2012.10.15


2012年1015日号

再可エネ認定設備は178万kW メガソーラーが急増
 資源エネルギー庁は、7月から開始された再生可能エネルギー固定価格買い取り制度の設備認定状況が、9月末現在で178万kWとなったと発表した。9月だけでも約48万kWと、急激な増加ぶりが示されている。このうち90%以上は太陽光発電が占めており、なかでもメガソーラー施設の急増ぶりが目立っている。
 今年4月から9月までに運転を開始した再生可能エネルギー電源は、91万2千kWで、9月の1カ月間で約23万kW増加した。このうち太陽光発電は、10kW未満の住宅用が74.4万kW、それ以上の非住宅用が14.1万kW、合計で88.5万kWと認定設備のほとんどを太陽光が占めている。特に住宅用が圧倒的に多いが、新制度での認定設備は住宅用が44.4万kWであるのに対して、非住宅用が103.6万kWと大きく逆転している。なかでも、設備容量が1千kWを超えるいわゆるメガソーラーが約73万4千kWで太陽光発電全体でも約50%を占めるなど急増している。建設地も37府県と全国的な広がりを見せており、9月だけでも63件・約16万8千kWが認定を受けた。
 メガソーラーの導入量が多いのは、件数では北海道の54件を筆頭に、栃木県と福岡県の12件、岡山県11件、千葉県10件と続いている。設備容量では、北海道の約29万kW、鹿児島県の約8万kWと続き、1万kW以上の認定設備があるところは16府県ある。件数、設備容量とも北海道が飛び抜けて多く、パネルが設置できる日照の良い安価な土地が確保できれば、簡単に発電事業に参入できるという太陽光発電の特質がよく現れているといえる。


東京ガス、コージェネ運用システムを開発 給電負荷を自在に選択
 東京ガスは、停電時にコージェネレーションシステムを効果的に運用できる制御装置「ジェネスマート」を開発した。
 停電時に電力を供給する負荷設備の重要度を予め設定しておけば、コージェネの発電余力に従って送電する負荷設備を自動的に選択肢ながら運転が継続できる。初号機は、鹿島建設がスマートエネルギーネットワークの構築を進めている東京都江東区の大型複合施設「東京イースト21」に採用される。東京イースト21では、700kWのガスコージェネを中核システムとして導入し、既設の350kW×2台のガスコージェネと合わせて施設全体のピーク電力の30%を供給し、熱と電気を需要パターンが異なるオフィス、ホテル、商業施設の建物間で面的に有効活用する。コージェネの運用を含めたエネルギーシステムの運用をエネルギーアドバンスがエネルギーサービスとして提供し、設備を導入しなかった場合と比べて約20%の省エネと年間約440tのCO2が削減できる。ジェネスマートを含むスマートエネルギーネットワークを来年2月には完成し、本格的なエネルギーサービスが開始されることになる。


アサヒグループなど、砂糖の生産性を高めるバイオエタノール生産技術を開発
 アサヒグループHDの豊かさ創造研究所と農研機構・九州沖縄農業研究センターは、砂糖の生産性を4倍に高めながらバイオエタノールを製造する「逆転生産プロセス」技術を開発した。
 サトウキビから砂糖を生産し、さらにバイオエタノールを生産する場合、砂糖を生産したサトウキビ残渣からバイオエナノールを生産するが、砂糖とエタノールの生産順序を逆にして、まず、砂糖生産時には阻害物質となってしまうブドウ糖や果糖などの還元糖を選択してエタノールに変換できる酵母を用いてエタノールを生産し、その後にショ糖を主成分とする成分を結晶化して砂糖を生産する。この場合、砂糖の生産を邪魔する還元糖の量が少なくなっているため、砂糖の収量が大幅に増えることになり、実験では、従来の4倍程度の砂糖が生産できた例も見られた。
 今後は、逆転生産プロセスの技術的な検証を行い、2015年頃の実用化を目指して開発を進める。


オリックスなど、家庭用蓄電池をエネルギーサービスで
 オリックスと日本電気、エプコは、家庭向けのエネルギーサービス事業を目的にした事業会社を3社が共同で設立することで合意した。経済産業省が7月に発表した「蓄電池戦略」に沿って、定置用蓄電池をレンタルするエネルギーサービスの事業化を目指す。イニシャルコストの高さが普及拡大への障害となっている蓄電池システムをエネルギーサービス化して提供、イニシャルコストの負担をなくして蓄電池システムが導入でき、毎月の節電メリットの範囲内でレンタル料の支払いがほぼできるようにする。(割安な深夜電力を蓄電し、日中に使用するなど ・昼夜間の料金格差を賢く利用する)。

その他の主な記事
・NTTファシリティーズの佐倉メガソーラーが運開
・日立、DMFCのコストを半減 白金不使用の電極を開発
・シーテックjapan開く
・低炭素技術を大使館に紹介
・東工大AECがシンポ
・BAESが第4回シンポ
・NEC、リチウムイオン電池を長寿命高効率化
・パナソニック藤沢SSTが補助事業に認定
・矢崎のソーラーシステム
・日立電力システム関連4社を合併
・日本海水、自社工場にバイオマス発電
・富士経済FIT市場を予測
・風力エネシンポも開催 11月に
・小水力実証事業を2次募集
・産総研12月にエネルギー技術シンポ
・産総研 大阪で蓄電池シンポ
・環境省、リオ+20でシンポ
・環境メッセージEXPO
・環境コミュニケーション大賞を募集
・JXなど、21世紀のエネルギーを考えるシンポジウム
・次世代エネルギーパーク7件を追加認定   etc.

<インタビュー>
・BEMSアグリゲータとエネルギーサービス
(日本電気 交通・公共ネットワーク事業部 ビルソリューション推進部 部長 戸嶋公徳氏)
 BEMSアグリゲーター事業は、日本電気(NEC)として積極的に対応し、クラウド対応BEMS(ビル・エネルギー・マネジメント・システム)の試金石になると考えている。BEMSが導入されることで、エネルギーにとどまらない多様なサービスの提供が可能となる。また、地域全体のエネルギーマネジメントシステムの先にある、これからのエネルギーサービスを想定し、事業を展開していく方針だという。



燃料電池新聞の主な記事
・燃料電池の現状と課題 今後の展望<インタビュー>
・英国の燃料電池市場の最新動向<英フュールセルトゥデイ、「2012年の燃料電池産業レビュー>
・海外ニュース
 -米Altergy、インドの通信施設にバックアップ電源を納入
 -米下院議員、燃料電池と水素インフラ導入を促進する法律を9月議会に提出
 -台湾と中国、燃料電池スクータの両国での共通標準化で合意
 -EUの舶用燃料電池の実証プロジェクトFellowSHIP終了
 -米ClearEdge、オーストリアでバイオガスを使ったマイクロCHPの発電試験を開始
 -カナダBallard 、南アフリカのテレコム向けに192台のバックアップ電源を受注
 -仏Air Liquide、ドイツと日本で水素ステーション建設を開始
 -独Siemens、Clean Energy Partnershipに参加し、水素ステーション用PEM電解装置を設置
 -豪Ceramic Fuel Cells、中国Chaozhou Three-Circleから600万豪ドルを調達
 -現代自動車、欧州各国の走行実証試験にFCVを供給
 -欧州で4社のFCVが参加したロードツアーが開催される
 -英AFC Energy、アルカリ形燃料電池の電極のパイロット生産プラントをオープン
 -英Ceres Power、家庭用燃料電池の長期耐久性向上に関する試験結果を発表
 -米Applied Nanotech、カーボンナノチューブで強化した超軽量水素タンクを開発
 -米Lilliputian Systems、ロシアの投資ファンドRUSNANOから4000万ドル資金調達
 -米Vision Industries、米Balqonと燃料電池ターミナルトラックの共同開発で合意
 -米サンタクララバレー交通局、保守点検工場にBloom Energyの燃料電池を導入
 -ボーイング、IHIの再生型燃料電池システムを搭載して試験飛行を実施
・燃料電池フラッシュニュース
 -パナソニック、独フィツマンと家庭用燃料電池を共同開発
 -トヨタ自動車、燃料電池バスの外部電源供給システムを開発
 -トヨタなど、水素活用のエネルギー需給システムを検討するHyGrid研究会を設立
 -豊田通商、ジャパンブルーエナジーなど、下水汚泥から水素を製造する技術の実用化で連携
 -経済産業省、エネファームの補助金で170億円、水素ステーション整備で50億円を要求
 -北海道大学、白金とルテニウムの 原子が完全に混ざった合金触媒を開発
 -日産自動車、FCV「TeRRA 」コンセプトをパリモーターショーで公開
 -ロームとアクアフェアリー、固体型水素燃料電池を開発
 -分子科学研究所、MEA内部の白金触媒分布や化学状態を可視化
 -ホンダと日本特殊陶業、共同で家庭用SOFC燃料電池を開発
 -熊本大とトヨタ、600℃で熱化学的に水素を製造するためのバナジン酸銅触媒を開発
・燃料電池インフォメーション
■電気化学会 第117回燃料電池研究会セミナー:11月2日(金) 電気化学会会議室(東京都千代田区 アルス市ヶ谷))○概要:燃料電池用炭化水素系電解質の研究開発の現状/@ 炭化水素系電解質:プロトンおよびアニオン伝導膜としての展開(山梨大 宮武健治氏)/A 炭化水素系電解質膜の高性能化(住友化学 中村明彦氏)/B 炭化水素系電解質を用いた触媒層の微細構造と性能(日立製作所 川治純氏)/Cマルチスケールモデリングによる炭化水素系電解質膜の解析(東北大 高羽洋充氏)    etc.


シリーズ連載
・カーボン・マネジメント入門(71)
 =エネ業界における為替問題=
 大串卓矢/スマートエナジー代表取締役社長

・世界を読む(50)<新たな課題に直面するEUの原子力>

・新刊紹介
 『原発危機 官邸からの証言』
 福山哲郎著 筑摩書房 780(税別)



コラム
・発電論評<コージェネ普及に向けての考え方>
・青空<新自由主義は嫌!>
・ちょっと一休<ニセコのホテルでの近況報告>
・ちょっと一言<電力の共同購入が電気事業を変える>


コージェネ普及に向けての考え方【発電論評】

 今後のエネルギー政策の中では、コージェネレーションは供給電力の約15%を担うというのが大まかな目標だ。同じ燃料を使う大規模火力と比べると熱電併給できる分だけコージェネレーションの優位性が高い。この特質をどう生かしていくのかが今後のコージェネ普及の鍵を握っている。排熱を有効利用する手段がなければ、電源を分散化する意味の大半が失われてしまうことになる。
 東日本大震災の最大の教訓といえるのは、電源を集中させると災害や事故に対するリスクが高まることを実感させられたこと。震災によって原子力発電と沿岸部の大規模火力が被災し、大量の電源が失われてしまった。震災直後には大規模な計画停電も経験した。
 原子力発電の再稼動の見通しが付けられない中で、現在は、大規模火力への依存度が高まっている。電源の分散化の観点からも、大規模火力への依存度をどう下げていくのかという問題にも取り組まれなければならない。
 電源の分散型化とコージェネの拡大は一つの課題の表裏ともいうべきもので、分散化と、省エネ・省CO2をも同時に満足させることができるのはコージェネの他には現実的な解決策はないといえる。
 火力発電を単に小規模化しても得られるメリットはほとんどない。コージェネ化して排熱を有効利用することで、省エネ・省CO2化が実現でき、リスク分散の上にさらなるメリットが生まれる。
 コージェネの古くて新しい課題は、熱と電気を有効利用するための工夫が不可欠となること。例えば余剰電力を買い取る仕組みがあれば、コージェネの運転効率が高められ、高いエネルギー利用効率が維持できる。
 排熱の利用先として有効なのは、空調や給湯などがある。これらの熱負荷は比較的低温の排熱も活用できるので利用先も探しやすい。温水プールや入浴施設などで利用できればほとんど無駄のない排熱利用が実現できる。プールや入浴施設となると、病院や学校、宿泊施設などの公共施設や観光施設などが考えられる。こうした施設は地方にも多くあり、温泉施設などでも温泉の加温用の熱源としての有効利用も期待できる。
 一方、電気は、地域の再生可能エネルギー電源と組み合わせて地産地消した上で、余剰電力を広域流通させることができれば、広域ネットワークへの負担を下げながら再生可能エネルギーを大量にりようすることが可能になる。原子力発電や大規模火力への依存度を下げながら、多量の再生化のエネルギー電源を有効に運用できるという目指すべき電力ネットワークは、コージェネを中心に置いた地産地消型のマイクログリッドを各地に構築していくということを有力なモデルとして考えてみたい。