2012.11.15


2012年1115日号

電力システム改革専門委が再開 年末に向け発送電分離の具体化など
 経済産業省は、電力システム改革専門委員会を再開し、年内を目標に発送電分離や電力取引の活性化など、電力制度改革の残された課題の議論を再開した。
 発送電分離は、今回の制度改革の最大のテーマ。9電力体制による地域独占の電力供給制度を今般的に作り替えることになる。7月にまとめられた基本方針では、電力会社から送電部門を切り離して独立機関による運営を可能にすることとされ、所有の形態はそのままに機能分離する方式と、分社化して法的に切り離すどちらかに議論を絞り込むこととされている。どちらの形態が採用されても、独立した系統運用機関が設立され、当分の間9電力が所有する電力ネットワークを借りて、一般電力会社も新電力も公平な系統運用が行われる。機能分離では現在の会計分離を一歩進める形で、送電部門を独立部門として切り離し、ネットワークの運営は独立機関に委ねる。法的分離では、送電部門を分社し、法的に独立させた上で、ネットワークの運営を独立機関に委ねる。どちらも人的にも会計的にも送電部門は独立した形で運営され、一般電力会社も託送料金を支払いながら独立機関の運営に従うことになる。
 11月7日に開かれた再開後初の会合では、法的分離を支持する意見が多く見られたが、絞り込みは次回以降に委ねられた。次回の会合で、制度改革のロードマップを示しながら時間軸や分離の効果について検証し、法的分離か機能分離化について結論を出す。


三井化学など7社、愛知県で太陽光と風力発電事業 建設工事に着手
 愛知県田原市に、三井化学、三井物産、東亞合成、東芝、東レ、三井造船と中部電力のグループ会社であるシーテックの7社が建設を計画している国内最大規模となる太陽光と風力発電の複合型発電所の建設が着手された。5万kWの太陽光発電と6000kWの風力発電を三井化学が所有する約80万平方mの土地に建設し、2年後の2014年10月から運転を開始する計画。年間約6750万kWhの発電量が見込まれ、売電収入は、出資額に見合って配分される共同事業として運営される。
 プロジェクトは、愛知県から「新あいち創造研究開発補助金」を、田原市から「企業立地奨励金」の補助を得るなど、立地自治体の支援も受ける形で推進されており、事業に必要な資金は、日本政策投資銀行を中心とするシンジケート・ローンによる融資を受ける予定。総投資額は約180億円。


東北電力、風力連系枠を200万kWに拡大 随時受け付けを継続
 東北電力は、50HZ地区の北海道電力、東京電力との広域連携を利用して風力発電の導入可能量を200万kWまで拡大する見通しが立ったとして、系統連系の随時受付を通常型と出力変動緩和型ともに今後とも継続することにした。
東北電力では、風力の連系希望については通常型と出力変動型、連系線を活用した実証試験型の3種類に分けて、それぞれの連系可能量を示して連系希望を受け付ける。通常型については、上限を127万kWとして、残された連系可能量は46万6千kWとなっている。また、蓄電池を併設するなどして出力調整が行える出力変動緩和制御枠では上限が33万kWで、残された枠は3万7千kW.連系線を活用した実証試験枠は、40万kWの連系枠のうち、17万kWが残っている。


ダイセル、網干工場のGTコージェネレーション設備が稼動開始
 ダイセルは、姫路製造所網干工場に導入を進めていた都市ガス・コージェネレーション設備の商業運転を開始した。導入した設備は川崎重工業が開発した出力3万kWのガスタービンコージェネレーションシステムで、同クラスで世界最高の発電効率を有する最新鋭機の初号機。現地で設置後に実施した性能試験では発電効率約36%、総合熱効率約76%という極めて高いエネルギー効率が確認できている。
 GTコージェネの稼動によって網干工場の自家発電設備の合計出力は約8万kWとなり、工場内で必要な電力をほぼ100%自家発電で賄うことができ、電力購入量の低減によるコストメリットが見込まれるほか、CO2削減により環境負荷の低減も同時に達成することができる。


平成23年度の電力排出係数を公表
 環境省は、電力使用に伴うCO2排出量の算定に必要な、2011年度の電力排出係数を公表した。公表したのは電力事業者ごとの実排出係数とCDMクレジットなどで相殺した調整後の排出係数。需要家が2012年度の電力使用に伴う排出量を算定するために使用する。原子力発電が再稼動できない中で電力各社の排出係数は原子力発電のない沖縄電力を除い軒並み悪化している。
 沖縄電力を除く電力9社の排出係数は実排出係数ベースでもっとも悪いのは中国電力の0.657(1kWh当たりのCO2排出量=kg 以下同)で、以下、北陸電力0.641、四国電力0.554と続く。排出係数の標準値として使用が認められているデフォルト係数値は0.550なので、この3社はそれよりも排出係数が悪い。中国電力は昨年度も実排出係数ベースではデフォルト値を上回っていた。
 CDMクレジットなどを利用してCO2排出量を調整する「調整後の排出係数」では、沖縄電力以外ではデフォルト値を上回るところはなく、需要家が排出量の算定を行う場合は、沖縄以外では調整後の排出係数を使った方がより少ないCO2排出量の算出が行える。しかし、調整後の排出係数でも東北電力と北陸電力は0.546とほぼデフォルト値なみの係数に止まっている。
 電力各社の係数は震災前の2010年度と比べると実排出係数ベースでは四国電力の69.3ポイント増、北陸電力の51.5ポイント増など大幅な悪化を示している。沖縄電力と中国電力では前年度に比べて排出係数の改善が見られる。
 電力各社の排出係数の悪化は、調整後の排出係数でもそれ以上に悪化しており、原子力発電の停止に伴う火力燃料費のぞうかなど経営環境が悪化する中で削減クレジットによる排出係数の改善は手が着かない状態となっている様子がうかがえる。


その他の主な記事
・東京都が店舗の省エネで報告書
・環境配慮契約、基準見直しへ 排出係数悪化に対応
・東大エネ環境シンポを開催
・東京都 発電所環境アセス迅速化を提案
・シャープが太陽光発電モジュールのJIS認証を取得
・川崎重工、Jパワーと廃棄物の燃料炭化事業を受注
・JCOMが集合住宅で一括受電サービス
・JX日鉱日石がシリコンウエハー製造から撤退
・パナソニックが住宅用蓄電システム
・富士電機、インドネシアでスマコミ
・産総研がリチウム空気電池を開発
・ダイセルが最新鋭GTコージェネを導入
・JFEエンジニアリング 国内6カ所でメガソーラー
・大阪ガスの子会社、淡路島でメガソーラー事業
・日本アジアグループがスーパー堤防で大規模太陽光
・大阪市、夢州のメガソーラーが着工準備
・長野県 自然エネ自給 10件を採択
・福島県が南会津への再可エネ導入の企画提案を募集
・北海道もメガソーラー候補地を公表
・栃木県も屋根貸し型太陽光募集
・千葉県 最終処理場にメガソーラー
・千葉市もメガソーラー事業者を募集
・JR東日本蓄電池搭載車両を試験導入
・栃木県、メガソーラー候補地を追加公表
・青森県、道路の裏面などに太陽光を検討
・北海道もメガソーラー候補地を公表
・佐賀県も県有施設の屋根を貸し出し
・栃木県も屋根貸し型太陽光募集
・富士経済、水素燃料電池市場を調査
・北九州市が市民メガソーラーを計画
・産総研 再可エネに期待するシンポ
・産総研、名古屋でもシンポ
・仙台市で自然エネシンポ
・自然エネ財団がシンポ
・北海道での自家発補助 4次募集
・弊紙共催セミナー 12月に太陽光と風力で   etc.

<インタビュー>
・BEMSアグリゲータとエネルギーサービス
(エナリス 代表取締役社長 池田元英氏)
 エネルギーサービスの分野で最も注目されている、といっても言い過ぎではない会社が、エナリスだ。東京駅前の大型商業ビにグリーン電力を供給するオペレーションを担当し、BEMSアグリゲータ事業では成約数がもっとも多い(11月2日現在で申請件数706件、シェア39%)。その背景には、どのようなビジョンがあるのか。また、そのビジョンがどのようにして戦略に落とし込まれているのか。そういった点を念頭に置きながら、代表取締役社長の池田氏に話をうかがった。



燃料電池新聞の主な記事
・エネファーム、2012年度上期の販売実績
・海外ニュース
 -米Altergy、インドの通信施設にバックアップ電源を納入
 -英Ceres Power、事業継続に十分な資金調達ができなかったと発表
 -米Air Products、ロンドン市内に2か所の水素ステーションを新設する計画発表
 -米Vision Industries、テキサス州H−GACに燃料電池トラックを20台納入
 -カナダHydrogenics、9千万ドル(約72億円)のOEM契約を獲得
 -独Trianel、ドイツ初の仮想燃料電池発電所の実証試験を開始
 -米Bloom Energy、California州とConnecticut州で AT&Tに9600kWのSOFCを設置
 -現代自動車、FCVの生産計画を正式に発表
 -伊Acta、水素製造装置を組み込んだバックアップ電源システムを出荷
 -英ロンドンの燃料電池タクシーの走行距離2500マイルに到達
 -米Anaergia、カリフォルニア州の下水処理場でオンサイト燃料電池発電事業を開始
 -米UniPro Foodservice、配送センターで米Oorja ProtonicsのDMFC燃料電池を採用
 -米DOE、水素の低コスト製造技術開発に100万ドルを助成
 -独ElcoreのマイクロCHP、CE認証を獲得
 -南アClean Energy、無線通信のVodacomに18台のバックアップ電源を納入
 -カナダBallard、100台の燃料電池バックアップ電源を出荷
 -デンマークH2 Logic、新しい水素ステーションを開発
 -独Proton Motor、2013年に燃料電池トラック12台を物流業者などに納車
 -米Neah Power、モバイル機器の充電器を2013年4月から販売を計画
 -米Air Products、南カリフォルニアの水素パイプライン網からトヨタに水素を供給
 -韓国で世界最大のMCFC燃料電池発電所の建設、2012年10月から開始
 -独Viessmann、独Hexis AGの株式を50%取得
 -独E.ON、風力水素を天然ガスパイプラインの中に貯蔵するプロジェクトに着手
 -独Thuga等、再生可能エネルギー由来の電力を水素に変換、ガス配管に注入する実証試験を開始
 -独燃料電池旅客船、就航時間が1900時間に到達
 -英Intelligent Energyと印Indian Oil、燃料電池アプリケーションの実証プロジェクトで協業
 -独FutureShip、燃料電池フェリーの概念設計を発表
・燃料電池フラッシュニュース
 -IHI、世界初となる再生型燃料電池システムの民間航空機飛行実証に成功
 -トヨタ自動車九州、燃料電池バスの走行実証を開始
 -日立製作所、DMFC燃料電池の空気極触媒で低コストカーボン触媒を開発
 -自動車メーカー4社と北欧の関連企業団体、FCVと水素ステーションの市場導入を共同で推進
 -三菱重工業と九州大学、大型SOFC燃料電池開発で提携
 -トヨタ、出力密度が3kW/リットルの燃料電池スタックを公開
 -大阪ガスの「スマートハウス」、年間電力購入量を88%削減
 -HySUT、新関西国際空港で燃料電池バスの走行実証を開始
 -ウォーターパワー、エネファーム向けフレキシブルチューブ方式の熱交換器を開発
 -住友化学、住友商事、ルネッサンス・エナジー・リサーチ、CO2分離事業で新会社設立
 -福岡県など、九州北部で燃料電池車の長距離走行実証を実施
 -東京大学等、微生物燃料電池による廃水処理で使用電力削減の実証試験を計画
 -東京工業大学など、プラセオジム・ニッケル酸化物の高い酸素透過率の原因を解明
 -東邦ガス、家庭用SOFC燃料電池の取り扱いを開始
 -太盛工業、吸水ポーラス金属の用途開発をすすめる
 -東芝、英国ワイト島で行われる風力発電の余剰電力を水素貯蔵する実証試験に参加
 -上智大学、出力が2倍になる電極の炭化水素系バインダー樹脂を開発
 -JX日鉱日石エネルギー、FCV向け高効率水素精製装置を開発
 -NTTドコモ、燃料電池を基地局の非常用電源に導入、長期停電対策を発表
 -NEC、2013年春から事業所向け定置型リチウムイオン蓄電池の販売を計画
 -緊急経済対策で、エネファーム補助金に251億円(5万3000件分)    etc.


シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(72)
 =タックスメリットを狙う再エネ投資家=
 大串卓矢/スマートエナジー代表取締役社長

・世界を読む(51)<省エネに向かう中国のエネルギー政策>




コラム
・発電論評<電源も選べる電力制度改革に>
・青空<多様な真実>
・ちょっと一休<ハンセン病棟の新しい動き>
・ちょっと一言<サンディとオバマ大統領の再選>


電源も選べる電力制度改革に【発電論評】

 電力システム改革の議論が再開された。年末までの発送電分離や卸電力取引の活性化が主なテーマとなる。残された課題は、それだけなのか。
 需要家の選択肢拡大の視点からいえば、現在進められている議論では、不十分だと思われる点がある。現在の改革案では、電力会社による地域独占体制を改め、小売りの完全自由化と卸電力取引市場を通じた競争原理の働く電力流通市場の形成することが目指されている。発電と小売りが自由化し、電源の多様化と低廉な電力料金の実現につながる環境を整備するということだ。
 これを需要家選択肢拡大の観点でみると電力会社が選べるようになるということだ。この場合、電力会社を選択する条件として考えられるのは、料金と電力の質、安定供給力などが考えられるが、供給される電力が系統により送電されてくるのだとすると、どの電力会社を選んでも品質は同じで、比較できるのは料金だけということになる。
 もちろん電気料金は安い方がよい。でも自分が使う電気が何から作られるのかを選びたいと思っている人も多いはず。太陽光発電の電気を使いたいと思っても、売ってくれる電力会社がないのであれば、使いたくても使えないという現状は、何も変わらない。
 そうしたことを可能にするためには、現在の固定価格買い取り制度では不十分だと思われる。現在の制度は、電力会社に買い取り義務を課し、火力発電などの発電コストとの差額を賦課金として電気料金に上乗せして回収されるというもので、買い取った再生可能電力は、電気の使用量に応じて需要家に広く薄く配分されてしまい、再生可能電力を使っているという実感が持てない仕組みとなっているともいえるからだ。
 賦課金の額は知らせてもらえても、それによる環境価値は知らされることはないので、再生可能エネルギーのありがたみを実感することは、まずない。これでは、固定価格買い取り制度は、電気料金を引き上げているだけだと誤解されても仕方がない。
 買い取った電気を電源ごとに販売するというのが難しいのであれば、環境価値だけを切り離して電力会社や需要家にグリーン電力証書のようにクレジット化して販売することにしてはどうか。環境価値の販売収入によって賦課金の額も減らせることになり、固定価格買い取り制度への不満も少しはできる。
 電力会社はクレジットを利用して再生可能エネルギー料金をメニュー化できたり、需要家にとっても、再生可能エネルギー電源を選択利用したいという要望をある程度満たすことができる。需要家の選択肢を拡大の観点から、電源選択肢の拡大も考えてみる価値はあると思われる。