2013.03.15


2013年315日号

太陽光 13年度の買い取り価格は10%引き下げ
 経済産業省は、3月11日に、調達価格等算定委員会を開催し、2013年度の再生可能エネルギー調達価格の改訂案を決めた。太陽光発電の価格を10%引き下げる内容で、同日経産大臣に報告された。月内には正式な買い取り価格が発表される。
 価格は、毎年度見直され翌年度の買い取り価格を決める仕組みとなっている。2013年度の買い取り価格を決めるため、4回の委員会を開いて新たな価格を決めた。
 改定案では、制度発足後約半年間で突出した導入量があった太陽光発電について、工事費を含むシステム価格が平均10%以上下落しているという調査データを基に10%引き下げることにした。これによってメガソーラーなどの非住宅用は42円(税込み)が37.8円(同)に、住宅用については42円を38円に4円引き下げることにした。新たな買い取り価格は5月から適用される。
 また、電気料金に上乗せしてコスト回収する「賦課金」については、新年度の導入量が新たに加わることから、1kWhあたり0.40円に値上げする。これによって毎月300kWhの電気を使う標準家庭では、負担額が87円から120円に上がる。賦課金には、旧制度の太陽光発電の賦課金額0.05円も含まれている。制度の移行に伴うものであり、旧制度分は14年度からはなくなる。
 太陽光発電以外の風力発電やバイオマス発電など他の再生可能エネルギーについては買い取り価格を据え置く。これについては、新制度下での導入実績がほとんどないため、改めてコスト算出を行う有効なデーターが得られないことを主な理由とした。 また、風力発電や地熱発電は、大規模な電源開発には環境アセスを行う必要があり、この手続きに数年間の時間が必要なこと、また、環境規制や農地転用問題など普及に向けて必要な規制緩和が進んでいないことなど、導入実績が増えないのは価格以外の要因が大きいと説明された。


RPSから買い取り制度へ 372万kWが移行
 経済産業省は、3月11日の調達価格等算定委員会に、旧RPS制度下で設備認定を受け電力会社に売電していた電源のうち、約70%にあたる372万kWが固定価格買い取り制度に移行していると報告した。
 固定価格買い取り制度は、RPS制度が再生可能エネルギーの導入拡大という所期の目的に沿った成果を上げられないままに廃止され、欧州などで再生可能エネルギーの拡大に効果を発揮した固定価格買い取り制度に切り替えられた経緯がある。制度の運営に当たる経済産業省では、RPS制度の廃止に伴い契約期間が残存する設備に対しては、固定価格買い取り制度への切り替えを経過措置として認めることにしていた。
 RPS法では、買い取り義務のある電力会社が電力とRPS価値(環境価値=再生可能エネルギーであるCO2排出ゼロの価値)を買い取る仕組みであったが、新制度では買い取りコストは電力会社ではなく国が料金(賦課金)を定めて電気料金に税金のように上乗せして回収する仕組みとし、電力会社は自社の発電所の運転を減らした分の燃料費相当分などを回避可能原価として負担するだけでよくなったため、RPS制度に比べて負担が少なくなっている。一方で、発電事業者にとっては、買い取り制度に移行できることで、事業採算性が向上できるというメリットもある。
 移行した再生可能エネルギーの内訳は、風力発電が最大で約252万kW。新制度に移行しなかった電源は6.4万kWしかなく、新制度への移行率は97.3%とほとんどが新制度へ移行を果たしている。


菱重エステート、集合住宅向け保安電源システムを開発
 三菱重工グループの菱重エステートは、集合住宅向けの保安電源システムを開発した。太陽光発電と非常用発電機、リチウムイオン蓄電池の3電源を組み合わせて、災害などの停電時には非常用電源として、エレベーターや給水ポンプなどライフラインに必要な電力を安定的に供給する一方、平常時には太陽光発電により外部電力の使用量を削減する。
 自立型電源の確保により、電力の安定供給を確保するシステムとして新築・既設マンションなどを中心に提案し、3年間で40件の普及を目指す。


日立、エリアエネルギー管理ソリューションを開発
 日立製作所は、オフィスや商業施設、住居、公共施設など地域全体のエネルギー情報を一元管理し、太陽光発電や蓄電池、非常用発電などの分散型電源設備を地域全体で効率的に運用・監視・制御できるエリアエネルギー管理システムを製品化した。
 商業施設、住居、公共施設などに設置されたHEMSやBEMS、中央監視システムなどからの情報をもとに、電力だけでなく、水やガスなども含めたエネルギーの使用量を見える化し、地域全体のエネルギーの一元管理や需要予測、需給情報の提供を可能にする。また、蓄電池システムを中心とした分散電源関連設備によって、系統電力や地域内の再生可能電源を管理し、地域内で柔軟に電力エネルギーを融通することができる。また、平常時の電力エネルギー管理だけではなく、災害や停電などの非常時にも住居やオフィス、商業施設などに電力を優先的に供給することで、地域住民の最低限の電力消費を賄うことができる。第1弾として、三井不動産が開発を手がける「柏の葉スマートシティ」に提供されることが決まっている。


その他の主な記事
・メタンハイドレートの海洋産出試験に成功
・神戸市が廃棄物処理場でバイオマス発電の認定を取得
・統合される国内新クレジット制度は「Jクレジット」に
・楽天 太陽光発電販売にマイレージサービスを導入
・三菱重工 中国のディーゼル合弁会社が営業開始
・大阪ガス 集合住宅で次世代エネシステムを実証
・JNC 太陽光追尾式発電設備を実証
・WWFがエネルギーシナリオ発表会を開催
・SBグループ 長崎でもメガソーラー
・シャープ 大阪岬町のメガソーラーが運開
・宇部興産と昭和シェルが共同でメガソーラー
・応用電機 浜松と熊本でメガソーラー
・関電工も2カ所目のメガソーラー 栃木県で
・佐川グループ 流通施設屋根でメガソーラー事業
・出光興産 北九州でもメガソーラー
・日本アジアグループ 釧路で2つのメガソーラーが運開
・楽天 太陽光発電販売にマイレージサービスを導入
・JR東日本 メガソーラーを導入 車両運行用にも
・JR東日本、災害対策で非常用発電設備を整備 首都圏主要30駅などに
・九電工がソーラーシェアリングシステムを販売
・三菱重工 中国のディーゼル合弁会社が営業開始
・大阪ガス 集合住宅で次世代エネシステムを実証
・アイシン精機家庭用ガスコージェネの新タイプ 総合効率は90%
・九州経済産業局がグリーンエネ産業推進協議会 記念セミナーを開催
・経産省 13年度補助事業の執行団体を募集
・自家発導入補助2次募集結果を発表 補助件数は23件
・円高エネルギー制約対策の補助事業などを説明紹介
・JOGMEC 地熱開発調査の補助募集を開始 11月末まで
・IGESが気候変動で公開シンポ
・エナジーグリーンが電力自由化でセミナー   etc.

<インタビュー>
・世界市場に大型エンジンを供給するバルチラ
(環バルチラジャパン 東北アジア地区ダイレクター ルカ・フェブライオ氏)
 世界中で延べ5370万kW(2012年末時点)の発電プラントの納入実績を誇る高効率大型エンジンメーカーが、フィンランドに本社を置くバルチラ社だ。我が国では、東日本大震災・福島第一原発事故以降、分散型電源への期待が高まっている。これに対し、バルチラ社では、実績あるガスエンジン、および再生可能エネルギーとして液体バイオ燃料エンジンを我が国に提案したいという。今回は、東北アジアダイレクターのフェブライオ氏の来日にあわせて、震災後の日本への提案を話して貰った。



燃料電池新聞の主な記事
・FCEXPO2013レポート
・カナダの燃料電池メーカーの動向
・バラードがVWと燃料電池自動車を共同開発
・海外ニュース
 -米インフィンティウム社のフォークリフト用燃料電池、CE認証を取得
 -英3年間で70MPaの水素ステーションネットワークを設置するLHNEプロジェクトが始動
 -トヨタ自動車、米NRELに4台のFCHV−advを納入
 -中国西南交通大学、初の水素燃料電池電気機関車の運行に成功
 -米NYSERDA、米H2Pumpの水素回収システムの商用化に180万ドルを助成
 -英ITMP0wer、2030年に水素ステーションは水電解方式が51%になると発表
 -UKH2モビリティ、英国で2030年に160万台の燃料電池車が普及という予測を発表
 -独GWU、風力環境測定装置に独SFCエナジーの燃料電池を採用
 -カナダのバラード社、燃料電池部材製造部門を売却
 -カ州政府、2025年までのZEV普及のロードマップ「2013 ZEV アクションプラン」を発表
 -英スコットランドで燃料電池バス実証走行プロジェクトがスタート
 -英AFCエナジー社、英インダストリアルケミカルズ社のクロロアルカリ工場へ1MWのアルカリ型FC設置
 -米クリアーエッジパワー社、米UTCパワー社の買収手続きを終了
 -ベルギー政府、路線バスを一新、新型バス386台を導入。燃料電池バスを5台導入
 -英ITMパワー、日本企業に初めて水素製造装置「HPac」を販売
 -南アHySA、南アメレックスエレクトリックパワー社と共同で燃料電池ゴルフカートを開発
 -米Oorja社と南アHySA社、DMFC製品の南アフリカ市場開拓で合意
 -豪セラミックフューエルセルズ社、ベルギーのソーラースピリット社とブルージェンの供給契約を締結
 -伊アクタ社、英ワイト島で再生可能エネルギーの貯蔵システムを構築
・燃料電池フラッシュニュース
 -日立造船、垂直配向性カーボンナノチューブの量産技術を開発
 -NEC、炭素系材料「カーボンナノホーン」の販売開始
 -産総研、ハンディ燃料電池システムを開発
 -日産自動車、FCEV開発推進室を新設
 -豊田自動織機、燃料電池フォークリフトの実証試験を開始
 -九州大学、貴金属フリーのニッケル・鉄触媒を開発、電極触媒を低コスト化
 -神鋼環境ソリューション、大幅にコンパクト化した小型水素発生装置の販売開始
 -スマイルFC社、燃料電池スタックの試作製造ラインを設置
 -GSIクレオス社、燃料電池の電極触媒担体向けカーボンナノチューブを開発
・燃料電池インフォメーション
■燃料電池開発情報センター 第26回セミナー(FCVフォーラム):4月16日 東京都立産業技術研究センター(東京都江東区)○概要:2015年に向けたFCV開発の現状と今後の課題/第1部 招待講演@燃料電池・水素分野の国家プロジェクト動向と低コスト化に向けた取り組み(NEDO 山本将道氏)AトヨタにおけるFCV開発の現状と今後(トヨタ自動車 吉田利彦氏)Bホンダにおける燃料電池自動車の開発と導入に向けて(本田技術研究所 守谷隆史氏)C日産自動車における燃料電池自動車の開発(日産自動車 飯山明裕氏)DFCV普及開始に向けた水素インフラ構築への取り組み(JX日鉱日石エネルギー 廣瀬正典氏)/第2部 A:ポスターセッション&総合討論会 B:試乗会:FCV(トヨタ/ホンダ/日産)/燃料電池バス(有明水素ステーション見学コース) C:東京都立産業技術研究センターの施設見学会       etc.


シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(76)
 =小水力発電は普及するか=
 大串卓矢/スマートエナジー代表取締役社長

・世界を読む(55)<フクシマ後、混迷する日本の原子力>




コラム
・発電論評<災害時にも電力供給を担保する自立型電源>
・青空<東日本大震災から2年>
・ちょっと一休<パプリカの縁で会食>
・ちょっと一言<日本のLEDが世界市場をリードする>


災害時にも電力供給を担保する自立型電源【発電論評】

 発送電分離によるエネルギー供給の未来が少しずつ見えてきている。電力制度改革が計画通りに実施されると誰でもが発電事業者になれ、発電した電気は売ることができる。送電網も有料だが公平に利用できるようになる。つまり、電気は特殊な商品ではなく、普通に市場取り引きされる普通の商品になるということだ。もちろん、自家発電もこれまで通りに自由にできる。
 自家発電にとっては、これまでより少しだけ環境が良くなりそうだ。今まで余剰電力の売却は、実質的には不可能だったが、市場が整備され売却できるようになる。また、使用する電力を複数の電力会社から分割して購入できる「部分供給」も正式に制度化され、自家発だけでは不足する電力を外部から調達できるようになる。複数台の発電設備や複数カ所の自家発電力をアグリゲーとして自社施設で自家消費したり売電することもできるようになる。つまり、購入した発電設備を使って自家消費から事業用まで、電力関連の様々なビジネスの可能性が広がるということだ。
 今までは、防災用を中心とした非常用電源しかなかったといってもいい我が国の自家発・分散型電源市場にとっては、まさに画期的な改革といってもいいものだが、新たな市場が勝手にできあがるというものではない。それには、やはり魅力的なシステムの提案が必要になってくる。
 複数のシステムのいいとこ取りをして、さらに使い勝手や環境によいシステムを作り出していく。そんな商品やシステム提案が最近のトレンドだ。低燃費のハイブリッド自動車はその一つといえるが、発電システムの世界では、さらに先を行く再生可能エネルギーと組み合わせるダブル発電や、蓄エネ、創エネ、また、系統電力と組み合わせる効率運用を行うことなども提案されるようになっている。最近では、これにスマート化技術を組み合わせて、災害時にも電力供給を担保する自立型電源システムの提案もある。
 系統電力と補完しながら安心して電力が確保できる提案が、どのようにしたら実現できるのか。発電機を発電機として売るのではなく、ビル全体、街全体、地域全体の電源システムとして最適な組み合わせを提案をすることが必要になるということだ。既にある個々の技術やシステムを組み合わせてユーザーの求める斬新なシステムとして提供する、そうした試みが新たな市場を生み出していくことに繋がる。
 分散型電源の普及は、震災後の我が国の、また今般の電力制度改革の最重要テーマの一つでもある。新たな地域エネルギーシステムの提案を競い合っていく。それが分散型電源業界に求められる新たなテーマとなっているといえるのではないか。