2012年1025

ガスコージェネなど集中支援 来年度予算で分散型拡大へ
 再生可能エネルギーを拡大し分散型エネルギーシステムを中心とした電力供給体制を構築する、その具体的な取り組みの初年度となる来年度予算では、ガスコージェネに対する補助制度が復活する見通しで、注目されている。東日本大震災によって大規模集中型電源による大規模災害による供給リスクが明らかになり、コージェネを中心とした分散型発電システムの普及拡大による電力供給リスクの分散化が求められることになったためだ。 経産省が分散型への移行初年度として示した来年度予算の概算要求の中で、特に注目されるのは、ガスコージェネに対する補助制度が復活したこと。ガスコージェネは新エネルギーに対する支援が再生可能エネルギーに移行する中で、補助制度が打ち切られ、さらに、燃料費の高騰とも相まって急速に市場性を失ったまま、新規導入設備もほぼ影を潜めるところまで追い込まれている。
 概算要求で用意されているガスコージェネに対する支援の内容は、まず、分散型のガスコージェネレーション整備事業費補助として150億円が設けられ、省エネルギー効果が高く、分散型電源としての系統や地域への電力供給源としての期待から、コージェネの中でも比較的大型の天然ガスコージェネの整備をサポートする。また需要家サイドのコージェネの普及を支援することを目的に「ガスコージェネレーション推進事業費補助金」として60億円が用意される。高効率な天然ガスコージェネを導入し、裾野の広いコージェネの普及を促すことで省エネと非常時の電源確保を同時に追求する需要家サイドのニーズに対応することが目的。
 また、自家発電設備としてのコージェネに対する補助も別枠で用意される。予算要求規模は60億円で、「自家発電設備やコージェネの新増設・増出力を行う事業者に対して、設備導入補助や燃料費補助を行う」もので、自家発電の能力を拡大することによりピーク時の系統電力の抑制効果を狙うとともに、系統への逆潮流も奨励して自家発を分散型の電力供給設備としても活用して電源多様化の一翼となることを期待する措置。自家発の逆潮を原則的には認めてこなかったこれまでの電力政策の大転換となるもので、その予算規模よりも、自家発を電力供給システムとして位置づける画期的な活用策として注目される。この補助の対象となるのは自家発の導入補助に留まらず「電力会社からの要請に基づいて稼働させる期間の燃料費」や、逆潮設備の整備費用、売電するために稼働させる自家発の燃料費についても補助対象としているのも注目されるところだ。


丸紅、大分で8万kW超規模のメガソーラー事業
 丸紅は、大分湾の臨海部の工業用地に8万kWのメガソーラーを建設して固定価格買い取り制度による発電事業を行うと発表した。子会社の丸紅エネックス株式会社と昭和電工株式会社等が大分市の大分臨海工業地帯6号地に所有する合計約105ヘクタールの土地に、最大出力8万1500kWのメガソーラーを建設、2014年3月からの稼働開始を目指す。8万kWの出力は、単一事業者による1カ所での事業規模としては京セラとIHIなどが鹿児島湾で計画している約7万kWのメガソーラー事業を上回る国内最大級のメガソーラー事業となる。
 今回の発電所の建設地となる大分市の臨海工業部では、今年8月には日揮が2万6500kWのメガソーラーを建設して固定価格買い取り制度による発電事業の参入を発表しているほか、9月には、三井造船も大分工場内に三井不動産との共同事業として1万7千kWのメガソーラーを建設して発電事業を開始することを発表しており、丸紅の約8万kWを合わせると12万5千kWの太陽光発電が行われることになり、大分湾は太陽光発電の一大集積地帯となる。


北陸電力の風力募集枠埋まらず 随時募集に移行
 北陸電力は、9月28日までを募集期間として実施した30万kWの風力発電の系統連系枠に対する応募が6万kW分しかなく、募集枠が大幅に残ったことから、随時募集に切り替えて募集を継続することにした。
 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度がスタートし、風力発電の連系についても原則的に希望受入が義務づけられるという制度改革があり、電力各社は募集枠を定めた抽選方式による連系受付は原則的には認められないことになっている。北陸電力でもこれを受けて改めて30万kWが連携可能だとして希望する事業者を募集したがもうシキミ起源までに、合計11件・6万kWの応募しかなかった。


九州電力、風力連系拡大に向け離島に蓄電池 4000kWで実証事業
 九州電力は、離島での風力発電などの系統連系を拡大することを目的に大型蓄電池を利用する実証事業を始める。国の補助を受けて壱岐市に4000kWのリチウムイオン蓄電池を導入して今年度中、実証事業として運用する。
 九州電力管内には多くの離島があるが、電源規模が脆弱で、大規模な風力発電の連系要望があっても受け入れられないことが多いが、固定価格買い取り制度の導入によって、連系希望は原則的に受け入れることが求められ津事になり、連系容量を拡大する目的で大規模な蓄電池を導入して電力系統の調整力増強に取り組むことにした。


エネ環会議 年末までに電力システム改革の戦略など
 政府は、10月19日に開催したエネルギー・環境会議で、9月に取りまとめた革新的エネルギー・環境戦略で検討課題として残されている電力システム改革などについて具体的な進め方を改めて工程表として示した。
 戦略に沿って年末まで、あるいは年末をメドに取りまとめられるのは、@グリーン政策大綱A電力システム改革戦略B地球温暖化対策の計画C原子力政策についての人材・技術の維持強化策の4点。
 グリーン政策大綱は、グリーン成長に向けた取り組みを具体化して節電や省エネ、再エネの導入目標と目標達成に向けた工程表を設定。また、そのための予算や必要な規制改革についても盛り込む。検討の場はエネルギー・環境会議。
 電力システム改革については、引き続き総合資源エネルギー調査会の下で電力システム改革専門委員会を再開し、残された課題である、発送電を分離して新たな電力市場の競争促進策を具体化することや、送配電部門の中立化、広域運営の在り方について具体的な検討を行い、年末をメドに戦略を取りまとめる。
 地球温暖化対策の計画については、曖昧なままで放置されている2020年の中期目標の在り方を含めて、30年、20年についての削減目標の在り方について検討し、実現のための具体的な対策をまとめる。森林吸収、国際貢献、温暖化適応策などを考慮しながら具体的な対策について、特に検討の場は設けず、内閣官房、環境省、経済産業省が連系して検討し、2013年以降の地球温暖化対策の計画として取りまとめる。


その他の主な記事
・東京都 インフラファンドで投資先1号案件
・デンヨーがLPG発電機を新たに2機種
・西部ガス メガソーラーが運開
・日本無線 日清紡工場でエネマネ実証を開始
・東武鉄道、佐野市の駅遊休地でメガソーラー事業
・ミニストップ コンビニ店舗900店に太陽光発電
・古河電工 パッケージ型蓄電池システムを発売
・オリックスがESCO型デマンドレスポンスサービス
・オリックスが屋根借り型メガソーラー事業
・住友化学など CO2分離事業で新会社
・NEDO 自然エネ成果報告会を開催
・名古屋と福岡で燃料電池セミナー
・環境省が10月30日にシンポ
・各地で地熱開発説明会
・NEDO バイオマス成果報告会
・神奈川県がエネルギー革命セミナー
・東北でスマートコミュニティシンポ
・福岡市でCO2ゼロ街区がまち開き
・今年度上期の電力使用量は前年度並み
・神奈川県 屋根貸し型マッチング事業を開始
・エネ庁 買い取りモデル契約で説明会
・中国経産局 再可エネネットワークを設立
・九州電力 離島で蓄電池システムを実証
・バイオエタ燃料の持続可能調査募集
・再可エネ熱利用 3次募集
・SSKセミナー・10〜11月
・JPIセミナー11月  etc.





シリーズ連載
・エネルギーと世界経済の潮流(27)
 =日本人の特異性を世界経済に生かせ=
 (和光大学経済経営学部教授 経済学科長 岩間剛一)
・日本を変えるスマート革命(15)
 = 家庭部門における「需要応答」の意義と実践=
 (スマートプロジェクト代表 加藤敏春)
  →PDFで読めますこちらから
・インタビュー
 =この人に聞く=
 (環境大臣 長浜博行 氏)
原子力の規制行政を引き受け、直面する除染事業は課題が山積み。その一方で、地球温暖化問題や生物多様性問題などでは、国内対策も国際交渉も行っていかなくてはならない。そんな状況にある環境省を引っ張っていくことになったのが、民主党参議院議員の長浜博行環境相だ。大臣が政治家として掲げている政策の一つが地球温暖化対策だ。ホームページには今なお、2020年に温室効果ガス90年比−25%という目標が示されている。大臣就任の抱負を聞いた。
・キーパーソン
 =温暖化対策は国際交渉も国内対策も=
 (環境省 地球環境審議官 谷津龍太郎 氏)
・新刊紹介
 『日本人の知らない環境問題−「地球にやさしい」では世界を救えない』
 大賀敏子著 ソフトバンククリエイティブ 730円(税別)



コラム
・発電論評<コージェネはなぜ普及できないのか>
・青空<永田町はKYの巣窟>
・ちょっと一休<豪華なウィンザーホテルで泊まる>
・一筆啓上<グローバル人材の定義>


コージェネはなぜ普及できないのか【発電論評】

 革新的エネルギー・環境戦略では、2030年にコージェネの導入量を現在の約5倍に拡大し、年間の電力供給量の15%程度を担わせることを目標として掲げている。目標達成に向けて「あらゆる政策」もフル動員される。
 熱と電気を同時に供給できるコージェネレーションの有意性はそれなりに理解が広がっているはずなのになぜ、普及拡大に弾みがつかないのか。それについては、ハード的な問題というよりもソフト的な問題、さらにいえばコージェネを普及させるという社会的な意欲や政策が見られなかったことに原因を求めることができるのではないか。つまり、コージェネを有効なエネルギー供給手段として位置づけ、効率の悪い火力電源の代替設備として普及促進するという観点がなく、地域独占供給体制の電力政策の中では系統連系することさえも原則的には認めてこなかったということである。これは例えていえば、公道の走行を認められないナンバーのないレースカーのようなもので、自家発電という特殊なサーキットの中でしか走行することが許されなかったということである。
 また、技術開発に対するサポートもほとんど顧みられることはなく、コージェネの普及に対しては、行政は全くといっていいほど関心を持つこともなかった。燃料電池や再生可能エネルギーに対しては、国のプロジェクトとして技術開発に対する強力なサポートがあったが、コージェネに対してはすでに確立された技術であるとして、補助支援が行われることもほとんどなかった。唯一ガスコージェネに対しては、天然ガスへの燃料転換促進の観点から一時的に導入補助が行われたこともあったが、それも打ち切られて何もない状態が長く続いていた。
 コージェネなどの自家発に対しては、相当の小規模のものまで、大規模発電所とほとんど同じ電気事業法による規制が行われる。規模によって異なるのは、環境アセスの必要がない程度である。もちろん排ガス規制もかかるし、工事や維持管理には主任技術者も必要になる。こうしたがんじがらめの規制が緩められることはほとんどなく、それでもよければどうぞ、といわんばかりの状態が続いてきている。
 なぜコージェネが普及しなかったのかについて考えることは、阻害要因となったものをいちいちあげつらうことが目的なのではない。要因を明らかにしていくことが、逆にどうすれば普及できるのかということを考えるヒントになると思われるからである。
 少なくともいえることは、普及促進策として最も必要なことは、単なる導入補助に止まらず、コージェネを使いやすくする合理的な環境整備をいかに進めるかということになるのだと思う。