2012年125日号

経済対策第2弾で自家発導入補助80億円 北海道は中止から一転再募集
 北海道地区で冬期の電力供給対策として実施していた自家発電設備導入補助(4次募集)が、復興予算として措置されていたため、復興予算ではないとして執行停止され募集も一時停止されたが、11月30日に政府が発表した経済対策第2弾で復活、再募集されることになった。執行停止されたのは復興予算枠の22億円だったが、経済対策第2弾では、他地域での自家発導入補助も含めて80億円の予算枠の中で代替される。北海道地区以外での自家発導入補助は、来年夏の電源対策として措置されるもので、年度内には募集されるものと見られる。
 政府が新たにまとめた2012年度予算の予備費で措置される経済対策第2弾では、自家発電設備の導入支援80億円のほか、大型蓄電システムの実証事業として296億円、環境配慮型設備投資の緊急支援4億円が日本再生戦略の重点3分野の一つの「グリーン」枠で措置される。大型蓄電池システムの実証は、再生可能エネルギーが大量導入された場合の系統補強対策として進められるもので、電力会社の変電所などに設置して変動する風力発電などの出力変動対策とする。
 経済対策第2弾は、2012年度予算の予備費を活用し、総額8803億円の国費が投入され、事業費1兆2千億円規模でグリーン、ライフ農林漁業の日本成長戦略重点3分野(5534億円)と震災復興、防災・減災対策(2448億円)として実施される。


大阪ガス、大阪・岩崎地区に「スマートエネルギーネットワーク」を構築
 大阪ガスは、京セラドーム大阪に隣接する岩崎地区のグループ所有の再開発地区に既存の熱供給施設と組み合わせた「スマートエネルギーネットワーク」を構築し、地区内で熱と電力を効率的に供給するスマートエネルギーサービス事業を開始する。電力についてはグループ会社が、規制緩和によって可能となった「特定電気事業」としてコージェネと系統電力を活用した電力供給を行う。同地区は、大阪ガスの発祥地であり、同地区の再整備計画に合わせて、大阪ガスは同地区内に事業PRを目的とする「hu+gMUSEUM(ハグミュージアム)」を建設しすることも明らかにした。ハグミュウ−治アムには、420kWのガスコージェネと20kWの太陽光発電、120kWの太陽熱利用設備も導入され、同地区内でのエネルギー自給率の向上に貢献する。
 同地区では、これまで、大阪ガスの子会社が京セラドームなど10施設にコージェネ排熱などを活用して地域熱供給事業を展開してきたが、供給施設をイオンなど2つの商業施設を加え、新たに設置される太陽熱パネルやコージェネ排熱を利用して地区内で熱の相互融通を実現する。電力供給については、これまでは自家消費を原則として運用していたものを、規制緩和によって地域内の電力需要を100%賄うだけの電源設備が必要だった「特定電気事業者」の許可要件が50%でよいこととされたため、従来同地区内に設置されていた4千kWのコージェネ電力に系統電力を加えて地区内の5施設に電力供給する。また、需給システムをスマート化することで、供給先施設内に設置される太陽光発電の発電状況に合わせて電力の供給量を制御する電力供給の最適化も実現する。


太陽光発電協会、施工技術者の認定制度を開始
 太陽光発電協会は、「PV施工技術者制度」を開始した。経済産業省の補助制度として試行していた施工技術者研修を、協会の自主認定制度として正式に発足させた。
 トラブルの多い住宅用太陽光発電設備などの施工水準を確保することが目的。認定は、研修と試験、認定の3段階で行う仕組みで、研修は協会が指定する研修機関の他、メーカーが独自に行う施工研修なども認める。研修終了者を対象に認定試験を行い、合格者を協会が施工技術者として認定する。


グリーン政策大綱骨子 再可エネと省エネと蓄電池が中心
 エネルギー・環境会議が11月27日に開かれ、革新的エネルギー・環境戦略に基づき年末までの取りまとめが目指されている「グリーン政策大綱」骨子の取りまとめを行った。国民からの意見を募集し、年内に大綱を取りまとめる方針。
 グリーン政策大綱は、革新的エネルギー・環境戦略に基づいて、エネルギーのグリーン化を実現する政策大綱として取りまとめられるもので、@グリーン成長実現に向けた取り組みの具現化A節電・省エネ、再エネの導入量の目標B目標達成に向けたロードマップの設定C技術開発・普及等の目標と実現するための予算、規制改革などが盛り込まれる。示された骨子では、再生可能エネルギーと省エネ、スマート化による需給の一体管理を実現し、それを支える技術基盤として蓄電池システムとグリーン部素材の実用化開発を先導的5分野と位置づけ、原子力発電の依存度を下げ、さらに化石燃料を抑制するため再生可能エネルギーの拡大を目指すことを中心に掲げ、さらに省エネやスマート技術を進化させ、エネルギー需要を抑制することを目指すものとなっている。


その他の主な記事
・国交省、都市の低炭素化施行例を公布
・発電所環境アセスで中間報告
・エネ環戦略見直しを9団体が提言
・三菱重工と日立が火力発電事業を統合
・伊藤忠商事 南アフリカでメガソーラー
・オリックスと九電工が枕崎空港でメガソーラー
・カナディアンソーラー メガソーラーにパネル供給
・シャープ、蓄電池モジュールを販売
・久保田が中国でDエンジンを製造
・大阪ガス子会社が滋賀でメガソーラー事業
・日揮が苫小牧のCCS実証設備を受注
・日本アジアグループ 坂出と北海道でもさらにメガソーラー
・ソーラーフロンティア 鹿児島と山梨のメガソーラーにパネル供給
・新日本科学 鹿児島で地熱発電
・西部ガス 4カ所目のメガソーラー
・GSユアサ 宇宙ステーションのリチウム電池を受注
・中部電力 2カ所で小水力
・ノーリツもメガソーラー事業 神戸で
・シャープ、蓄電池モジュールを活用したリチウムイオン蓄電池システム
・東京ガスが熱電プラザ
・関西スマコミ推進フォーラムがキックオフセミナー
・PV施工研修の研修機関の指定を開始
・九州で 水素先端世界フォーラム
・来年2月にコージェネシンポ
・5日からPVジャパン  etc.

<特集>
・低炭素都市づくりに貢献するエネルギーの面的利用推進に向けて
(第19回 都市環境エネルギーシンポジウム)
 都市環境エネルギー協会が主催する「低炭素都市づくりに貢献するエネルギーの面的利用推進に向けて」と題するシンポジウムが10月29日、愛知県産業労働センター(ウインクあいち)で開催された。同協会のシンポジウムは、既存の2つの地域冷暖房施設を連携させ、名古屋駅前地区では大型の地域冷暖房施設がオープンするなど熱エネルギーの先駆的取り組みが続く名古屋で初めての開催となった。シンポジウムでは、明治期以降の名古屋の都市形成の歴史に触れた後、今後、コンパクトシティーを目指したまちづくりのあり方、また、再生可能エネルギーやエネルギーマネジメントシステムを取り込み、いかにエネルギーの面的利用を進めていくかが探られた。


シリーズ連載
・グリーン革命へのコンセプト・ノート
 =環境構造改革(37)地域のエネルギー政策の確立=
 竹内恒夫/名古屋大学大学院 環境学研究科教授


・電力全面自由化時代(その7)
 =電力改革には燃料改革が欠かせない=
 山田 光/スプリント・キャピタル・ジャパン代表


・新刊紹介
 「脱原発と自然エネルギー社会のための発送電分離」
 eシフト編 合同出版 677円(税別)



コラム
・発電論評<再稼動だけがエネルギー問題ではない>
・プリズム<電気料金値上げの責任の所在>
・青空<総選挙では嘘を見破ろう>
・ちょっと一休<会田誠の世界に付き合う>


再稼動だけがエネルギー問題ではない【発電論評】

 また節電の冬が来た。東日本大震災から2年が経とうとしているのに、夏と冬には、必ず節電が求められる。電力の供給不安を回避するために、電源を強化することが必要なはずだが、原発再稼動問題の議論に終始するばかりで、少しも進化して行かないように見える。
 師走の総選挙が告示され、賑やかな選挙戦が展開されている。争点の一つにエネルギー問題がある。しかし、それも原発の再稼動問題ばかりで、低コストで低炭素、安定供給というエネルギー供給の「安心」に結びつく議論が希薄なことに残念な思いがする。これでは、エネルギー問題は選択肢の一つだとはとてもいえそうもない。
 原発問題は再稼動濃霧に焦点を当てる議論が続くが、事の本質は廃棄物処理に集約されるはず。再稼動してもしなくても、いずれ老朽化による廃炉問題は避けて通れない。議論を避けるのではなく、廃棄物処理問題に正面からの取り組みが求められている。
 原子力問題はさておき、原発があってもなくても省エネと、再生可能エネルギーの拡大を目指すことについては多くの賛同が得らる。しかし、省エネと節電は違う。無駄を省くことは必要だが、必要なことまで我慢するということが節電に含まれるのだとしたら、それは本末転倒の議論であり、省エネしても、必要な供給力は確保されなければならない。
 再生可能エネルギーもコストが高いという批判がある。本欄でも繰り返し述べているが、再生可能エネルギーは、イニシャルコストの負担を除けば発電時のコスト負担が極めて少ないということにもっと注目される必要がある。燃料費の問題もなく、1年を通してみれば安定的な電力が計算できるという意味では安定電源だともいえる。
 火力発電の燃料費問題も追求されている。化石燃料の輸入が拡大し、貿易収支を悪化させている。原料費の低減が難しいのであれば、利用効率を上げることがとりあえずの課題となる。メーカーや研究者の出番といえるのではないか。
 火力発電自体の発電効率を上げることももちろん必要だが、廃熱を利用すれば、化石燃料を飛躍的に削減することができる。火力をコージェネ化して、中小規模の分散型の電源として各地域に配置する。ウィンドファームやメガソーラーとも連携して調整機能を持たせれば、低炭素で高効率の地域ネットワークが構築でき、系統強化策にもなる。
 そのようなマイクログリッドを、国や自治体も加わって専門知識・技術を持つ民間との共同事業として展開すれば、エネルギー問題の多くのことが解決できるのではないか。エネルギー問題の行き着く先は結局のところ、いかにして「安心」を確保するのかに集約されるのだ。