電力を組み合わせるという面的で高効率の運用が期待できる。個々の設備単独で、最適制御を目指すのではなく、多数のビル間で電力の過不足を相互融通させることで、個々のコージェネをより一層効率的に運用することが可能になる。もちろんこれには、制度的な限界があり、現状では、PPSなどの電力事業者と連携することが必要になる。系統に送電するには託送料金も必要になり、コスト面での対策も必要になる。
 都内にコージェネを導入するには、設置場所の確保や運転時の騒音問題などまだまだ多くの課題も残されている。この補助制度をきっかけに、大都市内に発電所として導入される、ガスコージェネの望ましい仕様や運用について、検討が始まることを期待したい。