2013年25日号

2013年度エネルギー関係予算
 経済産業省は、2013年度のエネルギー関係の政府予算案を発表した。
 エネルギー対策特別会計は7833億円で、前年度当初予算比1.2%増。@当面の電力需給の安定化A再エネ、省エネの最大限の推進B資源・エネルギー安定供給の確保C原子力事故からの再生と原子力安全を担う人材・技術の強化D地球規模での環境制約の5項目を重点として編成、電力需給の安定化や再生可能エネルギーの拡大のための予算が大幅に拡充されている。
 当面の需給安定化対策としては、マンションや住宅などの省エネ対策として110億円、12年度補正予算と合わせると280億円を充てる。
 産業分野の発電、省エネ・節電に向けた取り組み支援としては、前年度当初予算比で約1.7倍の618億円でコージェネや自家発電設備の導入支援や自家消費向けの再生可能エネルギーの普及促進に充てる。また省エネ設備の導入補助も継続し、省エネ・節電対策を加速させる。
 再生可能エネルギーについては、977億円の予算枠で風力発電の支援や、電力系統の強化などを行うほか、次世代型の太陽光発電の実証支援などの技術開発に充てる。個別には、風力発電関連に重点が置かれ、浮体式の洋上風力の技術実証や、送電網の整備などが行われる。送電網の強化策としては、系統用の大型蓄電池の実証も44億円の予算で継続される。そのほか、地熱開発の調査支援や技術開発、小水力発電の規制緩和課題などの環境整備、海洋エネルギーの技術開発なども予算を増額して取り組まれる。バイオマスについては減額予算となった。省エネルギーの観点からは、再生可能・未利用熱利用も84億円の予算を倍増して取り組まれる。
 エネルギー関係の税制改正としては、太陽光発電と風力発電についての時限措置の即時償却の適用期限が24年度末までだったものを2年間延長すると共に、新たにコージェネレーション設備も対象に加える。さらにコージェネについては固定資産税の課税標準を最初の3年間は6分の5に軽減する措置も2年間の期間限定で実施される。そのほか、中小水力、定置用蓄電池、LED照明や高効率空調などの省エネ設備についても30%の特別償却(中小企業は7%の税額控除)の対象に追加される。期間は3年間。


産総研、持ち運びできるハンディ燃料電池システムを開発
 産業技術総合研究所の研究グループが、持ち運びできるハンディ燃料電池システムを開発した。
 マイクロチューブ構造の固体酸化物形燃料電池(SOFC)で、電極の構造をナノレベルで制御し、LPGなどの炭化水素燃料を燃料を改質しないで直接利用できるようにした。システム全体が大幅に簡素化でき、小型軽量化できるようになった。急速起動性にも優れ持ち運びができることから、災害・非常時用、アウトドア用の電源としての広範囲の用途で応用が期待できる。


三菱商事とシーテック、愛知県で国内最大規模のメガソーラー事業
 三菱商事と中部電力の子会社で新エネルギー関連事業を展開するシーテックは、愛知県田原市に国内最大規模のメガソーラーを建設し、共同で発電事業を行うと発表した。2月に事業会社「たはらソーラー合同会社」を設立し、田原市企業庁が所有する沿岸部の2カ所の土地合計98haに、合計7万7千kWのメガソーラーを建設し、固定価格買い取り制度による発電事業を行う。2014年度中の発電開始を目指す。総事業費は約200億円超で、そのうち約8割はプロジェクト・ファイナンスで調達する計画。
 シーテックは、今回のプロジェクトを含めると、メガソーラー発電事業として、合計13万kWの開発・運営に携わることになる。


帝人、熱と電気の伝導性を持つカーボン・ナノチューブ繊維を開発
 帝人グループでアラミド繊維の生産・販売を展開しているテイジン・アラミドB・V(本社・オランダ)は、米国のライス大学などとの共同研究で、世界で初めて高い電導性や熱伝導性を併せ持つカーボンナノチューブ繊維を開発したと発表した。
 開発したカーボンナノチューブ繊維は、金属ワイヤーと同等の電気伝導性と、金属ワイヤー以上でグラファイト繊維に匹敵する熱伝導性を併せ持ち、高い強度としなやかさも有している。衣料用繊維と同様に取り扱うことができ、従来技術を適用して量産することも容易にできる。研究開発にはイスラエル工科大学や米国空軍の研究機関も加わっている。
 電力ケーブルや、アンテナ、放熱・冷却用途、医療分野、エレクトロニクス機能を一体化させた衣料分野など幅広い用途に展開できる材料として注目される。


その他の主な記事
・環境省のエネルギー関係予算
・年度経産省エネ関係予算の主な項目
・富士通総研がカンファレンス
・メタンハイドレートの産出試験に着手
・ENEX2013 EMSなど盛況
・楽天、太陽光発電に災害補償サービスを付加
・三協マテリアルが高強度で計量の太陽光架台
・三菱商事、シーテックと共同で大規模メガソーラー
・三菱商事がいわき市で2件のメガソーラー
・単結晶シリコンの簡易製造技術を開発 東北大学
・東芝 太陽光発電の有料長期保証を開始
・日本アジアグループ 行田市でもメガソーラー事業
・一高たかはしがJETI発電機
・三協立山 軽量アルミの太陽光架台を発売
・日機連、優秀省エネ機器表彰製品を発表
・土佐くろしおソーラーファンド出資者を募集
・新エネ財団が地熱開発で講演会
・自然エネ財団が国際シンポ
・自家発導入補助 2次募集を開始
・産総研、新エネルギーシンポジウムを開催
・環境省が二国間クレジットでシンポ
・シンポジウム石油の力を開催
・カーボンオフセット大賞決まる  etc.

<インタビュー>
・震災復興と地域活性化に向けたバイオマスプロジェクト
(株式会社ジャパンブルーエナジー 代表取締役社長 堂脇直城氏)
 昨年末、岩手県宮古市が国内大手企業とともに、震災復興に向けてエネルギーの地産地消に向けたプロジェクトを進める、というニュースが話題になった。宮古市の林地残材などをバイオガス化して、電気と熱、そして水素を作るというプロジェクトである。プラントの名称は「ブルータワー」。その技術を保有し、プロジェクト全体のイメージを描いてきたのが、株式会社ジャパンブルーエナジーである。地域のバイオマス資源をエネルギー資源に変える。取り組みの中心にいる堂脇社長に事業性や可能性について話して貰った。


シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革(39)レジリエントな地域エネルギー需給構造=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授


・電力全面自由化時代(その9)
 =電事連メッセージが残したもの=
 山田 光/スプリント・キャピタル・ジャパン代表



コラム
・発電論評<停電対策だけではない自家発補助のあり方>
・プリズム<ストレステストはどこに行ったのか>
・青空<震災被災地の立地企業のあるべき姿>
・ちょっと一休<桐山勝君との楽しい思い出>


停電対策だけではない自家発補助のあり方【発電論評】

 自家発電設備の導入補助の募集が行われている。自家消費する目的で今年度内に新増設するものが対象で、休止・廃止している自家発電設備の再稼働する場合でもよい。20kW以上の発電能力があり、電力需給が逼迫する今年の7月から9月の夏期に運転することが条件。導入するのが中小企業の場合は2分の1、それ以外は3分の1以内の導入費用などが補助される。上限は5億円。燃料費に対する補助はなくなった。
 こうした自家発電設備への導入補助は、震災後の電力供給不安が広がる中で、停電対策、夏期や冬期のピーク電力対策の一環として始められた。自家発による電力供給力を拡大し、系統電力への依存度を下げ、ピーク電力の抑制にも役立てる。余剰電力を逆潮できればなおよいという発想だ。
 しかし、今回のこの補助条件を見て、自家発電設備を導入しようと思う事業者はどれ程いるのだろう。導入した自家発電設備がどのように使われるのか、イメージすることは容易ではない。
 今年の夏も、電力需給が逼迫し、なお供給力には大きな不安があるのだろうか。停電対策として非常用発電設備を備えよというのであれば、夏期の運転計画の有無を問うという意味が分からなくなる。ピーク時に運転して貰うことが目的なのだとしたら、発電コストと電気料金との差、つまり燃料費の補助がなぜ打ち切られてしまったのか。高い発電コストで自家発を運転することを期待することになってしまう。
 自家発の燃料は石油か都市ガスのものが多い。石油も都市ガスも高額な税金を負担することになるため、燃料費がとても高く、系統電力より安く発電することはとても困難だ。また排ガス処理にも課題が多い。どのような機能や役割を期待して、補助制度の内容が決められたのかよく分からなくなってしまう。
 本当に、分散型電源として自家発電設備の有効な活用を期待するのなら、対象とする設備や目的にもう少し工夫があってもよいのではないか。例えば、導入する自家発電設備のエネルギー効率を一定以上のものにする。簡単に言うとコージェネにして70%程度以上の熱効率のものにする。また、太陽光発電や風力発電と組み合わせて出力調整運転を行うことを条件したり、また、既設の太陽光発電や風力発電の出力調整電源として導入することを奨励するのもいい。
 自家発電設備を拡大して系統電力への依存度を下げる。分散型電源を拡大して電力の安定供給力を向上させる。自家発電の拡大はそうした観点から捉えられるべきであり、折角導入しても使う機会がほとんどない設備ばかりが増えてしまうのは本意ではあるまい。停電対策だけではない制度として拡充することを考えて貰いたい。