2013年35日号

太陽光発電、2012年の国内市場は倍増
 太陽光発電協会は、2012年暦年と2012年度第3四半期の太陽電池の出荷動向を発表した。2012年1年間の国内向けの出荷量は前年比90.3%増の246万7千kW、輸出も含めた総出荷量は、11.0%増の306万kWで、固定価格買い取り制度の開始により国内の非住宅用を中心に市場が急拡大している。
 国内市場の活性に比べて、輸出は不振が際立っている。特に、これまで海外の中心市場だった欧州市場向けの不振が際立っており、欧州向けの輸出量は前年比71.7%減の約23万6千kWと大幅に減少している。
 2012年の国内市場は、住宅用が48.4%増の約163万7千kWで、メガソーラーなどの発電事業用を含む非住宅用が334.6%増の約82万7千kW。非住宅用は住宅用のほぼ半分の規模とはいえ、市場は伸び率は4倍を超え、めざましい勢いで拡大している。太陽光発電協会が発電事業用として集計しているのは500kW以上の設備だが、それについては607.1%増の約32万4千kWが集計されており、ほぼ7倍増と急拡大ぶりが分かる。固定価格買い取り制度の開始前の3月までの国内市場は前年比38.1%増だったが、4−6月には72.2%増、7−9月には80.3%増、10−12月には146.9%増と固定価格買い取り制度の導入によって市場が日を追って拡大ぶりが加速しているのが分かる。
 材料別では、単結晶シリコンが40.2%、多結晶シリコンが40.6%、薄膜・その他が19.1%、単結晶タイプのものがシェアを伸ばしている。


川崎重工業、エネルギーソリューション本部を設置
 川崎重工業は、発電設備などエネルギー部門での事業強化を目的に、ガスタービン機械カンパニーにエネルギーソリューション本部を新設する。エネルギーソリューション営業部、ガスタービンビジネスセンター常用発電営業部、非常用発電営業部、産業ガスタービン海外営業部、機械ビジネスセンター発電機器・システム営業部を統合・再編し、エネルギーシステムを様々に組み合わせた複合的なシステム提案を行い、国内外で拡大するエネルギー市場の多様化にフレキシブルに対応できるようにする。
 東日本大震災以降、日本のエネルギー政策は大きな転換期にあり、特に電力供給分野では、大規模集中型から分散型電源の拡大による供給力の安定化が目指されるようになっている。特に電源確保による事業継続性を目的とした非常用電源や自立型の電源の拡大という新たな市場も立ち上がろうとしている。
 また、政策制度面でも発送電分離や電力の小売り完全自由化の電力制度改革の方針が示される中で、発電事業用の中小規模の発電設備やコージェネレーションシステム、また再生可能エネルギー市場も活性化の方向にある。川崎重工ではこうした激変する市場にフレキシブルに対応できる社内体制を整えることを目的にソリューション本部を編成することにした。


三菱樹脂、排ガス浄化触媒事業に参入
 三菱樹脂は、独自の高機能ゼオライトを用いた尿素SCRシステム向けゼオライト触媒を開発した。エンジンの排気ガス中のNOXを尿素により還元・無害化する尿素SCRシステム向けに販売を開始する。
 開発したゼオライト触媒は、200度C程度の低温領域で特に優れた浄化性能を発揮するもので、SCR触媒に欠かせない高温水熱耐久性にも優れコスト面でも優位性を持つ触媒として製品化した。世界市場に向けての生産・供給体制を確立し、触媒事業の拡大に取り組んでいく。エンジン排ガスの浄化装置は、分散型電源として今後改めて市場拡大が目指されるバイオマス発電やコージェネ市場でも低コストで高性能の浄化装置が求められており、この分野での市場拡大も期待される。


鹿島建設、銚子沖の着床式洋上風力発電設備が完成
 鹿島建設は、銚子沖に建設を進めていた着床式の洋上風力発電設備が完成したと発表した。NEDOの委託事業として東京電力と東京大学が計画している実証施設で、建設した風車は2400kWの三菱重工製。銚子沖3kmの沖合に着床式の洋上風力発電設備として2010年12月から建設を進めていた。

JX日鉱日石エネルギー、仙台製油所でメガソーラーなどの運転を開始
 JX日鉱日石エネルギーは、仙台製油所の復興計画の一環として建設していたメガソーラーと、事務所棟に設置した新エネルギーシステムが完成した。
 精油所の設備を津波災害等に備えて精油所内で移転した跡地に約1000kWのメガソーラーを建設し、2月25日から商業運転を開始した。また、新事務所棟の2階屋上に、太陽光発電と、燃料電池、蓄電池、エンジン発電機等の新エネルギーシステムを設置し、震災などによる万一の停電時には自立運転し、重要機器への電力供給を可能とすることで、防災拠点としての事務所機能が維持できるようにした。


その他の主な記事
・エネルギー基本計画見直し議論再開決まる
・再可エネ賦課金の切り替えは5月の電気料金から
・スマートエネルギーウィークが開幕
・北海道経産局 熱利用ヒートアップパンフを作成
・中部経産局 省エネ事例集を作成
・石油連盟 税制改正要望の結果発表
・トヨタ 宮城のスマートグリッドの運営組織を設立
・薄膜太陽電池の劣化原因を解明
・ネクストエナジーが発電事業者向けのメンテナンスサービス
・田中貴金属が燃料電池触媒の専用工場を建設
・九電工 九州全域でメガソーラー事業を展開
・ユアテックも宮城にメガソーラー
・九州電力も子会社がメガソーラー
・シーテックが佐久市でメガソーラー
・三菱重工 リ電池搭載のポータブル電源を開発
・IHI米国の排ガス認証を取得 小型産業用ディーゼルで
・JFE 指宿の地熱発電プラントを受注
・北海道で温泉熱利用の地熱発電
・都が屋根ぢからソーラープロジェクト
・環境省も新クレジット制度説明会
・新エネ財団が アジア協力の人材育英事業で報告会
・省エネ改修補助募集を開始
・環境省 CO2削減技術開発募集
・NEDO 新エネベンチャー革新技術を募集
・NEDO 戦略的革新プログラム
・NEDO、二次電池ロードマップ更新事業の依託先を募集  etc.

<インタビュー>
・LPガス事業者からエネルギーパートナーへ
(サイサン 代表取締役 川本武彦氏)
 東日本大震災以降、分散型エネルギーが見直されている。発電だけではない。ガス体のエネルギー供給もまた分散型が役割を担うということだ。LPガス事業にはこうした社会における新たな役割も期待されている。だが、こうした追い風に乗っていくことができるのかどうか、その点こそがLPガス事業者に問われている。震災後から現在、そして将来の展望について、サイサンの川本社長に話をうかがった。


シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革(40)グリーン成長と原発維持は両立しない=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授


・電力全面自由化時代(その10)
 =エネルギー供給に対する政府の役割=
 山田 光/スプリント・キャピタル・ジャパン代表



コラム
・発電論評<電力安定供給と非常用電源整備>
・プリズム<大規模火力の常識を変えるGTCC>
・青空<被災地の長く寒い冬>
・ちょっと一休<兵頭さんの告別式>


電力安定供給と非常用電源整備【発電論評】

 東日本大震災によって顕著になったものの一つに電力供給システムの脆弱性があった。戦後日本の経済発展を支えたものの一つに電力の安定供給があったというのは間違いないことだといえるが、従来型の原子力発電や大規模火力発電などの大規模集中型の電源システムは、一度事故を起こせば広範囲な停電を発生させ、社会的混乱が余儀なくされることも明らかになった。
 日本の安定した電力供給システムは、それまでは大きな停電事故を起こすこともなく過ぎてきて、大規模な停電が発生するということはまさに想定外の出来事であり、特段の停電対策が講ぜられることもなかった。それは裏返せば、非常時に備える非常用電源市場が育たなかったということにもつながっている。
 今日の日本で、非常用の発電設備としてビルや事業場に整備されているのは、大多数のものが防災用の発電設備というもので一般的な非常用とは少し主旨も機能も異なっている。防災用発電設備は、消防法や建築基準法によって設置が義務づけられているもので、スプリンクラーや消火栓設備など、法令により指定されている防災用設備の専用電源として整備されている。消防法の規定では、防災用の発電設備は他の用途に使うことは原則的に許されていないため、例えば、停電時に、屋内の照明や電子機器などに電力を供給することもできない。大規模な地震があっても火災が起きなければ、自家発電設備があっても運転されることはないのである。
 それでは、一般災害時にも使用できる、防災用以外の非常用発電設備を自主的に備えている事業所は全国にどれくらいあるのかといえば、ほとんどないというのが実情であり、統計すら整備されていない。それでも、東日本大震災によって計画停電もあり、必ずしも電力は安定供給されないという事実が明らかになったことで、工場などでは防災用とは別に非常用の発電設備を導入する動きが少しずつではあるが広がってきている。事業の継続性を自らの責任で確保するという取り組みである。
 電力の安定供給を確保するということは、系統電力の供給力の向上とともに、こうした需要家による自主的な電源確保の取り組みを奨励しサポートすることで、非常時の電源確保力もあわせて向上させていく必要がある。そのためには、防災用電源の整備だけを行ってきたこれまでの我が国の非常用電源に対する考え方そのものを変えて、様々な非常時に的確に対応できる非常用発電設備を整備・普及させる仕組みを改めて構築していくことが求められているといえる。新たな非常用発電設備の市場を整備する。これも発電設備業界に求められる課題の一つといえるのではないか。