2013年42555日合併号(次号の発行日は5月15日付です)

コージェネ使った電力供給も 規制改革WGが中間報告
 政府の規制改革会議は、4月17日に開いた会議で、専門分野での規制改革について検討してきたWGの中間報告を受けた。エネルギー環境WGの中間報告では、風力発電や地熱発電の環境アセスの調査手続きの迅速化や、小水力発電の水利権取得手続きの迅速化・簡素化などの再生可能エネルギーに関する規制緩和に加えて、自家発やコージェネを活用して行う自営線による電力供給や、現在50%以上の電源確保が必要な自己電源比率規制の撤廃など更なる規制緩和、また、家庭用燃料電池の電力系統への逆潮流を認める規制緩和などが取り上げられている。
 風力発電に関する規制緩和項目では、現在は発電所ごとに置かなければならない電気主任技術者について、複数の発電所を遠隔制御によって統括する事業所に選任することで、個別に置く必要をなくすことも取り上げられている。これなどは、風力発電に限らず、太陽光発電やコージェネ発電所など他の分散型電源にも適用できそうだ。主任技術者の選任は、きちんとした安全管理を行うために求められているものであり、現在の情報通信技術の発達によって遠隔監視や遠隔制御の技術的な水準は相当高度な対応ができるようになっているのに対して、法令による規制が追いついていないという代表的な例ともいえる。
 風力発電ではそのほかにも、農地の転用を促す規制緩和を求められている。これについては、農業振興に役立つという一定の条件を付け、農地転用が行えるよう求める。太陽光発電については、農作物の栽培と両立できることを条件に、隙間を空けて太陽光パネルを農地の中空に設置すること場合は農地のままで発電事業を行うことが認められた。これまでにも、電力事業用の送電線の鉄塔などが農地に建てられている例もあり、農地の中の一部を転用して風車のタワーを建てる例などが考えられる。
 小水力発電については、水利権の取得を容易化するために、短期間の水利権取得手続きの簡素化や明確化、また、現状以上に取水を行わない場合は、水利権の取得を認めることなどが取り上げられている。
 その他、自家発電などの分散型電源の活用の観点から、特定供給の自己電源比率の撤廃や、再生可能エネルギーや燃料電池、蓄電池などを自己電源として認めること。また、保安上問題がない場合は、コージェネと自営線による電力供給を認めること、家庭用コージェネの有効活用として系統への逆潮流を認めることなども取り上げられている。


1月だけで213万kW 再生可能エネルギーの設備認定
 資源エネルギー庁は、1月末現在の再生可能エネルギー固定価格買取制度による設備認定状況を公表した。
 それによると、1月末現在の設備認定量は、累計で736万9千kW、そのうち90%を超える約670万kWが太陽光発電だった。風力発電も前月末に比べて11.4万kW増の57万kWになった。風力発電は固定価格買取制度の開始前までは年間の導入量が10万kWを割り込んでいたが、1カ月の認定量で年間導入量に匹敵する設備が認定されたことになる。買い取り制度によって事業性が増し、投資環境が良くなったことが増加の要因。また買い取り制度によって系統連系がやりやすくなったことも大きな要因。風力に対しては、環境アセスが義務づけられたことで、大規模なウィンドファームの開発にはこれまで以上に時間がかかるようになり、早期の導入量の急激な拡大は難しいと言われていたが、制度開始からはぼ1年経って、風況のよい沿岸部での洋上風力も含めて開発が進んでいる様子が見られるようになった。
 太陽光発電の85%超はメガソーラーなどの非住宅用設備。実際の導入量ではまだ家庭用が上回っているが、新規設備の認定量では非住宅用が逆転している。非住宅用の太陽光発電の認定量は約575万kW。そのうちメガソーラーは約318万kW、55%と過半数を占めている。メガソーラーの分布を地区別に見ると、最も多いのは北海道の75万5300kWで、23.7%のメガソーラーが集中している。九州地区でもメガソーラーが集中しており、鹿児島に25万7000kW、大分に16万6400kWなど、九州7県をあわせると北海道を越える約80万5000kWのメガソーラーが認定済み。北海道と九州をあわせると約半分のメガソーラーが集中していることになる。九州は言うまでもなく南国で日照条件がよいこと、北海道は地価が安いことやパネルを設置しやすい未利用地などが豊富にあるためと説明されている。


日立造船ら、中温廃熱回収の発電プラントを実証試験
 日立造船は、愛知製鋼の知多工場に150kWの廃熱回収発電設備を設置して工場内の未利用廃熱を回収して発電する実証試験を共同で行う。従来の水蒸気を用いた廃熱回収技術ではなく、日立造船が独自に開発した作動媒体に有機媒体であるシリコンオイルを用いたORC廃熱回収技術によって、比較的規模の小さい廃熱を、80%以上の高効率で熱回収し効率良く発電することができるのが特長。既存設備にも設置可能で、従来システムと比べてランニングコストやイニシャルコストが低減できる。

島根でバイオマス発電 県補助事業で2万kW
 島根県が県内のバイオマス資源の活用を目的に募集していた木質バイオマス発電の補助事業者が選定された。島根県が、最大2万kWの募集枠を設けて可能な限り県産の木質バイオマスを県内の事業所から調達することなどを条件に発電用のボイラーや燃料供給ラインの導入費を補助することやその他設備の資金融通支援などを行うことで発電事業者を募集していた。募集期間中に応募のあったエネビジョン(本社・名古屋市)とナカバヤシ(本社・大阪市)を支援対象事業者に採択した。
 事業採択されたナカバヤシの計画は、松江市の自社の事業場に新たに木材チップを燃料とする6250kWの発電設備を設置して、固定価格買い取り制度による発電事業を行うというもの。年間発電量は約4342万kWh、売上高は約13億円を見込んでいる。ナカバヤシは、アルバムや製本など情報整理関連の事業を幅広く展開している企業で、発電事業は異業種からの参入ということになる。
 エネビジョンは豊田通商の関連会社でコージェネレーションシステムや再生可能エネルギーなど分散型電源事業を展開している。エネビジョンの計画は、江津市内に1万2700kWの木質バイオマス発電所を建設するもので、2件とも2015年4月の運転開始を目指して建設工事を進める。2件合計で年間の木質バイオマス燃料の調達量は20万6000t、CO2削減効果は石炭火力を代替する場合の試算では年間約11万500tの削減効果がある。島根県では、補助金8億円、資金融通額18億円の予算を用意して2件の事業をサポートしていく。


その他の主な記事
・北海道に大型蓄電池 経産省が系統対策
・ホンダ、寄居工場にメガソーラー 発電事業に参入
・富士電機 山梨のメガソーラーが運開
・共和エクシオ 山梨放送のメガソーラー建設を受注
・京セラ 大容量の家庭用蓄電システムを発売
・三菱電機 太陽電池モジュールを高出力化
・パナソニック 徳島の太陽光発電所にパネル供給
・日立造船 工場の中温廃熱で発電試験
・ブリジストンの子会社が発電事業に参入
・カゴメ 工場跡地にメガソーラー 発電事業に参入
・日本とドイツのエネシンポ エネシフトがテーマ
・2012年の電力需要は1.0%減 電事連が速報
・環境産業規模は82兆円 環境省の調査
・環境省、環境に優しい企業行動調査 
・エネマネやBCMなど SSKセミナー
・電力システム改革やエネマネなど JPIセミナー
・東アジアの低炭素成長でシンポ
・環境省、地方の再エネ・省エネFS調査を支援
・東工大AESSが3周年 記念シンポを開催
・国立環境権がシンポ 国境のない地球環境   etc.

<インタビュー>
・ガスタービンもガスエンジンも提案する新組織
(川崎重工業 ガスタービン・機械カンパニー エネルギーソリューション本部 本部長 能美伸一郎 氏)
 川崎重工業は、今年4月1日から、分散型野エネルギーシステムを一括して提案する新しい組織をスタートさせた。これまではガスタービン・機械カンパニーの中で、ガスタービンビジネスセンターと機械ビジネスセンターが各々別個にエネルギー・発電部門を有していたが、今回、エネルギーソリューション本部を新たに設立し、エネルギー・発電部門を統合した。製品群の垣根のなくなった新組織では、ガスタービンでもガスエンジンでも、お客様の要望に応じて柔軟かつ多様なエネルギーシステムの提案ができるようにした。自家発やコージェネレーションなど、高効率で自由にレイアウトできる分散型エネルギーシステムをお客様と共に作り上げていく、そんなソリューション営業を展開していくことになる。新組織の狙いや方向などについて、本部長に就任した能美伸一郎氏にお話を伺った。





シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流(33)
 =今 注目される非在来型石油、天然ガス=
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一)

・ グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革(41)日本の気候政策 何を目指すの?=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授





コラム
・発電論評<地産地消型で考える再生可能エネルギー>
・青空<社会インフラへの理解を歓迎する>
・ちょっと一休<新しい歌舞伎座で歌舞伎を鑑賞>
・一筆啓上<プログラムマネジメント>


地産地消型で考える再生可能エネルギー【発電論評】

 固定価格買取制度の導入で、メガソーラーなどの大規模太陽光発電の導入が急増している。設備認定された非住宅用の規模の大きい太陽光発電は既に500万kWを超え600万kWにも達しようとしている。そのうちの半分近くは北海道と九州に集中していて、系統調整力が弱い北海道では、早くも黄信号がともったとして、経済産業省は大規模蓄電池を整備することにした。予算は296億円。6万kWhの大規模蓄電池を投入するという。1kWh当たり50万円の設備投資だ。
 これによって、系統余力は10%程度向上するというのだが、40万kWが太陽光発電の接続限界だという発表を前提とするなら、4万kWしか増強できないことになる。抜本的な系統対策という訳ではないのは一目瞭然だ。
 北海道では風力発電の接続制限も以前から課題となっている。こちらも同じ接続限界が理由だが、電力の需要量が少ない北海道に立地が集中するのが問題とされ、対策が進まない。今回の緊急措置でも、北海道以外でメガソーラーを計画するよう呼びかけることも付け加えられている。
 そもそも、電力需要と供給はバランスさせることが原則だ。使いもしない電気をいくら作っても、今回のように接続制限をして電気を捨ててしまうことになってしまう。固定価格買取制度によって再生可能エネルギーを飛躍的に拡大させるという政策には異論はない。国産でしかも無料で使える再生可能エネルギーは将来的にはエネルギーコストを劇的に低減できる可能性を秘めている。だからこそ、再生可能エネルギー利用を拡大させるという選択は正しいといえるのだが、買い取るだけで使い道までは考えていないということに制度上の問題があるのではないか。
 再生可能エネルギーを使い尽くすには、それを利用する使う側の工夫も必要だ。現在の電力系統に全てを引き取らせるという制度の限界がそこにある。太陽光発電や風力発電などの電気を選んで使いたいという電力ユーザーは多い。けれども、今の制度では電源を選んで購入することはできない。これまでは、電源立地から供給までの全てを電力会社に委ねてきたわけだが、電力システム改革によって電力会社は供給義務からも開放され、全体計画からははずれることになる。そうなれば、全体計画を担うセクターがなくなってしまうことになるが、それを地域社会に任せるという選択肢もある。地域で必要な電力などのエネルギー計画を地域社会が自ら手がけることで、本当のエネルギーの地産地消が実現でき、そこに地域資源としての再生可能エネルギーを活用する道も開かれる。それがまた、地方分権社会の実現を早めていく力にもなるといえるのではないか。