2013年 新年特集号
2012年12月25日 2013年1月5日 合併号


エネルギーアドバンス、都庁舎への電力供給を開始
 東京ガスの子会社で、エネルギーサービス事業を展開するエネルギーアドバンスは、新宿地域冷暖房センターから東京都庁舎への電力の供給を、12月25日から開始した。新宿地冷センターは、新宿新都心地区にある都庁舎や高層ビル、ホテル等に、冷暖房や給湯用の熱を専用導管で供給する施設でエネルギーアドバンスが運営を行っている。このほど、電源の多元化を図り電力供給の信頼性を向上したいという東京都からの要請を受け、センター内に設置されている4千kWのガスタービンコージェネレーションの発電電力のうち3千kWを都庁舎向けに供給することにした。都庁への電力供給は、熱供給用洞道内に新たに敷設した専用の送電線を使用する。
 新宿地冷センターは、電力についても8500kWのガスコージェネレーションによってセンター内の電力を賄っているほか東京ガスグループが所有する新宿パークタワーに供給している。現在、設備の老朽化に伴って更新工事を進めており、2015年までにコージェネレーションシステムを2万kW級に増強することにしている。


東京都、中央図書館に電力の複数契約を導入
 東京都は、都立中央図書館の電力供給事業者として新電力のエネットと供給契約を交わした。国の規制緩和によって可能となった「部分供給」制度を活用する形で需給契約をベース部分と変動部分に分け、ベース部分については従来どおり東京電力と、それ以上の言動部分については全量をエネットから供給を受ける形にする。
 従来の電力契約は単独の電力事業者と供給契約を結ぶことが通常で、供給力に限界がある新電力は自由化市場での競争力に限界があった。部分供給制度は、需要家が複数の電力会社と契約を結ぶことができるため、今回のケースでは、50kWまでのベース電力は従来通り東京電力から、それ以上の昼間の変動部分については新電力のエネットから供給を受けることにした。これによって、8%程度の電力コストの低減が見込まれるという。


その他の主な記事
・IGESがCOP18を解説
・シーテックが島田市でメガソーラー
・NTTファシリティーズ 尾道のメガソーラーが竣工
・合志市のメガソーラーが運開
・電気化学、2工場にメガソーラー
・大和ハウスもメガソーラーに参入
・オプトロムもメガソーラー事業
・三井物産 カナダの再生可能エネ事業に出資
・富士経済エネソルと自由化市場を調査
・三井物産 ヨルダンでディーゼル発電事業
・東芝 中規模ビル向けの蓄電システムを発売
・関西電力 淡路島の風力発電所が運開
・三井物産と富士通がスマコミ事業で合弁
・九州電力が6万kWのウィンドファーム
・富士重工 汎用エンジンが販売3000万台
・三菱重工P&Wから中小型GT事業を買収  etc.


<新年を展望する・年頭所感>
コージェネレーション・エネルギー高度利用センター理事長/省エネルギーセンター/都市エネルギー協会/日本風力発電協会/日本電設工業協会/日本ガス協会/日本LPガス団体協議会/LPガス振興センター/LPガス協会/エネルギーアドバンス/大阪ガス/東邦ガス/ヤンマーエネルギーシステム/ハタノシステム



シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流(29)
 =自民党政権復活とエネルギー政策=
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一)
・日本を変えるスマート革命(17)
 =日本型の発送電分離と電力会社のビジネスモデルの歴史的転換を=
 (スマートプロジェクト代表 加藤敏春)
  →PDFで読めますこちらから





コラム
・プリズム<ますます混迷化する原子力政策>
・ちょっと一休<丹羽・前中国大使に質問>
・青空<2013年の年始めに想う>


新年の分散型、新エネルギー市場を展望する
〈分散型エネルギーの新時代 − コージェネ、自家発に新たな役割 −〉


【2013年の市場展望】
 2012年は、大震災後のエネルギー政策の見直しを掲げ続けた1年だったが、エネルギー改革の議論は結論を得ることができないままに、年末に行われた総選挙で3年半ぶりに政権が交代することになった。
 2012年の電力市場を振り返ってみると、固定価格買い取り制度が7月にスタートし、再生可能エネルギーへの大量導入時代に向けて幕が切られた。買い取り価格は、国会での法成立時の趣旨を踏まえて、事業者側の要望にほぼ沿う形の価格水準が実現した。法施行後は、太陽光発電が突出した形で拡大。特にメガソーラーと称される1千kW以上の大規模太陽光発電の導入ぶりが目立つことになった。住宅用を中心に展開してきた太陽光発電市場は、固定価格買い取り制度によってまさに市場の性格を一変させられたといえる。
 電力制度改革の取り組みは、残念ながら大きな成果は上げられないままに、新政権へと議論が引き継がれることになった。 昨年夏にようやくまとめられた「革新的エネルギー・環境戦略」は、見直しが取りざたされており、エネルギー基本計画や電力システム改革など、あらためてエネルギー政策の議論がおこなわれることになる。

◇新年の課題や取り組み
 新年の市場展望の課題は3つ。
 一つは再生可能エネルギーだが、これは今年も固定価格買い取り制度に委ねられることになりそうだ。買い取り価格は毎年見直されることになっているが、大きな変動はないと考えてもよさそう。そもそも法施行後の3年間は事業性に配慮した買い取り価格とすることが求められ、現在の価格が決まった経緯がある。2年目を迎える新年度も現行の水準を維持することになるのではないか。初年度にめざましい導入が行われたのはメガソーラーなどの太陽光発電だけであり、他の再生可能エネルギーについて価格を変える理由が乏しいといえる。
 太陽光発電以外の再生可能エネルギーはまだ導入拡大に弾みがついていない。導入ポテンシャルが大きい風力やバイオマスや地熱発電のうち、風力発電は、依然として系統制約の問題が解決できずにいて、特に陸上風力については量的な拡大は困難な状況が続いている。環境アセスの義務づけもあって、大規模なウィンドファームの開発には、3年から5年以上の期間が必要となっている。
 風力発電は、単なるエネルギー資源としてだけでなく、風車のある景観が、観光資源にもなるという特質も一方で併せ持つものであり、エネルギー開発の側面だけではなく、地域資源としての観点に立った開発に目が向けられる必要がある。
 関心が高まっている洋上風力は、大規模な実証試験が開始され、実用化に向けた取り組みが本格化してきている。
 地熱発電についても、期待感が高まっている。日本は世界有数の地熱エネルギーのポテンシャルを持つが、その大部分は未利用のままで、資源の大部分は自然公園の中にあり、思うような開発は難しい状況に変わりはない。
 地熱利用の新しい動きとしては、温泉発電が注目されている。温泉利用とエネルギー利用が両立できる発電方式として期待できるものなのだが、温泉側の理解がなかなか進まないというのが現状。
 再生可能エネルギーのなかでポテンシャルが大きいものにバイオマス発電がある。バイオマス発電は廃棄物発電が中心で、それ以外の開発はまだまだ本格的になっていない。バイオマス資源の多くは農林水産業と密接な形で存在しており、こうしたものをエネルギー生産者としても位置づけることができるかどうかが重要な意味を持っているといえる。

▽コージェネや自家発
 二つ目は、コージェネや自家発。大規模集中型から分散型へ、電力供給システム改革が目指されている。政権が変わったとはいえこうした大きな流れは変わらないだろう。
 コージェネは2030年の目標として全発電量の15%を目指すことと、具体的な導入目標が掲げられ、普及拡大に向けた取り組みが本格化する。化石燃料の高効率利用の観点やバイオマス資源の拡大の観点から、求められているものであり、新政権下でもコージェネ、分散型の拡大という課題は後退することは考えにくい。
 コージェネや自家発電の電力を電力供給力としての可能性を拡大していくという観点からの取り組みも始まっている。
 特定供給の規制緩和なども進行中であり、部分供給や自己託送の要件緩和などの規制緩和も行われる。中小規模の電源を発電事業用に活用するという大きなシステム改革の一環として導入拡大に向けた環境整備が一段と進められることが期待できる。
 また、震災後の電力不足により奨励されることになった節電、ネガワット対策としての自家発やコージェネの活用策についても、さらなる奨励策が待たれるところ。
 再生可能エネルギーにならって、コージェネの電力についても、買い取り制度の導入を求める声も業界内には強くある。エネルギー利用効率の高い電力を買い取る仕組みが実現すれば、再生可能エネルギーの出力補正電源として普及させることも可能だ。具体的な検討を始められることを期待したい。
 また、自家発やコージェネ市場にとっては非常用電源としての果たすべき役割も高いものがある。
 日本の自家発電設備の大半は非常用電源として設置されている。さらにそのうちの多くのものが消防法や建築基準法で設置が義務づけられている防災用として設置されるもので、電力の供給先が法令で指定されている消防設備や避難設備などに限られているため、一般的な意味での非常用電源としては活用できないことになっている。
 震災などの経験を踏まえて、防災拠点や医療施設などでの非常電源の確保の必要性に対する認識が高まっている今こそ、そうした非常用電源の必要性や電力の供給先について見直しの議論が開始される必要がある。発電機はあっても、避難所の証明にも使えないというのでは、果たして非常用電源といえるのかどうか、非常用電源の考え方を今一度整理し直す必要があると思われる。

▽CO2対策
 三つめは、低炭素エネルギーの観点。2013年は京都議定書の第1約束期間が終わり、日本は具体的な削減目標を持たない第2約束期間に入ることになる。年末の政権交代によって、新たな温暖化対策の計画の取りまとめは先送りされた。環境省は、エネルギー基本計画取りまとめの進捗状況などを見ながら年内に数値目標と対策を整理する方針を示すに止まっている。
 とりあえず2013年以降も国内の削減対策として用意されているのは、国内クレジット制度と産業界による新たな自主行動計画程度。このうち国内クレジット制度は、第2約束期間にも利用できる新制度としてリニューアルした。リニューアルに当たっては、カーボン・オフセット制度と統合され、国内のCO2削減に資する新たなクレジット制度として統合運用されることが決まった。
 温暖化問題の最大の問題は、地球全体で取り組む必要があることであるのに、肝心の大排出国である中国とアメリカが目標を掲げる対策に消極的であること。実効性のある国際的な枠組みの構築が進まない限り、日本国内での取り組みも減速気味となってしまいそう。
 エネルギー問題を低炭素化の観点から促進するには、CO2削減目標のない国内の取り組みは原則化する恐れがあり、その初年度の動向が注目されているといえよう。

 分散型発電市場に関連する市場は、今年どのように展望できるのか。
 昨年はエネルギー基本計画を取りまとめることができなかった。議論は新政権に持ち越されたが、原子力発電の割合が見直されることはあっても、大きな方向性としては変更はないと考えられる。コージェネなどの分散型電源を拡大することも必要で、そうした意味から電力制度改革の再構築の行方に注目が集まる。