2013年225

第2回規制改革会議、エネルギー・環境も議題  再可エネ、分散型活用も
 政権交代後2回目となる規制改革会議が2月15日に開かれ、当面の規制改革の方向性や主な項目について整理された。新政権では、雇用関連とエネルギー・環境関連、健康・衣料関連を規制改革の重点分野として大胆な改革を推進していく方針で、18日に開かれた産業競争力会議でもエネルギー・環境問題に規制改革や電力システム改革などについて報告され確認されている。
 エネルギー・環境分野での規制改革項目として取り上げられているのは、安定供給の確保の観点から再生可能エネルギーの拡大や石炭火力の活用、地産地消の観点から農地や農業用水での太陽光発電や小水力発電の環境整備、分散型電源普及の観点から地域の自立型電源の設置場所として道路や都市公園などの公共空間の規制緩和など。また、次世代自動車の普及に向けて急速充電器や水素ステーションなどのインフラ整備、グリーン電力の選択購入を可能とする「グリーン電力メニュー」の提供などが具体的項目としてあげられている。規制改革会議では、3つの重点分野ごとにWGを設置して検討を進め、今年半ばをメドに取りまとめられる「成長戦略」に取り込むことにしている。
エネルギー・環境分野で示されている規制緩和項目は次の通り。
【エネルギーの安定供給】
◇自然公園・温泉地域等における風力・地熱発電の開発可能地域のゾーニング
・ゾーニング地域での立地規制を大幅に簡素化
◇電気主任技術者の選任要件緩和
・再生可能エネルギーの普及促進の観点から、遠隔監視や設備機能により無人運転が可能な発電所においては電気主任技術者を常時勤務する必要がないようにする
◇変電所のバンク逆潮流制限の緩和措置
・太陽光発電普及のボトルネックとして、配電用変電所の変圧器より上流の配電網に送電できない制限が指摘されており、この逆潮流制限を見直す
◇石炭火力発電所建設時の環境アセスメント手続でのCO2排出予見性の向上
・環境アセス手続きでのCO2排出に関する要件を明確化し、発電所建設可否の予見性を向上させる
◇電気事業制度改革(小売全面自由化、送配電部門の中立化等)
【エネルギーの地産地消】
◇農地に太陽光パネルを設置する場合の手続の簡素化
・農地・耕作放棄地の上部空間に太陽光発電設備を設置することにより、農作物を育てながら、太陽光発電事業も同時に実施することができるような基準作りを行う
◇慣行水利権に従属する小水力発電の普及促進
・主に農業用水への利用において歴史的に認められている「慣行水利権」を維持したままでの新規の発電水利権の許可を得るための要件を明確化し、申請書類を簡素化する
◇バイナリ―発電設備のボイラー・タービン主任技術者の選任や、工事計画届出等の不要範囲を見直す
・再生可能エネルギーの普及を促進する観点から小型のバイナリ―発電設備については、ボイラー・タービン主任技術者の選任、定期検査等が不要の範囲を見直す
【グリーン料金メニューの提供】
◇グリーン料金メニュー等への対応と地球温暖化対策推進法上のCO2排出係数の算出方法の見直し
・需要家によるメニューの選択を通じたCO2の排出の抑制を図る観点から、電気事業者による複数のCO2排出係数メニューの提供を可能とする
【エコカーの普及】
◇次世代自動車等の普及を加速するためのインフラ整備(急速充電器、ガソリンスタンド、水素スタンド、天然ガススタンド等の設置に係る保安規制等の見直し)
【分散型電源の普及】
◇地域の自立型電源設置スペースとしての公共空間利用
・地域冷暖房等の熱供給、コージェネレーション等を活用した地域の自立型電源の普及促進の観点から、道路や都市公園などの公共性の高い施設等に対しては、道路や都市公園における占用規制を緩和


2012年世界の導入状況を発表 日本は13位
 日本風力発電協会は、世界風力発電会議(GWEC)がまとめた2012年12月末の世界の風力発電の導入状況を発表した。
 世界全体の累計導入量は2億8248万kWに達し、2012年1年間の導入量は4471万kWだった。1年間で導入量は約19%増えたことになる。
 導入量第1位は中国で、日本は13位。日本の2012年1年間の導入量は8.8万kWしかなく、単年度の導入量では24位だった。2012年の導入量は1位は中国で1320万kWを導入。シェアは30%だった。2位も引き続き米国で、中国に迫る1312万4千kWの新規風力発電が導入された。シェアは29%。
 風力発電の国別の累計導入量は次の通り。カッコ内は2012年1年間の導入量。
@中国7556万4千kW(1320万kW)A米国6千万7千kW(1312万4千kW)Bドイツ3133万2千kW(243万9千kW)Cスペイン2279万6千kW(112万2千kW)Dインド1842万1千kW(233万6千kW)E英国844万5千kW(189万7千kW)Fイタリア814万4千kW(127万3千kW)Gフランス719万6千kW(40万4千kW)Hカナダ620万kW(93万5千kW)Iポルトガル452万5千kW(14万5千kW)


大林組、複雑地形の風況予測手法開発に着手
 大林組は、国内で風力発電事業の拡大が期待されていることに対応して、風力発電施設の立地可能性をより詳細に評価するため、風の乱れの予測も可能とする新しい風況予測モデルの開発に着手した。また、青森県上北郡の社有地と国有林に観測タワーを1基ずつ合計2基設置し、風況データの収集を開始した。
 来年3月を目標に、山間部などの複雑な地形の中でも風力発電の好適地をピンポイントで計測できる風況予測手法の開発や、風況データの蓄積を行う。
 大林組は、NEDOからの受託事業として秋田市沖で着床式の洋上風力発電の可能性調査も国際航業と共同で実施しており、国内で期待が高まる風力発電事業の拡大に向けて、立地面からサポートしていく体制を整える。大林組は、稚内市で一般廃棄物からバイオガスを発生させてバイオマス発電を行うPFI事業や、自社流通倉庫に太陽光発電設備を導入するなど、再生可能エネルギーを利用した発電事業に積極的に取り組んでいる。


楽天、福島県で太陽光発電の普及モデル事業を実証
 楽天は、福島県が募集した「平成24年度住宅用太陽光発電高度普及促進復興対策事業」(福島実証モデル事業)として、太陽光発電とデマンドレスポンスサービスを結びつけるモデル事業を実証する。首都圏の店舗や宿泊施設向けにデマンドレスポンスサービスを展開し、その報酬の一部を還元して福島県内での太陽光発電の拡大に役立てる。また、福島県内の住宅用の太陽光発電の自家消費分の環境価値をグリーンエネルギー証書に変えて、企業や店舗などのCO2削減活動に提供する。

その他の主な記事
・調達価格等算定委員会が2回目の会合
・三菱電機 電力自立運転制御システムを開発
・中部電力 タイの大規模風力が運開
・帝人 広島の工場遊休地でメガソーラー事業
・豊和工業 メガソーラー事業に参入
・SBグループ 徳島で2カ所目のメガソーラーが運開
・タカラレーベン 栃木でメガソーラー事業
・パナソニック 変換効率24.7%の太陽電池
・新日鉄住金 4月から事業再編 オンサイトエネルギー事業も
・シャープ 出力UPした太陽電池モジュールを発売
・NEC 家庭用蓄電池の量産開始
・王子グループが宮崎でバイオマス発電
・紙日鉄住金 リチウムイオン電池の安全性高める外装材を開発
・NEDOが再可エネ補助募集予定
・アジアの低炭素テーマにシンポ
・産総研 高度利用とレアメタルでシンポ
・産総研 福島新拠点でシンポジウム
・環境省 節電モデル事業を募集
・環境省 補助事業の実施方針
・再可エネ導入補助 3月4日から   etc.

<インタビュー>
・メーカーの今を探る
(新潟原動機 マーケティングセンター 陸用営業グループ長 栗山和夫)
 東日本大震災以降、分散型エネルギーシステムへの注目が高まっている。東京工業大学の柏木孝夫特命教授によると、電源の3割程度まで分散化させるべきだという。その主役の1つとして、1千〜6千kWクラスのガスエンジン・ガスタービンなどを提供しているのが、新潟原動機である。天然ガス黄金時代が言われている中、どのような戦略を考えているのか、話をうかがった。





シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流(31)
 =石油を巡る歴史的変貌と再生可能エネルギー=
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一)

・日本を変えるスマート革命(19)
 = 「電力システム改革専門委員会」の画期的な提言=
 (スマートプロジェクト代表 加藤敏春)
  →PDFで読めますこちらから





コラム
・発電論評<電力システム改革の実現に備える>
・青空<高齢と呼ぶには早いが>
・ちょっと一休<芥川賞の黒田さんの記者会見>


電力システム改革の実現の備える【発電論評】

 電力システム改革の方向と中身が決まった。発送電が分離され、電力ネットワークが開放される。ネットワークは電力会社が独占して優先的に使用する現在の形から、高速道路やインターネット回線のように、料金を支払えば自由に利用できるようになる。電力会社は、現在のように発電と送電、小売りの全てを行うことはできなくなる。経産省は、発電事業と小売り事業にはライセンス制を導入するとしており、電力会社は発電事業と小売り事業の2つのライセンスを持つ電力会社に生まれ変わることになる。新規参入者もライセンスを取得すれば発電所を建設して発電事業にも参入できるし、電力販売事業にも参入できる。
 改革は3段階で行われ、送電網を広域的に運用する機関は3年以内に、小売りの全面自由化は5年を目途に、発送電分離は5年から7年までの時間をかけて、遅くとも2020年までには実現することになる。
 電力ネットワークが開放され、誰でもが自由に電力取り引きが行えるようになることで何が変わるのか。
 これまでも、自家発電設備を建設することは技術や安全基準を満たせば基本的には自由にできた。しかし、発電した電気を販売することは、実質的には不可能だった。電気の販売先は電力会社に限られていたからである。
 しかし、今回の改革では電気を売ることも自由になり、卸電力の取り引きも機能強化されるため、発電した電気の販売先も大幅に広がることになる。発電所を建設して自家消費して、余剰電力を外部に売却するということも容易にできるようになる。工場に発電機を導入して自家消費した上で、余剰電力は送電して本社や支社で使うということも可能になる。しかも、部分供給も制度化されたので、自社電源で賄いきれない部分だけを他の電力会社から購入することもできる。
 これは一つの例に過ぎないが、自由化されるということは需要家が自ら利用する電源を選べるようにもなるわけで、これまで電力会社任せだったCO2管理も自らが電源を選択することで、調整することも可能になる。
 制度的には、こういうことが担保されることになるのだが、実際にそれを可能にするには、再生可能電源や高効率の分散型電源が大量に導入されるなど、低炭素電源の拡大が不可欠になる。安価だけど高炭素、安価ではないが低炭素、そういった多様な電源を需要家が自ら選択して組み合わせる。それが実現できて初めて電力制度改革は目的を達成することができる。
 発電設備を提供する業界側には、そういう需要家の多様な要望に応えるために、安価で低炭素な発電を可能にする発電システムを開発して提案していくことが求められることになる。