2013年45日号

電力システム改革方針を閣議決定 2016年には全面自由化
 政府は、4月2日の閣議で「電力システムに関する改革方針」を決めた。
 内容は、2月8日に経産省の電力システム改革専門委員会が取りまとめた報告書にほぼ沿ったもので、2015年に全国規模のネットワークを統合的に運用する広域系統運用機関を設立すること、16年に家庭用までも含めた小売りの全面自由化を行うこと、18年から20年を目処に送配電部門の中立性を確保するため発送電分離(法的分離)を行う。
 改革を確実に実行するために、今通常国会に第1段階の広域運用機関の設立に必要な電気事業法の改正案を提出し、第2段階と第3段階の制度改革を実現する法案の提出時期や実施時期についてのプログラム規定を付則に盛り込む。その規定に従って、来年の通常国会には第2段階、その翌年には第3段階の改革案を提出することが目指される。
 小売りと発電の全面自由化は発送電分離に先立って2016年を目処に開始されることになるが、自由化後も一定期間の間は既存の電力会社による供給義務は残される。
 発送電分離については中立性確保の方式として送電部門を切り離して子会社化する「法的分離」が選択されたが、制度設計がうまくいかない場合には、送電部門の機能だけを広域運用機関に移す「機能分離」を再検討する余地も残されることになった。
 その他、自由化市場の健全性を担保するために、行政の監視機能を強めることを目的に2年後を目処に新たな規制組織を設けることも盛り込まれている。


CO2削減中期目標の議論再開 25%削減は白紙
 経済産業省と環境省は、2013年度以降の地球温暖化対策と2020年を目標とするCO2削減中期目標の策定に向けた議論を開始した。
 3月29日に産構審の小委員会と中環審の地球環境部会の合同会議を再開し、今年1月の安倍総理大臣の「25%削減目標を白紙にして新たな中期目標を策定する」という指示に沿って検討される。
 政府は、中期目標を今年11月にワルシャワで開催されるCOP19で表明したい考えで、合同会議はそれまでに結論を得るべく毎月1回程度精力的に会合を開いて議論を行っていく。


東芝も太陽光発電事業に参入
 東芝は、横浜事業所内に1500kWのメガソーラーを設置して太陽光発電事業に参入する。コージェネレーションシステムにより発電事業を展開しているグループ会社のシグマパワー土浦を事業運営会社とすることにし、社名も「シグマパワー太陽光」に改める。
 設置する設備は、高効率のパワーコンディショナーなど、グループの持つ関連設備機器と技術を活用する。
 東芝では、引き続き太陽光発電事業を拡大する方針で、東芝キヤリア掛川事業所、東芝姫路工場、東芝姫路半導体工場にも発電出力1500〜2000kWクラスのメガソーラーを設置し、2013年度内に合計6500kWの太陽光発電事業にする。さらに、今年10月には、川崎に開設予定のスマートコミュニティセンターや、府中事業所にも太陽光発電システムを設置し、発電能力の拡大も図る。


新型トヨタ産業用エンジンを開発 最新の排ガス規制に対応
 豊田自動織機は、新型のトヨタ産業用エンジンを開発した。55kWのディーゼルエンジンと65kWのガソリン/LPGエンジンの2機種。最新の日・米・欧の排ガス規制に適合させるとともに、小型軽量化して低燃費化とクリーン化を図った。
 両エンジンとも、フォークリフトや建機、農機、発電機など産業用エンジンとして拡販していく。


その他の主な記事
・東京都 低炭素ビルへの入居基準を策定
・国交省 発電用燃料のLPG貯蔵やリチウム電池の取り扱いを明確化
・再可エネ買い取り価格正式決定
・環境省 自然公園での風力発電設置ガイドラインを改定
・ミサワホーム 関東のメガソーラーが運開
・関西電力と東燃ゼネラル 共同でメガソーラー
・九電工 伊万里市でも太陽光発電事業
・三井造船 自社工場にメガソーラー
・三浦工業 低温廃熱を利用してボイラーのランニングコストを削減
・三菱重工 ミャンマーにディーゼル発電
・東武鉄道 木葛生駅のメガソーラーの工事に着手
・日立マクセルもメガソーラーに参入
・関電工 福岡でもメガソーラー
・名古屋鉄道グループも太陽光に参入
・集合賃貸住宅の屋根で太陽光発電
・JFE 秋田のメガソーラー建設を受注
・大和証券グループもメガソーラー
・興和 メガソーラー事業に参入
・住友商事 フィリピンで地熱発電所の移設工事を受注
・ソーラーフロンティア 第2工場の再稼動を決定
・蓄電池併設型再可エネ実証 6件を採択
・スマコミ補助事業39件の報告書
・バイオマス産業都市募集開始
・大阪にスマートエネルギーセンター 府と市が共同設置
・MEMSアグリゲーターに6社
・まち・住まい交通の創エネ蓄エネ省エネモデル事業を採択  etc.

<インタビュー>
・熱利用のスペシャリストからユーティリティ・ソリューションへ 三浦工業
(三浦工業 執行役員 新事業開発本部副本部長 SD推進室 軽量化デザイン室 室長 井上一信氏/新事業開発部 部次長 山本英貴氏)
 コージェネレーションなど、エネルギーの効率的な利用は、熱利用がカギとなる。その点で、ボイラーメーカーである三浦工業は、熱利用のスペシャリストとして期待が大きい。分散型エネルギーシステムへの期待が集まる中、同社がどのような技術を開発し、あるいは提供していくのか。これからのビジネスの枠組みも含め、話をうかがった。


シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革(41)イタリア トリノ県のCHP/DHC=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授


・電力全面自由化時代(その11)
 =原子力を超えたエネルギー政策議論を=
 山田 光/スプリント・キャピタル・ジャパン代表



コラム
・発電論評<実効性の伴う電力システム改革に>
・プリズム<電力とは違うガスの全面自由化>
・青空<アベノミクスへの期待>
・ちょっと一休<那須先輩の労作を祝う>


実効性の伴う電力システム改革に【発電論評】

 電力システム改革の方針案が閣議決定された。広域系統運用期間の設立、発電小売りの全面自由化、発送電分離と段階的に改革が進められる。今通常国会、来年、再来年と毎年電気事業法の改正案が提出され、電力システム改革が順次進められていく。
 詳細設計は、これからの課題だ。たとえば、第1段階の広域系統運用機関。発送電分離が実現するまでの期間は、実際の系統運用はこれまで通り、各エリア毎に電力会社が行う。周波数、変換装置の拡大や地域間連携線の拡大、需給ひっ迫時の発電指令や電力融通指令などの役割が盛り込まれているが、予算も権限もほとんど与えられない中で、どれほどの実行力が担保されるのか。現在の系統利用協議会(ESCJ)との違いをどのような形で示せるのか、これからの詳細設計にゆだねられている。
 発電と小売りの全面自由化にしても、制度はできても新規参入者が現れないという状況を、これまでに何度も見てきた。小売りの自由化は2000年3月から段階的に始められ、2005年4月からは低圧を除く高圧と特別高圧の需要家を対象に拡大されたが、自由化市場での新規参入事業者のシェアは未だに数%に止まり、実質的には独占状態が続いている。このような中で単に制度的な自由化が開始されても「規制なき独占」という現状が変化すると考えられないのではないか。
 そもそも、少子高齢化や産業構造など社会構造変化が進み、地球温暖化対策を背景にした省エネ活動の進行、さらに震災以降の節電の取り組みもあって電力の総需要そのものが減少している。その傾向は今後も続くと考えられる中で、新規参入者が活動できる自由化市場をどのように整備していくのかが、これからの制度設計に委ねられることになる。
 少なくとも、新たな発電所を建設して発電事業に新規参入するには、適正な価格で確実に販売できるという取引市場が整備されることが必要だ。最近の成功例としては、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度がある。電気料金の値上げに繋がるという批判もあるが、発電コストに応じて販売できることが見通せるという意味では画期的なものだといえる。こうした成功例を参考に、コージェネ電源などの高効率で低炭素な新電源という一定の条件を満たすものは買取制度の対象に加えるということも考えてみるのもいい。
 今般のシステム改革が成就するにしてもその実質的なスタートとなる発送電分離までには少なくとも5年以上の時間がある。それまでに、新たな事業者が市場参入できるような環境整備を整えるために、実効性のある新たな電力システムの詳細設計が求められる。