2013.06.15


2013年615日号

日本海でもメタンハイドレート調査
 資源エネルギー庁は、有力な国産エネルギー資源として、最近特に注目度が高まっているメタンハイドレートについて、日本海側でも資源調査を開始した。
 メタンハイドレートは、水深1千m程の海底下に凍った水の結晶体の中にメタンガスが閉じ込められた状態で存在しているもので、火を付けると燃えるため「燃える氷」とも呼ばれることがある。
 日本の領海や排他的経済水域でも広く賦存しており、現在分かっているだけでも日本の年間の天然ガス消費量の100年分以上あるとされている。資源量調査は、太平洋側で先行して実施され、特に資源量が豊富だと見られる愛知県沖で、昨年度から、実際にメタンハイドレートを試掘する海洋産出試験が国のプロジェクトとして始まっている。
 メタンハイドレートは、日本海側でも広く賦存していることが確認されており、特に、新潟沖では、太平洋側とは異なる海底上に降り積もる形の「表層型」のメタンハイドレートが確認されているが、これまで詳細な資源量調査は行われていなかった。
 今年度の調査は、上越沖及び能登半島西方の沖合で予定されており、6月8日に調査船が直江津港を出発した。調査は、JOGMECと明治大学知財研究所に委託され、船底に設置された機器から音波を発信することで、海底の地形や海底直下の地質構造を把握する。調査期間は7月20日までの予定。今回の調査によって有望海域を抽出し、夏以降に詳細な地質調査が実施される予定。


成長戦略でもエネルギー 再可エネ拡大や火力の低コスト化など
 政府は、6月12日に開いた産業競争力会議で成長戦略の取りまとめを行った。戦略では、環境エネルギーも市場創造プランの3つのテーマの一つに取り上げられ、@クリーンで経済的なエネルギーが供給される社会A競争を通じてエネルギーの効率的な流通が実現する社会Bエネルギーを賢く消費する社会を目指すこととされている。
 環境・エネルギー分野の戦略としては、特に目新しさはなく、電力のシステム改革の断行や、再生可能エネルギーの拡大、スマートエネルギー社会の追究などこれまで積み重ねられてきたエネルギー政策を再整理した内容に止まっている。
【成長戦力の主なエネルギー関連項目】
<環境エネルギー制約の断行▽電力システム改革の断行▽安全性が確認された原子力発電の活用>▽高効率火力発電(石炭・LNG)の導入▽LNG調達コストの低減▽電気料金の抑制▽石油・LPガスのサプライチェーンの維持・強化による安定供給確保▽二国間オフセット・クレジット制度の本格導入
<クリーン・経済的なエネルギー需給の実現(多様・双方向・ネットワーク化によるクリーン・低廉なエネルギー社会を構築)>▽再生可能エネルギー導入のための規制・制度改革等(環境アセスの迅速化、系統用大型蓄電池の緊急導入、北本連系設備の早期増強などによる風力発電の拡大。地熱発電への投資拡大。既存の温泉井戸を活用する小型地熱発電の規制制度改革や地域の理解促進)▽浮体式洋上風力発電の推進(2018年頃までの商業化)▽石炭火力等の火力発電にかかる環境アセスメントの明確化・迅速化▽火力発電の技術開発支援▽メタンハイドレート等海洋資源の商業化の実現
<競争を通じたエネルギーの効率的な流通>▽電力システム改革の実行▽蓄電池の技術開発、国際標準化、普及拡大▽次世代デバイス・部素材研究開発・事業化
<エネルギーを賢く消費する社会>▽スマートコミュニティの拡大、エネルギーマネジメント産業の確立▽住宅・建築物の省エネ基準の段階的適合義務化▽トップランナー制度の適用拡充▽燃料電池技術開発・低コスト化▽次世代自動車の普及・性能向上支援▽電池・充電制御等の国際標準化▽水素供給インフラ導入支援、燃料電池自動車・水素インフラに係る規制の見直し


日立、メガソーラーシステムを一括で提供するソリューション事業を開始
 日立製作所は、メガソーラーなどの大規模太陽光発電の建設から維持管理、運営までをワンストップサービスで提供する太陽光発電のソリューション事業を本格的に開始する。
 太陽光発電に必要な関連機器やシステムの提供をはじめ、資金調達から20年間の運営・保守までを一括で提供するソリューションサービス。また、大規模太陽光発電のショールーム効果や、自社のシステム機器・サービスの実証試験場の効果も狙って、日立市の自社所有地に約1800kWのメガソーラーを建設し、売電事業を行うとともに、提供するメガソーラーシステムの品質や信頼性の向上や、事業性の評価などの顕彰施設として運用する。


東京ガス、エネファーム販売台数が2万台に
 東京ガスは、エネファームの販売台数が6月11日に2万台を突破したと発表した。エネファームは、大手都市ガス会社が中心となり2009年度に販売開始されたが、単独で販売台数が2万台を超えたのは東京ガスが初めて。
 エネファームは、家庭用のコージェネレーションシステムとして初めて実用化された燃料電池システムで、東京ガスでは、09年5月の販売開始以来、初年度1500台、10年度には2400台、11年度には5700台、12年度には7600台と順調に販売台数を伸ばし、08年度までの大規模実証事業用として設置した約800台を加えて、販売台数が2万台を超えた。


その他の主な記事
・川重 ロシアに5台のGT
・九州大に 燃料電池産学連携センター
・楽天 BEMS事業に参入 業務提携で
・サイサンが埼玉最大のメガソーラー
・住友商事 国内3カ所でメガソーラー事業 
・丸紅 欧州での洋上風力の実績を日本で展開
・三菱商事とJA 農業施設の屋根で太陽光発電事業
・SBエナジーと三井物産が風力発電事業に出資参加
・東芝 佐賀市のCO2回収利用実証試験に参画
・キューデンエコソル 3件目のメガソーラー
・洋上風力の技術講習会を東京で開催
・北九州で洋上風力発電の見学会
・産総研 再可エネ世界展で併催シンポ
・新エネ財団 途上国の研究者の受け入れ先を募集
・近畿経産局 バイオマスセミナーを開催
・再可エネ導入補助の募集を開始 新エネ促進協
・エネ庁 地熱開発の補助募集を開始
・スマートジャパンがセミナー
・環境省のグリーンファンド 事業委託先決まる
・北海道でコージェネセミナーを開催
・WWFジャパンがセミナー
・京都府 あなたも発電所長
・産総研、太陽光発電の発電量を集計へ
・LPガス協会 総会
・新潟県、家庭用太陽光発電の設置事業者の補助制度
・横浜でオランダの再生海洋エネセミナー
・三重県 再可エネ導入補助募集開始   etc.

<インタビュー>
・エネルギー事業の安全と安心を認証と知見提供で支援
(UL Japan 営業部門 部長 熊谷 亨 氏)
 さまざまな電器製品などに、ULのマークがついていることに気付いているだろうか。ULは世界各地で安全試験と認証を行っている第三者認証機関だ。我が国でも、電気用品安全法の登録検査機関として、PSEマークの適合性検査並びにSマークの認証などを行っている。ULの日本法人であるUL Japanでは、新たな事業戦略として、再生可能エネルギーを対象とするサービスに力を入れるという。再生可能エネルギーなど日本での製品認証事業の展開について話を伺った。



燃料電池新聞の主な記事
・海外燃料電池メーカーの業績見通し(加バラード/米プラグパワー/ハイドロジェニックス/フューエルセルエナジー/独SFC エナジー/米ブルームエナジー/豪セラミックフューエルセルズ)
・海外ニュース
 -米プラグパワー、仏エアリキッド社から650万ドルを調達
 -加バラード、カリブ海・中米諸国の無線通信ネットワークにバックアップ電源を設置
 -米エメラルドH2とノーフォークウインドエナジー、ミネソタ州に風力発電と水素製造設備を建設
 -中国同済オート社、上海自動車ショーでFCVを公開
 -トヨタFCVの米国販売価格は5〜10万ドルになる見通し
 -英ITMパワー、南米とハンガリー企業から水電解装置を受注
 -英イリカの白金フリー電極触媒の特許が日本で成立
 -英AFCエナジー、アルカリ形燃料電池の電極寿命が9カ月に到達
 -米ヴェリゾン社、事務所やデータセンターにクリアエッジパワー社の定置用燃料電池を設置
 -豪アルセットグローバル、水素ハイブリッドシステムを開発
 -米グローバルフレッシュフーズ、サーモンの高鮮度輸送に燃料電池を活用
 -スウェーデンのパワーセル社、トラックのAPU向け燃料電池を開発
 -伊アクタ社、バックアップ電源を初受注
 -カナダCLS社、グラフェンに白金触媒の単層を形成する技術を開発
 -英プロトンパワーシステムズ社、7kW級燃料電池スタックで1万時間の耐久性を確保
 -米オアジャプロトニクス社、南アパワーテックシステム社などとバックアップ電源実用化で協業
 -独エルコレ社、ツガグループのユーティリティと組んでマイクロコージェネを7台導入
 -独SFCエナジー社、3kWh/日のEMILY3000を発表
 -加バラード社、欧州でこれから稼働する燃料電池バス50台のうち40台にスタックを供給
 -米DOE、官民共同のパートナーシップであるH2USAを立ち上げ
 -豪水素貯蔵材料開発のハイドレクシア社とエアリキッド社などから925万ドルの投資を獲得
・燃料電池フラッシュニュース
 -九州大学、固体高分子形燃料電池の超高耐久化に成功、5年後の実用化目指す
 -パナソニック、2014年春からドイツで家庭用燃料電池の販売を計画
 -科学技術振興機構、SOFCを低温で動かす新たな機構を発見
 -科学技術振興機構、熱電変換素子と燃料電池を組み合わせた「排ガス発電システム」開発
 -東京都、家庭の省エネ支援で100億円の基金を創設
 -ミサワホーム、新潟で寒冷地用スマートハウスの実証住宅10棟を建設
 -積水ハウス、宮城県名取市で全40区画をゼロエネルギー住宅で建築するスマートタウンの販売開始
 -ポーライト、200kW級SOFC燃料電池向けセパレーター量産
 -ロームとアクアフェアリー、災害時の非常用電源の実証試験を開始
 -京都大学、Pd電極を有機化合物で被覆することで電池出力を2倍にする技術を開発
 -ノリタケ、SOFC用封止ガラス開発
・燃料電池インフォメーション
■電気化学会 第53回電気化学セミナー:6月26日(水)、27日(木) 大阪府立大学I−site なんば2階カンファレンスルーム ○プログラム/第1日 新規電解質開発と燃料電池@燃料電池と高分子電解質膜(山梨大)宮武健治氏A炭化水素系電解質材料の精密合成と高次構造化(上智大)陸川政弘氏BPEFC用フッ素系電解質ポリマーの開発(旭硝子)山田耕太氏C電解質材料の構造と物性 〜課題とアプローチ(産総研)大平昭博氏D炭化水素系アニオン伝導材料の開発(トクヤマ)福田憲二氏E全固体型アルカリ燃料電池の材料設計(東工大)山口猛央氏/第2日 新規電解質開発と蓄電デバイスF蓄電デバイスにおける電解質総論(関西大)石川正司氏Gリチウムイオン電池用有機電解液 〜開発の現状(三菱化学)徳田浩之氏H柔粘性結晶の電解質への応用(産総研)松本 一氏I蓄電池用電解質としてのイオン液体(横浜国大)渡邊正義氏J微粒子集積型ポリマー電解質の電気化学デバイスへの応用(鶴岡工専)佐藤貴哉氏K蓄電池用固体電解質〜開発の現状と展望(東工大)菅野了次氏)       etc.


シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(79)
 =新電力の電源確保問題=
 大串卓矢/スマートエナジー代表取締役社長

・世界を読む(58)<カリフォルニアの原発閉鎖がもたらす影響>




コラム
・発電論評<燃料電池の普及と買い取り制度>
・青空<不動産市場が好転している>
・ちょっと一休<富士見小学校のクラス会>
・ちょっと一言<スマートエネルギーは深刻な人材不足>


燃料電池の普及と買い取り制度【発電論評】

 日本で最も有名な燃料電池と言えばやはりエネファームということになるのだろう。エネファームは、家庭用の燃料電池システムの統一の愛称だ。都市ガス仕様のほかにもLPガス仕様や灯油仕様のものがある。燃料は異なっても、炭化水素燃料から水素を分離して取り出し発電するという仕組みは同じ。燃料電池の特長は、今更ながら、電気と同時にお湯や蒸気ができるということにある。
 また、エネルギー効率がとても高いというのも特長だ。熱回収した分をエネルギーとして換算すると、市販されているエネファームでは総合熱効率が90%を超えるものも普通にある。1次エネルギーである都市ガスやLPガス、.灯油などのエネルギーを無駄なく使い尽くせるシステムなのである。
 エネファームへの高まる期待の中でも、特に普及が期待されるものにダブル発電がある。ダブル発電とは、太陽光発電と組み合わせることによって電力を安定的に供給できるようにするというシステムだ。燃料電池システムは負荷変動に対する応答性も極めて高いので、太陽光発電の出力補正には最適なシステムだといえる。これによって家庭内の電力の自給力と安定供給力が高められる。さらに、安定した出力の電源として系統側に送電できれば、太陽光発電の拡大による系統安定化問題の多くも解決できることになる。
 しかしながら現状では制度的な歪みもあってそうなってはいない。問題の第一は、固定価格買い取り制度にある。太陽光発電とのダブル発電は買い取り価格が極端に低く設定されているため不利になるのである。これは、燃料電池やコージェネの電力は「再生可能エネルギーではない」ので買い取りはしないというだけでなく、システムの導入そのものを否定しているとも考えられる。余剰電力の考え方を誤っているといえる。
 さらに、買い取りの対象外であるだけでなく、系統側に電力を送電することは基本的には認めないという仕組みは未だに改められることはなく、制度改革の項目にも取り上げられていない。逆に系統側に送電できないようにするために、厳重な保護装置の設置まで求められているのだ。
 このため、エネファームなどのコージェネシステムは余剰電力を発生させないため、必要最小限の容量システムとして設計されるている。エネファームの発電出力が700Wに設定されているのはこうした理由によることが大きい。
 エネファームなどからの売電を自由にしたり、買い取り制度の対象に加えることで、系統負担を抑制し、高効率で、地産地消型の電力システムに普及拡大に向かえる一つの有効な手段になると思うのだがどうだろう。