2013.02.15


2013年215日号

電力システム改革専門委が改革案 5〜7年後に発送電分離など
 経済産業省は、2月8日に電力システム改革専門委員会を開き、1年間にわたって検討してきた電力システム改革の方向性について、小売りの完全自由化を実現し、電力市場に競争原理を導入するという内容の改革案をまとめた。
 改革案は、3年後の小売りの全面自由化を目標に発送電分離を実現し、電力ネットワークの中立的な運用を担保するために公的な運用機関を創設することや、新規参入事業者が電源を容易に確保できる手段として卸電力取引市場の活性化を図る仕組みを導入する。また、発送電を分離して、ネットワークの運用を公平・中立化することによって、再生可能エネルギー電源やコージェネレーションなども含めた新規の電源がネットワークを利用する上で差別的な取り扱いが行われないようにする。
 発送電分離は、一般電力事業者から送配電部門を法的に切り離して子会社化する「法的分離」を採用し、新たに設立する広域系統運用機関の監視の下で親会社である一般電力事業者の影響力を排除する形で中立的な系統運用を行う。
 分離の方式については、送配電部門の機能だけを分離して広域運用機関の下で独立性を確保しながら運用する「機能分離」との比較で検討されたが、独立性がよりわかりやすいという見地から法的分離が選ばれた。
 改革は3段階に渡って行われ、第1段階は2年後の2015年に広域系統運用機関を設立する。第2段階は3年後で、小売りの全面自由化を実現する。自由化に当たっては移行措置を設け、需要家保護の観点から当面の間規制料金を残し段階的に料金規制を撤廃していく。第3段階は5〜7年後に法的分離を行い、送配電部門の運用を一般電気事業者から切り離して独立させる。その時期と前後して料金規制を撤廃し、電力市場を完全自由化する。
 経産省では、電気事業法改正案を今国会に提出する。改正案は、広域運用機関の設置案は盛り込むものの、第2段階と第3段階の小売りの全面自由化や発送電分離は不足に改革の時期や方向性を盛り込む形として、改革の時期ごとに順次法改正する。


コージェネ大賞を発表 川重のGTコージェネなど
 コージェネレーション・エネルギー高度利用センターは、今年度から始めた「コージェネレーション大賞」の受賞案件を決め発表した。
民生用部門の理事長賞には川崎重工業のGTコージェネと関西大学の高槻キャンパスに導入されたガスエンジンコージェネが、産業用部門では森永乳業多摩サイトに導入されたガスエンジンとGTコージェネが選ばれた。また技術開発部門では、エネファームタイプSと新型エコウィルが選ばれた。
 コージェネ大賞は、新規・先導性、新規技術、省エネルギー性等において優れたコージェネレーションシステムを表彰することにより、システムの有効性の認知を図り、システムの普及促進につなげることを目的に今年度から新たに開始された。昨年9月から11月までの応募期間中、コージェネレーションシステムを設置した事業者や、技術開発に携わる個人、グループ、企業・団体、自治体などから26件の応募があり、その中から、民生用部門5件、産業用部門4件、技術開発部門3件、合計12件の受賞者を決定した。
【民生用部門】
◇理事長賞 
▽スーパーコンピュータ「京(けい)」を守る大型コージェネ(電源セキュリティと節電に大きく貢献)=理化学研究所・日建設計・川崎重工業(ガスタービンCGS、6120kW×2台)
▽「社会貢献型都市キャンパス」における災害対応コージェネレーションシステム(関西大学高槻ミューズキャンパスにおける地域防災拠点としての取り組み)=関西大学・竹中工務店(ガスエンジンCGS 400kW×2台)
◇優秀賞
▽お客様と事業者が一体となった、エネファーム活用による低炭素街区の実現=静岡ガス(燃料電池CGS 1.0kW 22戸)
▽ケアタウン成増における太陽熱利用を考慮したコージェネシステムの導入及び見える化を含むエネルギーサービスを活用した継続的CGS運転最適化=みその福祉会・エネルギーアドバンス(ガスエンジンCGS 25kW×2台)
▽東京都立多摩総合医療センター・小児総合医療センター=多摩医療PFI・日建設計・清水建設・シミズ・ビルライフケア(ガスエンジンCGS 845kW×2台)
【産業用部門】
◇理事長賞
▽森永乳業多摩サイトにおけるエネルギーサービスを活用した電源セキュリティに優れたコージェネレーションシステム=エネルギーアドバンス・森永乳業(ガスエンジンCGS 6030kW、ガスタービンCGS 4100kW)
◇優秀賞
▽資生堂久喜工場高効率温水利用システム=資生堂・エネルギーアドバンス(ガスエンジンCGS 920kW×2台)
▽ガスタービンとLNGサテライト設備を組み合わせた高効率エネルギーシステム=ブリヂストン・エネルギーアドバンス(ガスタービンCGS 5230kW)
▽ガスコージェネレーションシステムを中心とした総合ユーティリティサービス(コニカミノルタサプライズへのユーティリティーサービス)=エネルギーアドバンス(ガスエンジンCGS 1004kW×2台)
【技術開発部門】
◇理事長賞
▽家庭用固体酸化物型燃料電池コージェネレーションシステム「エネファームtypeS」=大阪ガス・アイシン精機・長府製作所・JX日鉱日石エネルギー
▽新型エコウィルの開発(新型エンジン・総合効率92%、自立型運転など)=大阪ガス・東京ガス・東邦ガス・西部ガス・本田技研工業・ノーリツ
◇優秀賞
▽高効率35kWマイクロコージェネレーションの開発と電源セキュリティ対応=ヤンマーエネルギーシステム


西部ガス、北九州市で2万kW超のメガソーラー事業 一部で単独事業も
 西部ガスは、子会社のエネシードを設立して固定価格買い取り制度を活用した太陽光発電事業を展開しているが、このほど新たに、北九州市に合計約2万2千kWのメガソーラーを建設し、発電事業を行うと発表した。また、昨年10月から運転を開始している長崎の都市ガス工場に建設した太陽光発電所を増設し、現在600kWの発電規模を900kW拡大して1500kWのメガソーラー発電所として7月頃から増設分の運転を開始する。
 北九州市響灘地区の旭硝子の所有地に、旭硝子との共同事業会社を設立して2万500kWのメガソーラーを建設し、発電所の運営を行うほか、隣接する旭硝子の所有地にも1700kWのメガソーラーを別に建設して、こちらは西部ガスの単独事業として発電事業を行う。1700kWの単独事業が先行して今年7月に完成、2万kWの共同事業は来年9月の完成を予定している。


ニッケルと鉄で新触媒 燃料電池のコストを低減も
 九州大学と茨城大学、総合化学研究機構(JST)の研究グループは、常温常圧下で水素から電子を取り出せるニッケルと鉄による新触媒を開発した。自然界に存在している水素活性化酵素である「ニッケル−鉄ヒドロゲナーゼ」をモデルとして開発したもので、白金フリーの燃料電池の可能性が開かれたことになり、燃料電池システムの大幅なコストダウンに新たな道を開くものとして注目される。
 今回開発したニッケル・鉄触媒は、ルテリウムに変えて鉄を用いても、水素からイオンを取り出し活性化することに成功したもので、ルテリウムが1グラム240円と効果であるのに対して鉄は0.06円程度と極めて安価で、低コストで燃料電池の製造が行える可能性が示された。


その他の主な記事
・電力システム改革の主な内容
・東京電力 米国産のLNGを購入
・けいはんなでBEMSの実証試験を開始
・京都でエコシティ見学会を開催
・滋賀県、再可エネ戦略案を発表
・熊本県が県民発電所をつくるシンポ
・FITの改善やLNG政策などでJPIセミナー
・国内クレジットに67件を追加
・パルテックが病院向け停電対策システム
・ファミリーマートが新型店舗 次世代型の環境と災害対策
・東芝 米国のDMSベンチャーを買収
・パナソニック 米社とエネマネで協業
・パナソニック マレーシアで太陽電池を製造 日本にも輸出
・豊田自動織機 燃料電池フォークリフトを実証試験
・シーテック 岐阜のメガソーラー事業者に選定
・LIXIL 福島の工場でメガソーラー発電
・環境省、日本企業のアジア展開を支援
・NEDOがビジネスマッチング会
・環境省、温暖化対策利子補給事業
・グリーンエネルギー証書 検証機関を募集
・環境省が 大型蓄電池の実証モデルを募集   etc.

<インタビュー>
・温暖化対策と国際交渉のこれから
(環境省 地球環境審議官 谷津龍太郎氏)
 原子力発電の稼働がままならない中、火力発電の稼働率が上昇し、我が国のCO2排出量は増加に転じている。だが、国際社会に目を転じれば、米国のハリケーン「サンディ」や中西部の干ばつをはじめ、気候変動の影響が世界各地で報告されている。地球温暖化対策の必要性は増しているといっていいだろう。こうした状況下で、我が国の地球温暖化対策はどういった方向にあるのか。国際交渉の行方と国内対策について、谷津地球環境審議官に話をうかがった。



燃料電池新聞の主な記事
◇2月27日からFCEXPO【特集】
・国際燃料電池展「FCEXPO2013」の開催概要
・主な出展製品や企業紹介
◇トヨタとBMWがFCV共同開発で合意
◇パナソニックと東京ガスらが新型エネファーム 高効率で低コスト
◇三浦工業が業務用SOFCを試作展示
◇大阪科学技術センター 燃料電池・FCH部会の公開シンポジウムをレポート
◇水素先端世界フォーラム2013 報告
・海外ニュース
 -英FCトゥデイ、欧州マテリアルハンドリング機器市場の予測分析レポートを発表
 -米DOE、燃料電池バスの燃費がディーゼルバスの2倍以上に達すると発表
 -米Lilliputianシステム社、CES2013会場でマイクロSOFC燃料電池充電器を展示
 -現代自動車の「ix35 Fuel Cell」、最初の量産燃料電池車としてフューチャーオート賞を受賞
 -独SFCエナジー社、ユーザーから要望のあったEFOYの長時間稼働に対応
 -カナダバラード社、年末から年明けにかけ400台のバックアップ電源を受注
 -米UTCパワー、韓国ロッテワールドタワーに400kW級PAFCを2台設置
 -米Hy9と日サンコ−シャ、アジアでメタノール改質燃料電池システムの市場を共同開拓
 -シンガポールCascadiant、インドネシアのテレコム企業にバックアップ電源を納入
 -米Parker Hannifinと米WATT FC、SOFC燃料電池の製品化で協業
 -独BMU、独ZSWなどによるアルカリ形水電解装置の開発に330万ユーロを助成
 -独「CO2RRECT」プロジェクトで独シーメンスのPEM水電解装置が稼働
 -米コンサルティングファームKPMG、「世界自動車メーカー調査2012」を発表
 -米ピケリサーチ、定置用燃料電池は2020年に35万台が出荷されると予測
 -EU、水素ステーションネットワークプロジェクトに350万ユーロを助成
 -米調査会社F&S、韓国の燃料電池車は2020年に1万5100台になると予測
 -カナダバラードパワーの燃料電池フォークリフト向け燃料電池スタックの最新出荷動向
 -米ヌベラFC社、フォークリフト向け燃料電池を開発
 -伊アクタ社、インドネシアMBR社をパートナーにして東南アジア市場を開拓
 -フィンランのバルチラ社、SOFC燃料電池事業をコンビオン社に移管
 -南アのクリーンエナジーインベスティメント社と米Hy9、アフリカ地域でのバックアップ電源市場開拓で協業
 -欧FCHJU、2013年の水素・燃料電池関連予算として6850万ユーロ(約82億円)を支出
 -米・カミンズ社、米バックアップ電源メーカーリリオン社に資本参加
 -米FCエナジー社、スイスの電力会社と10年間のオンサイト発電サービス契約を締結
 -米アドバンス社、産業用燃料電池スクラバーを開発
 -米ニュージャージー州、1MW以上の燃料電池、CHP導入に対する財政支援を開始
 -EU、代替燃料水素ステーション整備で各国に拘束力のある数値目標設定を提案
・燃料電池フラッシュニュース
 -稚内市と札幌の企業など、風力発電で作った水素を有機ハイドライドで貯蔵する実証試験を開始
 -東邦ガス、アイシン精機のSOFC「エネファーム」の販売を開始
 -栃木県、FITを利用した燃料電池によるバイオガス発電を2014年から開始
 -岩手県宮古市で木質バイオマスを活用したエネルギー事業がスタート
 -大陽日酸、2013年度からパッケージタイプの水素ステーションの販売開始
 -さくらインターネット、高電圧直流給電システムのバックアップ電源として燃料電池を試験導入
 -経済産業省、2013年度予算の差し替え概算要求で水素ステーション事業に71億円要求
 -物質・材料研究機構、水素の大量製造を可能にする光触媒の理論設計に成功
・燃料電池インフォメーション
■岩谷産業「第7回イワタニ水素エネルギーフォーラム 大阪」:2月20日 ヒルトン大阪「桜の間」(大阪市北区) ○概要:スマートコミュニティにおける水素利用について/@我が国のエネルギー政策の現状について(経済産業省 伊藤哲郎氏)A山口県における水素エネルギー社会への取り組みについて(やまぐち産業振興財団 森敏明氏)Bスマートコミュニティにおける水素利用の可能性(積水ハウス 石田建一氏)Cトヨタのスマートコミュニティ・ITSの取り組みについて(トヨタ自動車 竹田雅弘氏)D来るべき水素エネルギー社会を見据えて(岩谷産業 上羽尚登氏)
■水素エネルギー協会「第140回定例研究会」:3月15日 タワーホール船堀小ホール(東京都江戸川区) ○概要:@バイオエタノールより安価に生産できる発酵水素生産(バイオ水素技術研究所 谷生重晴氏)A世界の光合成水素発生研究の動向(国際石油開発帝石 若山樹氏)Bメタン発酵メタンの水素改質(広島大学 中島田豊氏)C水素メタン二段発酵による食品残渣からのオンサイト水素生産(サッポロビール 岡田行夫氏)       etc.


シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(75)
 =国内クレジット制度5年間の成果=
 大串卓矢/スマートエナジー代表取締役社長

・世界を読む(54)<シェールガス革命は日本には届かない>




コラム
・発電論評<電力システム改革 改革案がまとまった>
・青空<アベノミクスに期待はするものの>
・ちょっと一休<水野さんの情報クラブが幕>
・ちょっと一言<黒ダイヤから白ダイヤへ − 北海道の可能性>


電力システム改革 改革案がまとまった【発電論評】

 東日本大震災と、それに伴う原子力発電所の事故を契機として、検討が始まった電力制度改革の議論が1年余りをかけて取りまとめられた。今国会で改革案に基づいた電気事業法の改正が目指される。
 改革案は、需要家が購入する電力会社や電源を自由に選択できるようにすること、電源を多様化し安定供給を担保すること、市場原理を導入し事業者間の競争を促し、自由で競争力のある価格水準を実現することを目標としている。
 改革案では、電力市場の現状を「戦後の9電力による地域独占・垂直統合型の電力供給制度は、日本国内での電力の安定供給には大きな貢献があり、極めて安定した電力供給制度を実現したが、一方で、競争環境の欠如から変化に乏しく、コスト削減や今回のような大規模災害には大きなリスクを伴うことが露呈された。」「一方で、これまで、市場に競争原理を導入し、安定供給と電源の多様化、そして何よりもコストの低減を目的に、電力制度改革が第4次にわたって進められてきたが、一連の改革があってもなお地域独占の弊害が払拭できず、一般電気事業者による事実上の独占という市場構造は変わっていない」と総括して、電力の市場取り引きを拡大させることで電力事業者が調達する電源の自由度を高め、市場が電源を選択する仕組みを導入することにした。これによって発電事業を活性化して、電源の多様化を図り、需要家が求める電源が調達できるようにする。そのために、電力会社による地域独占体制を撤廃して小売り事業を完全自由化し、電力ネットワークの運営や建設を電力会社から切り離して公的な組織による運営に委ねる。公的機関による運営の下で、電力ネットワークは解放され、発電事業者や新規参入事業者などが自由に利用できるようになる。
 このように、今般の電力制度改革は、現行の電力制度を根本的に変える大改革となった。地域独占と引き替えに義務づけられていた供給義務と料金規制も撤廃されることになる。「改革は大胆に、スケジュールは現実的に」という政府の方針の下で、5年後には、電源や料金メニューは市場によって決まるという自由な電力市場が目指されることになった。
 この制度改革を受けて、何が変わり、何ができるのか。市場をどのように変え、導いていくのかが、発電設備業界にも問われてくることになる。発電事業者と需要家の結びつきが強まることで、需要家が求める電力をメニューとして提案しなければならなくなる。再生可能エネルギーやコージェネなどの高効率の電力を需要家にどのようにすれば届けられるのか。発電設備を提供するメーカーや事業者にも、そうした市場の要望に応えることが必要になる。