2013.05.15


2013年515日号

JST、熱電変換素子と燃料電池を組み合わせた「排ガス発電システム」の開発
 JSTは、熱電変換素子と燃料電池を組み合わせた「排ガス発電システム」を開発に成功したと発表した。産総研の研究グループの研究成果をもとに、アツミテックに委託して製品化開発を進めていたもので、エンジン排ガス中の未利用燃料を利用して燃料電池(SOFC)で発電、さらにその排熱を利用して熱電変換素子で発電する。400CCの2輪車を使って実証した結果、排ガスエネルギーの約2.5%を電気に変えることができた。エンジン動力を利用する照明などの電気エネルギー400W級に相当するという。さらに低コスト化を進め、2015年には、商品化できるようにする。また、自動車用にとどまらず、工場の排ガスなどの未利用エネルギーを利用する発電システムとしても開発を続ける。

オリックスとNECなど、蓄電池レンタルによる家庭向けエネルギーサービスを開始
 オリックスとNEC、エプコは、3社が共同で設立したONEエネルギーが、蓄電池システムを利用する家庭向けのエネルギーサービスを開始すると発表した。蓄電池システムをレンタルし、スマートハウス向けのアプリケーションを組み合わせて、時間帯別の料金メニューを選択することで賢い電力利用を実現する。ONEエネルギーの試算では電気料金の削減分でレンタル料がほぼ相殺できる(東京都の場合)。さらに、太陽光発電と組み合わせるプランも用意する。こちらのプランは、屋根借り型の太陽光発電事業として展開する。発電電力は全量を売電し、屋根を貸す住宅には賃借料が支払われる。太陽光発電の設置工事や維持管理などの運用はONEエネルギーが行うので、住宅側の費用負担は一切ない。6月からまず、東京電力管内を対象にサービスの提供を開始することにしている。
 今年度中に1万軒、2015年度までに10万軒の提供を目指し、ICT技術と融合した定置用リチウムイオン蓄電池を核とした世界に通用する新サービスとして普及を目指す。


日本風力発電協会、自然エネルギー白書(風力編)を公表
 日本風力発電協会は、最新の風況解析結果や導入ポテンシャル、導入実績などをフォローした「日本の自然エネルギー白書(風力編)2013」を公表している。国内の導入実績や中長期の目標、導入拡大に向けた政策提言などが盛り込まれている。
 白書では、風力発電の現状について現状を紹介し、国内の導入実績や系統制約、補助金の打ち切りなど、最近までの国内風力の低迷の要因について分析。固定価格買取制度の開始によって先行きの見通しに明るさは増しているものの、環境アセスの義務づけなどが加わったことを加味すると、風力開発には計画から運転開始までにはこれまで以上に長期間が必要となっており、再び風力発電の導入量の拡大が期待できるのは2015年以降になるとしている。
 風力発電の導入量についてはRPS法の開始前までにはあった国の具体的な導入目標量は掲げられていない。これに対して、日本風力発電協会では、国内の風況データなどをもとに独自の導入目標を掲げ、その目標達成に向けて必要な対策として政策提言を行っている。
 2020年の目標値は1100万kW以上が目指され、直ちに必要な系統対策として@会社間連系線と蓄電池を活用した風力開発Aグループ制御方式の蓄電池を活用した実証B出力抑制や、出力上昇率制限などのウィンドファーム制御機能の活用C風況のよい地点への送電線強化などの計画の策定、などを進めることで目標達成を目指すべきだと提言している。白書は、協会のウェブサイトで公開されている。


その他の主な記事
・総合部会でエネルギー基本計画議論 火力燃料の調達など
・コージェネセンター 普及セミナーを開催
・MEMSアグリゲーターに18社を追加
・産総研が太陽光発電の成果報告会
・環境省 アセット事業者を募集
・東京電力 夜間シフトの電力料金新メニュー
・東京電力 スマートメーター事業者を決定
・NEDO ZEBとZEHで成果報告会
・29日からスマコミ2013
・7月に再生可能エネルギー世界展示会
・国交省が電気自動車によるタクシーやバス、トラック事業を支援
・廃棄物エネルギーの導入事業を補助 環境省が募集を開始
・富士電機 熊本でも太陽光発電
・関西空港に大規模太陽光 新
・NTTファシリティーズ 盛岡市のメガソーラーが完成
・シャープ 3接合型で37.9%を達成
・センコー 物流センター7カ所で太陽光発電事業
・ホンダ ブラジルで風力発電
・ヤンマー 中国で産業用ディーゼルを生産
・京セラ、太陽光発電80台をけいはんなの新街区に
・鹿島 自社ゴルフ場隣接地でメガソーラー
・木下工務店 メガソーラー事業に参入
・三井不動産 メガソーラー設置の物流施設を建設
・丸紅 北海道で太陽光発電事業
・日揮 富津のメガソーラー建設工事を受注
・協和エクシオ バイオマスボイラーが完成
・三井住友建設 壁面に太陽光 デザインや調和性などを先行して検証
・三菱マテリアルなど 社有地活用してメガソーラー
・東芝 コンテナ型の蓄電池試験設備を開発
・NTTグループ リース方式の太陽光発電事業を展開
・きんでん JU変電設備の効率的な点検器を開発   etc.

<インタビュー>
・BEMSアグリゲータと新しいエネルギーサービス
(オリックス株式会社 電力事業部 プロジェクトリーダー 篠崎万里子氏)
 オリックスは、金融サービスのノウハウを生かした、独自のエネルギービジネスを展開している。その内容も、メガソーラーに代表される発電事業から、電力小売などの供給、そして今回紹介するデマンドレスポンスのような省エネサービスまで幅広い。そのデマンドレスポンスサービスは、経済産業省のBEMSアグリゲータ事業ともなっている。他のアグリゲータ事業者と比較したときの特色は、成果報酬型で初期投資がかからず、中小の事業所でも導入しやすいということ。さらにこのサービスの先に、幅広いエネルギーサービスへの展開も見据えているという。



燃料電池新聞の主な記事
・2013年のエネファーム
・海外ニュース
 -トヨタ、ロンドン水素パートナーシップに参加
 -豪セラミックFuelCellsと英iPower、共同住宅に家庭用燃料電池を設置するプロジェクト開始
 -英インテリジェントエナジー、世界最高水準の出力密度を有する自動車用燃料電池スタック開発
 -世界の水素ステーション:2012年は27カ所開設:H2ステーションズ公表
 -米ハイパーソーラー、太陽電池を利用した水素製造装置の商業生産計画を発表
 -伊アクタ、印MVS Energy Solutionsとオンサイト水電解装置の供給契約を締結
 -独Fraunhofer研究所、バーデン=ヴュルテンベルク州の水素ステーション需要予測を発表
 -スウェーデンLUND大学、焼却灰から水素を製造する方法を開発
 -カナダカルガリー大学、水の電気分解に利用できる安価な触媒を開発
 -米DOE、クリーンエネルギー等の設備投資に対して30%の投資減税を実施
 -独HOPPECKEと独Truma、燃料電池システムを使った独立電源分野で提携
 -米バージニア工科大学、植物細胞に含まれる糖分から水素を大量に安価に製造する方法を開発
 -英AFCエナジーとスイスフォスターヒーラー、アルカリ形燃料電池の商品化で協業
 -米オアジャとバークレイ国立研究所、DMFCのMEA開発で提携
 -伊アクタ、水素製造装置を組み込んだ燃料電池バックアップ電源を発表
 -加ハイドロジェニクス、独イーオンから1MWのPEM方式水電解装置を受注
 -豪セラミックFuelCells、独EWEから60台のマイクロ燃料電池CHPを受注
 -カナダバラード、耐久性を伸ばした空冷式燃料電池スタックを発表
 -米ヴァイレックス、燃料電池用カソード空気ブロワの量産開始
 -独VDMA、2020年の燃料電池市場を20億ユーロと予想
 -米プロトンオンサイト、コストを40%削減した水電解装置を開発
・燃料電池フラッシュニュース
 -国土交通省の創畜省エネルギー化モデル構築支援事業で弘前市が水素貯蔵プロジェクト
 -トヨタ、2015年の燃料電池車の販売計画、年700台目標
 -京都大学、改質器の触媒としてエネファームの耐久性向上に資する金属ルテニウム触媒を開発
 -積水ハウス、ゼロエネルギー住宅の販売開始
 -ホンダ、北九州市で給電機能を有するFCVから家庭へ電力を供給する実証実験を開始
 -神奈川県、かながわスマートエネルギー構想を発表
 -大和ハウス工業、つくば市に燃料電池、太陽光、LIB、HEMSを搭載した省エネ住宅175戸を建設
 -日本初のガソリンスタンド一体型水素ステーション、神奈川県海老名市にオープン
・燃料電池インフォメーション
■水素エネルギー協会「第141回定例研究会」:6月3日(月) 東京農工大学小金井キャンパス 新1号館グリーンホール ○概要:「FCV(燃料電池自動車)・定置式FC(燃料電池)開発の最新動向」/@「トヨタ自動車における燃料電池車開発の課題と今後」(トヨタ自動車 小島康一氏)A「日産自動車におけるFCEVの開発」(日産自動車 飯山明裕氏)B「ホンダにおける燃料電池電気自動車の開発と導入に向けて」(本田技術研究所 守谷隆氏)C「PEFC(固体高分子型燃料電池)の最新開発動向」(山梨大学 田島収氏)D「SOFC(固体酸化物型燃料電池)の最新開発動向」(産業技術総合研究所 山地克彦氏)       etc.


シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(78)
 =石炭火力新設の背景と課題=
 大串卓矢/スマートエナジー代表取締役社長

・世界を読む(57)<欧州のコージェネ普及策に学ぶ>




コラム
・発電論評<コージェネレーションが可能にすること>
・青空<初めての沖縄訪問>
・ちょっと一休<残念でならない白沢さんの死>
・ちょっと一言<東電決算と柏崎刈羽再稼動の可能性>


コージェネレーションが可能にすること【発電論評】

 電力システム改革の大枠とスケジュールはほぼ固まり、あとは実行段階に入るだけということになった。
 改革の柱の一つには、コージェネなどの分散型電源の拡大を目指すということもある。コージェネの利用価値というものをもう一度整理してみよう。
 廃熱を回収してエネルギー利用するため、エネルギー効率が高いというのが最大の特長だ。また、小規模分散型のシステムとして導入されることも一つの特長だ。これは大規模なシステムでは、電気は送電することによって広域利用ができるが、熱は運搬手段がなく、大規模な火力発電所や原子力発電所では、排熱は海に捨てられている。発電利用した後の排熱を捨てないで利用するには熱の需要先で発電するしかないわけで、コージェネの大半は分散型で小規模のものということになっている。
 コージェネの利用価値その2は、エネルギーの利用効率が高いということ。先ほどの大規模火力が熱を捨てる話ともとは同じことではあるが、捨てる熱エネルギーを回収して利用するので、エネルギーの利用効率が高い。家庭用の小型の燃料電池やガスエンジンコージェネなどでは90%を超える高効率のものが販売されるようになっている。排熱を回収して利用するので、別に作っていた熱エネルギーが削減できる。家庭でいえば、コージェネの排熱で風呂が沸くので、わざわざガスを使って風呂を沸かす必要がなくなる。ガスコージェネや燃料電池は、ガス事業者が販売しているが、風呂を沸かすためのガスを使わなくなるとガスの使用量が減るのではないかと、いらぬ心配をしてしまうが、その代わりに発電するのにガスを使うので、余り心配することはない。減るのは系統電力であり、つまり、今流行の言葉でいうと、系統依存度を下げることや、節電によるネガワット効果がうみ出せることになる。さらにエネルギー利用効率を上げることで1次エネルギーの消費量が減らせ、昨今の貿易赤字の元凶とされている化石燃料の輸入量の削減にも少しだけ貢献できる。そして、CO2削減にもつなげられる。
 3つ目は、機動性に富むため、無駄なくエネルギー利用が行えるということ。発進停止が容易にできるため、不可追従性が極めて高い運転が行える。複数台の発電設備で運用すれば、不可に応じて運転台数を制御することによって、ほぼデマンドカーブに沿って電力供給が行える。
 コージェネの特長や他の電源にはない魅力はまだまだあるのだが、残念ながら紙数が尽きた。いずれにしても、コージェネを推進することでエネルギー効率の高い電力システムの構築に繋げていく必要がある。次回は、そのことについて触れてみたい。