2013.04.15


2013年415日号

農地でのソーラーシェアリングが可能に 農地転用を許可
 農林水産省は、営農と太陽光発電が同時に行える「ソーラーシェアリング」による太陽光発電を認める通知を行った。支柱を立てて農地の中空に太陽光発電パネルを隙間を空けて設置することで、農作物を育てながら太陽光発電を同時に行う場合には、これまで太陽光発電事業を行う場合には認めてこなかった農地転用を認めることにした。
 許可は3年ごとに更新し、農作物の収穫量が2割以上落ちていないことや、品質に著しい劣化が生じていないことなどを確認する。
 太陽光発電を設置する事業者は営農者自身でなくてもよいとされ、外部の太陽光発電事業者などが農地の中空を「屋根借り型」方式で太陽光パネルを設置して発電事業を行うこともできる。この場合、事業終了後に、発電設備が確実に撤去され、引き続き農地として営農が継続できることを担保するために撤去費用を発電事業者側が負担することが合意されていることが必要となる。許可は、3年間の時限措置としてて行われ、継続するためには更新手続きが必要となる。
 太陽光発電を休耕田などの農地に一時的に設置したいという要望は多くある。この場合、農地の転用許可が必要となるが、農水省では優良農地の確保を理由として、これまで許可してこなかった。今回、転用が認められることになったのは、耕作を続けながら部分的に太陽光発電を行う場合で、すだれ式などのソーラーシェアリングであっても実際に耕作が行われない場合は許可されない。また耕作しても、収穫物が同じ年の周辺の農地の平均と比較して20%以上少ない場合や、収穫された農産物の品質が著しく劣る場合は更新が認められない。また、農作業に必要な農業用機械を効率的に利用できない場合も許可されない。
 農作物の生長に必要な日照量には、作物の種類によって異なるものの、一般的には余裕があるため、その余裕分を太陽光発電で利用することは可能で、既に国内でも実証的に太陽光発電と農業生産の両立させている実証的な取り組みはあるとされる。今回のソーラーシェアリングの許可によって、農業生産と太陽光発電が両立できるモデルとして、農業者自身が発電事業者となる場合や、「空中借り型」のソーラーシェアリング事業として広がっていくことが期待できる。


ガスコージェネで熱と電気を供給 日本橋に都心部スマートシティ第一号
 三井不動産は東京ガスと共同で、東京都中央区で計画している「(仮称)日本橋室町三丁目地区市街地再開発計画」で、都市ガスを燃料とする大型ガスコージェネレーションシステムによる地域電気・熱供給事業を検討している。
 計画では、既成市街地を含む建物総床面積約100万平方mに対して、自営の発電設備と送電線を整備して電気を供給する「特定電気事業」として事業化する。熱供給事業は、発電排熱を活用して開発区域外の既存建物に対して供給する。電気の供給能力は約5万kWで、供給先については、今後、供給加納エリア内の建物所有者などと協議を進める。
 事業の特徴は、コージェネによる発電電力と系統電力を併用する「エネルギーの複線化」を行うことで、これによって日中は高効率発電と系統電力による電気を併せて供給し、夜間は系統電力を供給する効率的な設備運用と系統電力の負荷平準化にも貢献できる。また、コージェネの燃料供給ラインである都市ガス導管は、消防用の防災設備に電力を供給する非常用発電設備の燃料配管として認定されている「非発認定中圧ガスライン」を利用し、地震災害時などに系統電力が供給停止した場合でもコージェネによる電力供給を継続できるようにする。
 2011年月の法改正により、それまで100%自己電源による供給能力が必要だったものが50%以上でよくなり、不足分は東京電力などの外部電源から部分供給を受けることが可能になった。また、熱供給については、開発区域外の既存の建物などに優先的に供給し熱回収した発電排熱を残さず使い切ることで、コージェネの運転効率を最大限に高めることができる。三井不動産は、再開発エリアだけでなく周辺エリアも供給先に取り込むことで、既存街区を含めたエリア全体をスマートシティへ進化させることも視野に入れている。
 供給開始は2019年を予定。都心部の既存街区に自立分散型電源による電気の供給は我が国では初めてとなる。


Jクレジット制度、57の方法論を引き継ぎ コージェネや自家発による削減も
 経済産業省と環境省は、今年度から統合運用されることになった新たな国内クレジット制度であるJクレジット制度の準備委員会を開催し、国内クレジット制度とJ−VER制度から引き継ぐことになる削減モデル(方法論)について検討し、事務局側の提案通りに57の方法論を引き続き採用することを承認した。国内クレジットでは認められていた「系統電力受電設備等の増設による自家発電(発電専用機によるもの)の代替」などは引き継がれなかった。
 省エネ設備などを導入してCO2排出量の削減を行い、クレジットを取得するためには、その削減方法についてまず認定される手続き(方法論の認証)が必要となるが、既に認証登録されている方法論を採用する場合にはその手続きが省略できる。統合された新制度の下では、認証済みのクレジットについても、これまで通りにカーボンオフセット用などに活用できる。
 引き継がれた方法論のうち、再生可能エネルギーや分散型発電に関係するものは次の通り。
◇省エネ分野
▽コージェネレーションの導入▽外部の効率のよい熱源設備を有する事業者からの熱供給の切り替え▽未利用廃熱の発電利用▽未利用廃熱の熱源利用▽廃棄物由来燃料による化石燃料又は系統電力の代替▽自家用発電機の更新
◇再生可能エネ分野
▽木質バイオマス燃料による化石燃料又は系統電力の代替▽太陽光発電設備の導入▽再生可能エネルギー熱を利用する熱源設備の導入▽バイオディーゼル燃料・バイオエタノールによる化石燃料又は系統電力の代替▽バイオマス固形燃料(下水汚泥由来)による化石燃料又は系統電力の代替▽水力発電設備の導入▽バイオガス(嫌気性発酵メタンガス)による化石燃料又は系統電力の代替▽風力発電設備の導入▽バイオオイル(魚油由来)による化石燃料又は系統電力の代替▽再生可能エネルギー熱を利用する発電設備の導入


電事法改正案を閣議決定 発送電分離までプログラム化
 電気事業法の改正案が4月12日の閣議で閣議決定された。今通常国会に提出される。
 改正案は、先般閣議決定された改革の方針に基づいてまとめられており、広域運用機関の設立と発電・小売りの全面自由化、法的分離による発送電分離・小売り料金の全面自由化を3段階に分けて順次実施していく内容。
 今回の改正案には附則に第2段階と第3段階の改革について法改正の時期や改革の実施時期がプログラム規定として盛り込まれており、改革が確実に行われていくことがフォローできる仕組みが講じられている。
 主な改正点は、広域運用機関を設立することが中心で、広域運用機関は「全国大で平常時・緊急時の需給調整機能を強化する」ことを目的に設立され、全ての電気事業者に電気の安定供給の観点から指示を行うことができる。運用機関は全ての電気事業者に加入が義務づけられ、国の監督権限が及ぶ認可法人となる。また、再生可能エネルギーなどの新規電源接続業務や、系統情報の公開に関する業務も取り扱う。
 改正案には、経済産業大臣が電気の安定供給を確保するために供給命令を出せる改正規定も盛り込まれている。電気事業者だけでなく発電事業者に対しても直接供給命令が行えるようにすると共に、一定規模以上の自家発を保有する企業などに対しても供給勧告が行えるようにする。また、現在は自由にできない自己託送についても規定を改定し、自家発電設置者が自社の他工場や事業所などに自由に電気を送電できるようにする。電力会社が正当な理由もなく託送サービスを拒んだ場合には経産大臣が託送命令を出せるようにする。事業規制についても、経済産業省ではない、新たな規制機関が2015年を目途に創設される。自己託送の改正規定は来年4月から施行される。


その他の主な記事
・メタンハイドレート海洋産出試験を評価
・各地で電気業が急増 経産省の調査結果
・NEDOの洋上風力実証 北九州でも6月から運転
・環境省、2011年度の国内排出量は4.0%増
・自治体の温暖化対策計画の策定状況を公表
・中部電力 三重県から水力発電を譲り受け
・環境省、節電CO2削減モデル事業に5件を採択
・村田製作所 野洲工場のメガソーラーが運開
・広島ガスも大規模太陽光に参入
・JX日鉱日石 米FS社から太陽光パネルを調達へ
・住友金属もメガソーラー事業に参入
・中国電力 天然ガス調達を自社グループに取り込み
・第一実業 小型バイナリー発電を国内販売
・東京ガス 米国産LNG140万tを購入
・関西電力もシェールガスを購入
・日立と東電が海外で送配電コンサル事業を共同展開
・楽天 リチウム電池システムも販売
・川崎重工 韓国の熱電事業用に蒸気タービン
・5月29日から「電設工業展」
・札幌で地熱発電シンポを開催へ
・自然エネ財団が国際シンポ
・NEDO 新エネベンチャーを募集
・大型蓄電池の導入補助 募集開始
・分散型補助基金 設立団体を募集
・国の太陽光補助 4月17日から受付
・福岡県 市町村のメガソーラー事業を支援
・岐阜県 スマコミ可能性調査の委託先を募集   etc.

<インタビュー>
・戦略は「原点に立ち返る」 エネルギーアドバンス
(エネルギーアドバンス 代表取締役社長 圓角健一氏)
 エネルギーアドバンスは昨年7月に創立10周年を迎え、11年目に突入している。そしてこのタイミングで、圓角氏が新社長に就任した。エネルギーの低炭素化に加えて、節電や災害対策へのニーズが高まる中、エネルギーサービスプロバイダの事業範囲は拡大している。一方、田町地区再開発など、大型案件も進んでいる。こうした状況に、どのような戦略を描いていくのか、圓角氏にその抱負をうかがった。



燃料電池新聞の主な記事
・燃料電池自動車の開発の現状(FCEXPO-2013 セミナーレポート)
・加バラードの事業戦略を聞
・海外ニュース
 -カナダバラード社、カリフォルニア州にバイオガスを燃料とする分散電源システムを納入
 -現代自動車、2013年2月から燃料電池車の量産を開始
 -英ACALエナジーの液体循環型触媒、8000時間の耐久性を実証
 -GM、2013年のChevrolet Voltの販売台数は3万6000台を見込む
 -ノルウェーオスロで2013年4月から燃料電池バスの走行実証スタート
 -ベルギー、オランダ、ドイツ、国境を越えた水素供給ネットワークを形成
 -カナダバラード社、ベルギーのヴァンホール社に燃料電池バス用スタックを10台分納入
 -米BMWの工場、燃料電池フォークリフトの導入を拡大
 -豪セラミックフューエルセルズ社、独アリアンデル社と燃料電池コージェネシステムの販売で提携
 -英ITMパワー社、独THUGグループのガス発電プロジェクト向けに水電解水素製造装置を受注
 -カナダバラード社、中国の代理店に175kWの定置用燃料電池を販売
 -独NRW州で補助金を利用した豪セラミックフューエルセルズ社の燃料電池の導入始まる
 -米ブルームエナジー社、米ターゲット社の店舗に燃料電池発電システムを試験導入
 -米DOE、2050年までに自動車部門の石油消費量とCO2排出量を80%削減するプログラム発表
 -独hyTrust、ドイツでのFCVの社会受容性に関する調査結果を公開
 -アメリカホンダ、カリフォルニア工場に1MWの燃料電池を設置
 -仏Symbio FCell、グルノーブル市で燃料電池の製造ラインを立ち上げ
 -独Baxi Innotech、2014年末までに家庭用燃料電池の暖房ユニットを発売
・燃料電池フラッシュニュース
 -九州大学、寿命10倍の燃料電池触媒を開発
 -田中貴金属、燃料電池用触媒の専用工場を新設、2310年10月に稼働
 -九州大学、安価で高性能な水素貯蔵合金を開発
 -神戸製鋼所、JX日鉱日石エネルギーの海老名水素ステーションに高圧水素圧縮機などを納入
 -大阪ガス、実験住宅NEXT21にSOFCCを設置、住戸間の電力融通実験を開始
 -「燃料電池はすべてが量子反応のデバイスだった」大阪大学の研究成果
 -東北大など、ペロブスカイト型水素化物の形成機構を解明
 -富士経済、燃料電池市場の2015年予測を発表
 -水素エネルギー製品研究試験センター、高圧水素タンクの大型試験設備を開設
 -トヨタ自動車 バイオ燃料電池を開発中
 -NECのナノカーボン事業、CNHは材料からの一貫生産で燃料電池の触媒担体などがターゲット
 -日産自動車、中国で電気自動車「リーフ」を2015年以降、5万台生産
 -都市ガスとLPG業界、「エネファーム」普及へ連携強化
 -川崎市と千代田化工、臨海部で水素サプライチェーン実証事業を開始
・燃料電池インフォメーション
■FCDIC 第20回燃料電池シンポジウム:5月28日〜29日 タワーホール船堀(江戸川区総合区民ホール:東京都江戸川区)○概要:20回を迎えた同シンポジウムの記念大会。燃料電池、水素・再生可能エネルギー、要素技術の開発動向など関するセミナー。61の講演と、「燃料電池開発にかかわる国家施策」(経済産業省)、「東日本の巨大地震に学ぶ」(京都造形芸術大学 尾池和夫氏)、「グリーン成長戦略に関する日独比較」(富士通総研 梶山恵司氏)、「シェールオイルの現状と今後の課題」(JOGMEC 野神隆之氏)、「燃料電池のビジネスチャンスと課題」(野村総研 風間智英氏)、「韓国の燃料電池開発の現状」(蔚山大学)、「韓国のMCFC開発」(Doosan HIC)、「燃料電池計測用時空間分解XAFS新ビームライン建設とXAFSを用いたとPEFCカソード触媒 in situ測定」(電気通信大学 岩澤康裕氏)の特別講演、依頼講演がある。       etc.


シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(77)
 =電力市場への新規参入=
 大串卓矢/スマートエナジー代表取締役社長

・世界を読む(56)<英国の電力改革と再可エネ普及策>




コラム
・発電論評<自己託送で可能になる自家発の新たな活用>
・青空<名門ゴルフ場の日常?>
・ちょっと一休<野田前総理の話を聞く>
・ちょっと一言<自由化と発送電分離で電気料金は下がらない?>


自己託送で可能になる自家発の新たな活用【発電論評】

 電気事業法が改正される。改正案には、自己託送の拒否禁止規定が盛り込まれている。
自己託送は、遠隔地の自社の工場などの自家発電設備から本社ビルや自社の他工場、子会社などに送電して自家消費する仕組みだが、これまでは自由にできなかった。電力会社が送電線を利用することを積極的には認めてこなかったためだ。国内にある自家発電設備のほとんどのものは逆潮防止のため、そもそも回路が切り離されているか、接続していても逆潮防止の保護装置の設置が求められ、逆潮しているのは、電力会社に余剰電力を売却する場合や自己託送が認められた場合などごく限られたケースに止まっていた。手続きや接続に必要なコストに加え託送料金が高額であることなどが理由で送電網を利用することが実質的には難しかったからだ。これが、今回の法改正が実現すると、自己託送を希望するユーザーに対して電力会社は送電網の利用を原則的に拒めなくなる。
 もちろん、自己託送の門戸が広がるといっても、託送料金の問題はまだ残る。託送料金が高額なままでは、コスト的に折り合わないからだ。
 託送料金については、発送電分離によって、電力会社も公平に託送料金を支払う仕組みに変わる。今回、法改正される第1段階の改革では、広域系統運用機関が設立され、全国的な系統運用に責任を持つ仕組みに変わる。実際の発送電分離は第3段階の5年〜7年後ということになるのだが、どの段階で電力会社も託送料金を支払うことになるのかなど、制度の詳細設計についてはその内容も方法も明らかになっていない。現在の会計分離では、新電力など外部の系統利用者が電力会社の決めた託送料金を支払うのに対して、電力会社は送電部門の支出を会計上分離して計上しているだけで、公平な託送料金を支払っていることになるのかどうか検証できない仕組みとなっている。
 公平なコスト負担というからには、やはり公平に料金として支払うように改められる必要がある。これは会計上の問題であり、発送電分離を待たなくても、社内的に送電料金として計上するように変えるだけで良いはずであり、早急に改善される必要がある。
 送電料金が、公平になると、安価な電力が発電できる場合には、自己託送の活発化が期待できる。既設の自家発を更新する場合、少し大きめの発電機を導入して全国の支店や営業所にも電気が送れるようになる。これまでの規制改革で電力会社からの購入電力と自家発や他社電力など複数の電源の電力を利用できるようになったので、自家発か系統電力か、最も有利な選択ができるようになる。
 系統電力の「節電」効果も期待できる新たな自家発活用策として普及させて行きたい。